「食物繊維の多い食べ物」はご存知ですか?手軽に摂取できる食材も解説!
食物繊維の多い食べ物とは?Medical DOC監修医が食物繊維の多い食べ物・一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
西澤 奈純(管理栄養士)
2017年至学館大学卒業 学生時代もスポーツ栄養の研究室でアスリートへの食事提供、実業団チームへの栄養サポート補助、大学生アスリートへの栄養アセスメント、スポーツジムでの健康栄養セミナー講師などを経験してまいりました。/ 2017年~2019年まで給食委託会社勤務 実業団陸上部スポーツ寮、特別養護老人ホームなどで給食管理、栄養管理業務に従事しました。 アスリートへの栄養サポートとして合宿帯同なども経験させていただきました。 / 2019年~管理栄養士として大学勤務 本格的にスポーツ栄養に携わるために転職いたしました。研究員としてスポーツ寮での食事提供、アスリートへの個別指導、集団セミナーなどに従事しました。 / 現在は食品メーカーにて調乳指導に従事し、月50名以上のお母様に指導をしております。また、料理専門の家事代行サービスでもお仕事しております。その他単発で業務委託でお仕事させていただいております。
主な研究内容・論文
大学女子体操競技選手に対する減量のための栄養サポート
保有免許・資格
管理栄養士
栄養士
普通自動車運転免許
目次 -INDEX-
「食物繊維」とは?
食物繊維は、主に腸の働きを整えるのに役立ちます。便通をよくしたり余分な栄養素を吸着・排出したりする作用があるため、第6の栄養素とも呼ばれます。
本記事では、身体の健康維持に欠かせない栄養素の中でも、食物繊維に焦点を当てています。
一日の摂取量の目安や効果はもちろん、食物繊維を多く含む食品・食物繊維が不足すると何が起こるかなどについても解説しているので参考にしてください。
食物繊維の一日の摂取量
食物繊維の摂取量は、一日あたり男性21g以上・女性18g以上が目標値です(それぞれ18歳から64歳の場合)。日本人は食生活の変化に伴い、平均的な食物繊維摂取量が減少傾向にあります。必要量を摂取していれば一日に1度の排便が規則的に行われます。そのため、特に意識して摂取したい栄養素のひとつです。食物繊維は大まかに分けると、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があるため、偏りなく両方をバランスよく摂取するのが理想です。
食物繊維の効果
整腸作用がある
食物繊維は消化や体内への吸収がされないまま大腸を通過する栄養素です。消化酵素の影響を受けず、主に腸内を掃除する役目を担っています。便のかさを増やしたり腸内細菌(いわゆる善玉菌と呼ばれる細菌など)を増やしたりする作用があります。腸内環境が整うと免疫力が向上すると言われているだけでなく、質の良い睡眠を促したり、肥満を予防したりするなど、多くのメリットがあります。そのため、食物繊維は定期的に摂取しましょう。
血糖値の上昇を抑制する
食物繊維は糖質の吸収を遅くする作用があり、血糖値の急激な上昇を防ぎます。血糖値の理想的な数値は、空腹時が110mg/dl未満、食後は140mg/dl未満です。この範囲を超えた状態が続くと、糖尿病をはじめとした生活習慣病の原因になります。食物繊維を積極的に摂取することで、血糖値の上昇を緩やかにし、生活習慣病の予防に役立ちます。
コレステロール濃度を低下し高血圧を予防する
コレステロール値が高すぎると、動脈硬化により脳梗塞・心筋梗塞になりやすく大変危険です。水に溶けやすい水溶性食物繊維は、コレステロールやナトリウムを吸着して体外へと排出させる作用があります。この働きかけにより血中のコレステロール値が下がります。
食物繊維の多い食品
こんにゃく
食物繊維を多く含む代表的な食品のひとつです。成分の97%が水分のため低エネルギーで、ダイエット中の食事にもたびたび取り入れられています。食物繊維のほかにもカルシウムが豊富なため、カルシウム不足の解消にも期待できます。
きくらげ
きのこ類は全般的に食物繊維が多く含まれていますが、、なかでも乾燥したきくらげの食物繊維含有量は100g辺り57g以上と高い数値を誇っています。食物繊維のほかにもカルシウムやビタミンD・鉄分など美容にもうれしい栄養素が多数含まれているのでおすすめです。
寒天
海藻系の食品は食物繊維のほかにミネラルも多く含んでいます。なかでも寒天はデザートに取り入れやすいため、ダイエット中に甘いものを食べたいときにも有効です。ただし、寒天は水溶性食物繊維を多く含んでいるため、不溶性食物繊維を含む食品も摂取するなどの工夫をしましょう。
大豆・納豆
豆類は不溶性食物繊維を多く含む食品の代表とされていました。ただし、近年の研究では水溶性食物繊維量も充分な量を含んでいる可能性があり、そのため腸内環境の改善やコレステロール値の低下を促す効果が期待できます。大豆を使った煮つけやサラダなどのほか、大豆を発酵させた納豆も食物繊維が豊富なため、食事の付け合わせとしてより手軽に取り入れられます。
お茶
