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「動脈硬化の予防」が期待できる「食品」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/11
「動脈硬化の予防」が期待できる「食品」はご存知ですか?【医師監修】

健康を意識した食習慣を心がけている方のなかには、動脈硬化による病気のリスクがないか気にしている方もいるのではないでしょうか。

普段当たり前のように食べているものでも、もしかしたら動脈硬化につながる食品があるかもしれません。

本記事では、動脈硬化予防におすすめの食事を解説します。病気の原因や摂取すべき栄養素も紹介するので、今のうちから動脈硬化予防に努めましょう。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

動脈硬化の原因

胸がいたい

動脈硬化の原因は何ですか?

動脈とは、心臓から送り出される血液を運ぶ血管のことです。栄養分や酸素を行き渡らせるための重要な役割を担っており、生命活動の維持には欠かせません。動脈にはエネルギー源となる脂質やコレステロールも流れており、血管内の内膜に取り込まれていきます。しかし、蓄積され続けるとプラークとして塊が形成されます。健康的な血管であれば弾力性がありしなやかですが、プラークが大きくなると厚く硬くなります。これが、動脈硬化です。

動脈硬化を放置するとどのようになりますか?

動脈硬化が進行すると、血管が狭まってしまい十分な栄養や酸素などが供給されにくくなります。また血液中の糖質や脂質の量が増えすぎてしまうと、血液がドロドロになり、さらなる血流悪化につながりやすいです。血流の流れが悪くなると血管が詰まってしまったり、血管が破れてしまったりすると重大な疾患にいたってしまいます。動脈硬化による代表的な疾患は以下のとおりです。

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 心筋梗塞
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 冠動脈疾患
  • 狭心症
  • 一過性脳虚血発作
  • 糖尿病
  • 内臓肥満型脂肪
  • 骨粗しょう症
  • 睡眠時無呼吸症候群

動脈硬化は、食習慣の乱れや肥満・喫煙・加齢・高血圧・病的疾患(糖尿病・慢性腎臓病・高尿酸血症・抹消動脈疾患)などのリスク因子があると発症しやすいです。場合によっては命に関わる可能性もあるため、日頃の生活習慣はもちろんのこと、定期的な健康診断も欠かせません。もし該当する項目があれば、今のうちから食習慣の見直しをしましょう。

動脈硬化と栄養素

野菜

動脈硬化対策で摂取を控えるべき栄養素は何ですか?

動脈硬化対策で摂取を控えるべき栄養素は以下のとおりです。

  • 糖質(炭水化物)
  • 脂質(飽和脂肪酸)
  • コレステロール
  • 塩分
  • 砂糖
  • トランス脂肪酸

これらの栄養素は身近な食品に多く含まれているため、当たり前のように食べているものが原因で動脈硬化にいたってしまう可能性があります。

動脈硬化対策で積極的に摂取すべき栄養素は何ですか?

動脈硬化対策で積極的に摂取すべき栄養素は、以下のとおりです。

  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • タンパク質
  • ポリフェノール
  • 食物繊維
  • カリウム
  • ミネラル
  • オメガ-3脂肪酸

これらの栄養素は、野菜や果物・全粒穀物・魚類などに含まれています。組み合わせ次第では、動脈硬化対策に特化した献立を作ることが可能です。動脈硬化対策のメニューを意識することで、栄養バランスの整った食事もしやすくなるでしょう。

動脈硬化予防におすすめの食事

和食

動脈硬化予防に効果的な食事のとり方を教えてください。

動脈硬化予防には、バランスの整った食事が欠かせません。先ほど紹介した栄養素を取り入れることで、動脈硬化の予防につながりやすくなります。また、食事のとり方にも注意が必要です。例えば暴飲暴食や早食い・ながら食い・まとめ食いなどの食事のとり方は、動脈硬化のリスクがあります。

  • 暴飲暴食:食べ過ぎによる肥満・コレステロール値の上昇
  • ながら食い:食事の満足度低下に伴う過食化
  • 早食い:急激な血糖値上昇に伴う糖尿病発症のリスク
  • まとめ食い:過剰な栄養素の摂取

