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「大腸がんの原因」となる可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が解説!

 更新日:2023/11/16
「大腸がんの原因」となる可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が解説!

大腸がんの原因とは?Medical DOC監修医が大腸がんの原因・原因となる食生活・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

影山 広行

監修医師
影山 広行(医師)

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CT,MRI,PETなどの画像診断が専門、PET-CTを含めた健診、生活習慣治療、アンチエイジング、スポーツ医学などの実績も豊富
保有資格
放射線診断専門医
核医学専門医
PET核医学認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
抗加齢医学専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター

「大腸がん」とは?

大腸がんは大腸と直腸の粘膜から発生するがんです。
大腸がんの罹患数、死亡数ともに増加しており、男女とも罹患率は第2位であり、死亡率では男性が第2位、女性が第1位となっています。発症予防、治療ともに十分な対策が必要な病気と考えられています。

大腸がんの主な原因

大腸がんの原因は生活習慣との関連が強いとされており、喫煙、飲酒、肥満、食物繊維の不足、運動不足などと関わりがあるとされています。
大腸がんはこれからご紹介する不適切な生活習慣との関連が強いとされています。これにより大腸の粘膜細胞の遺伝子に異常が起き、それが積み重なることで、がん細胞が発生すると考えられます。また、一部ですが先天的な要因で発生するものもありますので、それもご紹介します。

喫煙

喫煙は大腸がんだけでなく、そのほか非常に多くのがんのリスクを上昇させることが判明しています。

飲酒

詳細は後述しますが、飲酒量が増えるほど確実に大腸がん発症のリスクが上昇することが判明しています。

運動不足

後の予防法の項目でも解説しますが、身体活動量が多いほど大腸がんのリスクは低下する、ということが分かっています。逆に運動不足が続いていると、大腸がんのリスクは相対的に上昇していると言えます。

先天的要因

大腸がんの原因は遺伝的な素因も強く、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などが家族性大腸がんの遺伝性発症の原因疾患として知られています。家族性大腸腺腫症ではAPC遺伝子というがん抑制遺伝子の異常、リンチ症候群ではDNA複製時の間違いを修復するためのミスマッチ修復遺伝子の異常がそれぞれ原因と考えられており、いずれも若い年齢で大腸がんを発症するのも特徴です。ただ、多くの家族性大腸がんは食生活や生活環境をともにしていることが原因であるとされています。

大腸がんの原因となる食生活

肉類・加工肉

さまざまな研究結果から、赤肉(牛、豚など、鶏肉は含まれない)、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)は大腸がんのリスクを上昇させる傾向が示唆されています。赤肉のヘム(タンパク質と鉄が結合したもの)が原因であると推定されており、加工肉では亜硝酸ナトリウムが胃でニトロソジメチルアミンという発がん物質に変化することが原因の一つと考えられています。
ただし、赤肉の摂取と大腸がんの関連についてはほぼ一貫性のある結果を得られていますが、加工肉の摂取と大腸がんの発症との関連については一定していない印象を持っています。

飲酒

大腸がんと飲酒の関連については比較的はっきりとした関連が示されており、飲酒量の増加に伴い確実に大腸がん発症のリスクが上昇します。加えて、飲酒により口腔がん、咽頭がん、食道がん、胃がん、大腸がんなどの口腔から消化管のすべてのがんのリスクが上昇することがわかっています。

清涼飲料水・炭酸飲料

甘味飲料については研究結果がわかれており、関連がないとする結果もあれば、関連があるとする結果もあります。果糖、砂糖と大腸がんのリスクについても、関連がある、関連がはっきりしないといういずれの結果も存在します。加えて人工甘味料についても同様に関連の有無については結果がわかれています。

超加工食品

一般には赤肉(牛肉、豚肉、子羊肉、羊肉、山羊肉、子牛肉、鹿肉など、鶏肉は含まれない)については大腸がんのリスクが高くなるという一貫性のある結果が得られており、摂取量を考慮する必要があると思います。微妙な表現をしている理由としては、肉類にはタンパク質、鉄、亜鉛などのミネラル、一部のビタミンが含まれており、制限すれば良いということでもないように思います。
飲酒についても大腸がんのリスクが高まることについて一貫性のある結果が得られており、飲酒を控えるほうが望ましいでしょう。
大腸がんと甘味料(砂糖、果糖など)、人工甘味料(アスパルテーム、スクラロースなど)、糖質(糖類と米、小麦、とうもろこしのデンプンなど)のなどとの関連については一貫した結果が得られておらず、大腸がんのリスクという観点からのアドバイスはできません。ただし、他の病気については甘味料、糖質ともに過剰摂取でリスクが上昇するものが多く、控えたほうが望ましいでしょう。人工甘味料は少なくとも一部は安全である、安全ではないなど結果がわかれる傾向にあり、アドバイスはできません。
近年、超加工食品という概念があり、ポテトチップス、菓子パン、カップ麺、クッキー、ビスケット、冷凍ピザなどの多数の食材を含み、多くの添加物を含み、工業的なプロセスで製造された食品群を意味します。比較的新しい概念のため、エビデンスの集積は十分ではありませんが、大腸がんリスクとの関連はほぼ確実と考えられており、摂取を控えたほうがよい食材だと思います。

大腸がんの予防法

定期的な運動

身体活動量が多いと大腸がんのリスクが低下することに関しては一貫性のある結果が得られています。また、大腸がん以外の多くのがんで運動習慣があるとリスクが低下することが示されています。
予防以外にも、一般に大腸がんなどのがんおよびその他の病気の治療中もしくは術後などの治療後でも定期的な運動により、体力を維持することができ、再発を抑制する効果もあるとされています。体調が十分回復していれば定期的に運動することが望ましいでしょう。

