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「温熱蕁麻疹(皮膚温度の上昇による蕁麻疹) 」ができる原因はご存知ですか?

公開日:2022/08/07  更新日:2022/10/12
「温熱蕁麻疹(皮膚温度の上昇による蕁麻疹) 」ができる原因はご存知ですか?

皮膚に赤い膨らみやかゆみを伴う蕁麻疹(じんましん)は、それが起こる原因ごとにいくつかのタイプに分類されます。今回ご紹介する「温熱蕁麻疹」は非アレルギー性の蕁麻疹で、入浴や暖房器具、ドライヤーなどの温熱刺激によって症状を引き起こすのが特徴です。

今回は温熱蕁麻疹とはどのような病気か、症状や原因、治療法などを解説していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は産業医, 美容皮膚科, 皮膚科, 内科, 内分泌代謝科, アレルギー・膠原病内科, 神経内科, 肝胆膵内科, 消化器内科, 総合内科, 血液内科, 腎臓内科, 循環器内科, 感染症科, 糖尿病内科, 呼吸器内科, サル痘。

目次 -INDEX-

温熱蕁麻疹とは

温熱蕁麻疹とは

温熱蕁麻疹とは、どのような病気ですか?

温熱蕁麻疹(おんねつじんましん)は、体温よりも温かいものに触れることで皮膚の温度が上昇し、それが刺激となって蕁麻疹がでる皮膚の病気です。

蕁麻疹は赤くくっきりとした「膨疹(ぼうしん)」という盛り上がりが皮膚の一部に出現し、しばらくすると消えるのが特徴で、原因ごとにいくつかのタイプがあります。

大きくはアレルギー性と非アレルギー性の2つのタイプに分かれますが、温熱蕁麻疹は非アレルギー性の「物理性蕁麻疹」に分類されます。なお、温熱蕁麻疹に似た症状を呈するものに「コリン性蕁麻疹」があり、両者の鑑別に注意が必要です。

非アレルギー性の蕁麻疹

アレルギーが原因で温熱蕁麻疹になることはありますか?

蕁麻疹の原因でよく知られる「Ⅰ型(即時型)アレルギー」は、エビやそばなど特定の物質(アレルゲン)に免疫が過剰に働くことで蕁麻疹を発症します。

温熱蕁麻疹はこのような仕組みとは異なり、免疫の働きを介さずに蕁麻疹を発症するのが特徴です(非アレルギー性)。したがって、アレルギーから温熱蕁麻疹を発症することは基本的にありません。

物理性蕁麻疹

「物理性蕁麻疹」とはどのような蕁麻疹ですか?

非アレルギー性のうち、皮膚のこすれや圧迫、寒冷、温熱、日光、水との接触など、皮膚が外から受ける刺激により発症する蕁麻疹です。物理性蕁麻疹には温熱蕁麻疹のほか、機械性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、日光蕁麻疹、水蕁麻疹などがあります。

コリン性蕁麻疹との違い

温熱蕁麻疹とコリン性蕁麻疹の違いは何ですか?

コリン性蕁麻疹は入浴時や運動時に症状があらわれる蕁麻疹で、症状が温熱蕁麻疹とよく似ています。ただ、コリン性蕁麻疹は発汗、あるいは発汗をうながす刺激が加わった際に蕁麻疹を生じる点で温熱蕁麻疹とは異なります。温熱蕁麻疹は発汗に関係なく症状があらわれるのが特徴です。

温熱蕁麻疹の症状

温熱蕁麻疹では、どのような症状があらわれますか?

温かいものに触れた皮膚の一部に、赤みを帯びた膨疹(皮膚の盛り上がり)が突如あらわれ、しばらくすると消えるのが特徴です。蕁麻疹が出現すると多くの場合で「かゆみ」を伴いますが、人によってはチクチクした痛みや焼けるような感覚を伴うこともあります。

症状の出現時間と持続時間

温熱蕁麻疹の症状は刺激を受けてから「いつ」「どれぐらい」の時間にあらわれますか?

温熱刺激を受けた直後から数分後に皮膚の赤みやかゆみなどの症状があらわれ、数分〜2時間程度で消失します。

症状が出る部位

温熱蕁麻疹は、温熱刺激を受けた部位以外にも症状があらわれますか?

温熱蕁麻疹の多くは「局所性」で、温熱刺激を受けた部位のみに症状があらわれます。ただ、温熱蕁麻疹のなかには刺激を受けた部位とは関係ない場所にも症状がでる「全身性」のものもあります。

温熱蕁麻疹の原因

温熱蕁麻疹の原因は何ですか?

