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「下血」は「直腸がん」や「大腸ポリープ」が原因?医師が監修!

突然、肛門から出血を起こした場合、不安になってしまうこともあるでしょう。このように肛門から出血することを「下血」といいます。

下血を伴う疾患は数えきれないほどの種類があります。食道などの上部消化管からの出血によるものもあれば、肛門付近からの出血によるものまで様々です。

また、疾患の種類によっては下痢や腹痛を伴うこともあります。逆に、下血以外の自覚症状が全く見られないまま進行していく病気もあります。

今回は、下血を伴う疾患・緊急性が高い症状・放置するリスクまで詳しく解説見ていきましょう。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

下血とは?

お腹をおさえる女性
下血とは肛門から出血がみられる状態のことです。口から肛門までの消化管のどこかに病変があることで出血します。消化管内に炎症が起きることで出血することもあれば、悪性腫瘍が原因で出血することもあり、原因は様々です。

症状

悩む女性 
肛門からの出血が下血の症状です。腹痛や下痢を伴う下血もあれば、出血のみが現れる場合もあります。また、血液の色は鮮やかな赤い色のこともあれば、黒い色のこともあります。

下血を伴う疾患

カジュアルビジネスの男性
では、下血を伴う疾患にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、下血を伴う疾患について解説します。

痔とは肛門周りに発生する病気です。よく知られているものに「切れ痔」があります。これは、排便時に肛門の粘膜が避け、出血してしまう病気です。排便時の痛みとともにトイレットペーパーに少量の血液が付着することが多いです。もうひとつ出血を伴う痔が「いぼ痔」です。肛門の内側や外側にしこりができるため自覚できます。肛門の内側にしこりができた場合、排便時に痛みや出血を伴うこともあります。

大腸憩室症

大腸憩室とは、大腸のヒダの外側に突き出した袋状の部分です。このヒダは誰にでもあるものではなく、便秘や加齢などで腸壁に圧力がかかることで生じます。このヒダができた状態のことを大腸憩室症といいます。通常、憩室が存在するだけでは大きな問題はありません。しかし、憩室が炎症をおこしたり出血したりすると様々な症状が現れます。まず、炎症を起こして腸壁に穴が開いたり膿が溜まったりすることがあります。
このような場合の特徴的な症状は強い腹痛です。そして多くの場合、発熱を伴います。炎症が広がれば、腹膜炎を引き起こすこともあるため危険です。一方、大腸憩室から出血がみられる場合、黒っぽい下血がみられます。腹痛を伴うことはなく、自然に止まることがほとんどです。大腸憩室症が進行すると、次第に便の通り道が狭くなります。さらには、腸閉塞を引き起こすこともあります。

大腸ポリープ

大腸内側の粘膜にイボのようなものができることがあります。これが大腸ポリープです。大腸ポリープは、大きく分けて腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープの2種類があります。その中でも腫瘍性ポリープはのちに大腸がんとなる可能性もあります。ただし、このポリープががん化する前に切除すれば大腸がんを予防することが可能です。大腸にポリープができた場合、自覚できるような症状はありません。
しかし、ポリープが肛門の近くに発生した場合には便に血が混じったり粘液が付着したりします。また、非常に珍しいケースではありますが、肛門付近にできたポリープにより腸閉塞を起こすこともあります。大腸ポリープを発見するために行われる検査は、便に血が混じっているかどうかを調べる「便潜血検査」です。この検査で血液が確認された場合、内視鏡検査で大腸の詳しい状態を調べます。

直腸がん

直腸とは、大腸の中でも一番肛門に近い部分のことをいいます。この部分に悪性腫瘍が発生した状態が「直腸がん」です。血便・便秘・便が細くなる・腹痛などが主症状です。
また、便が出ないにもかかわらず便意を感じる「テネスムス」という特徴的な症状が現れます。しかし、直腸は痛みを感じる神経がないため、自覚症状がないまま病気が進行することもあります。そのため、痛みがないのに血便がみられるような場合には早めに医療機関を受診することが重要です。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸や小腸の粘膜に潰瘍やびらんができる「原因不明」の疾患です。この疾患は難病にも指定されており、慢性的に大腸の炎症を繰り返します。主な症状は腹痛と下痢で、血便を伴うこともあります。
特に発症しやすい年代は20代で、性別による違いはみられません。潰瘍性大腸炎は難病のため完治することはありません。薬物治療により長期にわたり症状をコントロールしていく必要があります。

