FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 「斜視」の原因はご存知ですか?治し方についても解説!【医師監修】

「斜視」の原因はご存知ですか?治し方についても解説!【医師監修】

斜視

「最近ものが二重に見える」「焦点が定まらないことがある」という方は斜視の可能性があるかもしれません。

斜視と聞くと子供がなるものというイメージがありますが、成人してからも発症する場合があります。

斜視を放置してしまうと、小さなお子様の場合は目の発育に影響があり、成人の場合は日常生活に支障をきたす恐れがあるため早期発見・早期治療が推奨されています。

そこで今回この記事では、斜視の症状・子供と大人の発症する原因の違い・治療方法・手術のリスクについて解説します。

最後まで読んで、斜視の可能性がある方はお近くの医療機関にご相談ください。

松原 令

監修医師
松原 令(松原眼科クリニック)

プロフィールをもっと見る
1991年 神戸大学医学部卒
1991年 神戸大学医学部附属病院
1992年 兵庫県立淡路病院
1994年 米国テキサス大学
1997年 神戸大学医学部附属病院
1998年 兵庫県立柏原病院
2002年 神戸大学大学院医学系研究科
2004年 財団法人甲南病院
2010年7月7日 松原眼科クリニック開院
父が眼科医だったことです。私が6歳の時に父が開業し、自宅の一階が職場でした。毎日、父の働く姿を見ているうちに、「自分も医師になろう」と志す。
現在は「辛い症状を抱えて来院される患者さんを、笑顔にして帰したい」という思いを大切にさらに良い医療の実現を追求している。

斜視とは

医者
斜視の症状には、目線の目標が定まらずに片方の黒目だけ内側や外側を向いてしまったり、上下に向いてしまったりすることがあります。外見上は片方の視線はまっすぐ前を向いているのに、もう片方の黒目がそっぽを向いてしまっているように見えるのです。
このように目の位置が定まらないと、両目で正しくものを見るのが難しくなってしまいます。両目で正しくものを見る力を養えないと、立体感を掴む力である両眼視機能が弱くなったり、片方の視力発達に影響がでたりしてしまいます。

斜視の症状

女性の目元
前述で斜視は外見上片方の黒目だけそっぽを向いてしまっているように見えることがわかりました。ここでは、斜視本人が感じる症状を紹介します。本人が感じる斜視の症状は下記の3点がポイントです。

  • ものが二重に見える
  • 以前よりも見えにくさを感じる
  • 幼い頃からの斜視の場合は見えにくさは感じない場合が多い

斜視を発症する場合、ものが二重に見えたり以前よりも見えにくさを感じたりすることがあります。しかし、幼い頃から斜視があり、その見え方に慣れている場合は見えにくさや違和感がないこともあります。
まずは眼科での診察を受けて症状に合わせた治療が必要になるのです。

斜視の種類

考える女性
斜視の種類には、恒常性斜視間歇性斜視の2つがあります。
恒常性斜視は日頃からよく斜視の症状が起こるものをいいます。幼い頃に恒常性斜視になって放っておいてしまうと視機能の発達が損なわれたり、立体的に見る力が弱くなったりしてしまうのです。また、両目の視機能が発達してから恒常性斜視を発症すると、両目でものを見たときにものが二重に見える(複視)ようになることもあります。
一方、間歇性斜視は普段あまり症状が出ないのが特徴です。たまに症状が出てしまい、複視を起こしたり美容上の問題になったりするのです。このように症状が日常生活に支障をきたしている場合は、保険適用で治療を受けられます。

斜視の原因

目
ここまで斜視の症状と種類を紹介してきました。ここからは、斜視になる原因について、子供の場合と大人の場合に分けて解説します。
子供の場合は視機能の発育が大きく関係します。なるべく小さい頃に早期発見をして斜視を治すことが推奨されているのです。大人の場合は子供の斜視の原因と似た場合のものもありますが、老化や脳梗塞等の病気によっても発症することがあるのです。
より具体的な斜視の原因について紹介します。

子供の場合

小学生
斜視は約2%の子供が発症する病気です。子供が斜視になる主な原因を4つ紹介します。

  • 目の筋肉や神経の異常
  • 脳の異常や遺伝によるもの
  • 強い遠視によるもの
  • 両目でものを見る力不足

何らかの影響によって目を動かす筋肉・神経に異常があったり、遺伝や脳の一部の機能に異常があったりすると斜視になってしまうのです。また、強い遠視によってピントを合わせようとする際に斜視が起きる場合もあります。両目でものを見る力不足は、視機能の発達不全と生まれつきの見えにくさが影響し斜視になってしまうのです。
視力不足については、怪我や病気による視力不足も斜視の原因になります。このように、子供の斜視にはいくつもの原因があるのです。

