何も刺さってないのにチクチクするのは皮膚や神経が原因?医師が対処法や考えられる病気や原因を徹底解説!
何も刺さってないのにチクチクするのは帯状疱疹や神経障害性疼痛が原因?MedicalDoc監修医が病気の可能性や何科へ受診すべきか・対処法等を解説。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
「何も刺さってないのにチクチクする」症状で考えられる病気と対処法
チクチクと痛みを感じるにもかかわらず、原因がわからないことってありますよね。これは、乾燥肌などの皮膚の異常や感覚神経の障害が原因となることが多いのですが、脳梗塞なども原因になり得ます。チクチクとした痛みはどのような病気で見られるのかをご説明します。
何も刺さってないのにチクチクする症状で考えられる原因と治し方
チクチクとした痛みが体のいたるところであり、一部に皮疹(発疹)や発赤(赤み)も見られることがあります。このような場合、コリン性蕁麻疹などが疑われます。
コリン性蕁麻疹(じんましん)
コリン性蕁麻疹は、運動・入浴などで体温が上がる場面で現れる蕁麻疹です。汗をかきやすい状況を避けることで症状の出現予防にはなりますが、積極的に汗をかくことで徐々に症状が出にくくなるため、治療には軽度の運動や適度な入浴で発汗を促すのが有効です。
また、乾燥肌の人では皮膚が敏感になり、セーターなどの服の刺激でチクチクと痛むことがあります。そのような場合には、チクチクとする服を避けたり、ローションなどでケアをしたりすることで予防できることがあります。
皮膚所見(目に見える症状)がない場合でも体のいたるところがチクチクと痛くなり治らない場合には皮膚科を受診してください。
何も刺さってないのに背中がチクチクする症状で考えられる原因と治し方
左右どちらかの背中から腹部にかけて帯状にチクチクと痛む場合は、帯状疱疹などが疑われます。背中が全体的にチクチクする場合には、前述したコリン性蕁麻疹や乾燥肌なども考えられます。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹は、発赤(赤み)や水ぶくれを伴うことが多いのですが、痛みだけが先行することがあり、皮膚の所見がない場合もあります。痛みは強いことが多く、また治療には抗ウイルス薬が必要となることから、体の片側に帯状の痛みがある場合には早めに皮膚科を受診してください。
何も刺さってないのにふくらはぎがチクチクする症状で考えられる原因と治し方
ふくらはぎがチクチクと痛む場合には、下肢静脈瘤などが疑われます。
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
下肢静脈瘤は、足の静脈の逆流防止弁(静脈弁)が壊れてしまい、足の静脈に血液がたまってしまう病気で、足のだるさやチクチクとした痛みを感じます。多くの場合、足の静脈がぼこぼこと膨れてみえます。静脈に血がうっ滞してしまうのが主な問題であるため、足の静脈に血液がうっ滞しないように、弾性ストッキングの使用などによって症状の改善が期待できます。
ただし、病状によっては、血管に炎症を起こしたり、血栓を作ったりすることもあるため、足のむくみがひどくなる場合には、循環器内科や血管外科を受診してください。
何も刺さってないのに太ももがチクチクする症状で考えられる原因と治し方
太ももがチクチクと痛む場合には、閉鎖神経痛や外側太腿皮神経痛などが疑われます。
閉鎖神経痛(へいさしんけいつう)・外側太腿皮神経痛(がいそくだいたいひしんけいつう)
閉鎖神経痛も外側太腿皮神経痛のいずれも、足に走る神経が筋肉などによって圧迫を受けることで起きる病気です。閉鎖神経痛では太ももの前面から内側、外側大腿皮神経痛では太ももの外側にチクチクとした症状が出現します。痛みがひどくなる姿勢を避けることなどで症状の改善が期待できますが、痛みが治らない場合には整形外科を受診してください。
何も刺さってないのに手のひらがチクチクする症状で考えられる原因と治し方
手のひらや指がチクチクと痛む場合には、手根管症候群などが疑われます。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
手根管症候群は、手首のところで正中神経という神経が圧迫される病気で、親指から薬指の内側までの範囲の指や手のひらにしびれやチクチクとした痛みが出現し、親指の力も弱くなります。仕事やスポーツなどで手をよく使う人で発症しやすく、過度な手の動きを休めることで症状が改善することもあります。改善しない場合や症状が強い場合には、手術治療が必要になることもあるため、整形外科を受診してください。
何も刺さってないのに指・指先がチクチクする症状で考えられる原因と治し方
手指・指先がチクチクと痛む場合には、前述の手根管症候群も考えられますが、一時的な圧迫による血流障害の可能性もあります。
手や指が長時間同じ姿勢でいる場合に、血流が一時的に悪くなり神経が圧迫されて指先に痺れや痛みが感じられることがあります。通常、これは一時的な症状なので、姿勢を変えてしばらくすると回復します。症状が持続する場合には他の原因も考えられますので、整形外科あるいは脳神経内科を受診するのが良いでしょう。
