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「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の症状や原因はご存知ですか?

公開日:2022/06/11  更新日:2022/06/10
「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の症状や原因はご存知ですか?

PTSD(心的外傷後ストレス障害)をご存じでしょうか。
PTSDは事故や災害など、生死に関わる危険な体験や強い衝撃によって、誰しもが患う可能性のある精神疾患です。
今回は、PTSDの概要・症状や原因、受診科目などを紹介します。

稲川 優多

監修医師
稲川 優多(医師)

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所属:自治医科大学精神医学講座 資格:精神保健指定医 日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医 日本老年精神医学会専門医・指導医 日本医師会認定産業医 公認心理師 緩和ケア研修会終了者 難病指定医

PTSDとは

PTSDとはどのような疾患でしょうか?

PTSDは日本語で「心的外傷後ストレス障害」といいます。交通事故や犯罪被害、災害や被虐待などで、生死に関わるような危険な体験をした後に生じる精神疾患です。PTSDの原因となるような体験をトラウマ体験といいます。
決して珍しい疾患ではなく、日本の総人口の1.3%に生じるとされています。

PTSDの症状

PTSDにはどのような症状があるのでしょうか?

PTSDの症状には、フラッシュバック(再体験)、回避・麻痺症状、過覚醒などがあります。これらの症状は、つらい体験をした直後には多くの人が経験するものです。しかし、数カ月たっても同じような症状が続く場合はPTSDの可能性があります。

フラッシュバック(再体験)

フラッシュバックとはどのような症状ですか?

フラッシュバックとはPTSDの原因となった体験が、自分の意志とは関係なく思い出されることをいいます。その体験が今もまだ続いているような感覚や、もう一度体験しているかのような感覚で、そのときのつらさを再体験してしまいます。
そのつらさは、恐怖・怒り・悲しみ・無力感・苦痛など、さまざまな感情が交じった感情です。PTSDの原因となった体験から時間が経過して忘れたと思っていても、ふとしたときにフラッシュバックして、苦しみを再体験してしまいます。
いきなり取り乱したり怒ったり泣いたりなど感情が不安定になるので、周囲の人から理解されづらいのが特徴です。また、悪夢を繰り返し見る人もいます。

回避・麻痺症状

回避症状とはどのような症状ですか?

回避は、PTSDの原因となった体験を思い出させるような状況や場面を避けることをいいます。例えば、交通事故が原因となった場合は車に乗れなくなったり、人混みで犯罪被害にあった場合は人混みにいけなくなったりなどです。
意識していなくても、PTSDの原因となった状況に似た場所を無意識に避けてしまう人もいます。行動が大きく制限されてしまい、通常の社会生活や日常生活が送れなくなる人もいます。

麻痺症状とはどのような症状ですか?

つらい記憶の苦しみを避けるため、感情や感覚が麻痺してしまうことをいいます。苦しみが麻痺するだけでなく、優しさや愛情や楽しさを感じられなくなったり、人に心を許せなくなり孤立しているように感じたりなど、前向きな感情も失われてしまうのです。
また、日常生活の現実感がなくなったり、人ごとのように感じたりしてしまう人もいます。

過覚醒

過覚醒とはどのような症状ですか?

過覚醒とはフラッシュバックしていないときでも、常にイライラしたり緊張したり、警戒心が高まって人間不信になったりする症状です。
ほかにも気持ちが張り詰めてドキドキしたり、驚きやすくなったり怒りやすくなったり、必要以上に自分を責めたりぐっすり眠れなくなったりなど、過敏な状態が続いてしまいます。

PTSDの原因

悩む女性

どのようなことが原因でPTSDを患うのでしょうか?

PTSDは交通事故や犯罪被害など、生死に関わるような強い体験をしたときに患います。圧倒的な出来事に直面して強い恐怖感や無力感を感じることで、その記憶を落ち着いて整理できません。
そのため、覚えている部分と覚えていない部分や、感じたことや考えたことが混じり合って混乱してしまいます。時系列や原因などのつながりを失うことで「記憶の断片化」がおこります。
断片化した記憶はとても不安定です。断片化されたつらかった記憶が突然意識に現れることで、フラッシュバックや悪夢が生じます。何度も何度も苦しみを再体験してしまうのです。
また、一部の断片化された記憶を思い出すことで、他の断片化された記憶も思いだされてしまいます。そのせいで感覚が麻痺して現実感がなくなったり、常に緊張してイライラしてしまったりなど、回避・麻痺症状や過覚醒が起こってしまうと考えられています。

PTSDの受診科目

PTSDのような症状が現れたら、何科を受診すればいいのでしょうか?

精神科か心療内科を受診しましょう。PTSDの知識がある医師の診断を受けてください。その後は投薬治療を行ったり、公認心理師や認定心理士などの心理カウンセラーからカウンセリングを受けたりなどの治療を行います。
PTSDの原因となった出来事が犯罪だった場合、警察や行政の相談窓口、犯罪被害者支援センターに相談してください。医療費の給付金制度もあります。災害時には、精神科医や公認心理師が派遣されることがあるので、相談できるかもしれません。
他にも、保健所の相談窓口や精神保健福祉センターなどに相談して、信頼できる医師やカウンセラーを紹介してもらうこともできます。

PTSDの検査

カウンセリング

PTSDが疑われる場合、どのような検査を行いますか?

PTSDは問診によって診断されます。一般的に、米国精神医学界が発行しているDSM-5という、国際的な診断基準が用いられます。
DSM-5では生死に関わる体験や実際に重症を負うこと、性的暴力を受けるなどのトラウマ体験を、直接または間接的に体験したり見聞きしたりしていることが1つの基準です。
その後、フラッシュバックや回避・麻痺症状、気分の陰性変化や過覚醒といった障害が1ヵ月以上持続しているかどうかなどを見て診断します。
また、離人感や現実感の消失といった解離症状の特定も重要です。
ここでは要点だけ解説しましたが、ほかにもさまざまな項目があります。医師でなければ正確な診断はできませんので、自分で判断しないようにしましょう。PTSDが疑われる場合はできるだけ早く、精神科や心療内科を受診してください。

PTSDの性差・年齢差など

PTSDに性差や年齢差はありますか?

PTSDは女性に多いといわれていますが、年齢層は幅広いです。誰でもかかる可能性があります。また、年少児の場合は性差が明確ではありません。
立場が弱い人が家庭内の虐待や性的虐待を受けている場合、誰にも相談できずに悩んでいる人も少なくありません。勇気を出して受診したり、保健所などに相談したりすることが重要です。

編集部まとめ

PTSDは日本語で「心的外傷後ストレス障害」といいます。交通事故や犯罪被害、災害や被虐待などで、生死に関わるような強い衝撃を体験した後に生じる精神疾患です。このような体験をトラウマ体験といいます。
PTSDの症状はフラッシュバック(再体験)、回避・麻痺症状、過覚醒などです。数カ月たってもこのような症状が続く場合はPTSDの可能性があります。
PTSDが疑われる場合は、できるだけ早く精神科や心療内科を受診しましょう。犯罪被害が原因の場合は警察や行政の相談窓口、犯罪被害者支援センターでも相談できます。
早めに医師の診断を受けて投薬治療を行ったり、公認心理師や認定心理士などの心理カウンセラーからカウンセリングを受けたりなど、適切な治療を受けることが重要です。