大人の場合

ビジネスマン
大人の斜視の原因は、子供の頃の斜視が重症化した場合・加齢や病気によって発症する場合の2つがあります。
子供の頃に発症したものを治療せずに放置していた場合、大人になるまでの間に複視・弱視・片目の視機能の発達不全などが起こる場合があるのです。そのため、早期発見と早期治療が推奨されています。
加齢や病気によって大人になってから発症したものは、目のかすみ・見えにくさといった症状で気づく場合と、脳梗塞などの病気や交通事故などによって起こるものの2パターンがあるのです。どちらの場合も、医療機関での適切な処置で改善する場合が多くなっています。そのため、斜視でお困りの方は医療機関に相談しましょう。

斜視の治療方法

聴診器
前述で子供と大人の斜視の原因には似通った点と異なる点があることがわかりました。ここからは、斜視の治療方法について解説します。斜視の治療方法には以下が挙げられます。

  • コンタクトレンズやメガネを使う方法
  • プリズム法
  • ボツリヌス療法
  • 手術

これら4つの方法について解説します。

コンタクトレンズ・眼鏡

遠視が原因となる斜視や左右の度数の違いが原因の斜視はコンタクトレンズやメガネを使うことで改善できるでしょう。コンタクトレンズやメガネを装着することによって、遠視・弱視・左右の視力の違いを矯正し、両目で正しくものを見る機能を安定させます。結果、斜視が改善できる可能性が高まるのです。

プリズム法

プリズム法はメガネにプリズムを入れて目に入る光を屈折させ、両目で見る力を確保し易い状況を作ります。これによって斜視自体は治せませんが、本人の見えにくさを改善できるでしょう。

ボツリヌス療法

眼球に付着する筋肉に強張りや過剰な張りがあって斜視が発症している場合に、その原因となっている筋肉をボツリヌストキシンによって麻痺させるのがボツリヌス療法になります。このボツリヌスは短期間で効果がなくなってしまう場合があるので、繰り返し治療を行っていく必要があります。

手術

斜視の手術は小さなお子様なら全身麻酔で、成人なら局所麻酔で行います。手術の方法は、手術によって眼球を動かす筋肉の位置を変えることによって調整します。
例えば、斜視によって黒目が外側を向いているなら外直筋を後ろにずらすか、内直筋を前にずらすことによって斜視が改善するのです。

手術のリスク

看護師
ここでは手術を行うことへのリスクや負担について解説します。
手術時間については1つの筋肉に対して20〜30分程と年齢によって差はありませんが、手術全体の負担を比べると年齢や症状によって大きく異なることがわかります。例えば、成人なら複数回に分けて通院しながら手術を行えますが、乳幼児や小学生の場合は全身麻酔が必要になるので入院が必要になるのです。
また、手術によってほとんどの斜視は改善されますが、手術後の斜視の再発矯正のし過ぎによる見えにくさが生じる可能性があります。このように手術への負担は年齢や症状によって異なり、リスクとして再発や見えにくさが残る可能性もあるのです。

すぐに病院に行った方が良い「斜視」症状は?

  • 意識を失ったり、激しい頭痛のある場合
  • 手足が思うように動かない(麻痺)、感覚がおかしい場合

これらの症状の場合には、すぐに病院受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、眼科、脳神経内科です。

問診、診察、眼科的検査(視力検査、屈折検査、遮閉試験、眼球運動検査など)、画像検査(CTやMRI)などを実施する可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

いつから症状があるのか、他に症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。

治療する場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ

女性
ここまで斜視の症状や種類・原因・治療方法・手術のリスクについて解説しました。

斜視の症状は外見上のものと本人の感じるものの両方があったり、種類には恒常性斜視と間歇性斜視の2つがあったりします。

そして、斜視の原因は子供と大人で異なるものと似通った点があります。

治療方法に関しては症状や年齢によって考慮され、場合によっては2つ以上の治療方法を並行していく場合もあるのです。

斜視は小さなお子様から高齢者まで誰もがなる可能性のある病気です。また、治療に関しても負担が少なく、数回の通院で改善することもあります。

そのため、斜視による見えにくさや日常生活に支障がある場合は早めの受診をおすすめします。

斜視症状の病気

関連する病気

この記事の監修医師