PMS(月経前症候群)は我慢するしかないの? 症状を軽くする対策が知りたい!
「PMS(月経前症候群)」という言葉は知っているけれど、言葉の意味までは詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。これらの症状は女性の社会進出や取り巻く環境の変化により注目され、認識されるようになりました。今回はPMSについて、自分でできる対策とあわせて「看護師・助産師」の古市さんに話を伺いました。
監修:
古市 菜緒(看護師・助産師・保健師)
助産師として1万件以上の出産に携わり、5000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。現在バースコンサルタントを起ち上げ、高齢出産の対象とされる35歳以上の女性の「妊娠・出産・育児」をサポートする活動や、関連記事の執筆・監修・商品監修等に携わる。
PMS(月経前症候群)は原因が未だ不明の症状
編集部
PMS(月経前症候群)とは何ですか?
古市さん
PMSは「Premenstrual Syndrome 」の略で、月経前症候群ともいわれています。月経前の3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快または消失するものをいいます。
編集部
PMSの原因を教えてください。
古市さん
PMSの原因は現在もはっきりとは分かっていません。女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の変動による影響や遺伝的なもの、または脳内伝達物質といった様々な要因で引き起こされると考えられています。
編集部
PMSの症状にはどのようなものがありますか?
古市さん
PMSの症状には、精神神経症状と身体症状があります。精神神経症状として主にみられるのが、情緒不安定やイライラ、抑うつといった症状になります。また、身体症状としてあげられるのが、頭痛や倦怠感、腹痛、腰痛、体重増加といったものです。なかには精神症状が重度である、月経前不快気分障害(PMDD)もあり、PMSと区別する必要があります。
PMSは女性の大半が感じている不快症状だが我慢してはいけない
編集部
PMSになる人はどれくらいいるのですか?
古市さん
近年は女性の出産年齢の高齢化や少子化に伴い、女性が生涯に経験する月経回数が昔より増えています。また、現在の女性の社会進出やライフスタイルも関係しており、80%以上の女性がPMSを経験しているといわれています。その中でも、5~20%の女性がPMSによって家事や仕事、育児などの日常生活にも影響を及ぼしているという研究報告があります。
編集部
PMSの診断について教えてください。
古市さん
PMSを診断するにあたり特徴的なのは、月経前に毎月症状が現れ、月経開始後には和らぐことがあげられます。しかし、原因が不明であることから、確実な診断方法等は確立されていません。そのため、出現症状を記録し、月経周期との関連を確認していきます。また症状が似ている、月経前不快気分障害(PMDD)やうつ病などの精神神経疾患でないことを確認します。最近では、PMS専門外来を設置しているクリニックもあるため気軽に受診できるようになってきました。
編集部
PMSは多少きつくても我慢するべきものなのでしょうか?
古市さん
PMSは決して我慢してはいけない症状です。症状の種類や強さは人それぞれで違うため、まだ周りの理解が乏しいこともありますが、症状を放置していると、身体的にも精神的にも悪化する危険性があります。月経前がどうしてもツライと感じるようなら、まずは、産婦人科やPMS専門外来を受診するようにしましょう。
PMSとうまくつきあう方法
編集部
家でもできるPMSを和らげる方法を教えてください。
古市さん
まずは、自分の生理周期を把握し、PMSの時期を知り予測することが大切です。そして、その期間はより意識して運動や睡眠を十分にとり、ストレス軽減やリラックスを図りましょう。また、食事内容もバランスがよいものを考え摂取しましょう。あとは腰痛・頭痛の症状が出現する場合は、我慢せず市販の鎮痛剤で緩和することも必要です。用法・容量を守り、薬を上手に活用しながらPMSを乗り越えていきましょう。
編集部
PMSを治療する方法はありますか?
古市さん
PMSの原因がまだ不明であることから確実な治療方法はありませんが、効果があるものとしてホルモンバランスを整えるホルモン療法や、症状に合わせた対症療法・漢方療法といったものがあげられます。人によって症状がさまざまであるため、医師と相談して自分にあった治療方法を探していく必要があります。
編集部
PMSの時期に気を付けないといけないことはありますか?
古市さん
PMSの時期は、なるべくストレスや疲労をためないことが大切です。また、喫煙や過度な飲酒やカフェイン摂取も、PMSの症状を悪化させる要因とされています。なるべく寝不足にならないようにし、この期間はゆっくりと体を休ませてあげましょう。PMS症状がひどい場合は、病院受診と一緒に職場へも相談できるとなおいいでしょう。
編集部
最後に読者へのメッセージがあればお願いします。
古市さん
PMSは症状や重さが人によって違うため、絶対に人とは比べてはいけません。大事なのは、自分の「こころ」と「からだ」を見つめ、無理をしないようにすることです。症状がつらい場合は周りに相談したり、医療機関もどんどん頼ったりしていきましょう。受診をためらう場合は、最寄りの病院に電話相談するだけでもいいかもしれません。
編集部まとめ
PMSは我慢をするものではなく、うまくつきあっていくことも大切であると分かりました。まずは自分のPMSの時期を把握し少しでも症状が和らぐように生活を整えましょう。もし自分で対処が難しいときは医療機関を頼ってみることも大切です。