「狭心症の主な5つの原因」はご存知ですか?医師が予防法も徹底解説!
狭心症の原因とは?Medical DOC監修医が狭心症の原因・治療法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
監修医師:
金 仁星(医師)
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有
目次 -INDEX-
「狭心症」とは?
「狭心症」とは、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなって、心臓に十分な酸素が届かない状態のことです。冠動脈が狭くなる原因は、主に動脈硬化です。動脈硬化とは、血管の内壁にコレステロールやカルシウムなどがたまって、血管が硬く、細くなる現象です。狭心症の代表的な症状は、胸の痛みや圧迫感です。胸の痛みは、運動やストレスなどで心臓に負担がかかると起こりやすく、安静にするとおさまります。しかし、放置すると心筋梗塞や不整脈などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、早期に原因を特定し、適切な治療や予防を行うことが重要です。この記事では狭心症について分かりやすく解説していきます。
狭心症の主な原因
糖尿病
糖尿病とは、全身の血管が、血中に取り込まれた過剰な糖分のせいでダメージを受けてしまう病気です。血管が傷つくことで動脈硬化を引き起こし、心臓を栄養する冠動脈も細くなることで、心臓に十分な酸素や栄養が届かなくなります。これが狭心症を引き起こす原因になります。糖尿病の主な原因は、遺伝や加齢、肥満、運動不足などです。喉が渇く、尿量が増える、体重が減る、だるさや倦怠感がある、傷が治りにくい、目のかすみや視力低下が起こる、等の症状に気づいたら、早めに内科や糖尿病内科を受診しましょう。
高血圧
高血圧は、狭心症の主な原因のひとつです。高血圧とは、血圧が正常値よりも高い状態のことで、長期間にわたって続くと、心臓に負担がかかります。心臓は血液を全身に送るためにポンプのように動いていますが、血圧が高いと、心臓が必要以上に力を入れなければなりません。その結果、必要な酸素の量が増え、狭心症を引き起こす可能性があります。
高血圧は自覚症状がないことが多いので、気づかないうちに進行している場合があります。しかし、重度の高血圧になると、頭痛やめまい、動悸や息切れなどの症状が出ることがあります。また、高血圧は他の病気と合併することも多く、脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。
高血圧は内科や循環器科で診察を受けることができます。定期的に血圧を測ることや、食事や運動などの生活習慣の改善が大切です。また、医師の指示に従って薬を服用することも必要です。高血圧は放置しておくと命に関わることもありますので、早めに受診することをおすすめします。
高コレステロール血症
高コレステロール血症とは、血液中のコレステロールが正常値よりも高い状態のことです。コレステロールは、細胞膜やホルモンの材料となる重要な物質ですが、過剰になると動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は、血管の壁が厚くなり、血流が悪くなる病気です。心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化で詰まると、心筋に十分な酸素が届かず、狭心症の症状が出ます。胸痛や胸の圧迫感、息切れなどが主な症状です。高コレステロール血症は、食生活や遺伝などの要因によって起こります。高コレステロール血症は自覚症状がないことが多いので、定期的に血液検査を受けることが大切です。高コレステロール血症の治療は、内科や循環器科で行われます。食事や運動などの生活改善や、薬物療法などを行います。
喫煙
喫煙は狭心症の原因の一つです。喫煙すると、血液中の酸素が減り、血管が収縮し、血流が悪くなります。その結果、心臓に十分な酸素が届かず、胸痛や息切れなどの症状が起こります。また喫煙は動脈硬化を進行させます。動脈硬化が進むと、血管が詰まって心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性があります。喫煙者は非喫煙者に比べて、狭心症や心筋梗塞のリスクが2〜4倍高くなります。喫煙をしている人は定期的に心臓の検査を受けることが特に大切です。心臓の検査は、循環器内科や心臓血管外科で行われます。検査には、心電図やエコー図法などがあります。これらの検査で、心臓の動きや血流の状態を調べることができます。
貧血
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンの量が減少することで、酸素を体内に運ぶ能力が低下する状態です。貧血の症状は、個人差がありますが、一般的には、めまい、動悸、息切れ、倦怠感、顔色の悪さなどがあります。重度の貧血では、失神や意識障害を起こすこともあります。
