「情緒不安定」になる原因はご存知ですか?医師が男女別に徹底解説!
情緒不安定になるとき、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる原因や対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「情緒不安定になる」症状で考えられる病気と対処法
情緒不安定になるのは誰でも起こり得ることですが、通常の程度を超えて変動し、コントロールができない状態の時にはうつ病や双極性障害などの精神疾患が原因であることがあります。今回は情緒不安定を起こす病気について解説していきます。
いきなり情緒不安定になる症状で考えられる原因と治し方
急に情緒不安定になる原因には、精神疾患が最も頻度の高いと考えられます。深呼吸できるように時間をとっても情緒を自分でコントロールできない場合などには、早めに精神科を受診しましょう。自分や他人への攻撃性が増している場合には緊急性は高いため、すぐに病院を受診しましょう。
情緒不安定で急に泣く、涙が止まらなくなる症状で考えられる原因と治し方
情緒不安定になり急に泣いたりすることは、比較的よくある症状といえます。情緒不安定になる原因がある場合には、そちらを除去しましょう。除去できず、時間を置いても状況が改善しない場合には、治療が必要です。精神科を受診しましょう。
情緒不安定で急に怒る、怒鳴る症状で考えられる原因と治し方
急に怒る、怒鳴る、他人を攻撃する場合には緊急性は高い精神状態といえます。すぐに精神科を受診しましょう。病院受診や病院での治療に本人が同意しない場合には、精神保健指定医2名以上の診断結果に基づき、都道府県知事の命令によって強制的に入院させる措置入院をとることもあります。
情緒不安定で気力がなくなる症状で考えられる原因と治し方
無気力になってしまう病気としてはうつ病などがあります。うつ病の初期は意欲低下と不眠症を起こすことがあり、早期治療を行うことで症状の悪化を抑えることができます。意欲低下がある場合には、早めに精神科で相談しましょう。
女性が情緒不安定になる症状で考えられる主な原因と治し方
生理前や更年期障害の症状として情緒不安定になってしまうことがあります。生理前に周期的に精神症状がでる病気として月経前気分不快症候群(Premenstrual Dysphoric Disorder : PMDD)があります。生理周期との関連があり、つらい症状の場合には精神科や婦人科に相談しましょう。
男性が情緒不安定になる症状で考えられる主な原因と治し方
感情をコントロールできない感情失禁や認知機能の低下を起こす脳血管性認知症は、認知症の20%を占め、男性の方が多く発症します 。
脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血後に起こる認知症で、高血圧、糖尿病、心疾患などのリスク因子があると発症しやすいとされています。リスク因子があり認知症を疑うような症状がある場合には、早めに脳神経内科にご相談ください。
子どもが情緒不安定になる症状で考えられる主な原因と治し方
子どもの情緒不安定になる病気としては、発達障害があります。発達障害には自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害、チック症、吃音などがあります 。
成長の過程で行動面や情緒面の特徴がでてきて、健診や小児科、教育施設などで指摘されることがあります。発達障害は生まれつきの脳の働き方の違いのため、薬などで完全に治すというより、家族や周囲の人がその子の特性に合わせて環境を整えることで、日常生活の困難さを軽くすることができます。
家族のみで悩まずに、まずは小児科や教育施設のスタッフに相談してみましょう。
すぐに病院へ行くべき「情緒不安定」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
自傷他害の恐れがある場合は、精神科へ
攻撃性が高く自分の身体や他人を傷つけようとする場合は、緊急性が高い状態です。すぐに精神科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「情緒不安定」のセルフチェック法
- ・自傷他害がある場合
- ・情緒をコントロールできない発作が頻回にある場合
- ・強い不安がある場合
「情緒不安定になる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「情緒不安定」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
うつ病
うつ病は気分が落ち込み、何をしても楽しくない、眠れない、食欲がないなどの症状を起こす精神疾患です。発症の原因は現時点でまだわかっていませんが、精神的ストレスや身体的ストレスに加え、環境の変化が発症因子になることがあります。
症状が進行してしまう前に早期診断、早期治療が基本です。自己判断せずに、うつ病を疑う症状がある場合には精神科を受診しましょう。
双極性障害
双極性障害では、誰にでもある気分の波が極端で、躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。躁状態の時には現実離れした行動をとって、周囲の人を傷つけてしまうことがあります。うつ状態の時には気分が沈んで死にたい気分になったり、躁状態の時の自分に対して自己嫌悪を感じたりすることもあります。