何も刺さってないのに足の指 ・足の甲がチクチクする症状で考えられる原因と治し方
足の指や足の甲など、足先がチクチクと痛む場合には糖尿病性ニューロパチーやビタミン欠乏性ニューロパチー、アルコール性ニューロパチーなどの可能性があります。これらの疾患の多くは、足の指の先からチクチクと痛みだし、徐々に広がっていきます。
市販の痛み止めは効きにくく、痛みのコントロールは難しいという問題点があります。原因疾患の治療が重要であり、バランスの取れた食事や、アルコールを控えることなどで症状の悪化を防ぐことができます。市販の痛み止めでは鎮痛が十分にできないことも多く、痛みが強い場合や急激に認知機能が低下するなどの症状が出た場合には脳神経内科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「何も刺さってないのにチクチクする」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
片手と口の片側、または片側の半身が何も刺さってないのにチクチクする場合は、脳神経内科・脳神経外科へ
片側の手と口、または片側の半身にチクチクとした痛みがでたり、感覚の鈍さがでたりする場合には、脳梗塞の疑いがあります。しばらくして改善する場合でも一過性脳虚血発作という脳梗塞を発症するリスクの大きい病気である可能性も考えられるため、脳神経内科をすぐに受診してください。
「何も刺さってないのにチクチクする」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「何も刺さってないのにチクチクする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
帯状疱疹
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症する病気です。子供の頃に水痘(水ぼうそう)に感染した後、ウイルスは体内(特に神経節と呼ばれる部位)に潜んでいます。病気や過度なストレスなどで免疫力が低下したときにウイルスが再活性化して帯状疱疹を発症します。皮膚に痛みとともに赤い発疹や水ぶくれを引き起こします。主に胴体や顔に帯状に現れるのが特徴です。早期治療が重要で、抗ウイルス薬が効果的です。重症化すると「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症が起こり、長期間にわたる痛みを引き起こすことがあります。予防には、ワクチン接種が効果的です。
神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)
神経障害性疼痛とは、神経の障害により出現した痛みを指す病名です。神経障害性疼痛が出現する原因は、物理的に神経が圧迫されることなどによる圧迫性ニューロパチーや、糖尿病性ニューロパチー、帯状疱疹などさまざまです。治療には、神経を傷害している原因を取り除くことが重要です。
圧迫性ニューロパチーでは、症状が出るような姿勢を避けるなど原因ごとで治療が異なります。例えば、長時間の正座で足が痺れますが、正座をくずすと改善します。一方で、腫瘍や炎症によって部分的に浮腫が起こっている場合には、その病気に応じた治療が必要です。
骨折などの痛みと比べて市販の痛み止めは効きづらく、治療には原因を調べる必要があるため、しびれや痛みが強い場合には、脳神経内科や整形外科を受診してください。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が相対的に不十分になり、血液中の糖の濃度が高くなる病気です。糖は栄養源などとして重要な役割を担いますが、濃度が高くなると血管を傷つけて動脈硬化などの原因です。バランスの取れた食事(食事療法)と適度な運動(運動療法)を組み合わせて行うことが治療の一歩目となります。
それでも血糖値が高い場合には、薬物治療が必要となります。放置すると目や腎臓、神経に障害を与えて機能が低下してしまうため、健康診断などで異常がある場合には症状がなくても内科や内分泌内科を受診してください。
痛風
痛風とは、血液中の尿酸値が高くなり、関節に尿酸の血症ができることで炎症が起きる病気です。足の親指の付け根が腫れることが多いのですが、膝関節や足首の関節などが腫れることもあります。
腎機能の低下や暴飲・暴食、肥満、激しい運動などが原因と言われており、水分をしっかりとる、魚卵などの尿酸値を上げやすい食事を避ける、適度な運動などで対策ができます。それでも尿酸値が下がらない場合には内科を受診してください。
モートン病
モートン病とは、足の骨同士をつなぐ靱帯と地面の間で神経が圧迫されることで、足の中指と薬指に痛みやしびれがでる病気です。ハイヒールをいつも履いている、つま先立ちの姿勢が長い場合に症状が出やすくなります。
対処法は足底挿板(インソール)を使うなど地面との間に緩衝材を使用する、つま先立ちなど圧迫されやすい姿勢を避けることです。症状が治らない場合には、整形外科を受診してください。
「何も刺さってないのにチクチクする」ときの正しい対処法は?