貧血になると、心臓の細胞に酸素が十分に届かなくなり、これが狭心症の原因の一つとなります。胸痛や胸の圧迫感を感じることもあります。
貧血の原因はさまざまですが、食事不足や出血などが考えられます。また、慢性的な病気や薬の副作用などでも引き起こされることがあります。貧血を疑った場合は、内科や循環器科などで血液検査を受ける必要があります。貧血の程度や原因によって治療法は異なりますが、鉄剤やビタミン剤の服用や輸血などが行われます。貧血は放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるので、早めに受診することが大切です。
狭心症の治療法
薬物療法
狭心症の薬物療法とは、血管を拡張させたり、血液の流れを改善したりする薬を服用することで、胸痛や動悸などの症状を和らげる方法です。薬物療法は、一般的に循環器内科などの専門医によって行われます。入院は必要ありませんが、定期的に診察や検査を受ける必要があります。退院後も、薬の服用や生活習慣の改善などを継続して行う必要があります。薬物療法は、手術ができない場合や手術の前後にも行われることがあります。
PCI(経皮的冠動脈形成術)
PCI(経皮的冠動脈形成術)とは、心臓の血管が狭くなったり詰まったりしている部分を広げる治療法です。心臓カテーテルという細い管を腕や足の血管から心臓に送り込み、狭窄部にバルーンやステントという器具を入れて血流を改善します。この治療は、心臓外科ではなく循環器内科で行われます。入院は必要ですが、退院までの期間は個人差があります。一般的には、合併症がなければ3日から1週間程度で退院できます。
冠動脈バイパス術
冠状動脈バイパス術とは、心臓に血液を送る冠動脈が詰まってしまった場合に、別の血管を使って迂回路を作る手術です。この手術は、心臓外科で行われます。手術の前には、胸や足などから移植する血管を採取します。手術の時間は約4時間ほどです。手術後は、集中治療室で1~2日間様子を見られます。その後は、一般病棟で2週間ほど入院します。退院後は、自宅での安静が必要です。また、定期的に通院して経過を診てもらいます。リハビリでは、適度な運動や食事管理などが指導されます。
生活管理
狭心症の原因は、高血圧や喫煙、高脂血症などの生活習慣によるものが多いです。そのため、生活習慣の改善は狭心症の治療にとても重要です。食事や運動、睡眠などの日常生活を改善することで、冠動脈の動脈硬化を予防したり、進行を遅らせたりすることができます。
生活習慣の改善を行うには、まずは主治医や看護師などの医療スタッフと相談してください。あなたに合った目標や計画を立てることが大切です。一人で行うのではなく、家族や友人などのサポートも必要です。また、生活管理だけでは十分でない場合は、薬物治療や手術治療も必要になる場合があります。その場合は、かかりつけの医師や一般内科、循環器内科などの医師に相談してください。
狭心症の予防法
適度な運動をする
適度な運動をすることで、心臓の働きを強化し、血管の柔軟性を高めることができます。これにより、心臓に酸素を送る能力が向上し、狭心症の発症や再発のリスクを低くすることができます。
運動をする際には、自分の体力に合わせて無理のない範囲で行うことが大切です。過度な運動は逆に心臓に負担をかけることになります。また、運動前後には水分補給を忘れずに行ってください。
健康的な食事を取る
狭心症の原因の一つに、高血圧や高脂血症などの動脈硬化があります。動脈硬化は、血管の内壁にコレステロールや脂肪などが付着して、硬くなる現象です。動脈硬化を防ぐためには、健康的な食事が重要です。以下のようなポイントに注意しましょう。
- ・塩分や動物性脂肪の摂取量を控える
- ・野菜や果物、魚や大豆製品などの植物性食品を多く摂る
- ・食事のバランスや量に気をつける
- ・アルコールやカフェインの摂取量を適度にする
塩分や動物性脂肪は、血圧やコレステロール値を上げる原因になります。逆に、野菜や果物、魚や大豆製品などの植物性食品は、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富で、血管を柔らかくしたり、コレステロール値を下げたりする効果があります。食事のバランスや量に気をつけることで、過度なカロリー摂取を防ぎます。アルコールやカフェインは、過剰に摂取すると血圧を上げたり、不整脈を引き起こしたりする可能性があります。
健康的な食事を取ることで、狭心症の予防だけでなく、健康全体にも良い影響を与えます。毎日の食事から始めてみましょう。
喫煙をやめる
喫煙をやめることは、狭心症の予防にとても効果的です。喫煙は血管を収縮させて血流を悪くし、心臓に負担をかけます。また、喫煙はコレステロール値や血圧を上げる原因にもなります。これらはすべて、狭心症のリスクを高める要因です。喫煙をやめることで、血管の健康を保ち、心臓にかかる負担を減らすことができます。喫煙をやめるためには、適度な運動や睡眠、ストレスの解消などが大切です。自力でやめるのが難しい場合は禁煙外来を受診しましょう。