緊急性が高い症状の見分け方

タブレットで情報入力、管理する医療従事者
ここまで下血を伴う疾患について解説しました。ここからは、緊急性が高い症状の見分け方について詳しくみていきましょう。

血の色

血液の色で判断できるのは、出血の部位です。鮮やかな赤色の血液がみられる場合には、肛門付近での出血が考えられます。一方、黒っぽい血液の場合は、胃・十二指腸・小腸上部などの出血です。血液は基本的に出血してから時間が経つほど黒っぽくなります。特に、胃酸の影響を受けると黒い色になるのが特徴です。
例えば、鮮血が出た場合、痔による肛門からの出血である可能性もあれば、肛門付近にあるポリープからの出血である可能性も考えられます。血液の色だけでなく、痛みの有無や排便の状況なども重要です。

血の量

大量に下血を起こした場合は、出血性ショックを起こす危険があるため緊急度が高いでしょう。しかし、基本的に血液の量で病気の重症度を判断することはできません。少量の下血であっても、大腸がんである可能性も考えられます。
そのため、どんなに出血の量が少なくても、一度医療機関で検査を受けておくことがおすすめです。たとえ大腸がんであっても早期に発見できれば、内視鏡手術で切除できることもあります。

痛みがあるか

排便時に肛門付近に痛みがあり、鮮血が出た場合には、痔による出血が考えられます。しかし、肛門の痛みではなく、腹痛を伴う下血の場合には他の疾患が考えられるでしょう。ただし、腹痛のみで病気の判断をすることは非常に困難です。
例えば、直腸がんの場合、直腸には神経がないため痛みを感じることはありません。そのため、痛みがなくても下血がみられれば、医療機関で検査することが大切です。

下血の対処法

スマホを操作する手元
あまりにも出血量が多い場合には、貧血を起こしてしまうことがあります。また、貧血によりショック状態に陥ってしまうことも考えられますので、緊急で受診するようにしてください。少量の出血の場合、大きい病気が隠れている可能性は否定できませんが、夜間の場合であれば翌日に専門機関へ受診しましょう。

下血を放置するリスク

パソコンの前で手振りで話す医者
下血を伴う病気は様々です。食道や胃などの上部消化管に発症するものから大腸や肛門に発症するものまであります。また、炎症性の疾患からがんまで疾患の種類も様々です。
また、直腸がんなどの場合、病気がある程度進行してから自覚できる症状が現れることもあります。そのため、どんなに少量であっても下血がみられれば、一度検査しておいたほうが安心です。
赤い鮮血や粘液と血が混ざったような血便に対し、下血とは黒くドロドロしたような便のことを指します。
一見混同しそうですが、肛門に近い部分から出血する血便に対して、胃や十二指腸などの排出するまでに時間がかかる部分から出血する下血は、黒色をしているのが特徴です。原因は胃や十二指腸などの上部消化管からの出血が考えられます。血液の鉄分が胃酸と混ざることで黒く変色するようです。
ただし、下血を広い意味で、消化管(食道・胃・小腸・大腸)や肛門から出る出血全体のことを捉える場合もありますので、血便と下血はどちらも危ない消化管出血の症状だと考えておくと良いでしょう。
下血の症状がみられる代表的な病気は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、小腸潰瘍、大腸・小腸がん、クローン病などがあげられます。大腸がんは60代が多くなりますが、5~10%は若年層となっています。クローン病は男性の、主に10~20代の若年層が多く、難病として厚生労働省からも指定されています。

すぐに病院に行った方が良い「下血」症状は?

  • 激しい腹痛がある場合
  • 鮮やかな赤い便、または、黒い便がある、茶色や黒色の嘔吐がある場合
  • 意識が悪い、冷や汗がある場合

これらの場合には、早めに病院受診をした方が良いでしょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、内科、消化器科、肛門科です。
問診、診察、画像検査(レントゲンやCTなど)、血液検査、内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)が実施される可能性があります。
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
どのような状態の出血あるいは血便がでたのか医師に伝えるようにしましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ

ノートPCと女性
肛門から出血がみられる「下血」についてお話いたしました。下血は様々な消化器疾患の症状として現れることがあります。

腸管内に炎症が起きたり肛門の粘膜が裂けたりして起こることもある症状です。

血液の量や色などで緊急性を判断することはできません。しかし、それらの情報から出血部位をある程度予測することはできるようです。

そのため、下血が起きた際には詳しい情報をメモしておくのもおすすめです。症状がみられる場合には、すみやかに受診しましょう。

この記事の監修医師

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