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「心房細動の治療」で”根治”は目指せる?アブレーションの種類や費用も医師が解説!

 公開日:2026/03/10
「心房細動の治療」で”根治”は目指せる?アブレーションの種類や費用も医師が解説!

心房細動の治療法とは?メディカルドック監修医が心房細動の治療法・アブレーション治療・治療期間・費用などを解説します。

大沼 善正

監修医師
大沼 善正(医師)

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昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、関東労災病院を経て、現在はイムス富士見総合病院勤務。総合内科専門医、循環器専門医、不整脈専門医、医学博士。

「心房細動」とは?

心臓は血液を全身に送るためのポンプの役割を果たしています。ほとんどが筋肉で構成されており、その筋肉の収縮は微弱な電気にて調整されています。正常の場合、洞結節と言われる右心房の右上から電気刺激が発生し、電気刺激が心房、心室と伝わって規則的に収縮しています。
心房細動では、心房内に異常な電気が発生することにより、心房が不規則な収縮をすることで、脈が常に乱れた状態になります。それにより動悸や息切れなどの症状を起こします。

心房細動の治療法

薬物療法

心房細動の薬物療法は循環器科で行われます。通常は外来で治療が可能ですが、動悸などの症状が強い場合には数日程度の入院加療も行われます。心不全を合併している場合には、2週間前後の入院が必要となることがあります。
心房細動になると心臓内(とくに左心耳という、左心房にある袋状の構造体)の血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。血栓が脳の血管に詰まると脳梗塞を発症してします。そのため、抗凝固薬と言われる血液をサラサラにする薬の内服が必要となります。
また心房細動は脈が乱れ、速くなることが多いため、脈を整える薬や脈を遅くするような薬を使って治療することになります。

カテーテルアブレーション

循環器科のある病院で行う手術です。入院期間は3~4日程度となります。
カテーテルアブレーションとは、カテーテルという細い管を首や足の付け根にある静脈や動脈から挿入し、心臓内にある不整脈の原因となる、異常な電気信号の発生部位を焼灼する治療です。
リハビリは不要であり、手術後すぐに日常生活に戻れます。

心房細動におけるアブレーション治療とは?

心臓のなかで、正常とは違う電気信号が発生したり、異常な電気回路が形成されたりすることがあります。その異常な電気信号、電気回路のために、極端に脈が速くなったり、乱れたりします。心臓内の電気が乱れると、心筋の収縮が不規則となり、脈が乱れます。このように心臓内の電気の異常で脈が乱れることを不整脈といいます。この不整脈を治療するのがアブレーション治療です。心筋症などを合併している場合でも、カテーテルアブレーションの適応となる不整脈があれば治療を行います。
心房細動の原因となる異常な電気信号は、左心房につながる肺静脈という血管から発生することが報告されています。心房細動のアブレーション治療は、肺静脈と左心房の接続部を焼灼し、肺静脈から左心房に電気が伝わらないようにすることが目的です。

高周波アブレーション

カテーテル先端(電極)に高周波電流を流して、心臓組織を焼灼する(50℃前後で加熱)治療です。左心房と肺静脈の接続部(肺静脈入口部)を取り囲むように焼灼します。そうすることで肺静脈からの異常な電気信号が心臓に伝わらないようになり、心房細動の発症を抑制することができます。

レーザー照射内視鏡バルーンアブレーション

赤外線レーザー(波長980mm)を照射することにより、肺静脈入口部を取り囲むように焼灼する治療です。カテーテル先端にあるバルーン(風船)を拡張し、肺静脈入口部にしっかり密着させることで血液が入らないようにした後、バルーン内に取り付けてある内視鏡で中の様子を見ながらレーザーで焼灼します。バルーンは追従性がよいため、いろいろな肺静脈入口部の形に適応することができます。

クライオバルーンアブレーション

肺静脈入口部にバルーン(風船)を密着させ、液化亜酸化窒素をバルーン内に送りこむと、気化熱によりバルーンがマイナス50℃前後に超低温化されます。バルーンが冷却されると、接触している心筋に冷凍傷害が起こり、傷害部位が絶縁体となることで、肺静脈からの異常な電気が心房に入り込まなくなります。

高周波ホットバルーンアブレーション

他のバルーンと同様、肺静脈入口部にバルーンを密着させます。その後、高周波通電によってバルーン内の液体を暖め、肺静脈入口部に密着させたバルーンとの接触部分を熱伝導によって加熱し、焼灼します。バルーンの中心温度は最大70℃まで上昇します。