ストレスを減らす
ストレスを減らすことは、狭心症の予防にとても重要です。ストレスが高まると、血圧や心拍数が上がり、心臓に負担がかかります。また、ストレスは血管を収縮させるホルモンの分泌を促進し、血流が悪くなります。そのため、心臓に十分な酸素を届けることができず、狭心症の発作を引き起こす可能性があります。適度な運動や睡眠はストレスを減らすのに役立ちます。運動は心臓の働きを良くし、睡眠は心身の回復に必要です。
ストレスは誰にでもありますが、それを上手にコントロールすることで、狭心症の予防につなげることができます。自分に合ったリラックス法を見つけて、日常生活に取り入れてみましょう。
定期的に血圧やコレステロールを測る
狭心症は、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなることで起こります。冠動脈が狭くなる原因の一つは、血圧やコレステロールが高いことです。高血圧や高コレステロールは、動脈壁にプラークと呼ばれる脂肪やカルシウムの塊を作ります。プラークが多くなると、動脈が硬くなり、血流が悪くなります。これを動脈硬化と言います。動脈硬化は、狭心症だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患のリスクを高めます。
そこで、定期的に血圧やコレステロールを測ることが大切です。血圧やコレステロールが高い場合は、医師の指示に従って薬を服用したり、食事・生活習慣を改善したりしましょう。
定期的に血圧やコレステロールを測ることで、狭心症の予防だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。自分の数値を知って、早めに対策を取りましょう。
「狭心症の原因」についてよくある質問
ここまで狭心症の原因を紹介しました。ここでは「狭心症の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
コーヒーが狭心症の原因となることはありますか?
金 仁星 医師
コーヒーが狭心症の直接的な原因となることはありません。コーヒーに含まれるカフェインは、血圧や心拍数を上げる作用がありますが、それ自体が狭心症を引き起こすわけではありません。狭心症の原因は、冠動脈という心臓に血液を送る血管が、動脈硬化などで細くなったり詰まったりすることです。コーヒーを飲むことで、一時的に血圧や心拍数が上がると、冠動脈の血流が悪くなり、胸痛や息切れなどの症状が出やすくなります。ですから、狭心症の方はコーヒーの摂取量に注意する必要があります。しかし、コーヒーを飲まないからといって、狭心症が治るわけではありません。狭心症の予防や治療には、喫煙や高血圧などの危険因子の改善や薬物治療などが必要です。
運動不足が狭心症の原因になることはありますか?
金 仁星 医師
運動不足が狭心症の原因になることはあります。運動不足は、血管の硬化や高血圧などの心臓に負担をかける状態を引き起こす可能性があり、狭心症の発症や悪化につながります。適度な運動は、血管の柔軟性を保ち、血圧を下げる効果があります。また、運動はストレスの解消にもなります。ストレスも狭心症の原因の一つです。ですから、毎日30分程度のウォーキングや自転車などの有酸素運動を心がけることが、狭心症の予防に役立ちます。
編集部まとめ
狭心症は、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなることで起こる胸痛や息切れなどの症状です。主な原因は、高血圧や喫煙、高脂血症などの生活習慣病です。ストレスや咳、コーヒーなども発作を誘発する可能性があります。高齢の人は、胸痛が出ない場合もあるので注意が必要です。狭心症は再発しやすく、放置すると心筋梗塞につながる危険性があります。予防するためには、生活習慣の改善や定期的な受診が大切です。
この記事では、狭心症の原因や治療法、予防法について医師が徹底解説しました。もし自分や家族に狭心症の疑いがある場合は、早めに医師に相談してください。
「狭心症の原因」と関連する病気
「狭心症の原因」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
狭心症の原因となる疾患や、狭心症と関連した疾患として、これらの病気が候補として挙がります。過去に指摘されたことがあったり、親類や家族に同じ病気の方がいる場合は注意が必要ですので一度医療機関を受診してください。
「狭心症の原因」と関連する症状
「狭心症の原因」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
狭心症の症状と考えられる症状はこのような候補があげられます。複数該当する場合は一度医療機関を受診してください。