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「低酸素脳症」ってどんな病気?原因や症状について詳しく解説!

公開日:2022/06/07
「低酸素脳症」ってどんな病気?原因や症状について詳しく解説!

後遺症が残る病気には、さまざまなものがあります。低酸素脳症もその1つです。発症すると脳が損傷してしまい、脳の機能が低下してしまいます。

脳が深刻なダメージを受けた場合には、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。場合によっては、昏睡状態が続くこともあります。

また低酸素脳症は発症した本人だけでなく、周囲の方にも、日常生活のケアが増えるなどの疾患の1つです。

自身や大切な方が発症したときのためにも原因や症状、および対処法などについて理解を深めておきましょう。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】 平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。 日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医 医師+(いしぷらす)所属

低酸素脳症とはどんな病気?

困っている女性

低酸素脳症とはどんな病気ですか?

  • 低酸素脳症とは脳が酸素不足に陥り、障害が生じてしまう病気です。脳に十分な酸素が供給されず、脳細胞がダメージ受けることにより起こります。
  • また低酸素脳症は、てんかんや高次脳機能障害の原因となる病気です。特に高次脳機能障害では、障害と診断するときの対象となっています。

低酸素脳症の原因は?

  • 低酸素血症になる主な原因は心停止や心筋梗塞、および窒息などです。これらの症状が起きると脳に十分な酸素が供給されないため、低酸素脳症を引き起こすことがあります。
  • また新生児の場合、呼吸や脈拍が弱い状態で生まれてくることがあります。このようなときも脳に十分な酸素が届かず、低酸素脳症となることも少なくありません。
  • なお近年の研究では、低酸素だけが原因でないとの指摘もあります。血液中の酸素を運ぶ機能が低下する低酸素血症、組織への血流が悪くなる虚血なども原因と考えられています。

低酸素脳症の兆候や症状を教えてください。

  • 低酸素脳症は心筋梗塞などが原因となるため、心筋梗塞の前兆となる症状が現れたときは注意が必要です。心筋梗塞が疑われる主な症状としては、強い胸の痛みや吐き気などが挙げられます。このような症状が数時間続くときは、心筋梗塞を発症している恐れがあるため、速やかに病院を受診しましょう。
  • また日常生活で記憶障害や失語症が見られたときは、高次脳機能障害が疑われ、低酸素脳症が原因となっている可能性もあります。気になる症状があるときは、医師に相談してみましょう。
  • なお低酸素脳症を発症したときに現れる症状は、脳が受けたダメージによって異なります。軽度の場合には、認知機能の低下・障害などが多くみられます。脳が受けたダメージが大きい場合には、日常生活に支障が出るケースが多いため注意が必要です。重度の症状としては、主に手足の麻痺や痙攣などが挙げられます。さらに症状が重いときは、昏睡状態となることもあります。このような場合には、長期的な治療と経過観察が必要です。

低酸素脳症を発症した際の対処法・検査

ポイントを示す女性

低酸素脳症の症状がみられた場合の対処法を教えてください。

  • 脳に酸素が届かなくなると、数秒のうちに意識が消失するとされています。加えて3~5分以上の心停止が続いた場合には、脳に障害が残るとされているため迅速な対応が大切です。
  • 周囲の方にこれらの症状が確認されたときは、すぐに救急車を呼ぶなどの対処をしてください。心停止している場合には、併せて心臓マッサージなどの救命を行う必要があります。心臓マッサージを行うことで心拍の再開とともに、脳に酸素を届けられます。

低酸素脳症は何科を受診すると良いですか?

  • 低酸素脳症が起きたときは意識の消失や心停止など、緊急搬送を必要とするケースがほとんどです。命に関わることもあるため、ICU(集中治療室)などの設備が整っている医療機関で治療が行われます。
  • 容態が回復していくにつれ、症状ごとの診療科で治療を受ける必要があります。例えば麻痺の症状がある場合には、リハビリテーション科が設置されている医療機関での治療が必要です。
  • 後遺症が残り高次脳機能障害と診断されたときなどは、脳神経外科や神経内科を継続的に受診することになります。患者が子どもの場合は、小児神経科などを受診するのが一般的です。また近年では、高次脳機能科という専門の診療科を設けている医療機関もあります。

低酸素脳症はどのような検査をするのでしょうか?