パルスフィールドアブレーション

2024年9月1日に保険適応となった治療法です。
専用のカテーテルを肺静脈入口部に持っていき、パルス電流(極端に短い、瞬間的な電流)を肺静脈入口部に流します。それにより細胞に微小な穴を開け、肺静脈入口部周囲の心筋を選択的に細胞死させることができます。心筋のみを特異的に傷害することができるため、既存のアブレーションと比較し、心臓以外の組織への障害の軽減に期待されています。

頻脈性心房細動の治療法

薬物療法

循環器科のある病院で行います。基本的に入院は不要で、外来で治療します。
上記抗凝固療法のほかに、脈を整える薬や脈を遅くする薬を使用します。
脈の整える治療はリズムコントロール治療といいます。心房細動を正常の脈に治す薬を使用します。
脈を遅くする治療はレートコントロール治療をいいます。心房細動はそのまま持続しますが、脈拍をゆっくりさせる薬を使用します。

カテーテルアブレーション

カテーテルアブレーションには高周波アブレーション、各種バルーンアブレーション、パルスフィールドアブレーションがあります。入院はいずれも3~4日程度となり、退院後は早期に日常生活に復帰することが出来ます。
どの治療を選択するのかに関しては、心房細動の持続時間、左心房の大きさ、形態、病院の設備などを複合的に判断して決定されます。

徐脈性心房細動の治療法

ペースメーカー移植術

循環器科で行う治療であり、入院は1週間程度を必要とします。
徐脈とは、脈が遅い(60回/分未満)ことをいいます。脈が遅くなると、脳に行く血流が少なくなり、めまい、ふらつき、失神などの症状を起こします。
脈拍が40回/分未満、3秒以上の心停止、または失神、めまい、息切れ、疲れやすさなどの症状や、心不全がある場合にペースメーカー植え込みを必要とします。ペースメーカーを植え込むことにより、ある一定以上の脈拍より遅くならないため、上記症状を改善することができます。

持続性心房細動の治療法

薬物療法

持続性心房細動とは、心房細動になってから7日以上持続している状態をいいます。
治療法は通常の心房細動と同様です。症状、心不全の有無などに応じて、リズムコントロールまたはレートコントロールを選択します。

カテーテルアブレーション

持続性心房細動のカテーテルアブレーションに関しては、動悸、息切れ、心不全症状などがある場合に積極的に選択されます。治療法は通常の心房細動と同様です。
自覚症状がない持続性心房細動に関しては、カテーテルアブレーションを行わず薬のみで治療することもあります。

心房細動の治療期間

症状がない場合でも、自分で治療を中断せず、医師の指示通り薬物療法を続けることが必要となります。明確な治療期間の定めはありません。
ただし、カテーテルアブレーションを行い、心房細動の発作がなく、血栓塞栓症のリスクが低い人では治療終了することも可能です。

心房細動の治療費用

カテーテルアブレーションを行う場合には、入院費や手術費用を含め、およそ200万円程度かかりますが、保険適応の治療であるため通常は「高額療養費制度」を利用することになります。
自己負担額は保険、収入によって異なりますが、10~30万程度となることが多いと思われます。また加入している医療保険などによっても、費用は変わってきます。

「心房細動の治療」についてよくある質問

ここまで心房細動の治療などを紹介しました。ここでは「心房細動の治療」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

心房細動が完治する確率はどれくらいでしょうか?

大沼 善正大沼 善正 医師

発作性心房細動の場合、カテーテルアブレーションを行うと80~90%で根治可能と報告されています。持続性または長期持続性心房細動の場合では、数回のカテーテルアブレーションや薬物療法の継続が必要となります。そのため、発作性心房細動の段階での積極的な治療が望ましいと思われます。

まとめ

心房細動は加齢とともに増加する病気です。一般的な病気であるため、2050年では日本で約103万人もの方が心房細動を有すると考えられています。自覚症状がない場合でも、脳梗塞のリスクがあるため抗凝固療法が必要となります。
そのため、心房細動と診断された場合はご自身の症状と関係なく治療を継続することが大切です。また、カテーテルアブレーションにより完治させることも可能であるため、健康診断や検脈などで早期に発見し、必要な治療を行うようにしましょう。

「心房細動」に関連する病気

「心房細動」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

脳血管系の病気

心房細動は加齢とともに増加する一般的な病気の一つですが、心臓以外にも脳梗塞など脳血管疾患への影響もあります。カテーテルアブレーションにより完治させることも可能ですので早期に発見し、必要な治療を行うことが望ましいと言えます。

「心房細動」に関連する症状

「心房細動」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記に挙げたような自覚症状がある場合には気が付きやすいですが、自覚症状がない場合でも、脳梗塞のリスクはあるため脳梗塞発症予防のための抗凝固療法が必要となります。心房細動と診断された場合は、医療機関を受診し治療を継続することが大切です。

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