「歯ぐきの腫れ」放置で糖尿病発症の可能性? 歯周病と血糖値の意外な関係

英国キングス・カレッジ・ロンドンの研究員らは、歯科を受診した911人を対象に、診療室でHbA1c(過去1~2カ月の平均的な血糖値を示す指標)を測定し、歯周病との関係についての調査結果を発表しました。その結果、約3分の1の人が糖尿病、または糖尿病予備群の値を示しており、歯科への受診が糖尿病の早期発見につながる可能性があることが分かりました。研究内容について濵﨑先生に伺いました。

監修医師:
濵﨑 秀崇(医師)
研究グループが発表した内容とは?
編集部
キングス・カレッジ・ロンドンの研究員らが発表した内容を教えてください。
濵﨑先生
また、糖尿病と自覚していない人のうち約29%は糖尿病予備群、約7%は糖尿病に該当していました。 一方、HbA1c値は年齢およびBMIとの間に明確な関連を示したものの、多変量解析の結果、歯周病診断との関連は統計学的に有意ではありませんでした。すなわち、歯周病と糖尿病の間に因果関係があるとは言えず、研究結果の解釈には注意が必要です。しかし、歯周病と糖尿病の間に何らかの関連があることは確かだと考えられます。
本研究から、約3分の1の人が無自覚に血糖値の異常を抱えており、歯科受診は糖尿病の早期発見に役立つ大切な機会になり得る可能性が示されました。
研究テーマになった糖尿病とは?
編集部
今回の研究テーマとなった糖尿病について、どのような症状が見られるのか教えてください。
濵﨑先生
気づかないうちに病気が進行しないよう、定期的に健診を受けて、糖尿病を早めに見つけましょう。
研究内容への見解は?
編集部
キングス・カレッジ・ロンドンの研究員らが発表した研究内容への見解を教えてください。
濵﨑先生
糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がなく、気づいたときにはすでに合併症が進行していることが少なくありません。例えば、手足のしびれや違和感などを起こす糖尿病神経障害は、糖尿病の前段階から徐々に進行すると報告されています。一方、歯周病も「痛みがないから大丈夫」と放置されがちな病気です。血糖値が高い状態が続くと歯周病が悪化しやすく、歯周病による慢性炎症は血糖コントロールをさらに悪化させる……。このような「悪循環」が体の中で静かに進行します。
悪循環を止めるためにも、糖尿病患者さんにとって定期的な歯科受診は非常に大切です。歯と口腔内の状態がよい患者さんは、血糖コントロールも比較的安定している印象があります。また糖尿病診療においては、歯科医・内科医・日本糖尿病学会認定糖尿病専門医が情報共有および連携して患者さんを診ていく体制が求められています。歯科受診で歯周病が見つかったら内科でHbA1cをチェック、内科で糖尿病と診断されたら歯周病のチェックも忘れずに――。そのような「双方向の連携」が糖尿病の早期発見・早期治療につながり、患者さんのQOL(生活の質)を守ることになるでしょう。
歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながっています。
編集部まとめ
今回の研究では、歯科を受診した人のうち約3分の1が、自身で気づかないまま血糖値に異常をきたしていることが分かりました。口腔内の健康は全身の健康とも深くつながっています。日頃から丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診を心がけ、気になる症状があれば早めに医療機関へ相談しましょう。




