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「体重が減少する」のは「がん」や「糖尿病」が原因?医師が監修!

ダイエットをしていないのに、体重が減っていることはありませんか?

通常体重は、摂取エネルギー(カロリー)よりも消費エネルギーが高いと減少します。運動量の増加で摂取エネルギーより消費エネルギーが上回っている場合以外は、病気の影響が関係しているかもしれません。

病気でなくても異常な体重減少は、身体からの何かしらのサインでもあります。

今回は、原因不明の体重減少から考えられる病気やそのほかの原因や対処法についてご紹介します。原因不明の体重減少でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

原因不明の体重減少で考えられる病気

原因不明の体重減少で考えられる病気は、主に4つあります。
また、食欲があるのに体重が減る場合と、食欲がなく体重も減る場合に分けられます。

悪性腫瘍

食欲がなく体重も減ってしまう場合に、悪性腫瘍が考えられます。悪性腫瘍とは所謂「がん」のことです。「がん」と一言でいっても、身体の中でさまざまな箇所に発生するので、どこのがんなのかは症状により異なります。がんが発生しても初期症状はとくにありません。悪性腫瘍では腫瘍細胞によりエネルギーが大量に消費されることが原因のため、自覚症状も食欲が落ちたり体重が減少したりするくらいなので、すぐにがんとは疑わない方が多いです。食道に腫瘍が生じると、食道が塞がれ食べ物が通りにくくなります。消化器官の臓器では消化管が圧迫されることで狭くなり、食事が困難になり体重減少へと繋がるのです。よく知られているがんの1つである胃がんの場合、進行とともに胃痛・胸やけ・嘔吐などがみられます。大腸がんの場合、肉眼でわかる血便・便秘・下痢など、便通障害が起こります。

糖尿病

食欲があるのに体重減少が起こる場合として、糖尿病の可能性が考えられます。糖尿病とは、血液中に含まれるブドウ糖である血糖値が慢性的に高くなる病気です。通常食事を摂ると膵臓からインスリンが分泌され、肝臓や筋肉などではブドウ糖をエネルギーに変え、脂肪組織では脂肪に変える働きをしています。この体内の働きがあることで血糖値が抑えられていますが、バランスが崩れ血糖値が高くなるとインスリンが分泌されにくくなり、ブドウ糖がエネルギー源として利用できなくなります。身体は常にエネルギーを必要としているため、エネルギー源が足りないと脂肪や筋肉をエネルギーとして使ってしまい結果痩せてしまう減少が現れるのです。放っておくと糖尿病の合併症として、神経障害や腎症なども引き起こされてしまいます。

甲状腺機能亢進症で体重減少する場合の対処法

どんなに食べても痩せている場合、甲状腺機能亢進症の可能性が考えられます。甲状腺ホルモンの分泌量が過剰に高まることで、バセドウ病や甲状腺腫瘍などのさまざまな症状が引き起こされるのです。これらの症状を総称して「甲状腺機能亢進症」と呼ばれています。対処法として、薬物療法と手術が行われます。甲状腺機能亢進症は自律神経失調症と似た症状が起こるため、症状を抑えるための薬物が用いられ、薬が効いてくると体重が5〜10kgほど増えますが副作用ではありません。ただ稀に高熱や喉の痛みを訴える方もおり、もし高熱などの症状がみられる場合は風邪と自己判断せず、医療機関を受診するとよいでしょう。甲状腺に発生した腫瘍の場合は、手術を行い摘出する治療を行います。ただし手術で腫瘍の摘出ができても、甲状腺ホルモンの分泌が停止してしまうので、生涯に渡って甲状腺ホルモンを補充していく治療が必要になります。

うつ病で体重減少する場合の対処法

うつ病は、日常生活に悪影響が出るほど心や身体に不調が起こる病気です。メンタル部分だけではなくうつ病での体重減少は摂食不良によるものが原因のため、徐々に体重が減少し身体に何らかの症状が現れます。うつ病といっても症状の現れ方により症状が異なり、体重減少を引き起こす症状は内因性うつ病(メランコリー)に分類されます。うつ病の症状が現れたら、まずは休むことが重要です。ただうつ病を患っている方は休むこと自体が負担に感じてしまう方も多いので、医師や周りのサポートがポイントになってくるといえるでしょう。治療には要となる抗うつ剤を使用し、症状の改善を促していきます。抗うつ剤は以前よりも副作用が少ない薬が増えてきています。また電気けいれん療法もあり、麻酔をかけた上で脳に電流を流し、けいれん発作を誘発させます。はっきりとしたメカニズムは解明されていませんが、この治療法でうつ病が劇的に改善している場合が少なくありません。ただし慎重な検討が必要となります。