気分の変動、情緒が極端に変化してしまう場合には、双極性障害を疑って精神科を受診しましょう。
自律神経失調症
自律神経失調症は自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、さまざまな症状がでます。全身的な症状としてはだるい、眠れない、疲れがとれないなどの症状に加え、情緒不安定やイライラ、不安感などの精神的症状がでることがあります。
ストレスが原因になっている場合にはストレスを避けたり、溜めないように対処したりする方法があります。症状が強い場合には、精神科や内科などでそれぞれの治療に対して対処療法を行います。
統合失調症
統合失調症は幻覚や妄想を起こす精神疾患で、発症の原因ははっきりわかっていません。情緒不安定というよりも、感情の動きが少なくなったり他人の感情を理解することが苦手になったりすることが特徴的です。
幻覚、妄想などの統合失調症を疑うサインがある場合には、早めに精神科を受診しましょう。
パーソナリティ障害
パーソナリティ障害はものごとの捉え方や行動に著しい偏りがあるもので、明らかな病気というより、程度の差が大きい性質のものだと考えられます。パーソナリティ障害にもさまざまなタイプがあり、奇妙で風変わりなA群クラスターや、情緒不安定で演技的なB群クラスター、不安が強い内向的なC群クラスターなどに分類されます。
パーソナリティ障害は統合失調症やうつ病などの精神疾患を合併することがあるため、辛い症状がある場合には、精神科を受診しましょう。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
死の危険や衝撃的な場面に直面した後から、フラッシュバックや悪夢などの症状がでる状態です。強い衝撃的なイベント後にPTSDが起こることは通常の反応で、多くは数ヶ月のうちに症状が落ち着きます。時間が経っても症状が持続する場合や、むしろ悪化傾向である場合には精神科での治療が必要になります。
アルツハイマー型認知症
認知症の中でも、根治的な治療が困難なものに、アルツハイマー型認知症があります。脳神経が変性して脳が部分的に萎縮していく過程で認知機能が低下する病気です。忘れっぽうくミスが増える、お金の管理ができない、抑うつ気分になる、不安になるなどの情緒障害も現れます。年齢のせいだけにせず、認知症を疑う症状がある場合には、一度脳神経内科に相談しましょう。
「情緒不安定」なときの正しい対処法は?
何か理由があって情緒不安定や精神不安定になってしまった時には、その原因から離れましょう。ストレスのもとから離れて、ひと呼吸置きましょう。落ち着く方法としては深呼吸がおすすめです、深くゆっくり呼吸をしましょう。
また周囲の人に理解者がいるとよいでしょう。情緒不安定になったら、頼れる人やそばにいてくれる人がいると安心です。
それでも、セルフケアだけでは情緒不安定になってしまったものを治すのは難しいです。精神科に相談し、不安が強ければ抗不安薬の処方が有効な場合があります。また、情緒不安定になる原因の病気を診断するのも重要です。
「情緒不安定」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「情緒不安定」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
情緒不安定とは具体的にどんな状態ですか?
マイマイテイリ イマム 医師
情緒不安定はある程度は通常でも見られる感情の起伏ですが、それが常軌を逸して変動することをいいます。
情緒不安定で気持ちが不安・安定しないときは何科で相談できますか?
マイマイテイリ イマム 医師
精神科で相談するのが良いでしょう。
情緒が不安定で気持ちが落ち着かないのは病院で治療できますか?
マイマイテイリ イマム 医師
カウンセリングや薬剤で治療が可能です。
家族や友人など身近な人が情緒不安定な場合どう対処すべきですか?
マイマイテイリ イマム 医師
まずは、何が原因で情緒不安定になるのか一緒に考えてあげましょう。わからない場合には精神科で相談いただくのも良いと思います。原因や病名が分かれば、治療可能なこともあります。
まとめ
情緒不安定で、自分で感情の制御ができない場合には病気からくる症状のこともあります。お悩みがある場合には精神科にご相談ください。
「情緒不安定」で考えられる病気と特徴
「情緒不安定」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
精神科の病気
- うつ病
- 双極性障害
- 統合失調症
- パーソナリティ障害
- 心的外傷後ストレス障害
誰でも起こりうる症状ですが、病的な状態に陥った場合には専門家の力を借りて直す必要が出てきます。
「情緒不安定」と関連のある症状
「情緒不安定」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 気分の浮き沈みが激しい
- イライラする
- うつ
- 眠れない(不眠症)
- 不安症
- 攻撃的になる
- 感情失禁
「情緒不安定」の症状の他に、これらの症状がある場合も「うつ病」「統合失調症」「心的外傷後ストレス障害」「自律神経失調症」「認知症」などの疾患の可能性が考えられます。自分自身では解決できない場合は、早めに医療機関への受診をおすすめします。