久住先生
お仕事柄、不規則になることも多いと思いますが、どんな生活をおくっていますか?
海老蔵さん
実は不規則じゃないんですよ。舞台中は、時間割に1分のズレもないので、生活リズムは安定しているんです。
久住先生
どんなタイミングで食事を摂っていますか?
海老蔵さん
1日1食で、あとは役柄によって変えています。午前中からパフォーマンスを上げていく必要があるときは、朝からお肉を食べ、その後は比較的自然のものだけで構成されたプロテインを飲んでいます。一方で、それほどカロリー消費を伴わない役柄のときは、朝食は摂らずに、昼の部が終わる15時ごろに食事を摂っています。
久住先生
なぜ1食にしたのでしょうか?
海老蔵さん
胃腸を長く休ませた方が、体が楽だということに気づいたんです。以前は3食しっかり摂っていましたが、体が重かったり、頭が冴えなかったりして、クリーンなイメージが持てませんでした。そこで1食にしてみたところ、思った以上に調子がよく、私にはそれが合うのかなと思いました。
井上トレーナー
次に海老蔵さんの運動習慣を教えてください。普段はどんな運動をしていますか?
海老蔵さん
舞台中はケアが中心ですが、舞台がないときは体幹を中心にトレーニングしています。重い衣装を着ることも多いので、体幹で支えられないとズレが出てくるんですよ。
井上トレーナー
そんなに重い衣装を……。ではケアをする際には、どんなことを意識していますか?
海老蔵さん
舞台では、知らないうちにアザや切り傷ができていることがあります。すると、そこから筋膜の癒着が起こり、別のところにひずみが生まれます。ですので、痛みが出たところよりも、痛みを引き起こしている根本的な部分にアプローチするケアを心がけています。
井上トレーナー
素晴らしいですね。ケアやトレーニングを継続するために、心がけていることはありますか?
海老蔵さん
「継続する」という発想自体をやめています。ご飯を食べたら必ず歯を磨くのと同じ感覚ですね。
久住先生
素晴らしいですね。では次に睡眠習慣について教えてください。普段は何時頃に就寝、起床していますか?
海老蔵さん
舞台中は23時ごろに寝て、6時ごろに起きてます。
久住先生
食事と同じようにご自身の感覚で決めたものですか? それとも周囲のアドバイスがあったのですか?
海老蔵さん
睡眠データを海外の方に解析してもらっています。わたしの場合、本来は8時間寝ないといけないようなんですが、あえてストレスをかけるなどして、7時間にしています。
久住先生
良い睡眠をとるために、取り組んでいることはありますか?
海老蔵さん
特にありません。日常から生活習慣がうまく回っていると良い睡眠がとれる気がします。
久住先生
毎日規則正しく過ごしていると、睡眠も取りやすいのかもしれませんね。睡眠において感じている課題はありますか?
海老蔵さん
ないです。ただ、体の向きには興味があります。わたしは右向きに寝るのが一番ストレスを感じないんですけど、これはなぜなのでしょうか?
久住先生
なぜ人によって好みが変わるのかはわかっていません。現段階では「個人差」としか言えませんが、ストレスを感じないということが大切だと思います。
海老蔵さんは、サウナがお好きだと伺いましたが、どのくらいの頻度で通っていますか?
海老蔵さん
時間があれば行きます。今朝も行ってきました。切り替えって大事ですよね。ランニング、サイクリング、スイミング、それに加えてサウナがわたしのリフレッシュスタイルです。
久住先生
サウナの入り方にこだわりはありますか?
海老蔵さん
ストレスの度合いによって変えています。ストレスがないときは、友達とくだらない話をするだけですが、ストレスがあるときは限界まで耐えて、シャワーを浴びたら2分くらい冷水に入り、体をふき取った後に、外気、もしくは静かな空間で瞑想して、いま流行りの「整える」という形を取ります。脳内に残留物がなくなるまで3回ほど繰り返しますね。
久住先生
標準的には何分くらい入っていますか?
海老蔵さん
温度によりますね。90~100℃の場合は10〜12分、調子がいいときは約16分ほど入ることもあります。逆に調子が悪いときは6分くらいで切り上げてしまいます。その日によって耐久時間に差が出るのはなぜなんでしょうか?
久住先生
熱さに順応する自律神経の働きが弱っているのかもしれませんね。普段、どんな時にストレスを感じますか?
海老蔵さん
あまり感じない方だとは思いますが、事実と異なることを報道されたり、自分が望まない方向に周りが動いてしまったりすると、ストレスを感じることもあります。
久住先生
そんな時もやはり、先ほどのようにサウナなどでリフレッシュを?
海老蔵さん
根っこからストレスを取り除くために、酵素風呂に入ることもあります。あとは、自宅でひとりで無我夢中になって歌舞伎をやっているときですね。それを俗に稽古と呼ぶのかもしれませんが、わたしにとっては、子どものときから慣れ親しんでいることだから、稽古という感覚ではないんですよね。
久住先生
何かに集中して無の境地になることは大切ですね。