病気以外の主な原因と対処法

病気以外にも身体の内臓器官の機能低下などで、体重減少が起こります。
対処法について見ていきましょう。

胃腸の機能が低下している時の対処法

胃腸の不調を感じ検査を行い「病気の可能性はない」と診断されても、慢性的に不調を感じている場合は機能性ディスペプシアである可能性が高いでしょう。機能性ディスペプシアとは、悪性腫瘍などが見つからないにも関わらず、胃の痛み・張り感・もたれ・吐き気などが起こっている症状です。胃や腸などの内臓器官は、自律神経によりコントロールされています。ストレスや疲れなどの影響で自律神経が成り立っている、興奮や緊張しているときに働く交感神経と、リラックスしているときに働く副交感神経の2つのバランスが乱れます。自律神経のバランスが乱れると、胃酸が過剰分泌されたり胃の排出機能の低下が起こったりするのです。胃など内臓器官の粘膜はとてもデリケートとなり、胃酸の刺激や腸の通常の動きを違和感と感じ異常だと誤認してしまいます。自律神経のバランスが整うように、規則正しい生活を心がけましょう。なるべくストレスを避け、ぬるめの湯にゆっくり浸かり、趣味の時間を設けるなど、心が和らぐことを取り入れていくことがおすすめです。また食べ過ぎ・刺激物・アルコールの過剰摂取などは、胃の負担となるのでほどほどにしましょう。

知らず知らず食事量が落ちている時の対処法

病気の疑いもなく胃腸機能低下でもないのに体重低下がみられる場合、脱水症状が起こっている可能性があります。体重の3%の水分が失われると食欲不振に陥り、徐々に体重が落ちていく場合があります。夏場は水分を欲し飲み物を飲む方が多いですが、寒くなるにつれてあまり水分を取らなくなる方が多くみられ、身体にとって危険な状態です。人は通常の生活を過ごしているだけでも汗や尿などで、絶えず水分を失っている状態となります。喉の渇きを感じていなくても、日頃から意識的に水分を取るように心がけましょう。冷たい飲み物は身体を冷やし、内臓器官に負担がかかるので、常温や温かい飲み物をこまめに取ることをおすすめします。

原因不明の体重減少で病院を受診すべき目安

ダイエットをしていないにも関わらず原因不明の体重減少が起こっている場合、早めに医療機関を受診しましょう。医療機関を受診すべき目安は以下の通りです。

  • 体重減少のスピードが早い(6〜12ヶ月で5kg程度・体重の5%以上の減少)
  • 体重以外の症状が出たとき(胃痛・吐き気・胸やけなど)
  • 食事量に比べ体重減少が目立つ

原因により対処法は異なりますが、まずは内科を受診するとよいでしょう。検査を行う前の問診が重要となるので医療機関を受診する前に、体重減少はいつ頃からか、食事量の変わりはないかなど把握し、できるだけ詳しく伝えるようにしましょう。

高齢者の体重減少が起こりやすいのはなぜ?

年齢を重ねるごとに原因不明の体重減少は起こりやすいものです。高齢者の体重減少の原因は以下の項目が考えられます。

  • 食欲を増進させる機能低下
  • 食欲を抑える機能上昇
  • 咀嚼や嚥下機能低下
  • 筋肉の衰え

身体機能のほか、社会的孤立や経済的困窮などの社会的背景の影響もあるのです。孤独の状態になると食事に対する意欲が湧かず、食事を摂らなくなる高齢者の方がたびたびみられます。周りのサポートが重要となってくるといえるでしょう。

まとめ

原因不明の体重減少の裏には、危険な病気が潜んでいるかもしれません。身体の内部だけではなく、心の病が関係している可能性もあるでしょう。

食欲が湧かない、食事をしていても体重が減ってしまうなど、思い当たる節のある方は早めに医療機関の受診をおすすめします。

きちんと原因を把握し、健康な体型や生活を目指しましょう。

この記事の監修医師

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