食物繊維を意識して取り入れる際は、飲み物をお茶類にするのも有効です。含有量が多いお茶は抹茶や玉露・紅茶などで、不溶性食物繊維の割合が高めです。なかでも抹茶は茶葉を丸ごと摂取しているため、より多くの食物繊維を摂取できます。
食物繊維が不足すると現れる症状
便秘・痔
食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化して動きが滞り、便秘になってしまいます。便秘になるとお腹が張って腹痛が起こるほか、便も硬くなりすぎたり匂いが強くなったりしてスムーズに排便できません。便秘が続くと便が肛門を刺激して痔になってしまう場合もあります。便が1週間以上出ない場合は一般内科や消化器内科、胃腸科で見てもらえますが、痔になった場合は併せて肛門科も受診しましょう。
糖尿病(生活習慣病)
糖尿病は遺伝的要因も含まれますが、過食や運動不足などの環境要因が伴うことで罹患します。糖尿病はブドウ糖が血液中に流れ出てしまい高血糖になると発症するもので、合併症により慢性腎不全・神経障害(足のしびれや痛み)・視力低下や失明を引き起こす場合もあります。食物繊維が不足すると血糖値が上昇しやすくなり、これらの症状を誘発してしまいます。糖尿病の初期症状は倦怠感や疲労感のほか、排尿回数が極度に増えたり怪我や傷が治りにくくなったりなどが挙げられます。一見するとわかりづらい症状ばかりですが、気になる場合は内科や糖尿病内分泌科を受診しましょう。
大腸がん
ただし、極端に食物繊維の摂取量が不足している場合は罹患のリスクが高まる可能性も否定できません。いずれにしても、腸内環境が整うと悪玉菌が減り、毒素が排出されやすくなるため大腸がんを予防しやすくなります。大腸がんの症状は腹痛や食欲不振のほか、便に血が混じる場合もあります。気になる症状があれば消化器内科や消化器外科、内視鏡内科などを受診しましょう。
食物繊維の効率的な摂取方法
食物繊維と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
食物繊維は先述のとおり、水溶性と不溶性が含まれる食材を両方摂取するのが前提です。ご飯やパン・肉や魚などを単体で食べるよりも血糖値の上昇や脂質の吸収を抑えられるため、肥満の予防にもつながります。乳酸菌やビフィズス菌が含まれた飲料を一緒に摂取することも有効です。
食物繊維と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
原則どのような食品とも組み合わせて構いません。ただし、多量の不溶性食物繊維はミネラルなどの吸収を妨げることもあり、注意が必要です。現代の日本人は食物繊維が不足しやすいとの結果も報告されているため、サプリを併用していない限りは過剰摂取の心配はないでしょう。
食物繊維の効果を高める摂取タイミング
朝食時の摂取は体内時計をリセットして活動を促す研究結果が報告されています。また、昼食や間食時の摂取は血糖値の上昇を抑えやすくなる効果も期待できます。ご自身の生活状況や求める効果に合わせて摂取のタイミングを調整するとよいでしょう。
「食物繊維の多い食べ物」についてよくある質問
ここまで食物繊維の多い食べ物などを紹介しました。ここでは「食物繊維の多い食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
野菜の中で食物繊維が一番多い食品を教えてください。
西澤 奈純 医師
文部科学省の食品成分データベースによると、100gあたりでの換算になりますが、こんにゃく、きくらげ、粉寒天の順で多く食物繊維が含まれています。
果物の中で食物繊維が一番多い食品を教えてください。
西澤 奈純 医師
アボカドやバナナなどには多くの食物繊維が含まれていますが、先述したほかの食材にはおよびません。ただし、干し柿などのドライフルーツにはいもや豆と匹敵する程の食物繊維が含まれています。
食物繊維を手軽に摂取できる食材を教えてください。
西澤 奈純 医師
食物繊維は一部を除き、生の食材よりも長期保存用に乾燥させた食材に多く含まれている傾向にあります。ドライフルーツはおやつ代わりに手軽に摂取できるためおすすめです。また、食物繊維を意識して摂取するなら乾燥したきのこや切干大根などを取り入れるのもよいでしょう。さらに、お米に麦や玄米、五穀などを足すのもおすすめです。これらの食材は食物繊維が豊富で、毎日継続して摂取することで、健康をサポートします。特に、毎日食べるものに食物繊維が多い食材を加えると、無理なく継続して摂取しやすいため、習慣にしやすい点も魅力です。
編集部まとめ
食物繊維はこんにゃくやきくらげ・豆類などに多く含まれています。整腸作用を助けたり血糖値の上昇を緩やかにしたりするなど病気の予防にもつながる栄養素です。
食物繊維の摂取量は全体的に不足傾向にあります。積極的に摂取して、心身ともに健康的な生活を送りましょう。
「食物繊維」と関連する病気
「食物繊維」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
- 腸疾患
- 大腸がん
循環器科の病気
「食物繊維」と関連する症状
「食物繊維」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。