直接的な原因は、温熱刺激による皮膚温度の上昇です。温熱蕁麻疹では温熱刺激により皮膚の温度が上がると、真皮のマスト細胞から「ヒスタミン」「プロスタグランディン」などの物質が大量に放出されます。そのヒスタミンやプロスタグランディンが皮膚に作用すると皮膚の血管が広がり、血液成分が血管の外に漏れやすくなります。これが皮膚に赤みを帯びた膨疹が生じる要因です。

さらにヒスタミンはかゆみの神経を刺激するため、蕁麻疹の多くはかゆみを伴います。

温熱蕁麻疹を引き起こす具体的な要因

温熱蕁麻疹を引き起こす具体的な要因(温熱刺激)には、どのようなものがありますか?

日常生活のなかで温熱蕁麻疹を引き起こす要因として、次のようなものがあります。
  • 入浴や就寝時の体温上昇
  • 暖房器具(ヒーター、ストーブ、こたつ、ホットカーペットなど)
  • 温熱用具(カイロ・ホットアイマスク・ホットタオルなど)
  • ヘアドライヤー
  • 日光による皮膚温度の上昇
  • 調理中に発生する温風

どの程度の温熱が刺激になるかは個人差もありますが、平均的なデータでは44℃以上の温熱刺激で発症することが多いといわれています。

温熱蕁麻疹の受診科目

症状から温熱蕁麻疹が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?

温熱蕁麻疹の症状には個人差があり、症状が軽いものについては自然に治るケースもあります。しかし蕁麻疹症状が頻繁にあらわれたり、症状がつらく日常生活にも支障をきたしたりしてしまう場合は、最寄りの皮膚科を受診しましょう。

温熱蕁麻疹の検査

温熱蕁麻疹ではどのような検査を行いますか?

蕁麻疹の多くは、皮膚の状態や症状の経過から「蕁麻疹」と診断することが可能です。したがって、検査ではその蕁麻疹がどのタイプのものかを確定する、もしくはその詳しい原因を見つけることに重点が置かれます。

物理性蕁麻疹の確定診断では、症状を誘発する刺激(機械的刺激・寒冷・温熱・光など)を加えて蕁麻疹がでるかを確認するテストを実施します。温熱蕁麻疹の場合は、4〜44℃の刺激を皮膚に与える「温度誘発」という検査で確定診断が可能です。

温熱蕁麻疹の治療

温熱蕁麻疹の治療

温熱蕁麻疹ではどのような治療が行なわれますか?

温熱蕁麻疹ではまず、日常生活において蕁麻疹の発症のもととなる温熱刺激をできるだけさけるように工夫し、再発を予防することに重点が置かれます。しかし、ドライヤーや暖房機器の使用、調理など日常生活で避けるのが難しい場合は、薬で症状を抑える「薬物療法」を行います

温熱蕁麻疹の薬物療法

温熱蕁麻疹の治療では、どのような薬物が使用されますか?

蕁麻疹の多くは、「マスト細胞」という細胞から産出されたヒスタミンが血管や神経に作用することで症状があらわれます。したがって、温熱蕁麻疹の薬物療法ではヒスタミンの働きを抑える「抗ヒスタミン剤」、あるいは同様の作用を持つ「抗アレルギー薬」を使用します。

これらの薬剤は外用(塗り薬)よりも内服や注射のほうが効果が高い一方、眠気を生じやすいなどの副作用があるため使用には注意が必要です。温熱蕁麻疹の薬物療法ではそのほかに、漢方薬や免疫機能を調整する作用のある薬剤などを使用するケースもあります。

温熱蕁麻疹の性差、年齢差など

温熱蕁麻疹には性差、年齢差などはありますか?

温熱蕁麻疹のみの性差、年齢差は不明ですが、一般に蕁麻疹は20代から40代に多く、性差は1:2で女性に多いといわれています。

編集部まとめ

温熱蕁麻疹は、体温よりも高い温熱刺激により蕁麻疹を発症する皮膚の病気です。温熱刺激により皮膚の温度が上昇すると、赤みやかゆみを伴う膨疹が出現しますが、数分から2時間程度で症状は治まります。

治療では、日常生活において蕁麻疹の発症の原因となる温熱刺激を避ける工夫を行なうほか、抗ヒスタミン剤などを用いて症状を和らげる薬物療法などを行います。温熱蕁麻疹のなかには自然に治るものもありますが、「蕁麻疹症状を繰り返す」「症状がつらい」などの場合は、お近くの皮膚科に相談しましょう。