何も刺さっていないのにチクチクする場合には、皮膚または神経の障害による症状が考えられます。神経の障害である神経障害性疼痛には塗り薬は有効ではありませんが、乾燥肌など皮膚のトラブルに対してはワセリンなどで皮膚の潤いを保ちつつ、外部からの刺激を避けることで症状が改善することがあります。
正しい対処法は、原因により異なりますが、症状が出る姿勢を避ける、生活習慣を見直すことなどです。市販薬で有効なものは多くありませんが、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などの一部の漢方薬で症状を軽減できる場合もあります。
「何も刺さってないのにチクチクする」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「何も刺さってないのにチクチクする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
何も刺さってないのに全身がチクチクする症状は何が原因でしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
感覚神経の障害により起きることが多いです。またコリン性蕁麻疹など皮膚の異常で起こることもあります。
何も刺さってないのにチクチクする原因はストレスでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
過度のストレスによって帯状疱疹を発症することがあり、その場合にチクチクする痛みが生じることがあります。この場合には、帯状疱疹に対する薬物治療をしながら、原因となっているストレスを軽減できるように工夫する必要があります。
体の片側がチクチク・ピリピリ痛いのは帯状疱疹でしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
片側に帯状にチクチク・ピリピリと痛む場合には帯状疱疹の可能性があります。痛みがある位置に皮疹(水ぶくれなど)を伴うことが多いのですが、痛みだけが先行することもあります。
何も刺さってないのにチクチクする症状があるとき、入浴中に気をつけることを教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
コリン性蕁麻疹では入浴などによる体温上昇で症状が出現・悪化することがありますが、多くの場合には入浴との関連はありません。
外傷がないのに皮膚がヒリヒリします。神経の病気なのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
帯状疱疹や糖尿病などの病気は、外傷(けが)がなくても発症して痺れや痛みの症状が生じます。一度医療機関を受診して相談するのが良いかと思います。
指先にトゲは刺さっていないのにチクチク痛いです。治療法はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
原因が判明すればそれに応じた治療法が存在します。症状が改善しない場合には、医療機関を受診して相談するのが良いでしょう。
まとめ 何も刺さってないのにチクチク痛むときは病院へ
何も刺さっていないのにチクチクと痛む原因の多くは、神経や皮膚に問題があります。症状が出る状況を避けることで改善することもありますが、痛む場所によって原因はさまざまで、原因ごとに有効な治療も異なります。症状が治らない場合には、脳神経内科を受診してください。
「何も刺さってないのにチクチクする」で考えられる病気と特徴
「何も刺さってないのにチクチクする」から医師が考えられる病気は26個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
脳神経内科の病気
- 糖尿病性ニューロパチー
- ビタミン欠乏性ニューロパチー
- アルコール性ニューロパチー
- サルコイドーシス
- 鉄欠乏性貧血
- 三叉神経痛
- 神経痛
膠原病内科の病気
皮膚と神経が関係する症状であるため、原因に考える疾患は非常に多くなります。既往歴や病歴などを医師へ詳しく伝えることも、診断の上で役立つでしょう。
「何も刺さってないのにチクチクする」と関連のある症状
「何も刺さってないのにチクチクする」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 皮膚の表面がピリピリする
- 足の裏が痛い
- チクチクする下腹部痛
- 左胸下の痛み
- あせも
- 触っただけでチクチク痛い
- 特定の姿勢をとるとチクチクとした痛みが悪化する
「何も刺さってないのにチクチクする」の他に、これらの症状が見られる際は、「糖尿病性ニューロパチー」「三叉神経痛」「手根管症候群」「坐骨神経痛」「全身性エリテマトーデス」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状が現れた場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。