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「蕁麻疹とダニ刺され」の見分け方はご存知ですか?症状の違いも解説!【医師監修】

 公開日:2025/10/28
「蕁麻疹とダニ刺され」の見分け方はご存知ですか?症状の違いも解説!【医師監修】

蕁麻疹(じんましん)とダニ刺されは、いずれも皮膚に赤みとかゆみを引き起こすため、見た目だけでは区別がつきにくいことがあります。しかし、原因や症状の出方には違いがあり、対応の仕方も異なります。さらに、ダニに刺されたことがきっかけで蕁麻疹が生じる場合もあるため、注意が必要です。
この記事では、蕁麻疹とダニ刺されの違いや、ダニによる蕁麻疹の可能性、検査や治療について解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

蕁麻疹とダニ刺されの見分け方

蕁麻疹とダニ刺されの見分け方

蕁麻疹とはどのような病気ですか?

蕁麻疹は、皮膚に赤みとかゆみを伴って盛り上がる膨疹(ぼうしん)が突然現れる病気です。
多くの場合、強いかゆみを伴いますが、チクチクするような刺激感や焼けるような感覚を覚えることもあります。
蕁麻疹の原因は、アレルギー性のものと非アレルギー性のものに分けられます。
膨疹は数十分から数時間以内に消えますが、症状が強い場合は次々に新しい膨疹が出現し、常に発疹が続いているようにみえることもあり、数日続くこともあります。
蕁麻疹はよくみられる疾患で、一生のうちに15〜20%の方が一度は経験するといわれています。

参照:『皮膚科Q&A 蕁麻疹』(公益社団法人日本皮膚科学会)

蕁麻疹の外見を教えてください

蕁麻疹は、皮膚の表面に赤く盛り上がった膨疹が現れるのが特徴です。
膨疹は大きさも形もさまざまで、小さな1〜2mm程度のものから手足全体を覆うほどの大きなものまであります。
膨疹が重なって広がると、体表の大部分が赤く盛り上がることもあります。周囲には赤みが広がることが多く、形は丸いものや不規則なものなどさまざまで、同じ方の身体でも異なることがあります。

ダニに刺されるとどのような見た目になりますか?

ダニに刺されると、皮膚に赤みや、小さなかゆみの強い赤い発疹がみられます。数個がまとまって出ることも多く、人によっては赤みが広がる場合もあります。刺された部分はぷっくりと盛り上がり、蚊に刺された跡に似ていますが、かゆみが数日続くことがあります。

蕁麻疹とダニ刺されの見分け方を教えてください

蕁麻疹の皮疹は、蚊に刺されたときのように赤く境界がはっきりした膨疹で、かゆみを伴います。形は平たく広がったり、赤い輪のようになったりすることもあります。数時間から数日以内に跡形もなく消えるのが特徴です。

一方、ダニに刺された場合は、皮膚が盛り上がり、しこりの状態になることがあります。刺されやすい部位は、首や肩、太ももやお腹、上腕の内側など、衣服で覆われていてもやわらかい部分です。強いかゆみを伴い、症状が数日続くことがあります。

【蕁麻疹とダニ刺され】症状の違い

【蕁麻疹とダニ刺され】症状の違い

蕁麻疹の痒みとダニ刺されの痒みはどう違いますか?

蕁麻疹の痒みは、皮膚が赤く盛り上がる膨疹の出現と同時に起こります。膨疹と痒みは短時間で消えることが多いですが、症状が強い場合には次々と新しい皮疹と痒みが現れ、常に膨疹が出ているように見えることもあります。痒みを伴う膨疹が24時間以内に出現する場合は、ほぼ蕁麻疹と判断できます。

一方、ダニは、わき腹や下腹部、ふとももの内側などを刺し、刺された部位には赤い発疹が出現し、強い痒みが数日続きます。

蕁麻疹やダニ刺されにはかゆみ以外の症状はありますか?

蕁麻疹は強いかゆみだけでなく、赤みを伴う膨疹や紅斑が特徴です。まぶたや唇などに深いむくみ(血管性浮腫)が出ることもあります。多くは皮膚症状にとどまりますが、腹痛・発熱・吐き気・呼吸困難など全身症状を伴うこともあり、その際はアナフィラキシーなど重い病気との鑑別が必要です。

ダニ刺されの場合、家の中にいるダニでは、かゆみとともに赤み・腫れ・小さな発疹が出るのが典型的です。刺し口が赤い点やかさぶた状に見えることもありますが、症状は皮膚に限られ、全身症状はほとんどみられません。

一方で、屋外のマダニは病原体を媒介することがあり、発熱や頭痛、筋肉痛、消化器症状(食欲不振・嘔吐・腹痛・下痢)、リンパ節の腫れ、呼吸器症状、出血症状など、感染症に関連する全身症状が現れることがあります。

ダニによって蕁麻疹になる可能性と検査、治療法

ダニによって蕁麻疹になる可能性と検査、治療法

ダニに刺されたことで蕁麻疹になる可能性はありますか?

ダニに刺されることで蕁麻疹が起こる可能性があります。蕁麻疹の原因の一つにはアレルギー反応があり、ダニの刺咬によって体内にアレルゲンが入り、免疫系が過敏に反応することで症状が現れることがあります。
具体的には、ダニの唾液や体の成分が皮膚に触れることで、マスト細胞という皮膚の細胞が活性化され、ヒスタミンなどの化学物質が放出されることにより蕁麻疹が出現します。

ダニアレルギーの検査方法を教えてください

ダニアレルギーの検査では、血液検査、皮膚テストなどを行います。

血液検査では、血液中にダニなど特定のアレルゲンに反応するIgE抗体があるかを調べます。数値が高いほど、その物質にアレルギー反応を起こしやすいと考えられます。

皮膚テストでは、腕や背中にごく少量のアレルゲンをつけ、針で軽く皮膚を刺激するプリックテストや、皮膚の浅い部分に注射する皮内テストを行い、赤みや腫れの有無を観察します。

これらの検査を組み合わせることで、ダニがアレルギーの原因かどうかをより正確に判断することができます。

ダニアレルギーによる蕁麻疹はどのように治療しますか?

ダニアレルギーによる蕁麻疹の治療では、まず原因となるダニとの接触を避けることが基本となります。室内の掃除や換気、寝具の手入れを徹底し、ダニの死骸や糞を取り除くことで症状を抑えやすくなります。また、湿度を下げてダニが繁殖しにくい環境を整えることも重要です。かゆみが強い場合は、医師に相談し抗ヒスタミン薬などの薬物療法で対処することが効果的です。必要に応じて、免疫療法も検討します。

編集部まとめ

編集部まとめ
蕁麻疹とダニ刺されは、いずれも赤みとかゆみを伴うため、見た目が似ていることがあります。しかし、症状の現れ方や持続時間には明確な違いがあります。

蕁麻疹は、皮膚が一時的に盛り上がる膨疹が特徴で、通常は短時間で消えるのが一般的です。また、身体のどこにでも現れる可能性があります。

ダニは、わき腹や下腹部、ふとももの内側を中心に刺し、刺された部位には赤い発疹が生じて、強いかゆみが続きます。さらに、ダニがアレルゲンの場合は、ダニに刺されたことで蕁麻疹が生じるケースもあります。

蕁麻疹やダニ刺されによる赤みやかゆみが続くときは、皮膚科の受診を検討しましょう。

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