  • 主に頭部のCT検査とMRI検査、脳波の検査などが行われます。ただし低酸素血症には明確な診断基準がないため、症状や状態から総合的に判断されるケースがほとんどです。加えて長期の治療や経過観察を必要とする場合には、定期的に検査が行われます。
  • なお低酸素脳症の原因が判明しているときは、原因となった病気の治療も必要です。そのため、原因となった病気の検査も行わなければなりません。例えば心筋梗塞が原因で低酸素血症が起きた場合は、心臓超音波検査や心臓のCT検査、場合によってはカテーテル検査などが行われます。

低酸素脳症の治療方法とは

OKサインをだす医師

低酸素脳症の治療内容を教えてください。

  • まず心停止が起こったときなどに、よく用いられる治療が低体温療法です。この治療法は、主に脳を保護する目的で行われます。 心筋梗塞などにより心臓が止まると脳に酸素が届きません。酸素不足の状態が続くと、脳がダメージを受けてしまいます。脳へのダメージを抑えるには、脳が必要とする酸素量を減らすことが有効です。体温を低下させることで脳の代謝を抑え、必要な酸素量を減らせます。このように、低酸素脳症を防ぐ目的で行われるのが低体温療法です。実際に後遺症が残らなかった事例も複数報告されています。
  • ただし低体温療法は、科学的根拠が明確になっているわけではありません。そのため、現在でも研究が進められています。
  • 応急的な治療が終わったあとは、血圧や呼吸などの管理・観察が必要です。また脳浮腫などが見つかった場合には、脳圧を下げる治療が行われます。
  • なお体に麻痺や痺れなどがある場合は、リハビリテーションなどが必要です。リハビリテーションを継続して行うことで、症状が改善されることがあります。

低酸素脳症は完治するものですか?

  • 現状では脳に関する今後の予測を行うのは、難しいとされています。
  • しかし、必ずしも回復しないというわけではありません。 近年では研究が進んでおり、脳は時間が経つにつれ回復することが分かっています。実際に長期間の治療やリハビリテーションに励み、症状が改善された方もいます。そのため昏睡状態であったとしても、あきらめないことが大切です。
  • 特に若年層や小児の方の場合には、高齢者と比べて脳機能の改善が期待できるとされています。

低酸素脳症を予防する方法はありますか?

  • 低酸素脳症は、心筋梗塞などが原因で起こる症状です。そのため心筋梗塞などの予防に努めることで、発症するリスクを抑えられます。心筋梗塞は肥満やストレス、喫煙などの生活習慣も要因となる病気です。低酸素脳症になるリスクを減らすためにも、バランスの良い食事や適度な運動を心掛ける必要があります。
  • また低酸素脳症は、窒息も原因の1つです。特に幼児がいる場合には、誤飲などに注意する必要があります。生後6ヶ月あたりから、物を口に入れる行動を始めるとされています。誤飲を防ぐためにも飲み込む危険性のある物は、子どもが手の届かない所に置くことが大切です。
  • なお心停止の方を目撃した際には、救急車を呼ぶとともに心臓マッサージを行う必要があります。心臓マッサージは心拍の再開だけでなく、脳に酸素を送り低酸素脳症を防ぐことにも有効です。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

  • 低酸素脳症で脳が損傷を受けると記憶障害や怒りっぽくなるなど、今までにはない行動がみられる場合があります。このような症状を高次脳機能障害といいます。症状は個人によって異なりますが、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
  • しかしちょっとした工夫を行うことで、日常生活での支障を減らせます。例えば忘れっぽくなったと感じたときは、メモを取るなどが効果的です。
  • 症状によって有効な対処法は異なりますが、自分に合った対処法を見つけることで、日々の生活が送りやすくなります。

編集部まとめ

深呼吸をする少女
低酸素脳症は後遺症が残ることも多く、重い障害が生じた際には社会復帰も容易ではありません。

発症した本人も生活にストレスを感じていることも多いため、家族をはじめとする周囲のサポートが必要です。

周囲の方ができるサポートとしては身体的な支援をはじめ、物忘れをしているときの声かけなどが挙げられます。

またイライラするなどの症状が見られたときは、対象となるものから引き離すことも有効です。

なお近年では、都道府県や医療機関が高次脳機能障害などへの支援を行っています。相談窓口も設けられているため、負担が大きいと感じたときは活用してみましょう。
低酸素脳症が疑われる場合には、身体障害として認定される場合があります。機能回復など日常生活をサポートするためにも、リハビリなどが医療とあわせて重要となります。
身体障害や障害年金などの手続きも重要でありますので、診断がおりましたら、お住まいの地域役所にお問い合わせください。