野菜・果物の摂取

野菜と果物の十分な摂取と大腸がんのリスク低下については関連がある、ないとわかれており、一貫性のない傾向がありますが、リスク低下がありとするほうがやや優勢な印象を持っています。食物繊維という観点からは、比較的新しい研究においてリスク低下がさらに優勢な結果が得られている印象があります。また、大腸がん以外のがんやがん以外の病気でも食物繊維の摂取でリスクが低下するという結果が優勢です。
おそらく食物繊維の多い野菜の摂取は大腸がんを含めたリスクの低下がより確実なように思います。果物に関しては缶詰、一部のカットフルーツでは健康への悪影響がある可能性が高く、一貫性がなくなる原因の一つであると考えています。果物に関しては摂取方法と量を考えたほうが良いのかもしれません。
発酵食品も食物繊維と同様に大腸がんのリスク低下と関連があるという報告が多数あります。主に研究がなされているのはヨーグルトなどの発酵乳製品、納豆などの発酵性大豆食品、キムチ、ザワークラウトなどの発酵野菜などです。また、同様に大腸がん以外のがんやがん以外の病気でも発酵食品の摂取でリスクが低下するという報告が多数あります。

禁煙すること、便潜血検査を受けること

大腸がんのリスクと関連して予防法を多く説明したので、以下はいままで触れなかった予防法を解説します。
その他の癌と同様、喫煙は大腸がんのリスクを上昇させますので、禁煙が望ましいことは言うまでもありません。
肥満も大腸がんのリスクを上昇させますし、その他のがんや病気のリスクも上昇しますので、食生活の改善や運動で、肥満から脱出することが望ましいでしょう。
そもそも大腸がんになりにくくする一次予防に加えて、二次予防(早期発見、早期治療)の話もしておきたいと思います。二次予防の基本は大腸がん検診などで便潜血検査を受けることです。
便潜血検査では便の中の少量の出血の有無を調べます。少量でも血液が混じっていると陽性と判定され、大腸カメラで大腸がんの有無を調べます。
大腸カメラでがんはなくてもポリープが見つかることがあり、ポリープの中にはがん化する可能性が高いものもあり、切除することになります。がん化の可能性が低いものについては、経過観察とすることもあります。また、一度ポリープができると、再発する人も多く、ポリープが完全に取り切れた場合でも、定期的な大腸カメラが推奨されています。

「大腸がんの原因」についてよくある質問

ここまで大腸がんの原因・予防法などを紹介しました。ここでは「大腸がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんになりやすい人の原因を教えて下さい。

影山 広行影山 広行 医師

今までの話のまとめとなりますが、食生活においては赤肉摂取、超加工食品の摂取が多い人、飲酒量の多い人、喫煙者、定期的な運動習慣のない人、食物繊維摂取量の少ない人、肥満者などとなります。加えて、大腸癌の家族歴がある、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝子異常を有する方も高リスクとなります。今まで触れてこなかったところでは、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の患者さんも大腸癌のリスクが高くなります。

女性の大腸がんが増加している原因を教えて下さい。

影山 広行影山 広行 医師

現時点の通説としては、女性の大腸癌が増加している理由ははっきりしていないかと思います。
以前は、便秘が女性に多く、便秘と大腸癌との関連が疑われていました。近年では因果関係としてははっきりしないとされています。無論、進行大腸癌の症状としての便秘はあります。
また、大腸癌と乳がんとの関連、女性ホルモンとの関連なども疑われていますが、はっきりとした関連は示されていません。

ストレスが原因で大腸がんを発症することは考えられますか?

影山 広行影山 広行 医師

ストレスと関連する胃腸の病気としては、下痢や便秘が続く病気の「過敏性腸症候群」となります。大腸とストレスとの直接的な因果関係はほぼないとすべきであると思いますが、大腸がんをふくめ多くの病気とストレスとの関連性を完全に否定するものではありません。

大腸がんと大食いに因果関係はありますか?

影山 広行影山 広行 医師

大食いとの関連については内容にもよると思いますが、リスクが高まる可能性が高いように思います。というのも大食いによる肥満は大腸がんのリスクを上昇させます。また、食べ物に赤肉、超加工食品が多く含まれていると、同様に大腸がんのリスクが高まります。ただし、過食症、拒食症などの摂食障害と大腸がんとの関連はないとされています。

編集部まとめ

大腸がんは生活習慣との関連が強く、生活習慣の改善でリスクを低下させることができます。また、便潜血検査や大腸カメラなど早期発見する方法も確立されています。加えて治療法も、早期であれば大腸カメラによる内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった治療法で治すことができるものもあります。また、進行していた場合でも手術、化学療法、放射線治療で治療することができ、5年生存率も比較的高い悪性腫瘍です。とはいえ、男女とも罹患率は第2位であり、死亡率では男性が第2位、女性が第1位となっており、予防、治療ともにまだまだ対策が必要な病気です。
まずは生活習慣の改善による十分な一次予防が重要です。加えて、定期的な便潜血検査などの早期発見の努力が重要となります。

「大腸がんの原因」と関連する病気

「大腸がんの原因」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

大腸がんの原因と関連する疾患はこれだけ挙げられます。いずれも早期介入が重要ですので、早めに専門科(消化器内科)を受診することをお勧めします。

「大腸がんの原因」と関連する症状

「大腸がんの原因」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

大腸がんの症状としては上記のものが挙げられます。複数認める際は早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師