これらのリスクを下げるためには、一日三食バランスよく食事をし、腹八分目を心がけることが重要です。

動脈硬化の予防を期待できる食品を教えてください。

動脈硬化の予防が期待できる食品は、大豆製品や魚・野菜・海藻・きのこ・果物、未精製穀類(玄米・雑穀米・ライ麦など)などです。これらの食品をバランスよく摂取することで、動脈硬化の予防が期待できます。これらの食材は組み合わせ次第では、朝・昼・夕のすべてに活用可能です。例えば朝食を例に挙げると、主食に雑穀米・主菜は納豆と焼き魚・副菜にサラダ・汁ものはきのこ汁というような献立が作成できます。主食・主菜・副菜・汁の4つの組み合わせをベースに献立を考えていけば、コレステロール値を抑えた料理を作ることが可能です。

減塩のコツがあれば教えてください。

食塩摂取は、1日6g未満に留めることが推奨されています。しかし減塩対策をした結果、満足に食事が楽しめない方も少なくありません。おいしく減塩対策したい場合には、わさびやショウガ・コショウ・唐辛子・山椒・カレー粉などの調味料や香辛料などを活用するのがおすすめです。これらの調味料や香辛料などを活用することで、味のメリハリがつきやすくなります。また、素材を生かした味付けも有効です。例えば汁ものを作る際に塩の代わりに昆布や魚の出汁などを使うことで、減塩でもおいしく食べられます。

LDLコレステロールが高い人はどのような工夫をすればよいですか?

LDLコレステロール値が高い方は、コレステロールの量を減らすことが必要です。1日あたりのコレステロール摂取量は200mg以下とされており、基準以下の量にすることでLDLコレステロール値の低下が期待できます。しかし、どのような食品がコレステロール値が高いのか自力で見極めるのは難しいでしょう。主に以下の食品は、コレステロール値が高いといわれています。

  • 動物性のレバー
  • 臓物類
  • 卵類
  • 脂身の付いた肉
  • ひき肉
  • 鶏肉の皮
  • バター
  • ラード
  • やし油
  • 生クリーム
  • 洋菓子
  • マーガリン
  • 洋菓子
  • スナック菓子
  • 揚げ菓子

以上の項目で過剰に摂取している食品があれば、動脈硬化の予防のために控えましょう。お肉を食べるときは脂身が少ないお肉に変えるもしくは、脂身を落として料理するのもおすすめです。このほかにも、食物繊維を積極的に摂ることも大切です。体重が増えている場合は、減量しましょう。

外食や中食で気を付けることを教えてください。

外食や中食で注意するべき点は、カロリーの過度な摂取に伴い動脈硬化による疾患発症のリスクがあることです。特にファーストフードの場合は、大量の加工食品が使われており肥満や糖尿病・脂質異常症などのリスクの可能性があります。たまに食べる分にはよいですが、日常的に摂取していると動脈硬化につながりやすくなるため注意が必要です。また日頃からお菓子や加工食品などを中食で食べている場合は、コレステロール値の上昇に伴う動脈硬化のリスクがあるため注意しなければなりません。

お酒はやめた方がよいですか?

アルコール摂取は、適量であれば問題ありません。おおよそ1日20gが望ましいです。過剰に摂取してしまうと、高血圧や心筋梗塞などのリスクがあります。動脈硬化が進行した状態であれば、なおさらお酒の摂取は控えた方が望ましいです。またアルコールの過剰な摂取によって肝炎やがん・痛風・アルコール依存症などさまざまな健康被害のリスクもあります。特に以下のような飲酒をしている方は、アルコールの摂取の仕方についてもう1度見直しましょう。

  • 短時間で大量飲酒する
  • 不安や不眠を解消するために飲酒をする
  • 毎日飲酒をしている
  • 泥酔するまで飲み続けてしまう
  • 一日中飲んでいる
  • 断酒の日がない

健康を維持するためにも、アルコールは適量に留めましょう。

編集部まとめ

食事

本記事では、動脈硬化予防におすすめの食事を解説しました。動脈硬化の原因は、食習慣の乱れや肥満・喫煙・加齢・高血圧・過度な飲酒などさまざまな要因が考えられます。

特に食事においては、日頃からコレステロール値の高い食品を摂取している方は注意しなければなりません。

動脈硬化による病的疾患のリスクを下げるためには、バランスの整った食事を心がけることが重要です。

特に大豆製品や魚・野菜・海藻・きのこ・果物、未精製穀類などの食品は動脈硬化のリスク低下が期待できるといわれており、主食・主菜・副菜・汁の献立作りにも有効活用できます。

またわさびやショウガ・コショウ・唐辛子・山椒・カレー粉などの調味料や香辛料は塩の代用として使用することができ、減塩対策にもつながりやすくなります。

動脈硬化のリスクを下げるためにも、一日三食バランスよく食事をしましょう。

この記事の監修医師