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脳梗塞・脳出血の前兆をご存じですか? 初期症状として現れるサインを医師が解説

 更新日:2025/07/09

脳梗塞や脳出血は、ある日突然発症する病気です。早期に兆候を察知し、適切な対処をおこなうことで、後遺症の軽減や命を守ることが可能となります。そこで、脳梗塞・脳出血の前兆や初期症状、注意すべき警告サインなどについて、「あたまと内科のうえだクリニック」の上田雅道先生に解説していただきました。

上田 雅道

監修医師
上田 雅道(あたまと内科のうえだクリニック)

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福島県立医科大学医学部卒業。名古屋掖済会病院脳神経内科、豊橋市民病院脳神経内科、名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学、中部ろうさい病院神経内科医長を経て、あたまと内科のうえだクリニック院長に。医学博士。日本神経学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医、愛知県難病指定医、麻薬施用者免許、日本頭痛学会会員、日本認知症学会会員。

脳梗塞・脳出血って? 医師が解説

脳梗塞・脳出血って? 医師が解説

編集部編集部

脳梗塞とはどのような疾患ですか?

上田 雅道先生上田先生

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶えることで脳の組織が酸素や栄養を受け取れなくなり、機能障害を引き起こす疾患です。これにより、脳が体に指令を出すことが困難になるため、身体の麻痺や感覚障害、言語障害などの症状が現れます。

編集部編集部

では脳出血とは何ですか?

上田 雅道先生上田先生

脳出血は、脳内の血管が破れて出血し、脳組織を圧迫することで障害を引き起こす疾患です。高血圧が主な原因とされ、突然の頭痛や意識障害を伴うことがあります。脳梗塞と同様に、身体の麻痺や感覚障害、言語障害などの症状が現れます。脳梗塞と脳出血、そして主に動脈瘤の破裂で起こる、くも膜下出血の3つを合わせて「脳卒中」と呼ばれています。

編集部編集部

脳梗塞や脳出血のリスク要因は何ですか?

上田 雅道先生上田先生

主なリスク要因には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、過度な飲酒、肥満、ストレス、運動不足などがあります。特に高血圧は脳出血の最大のリスク要因であり、適切な血圧管理が重要です。また、不整脈(特に心房細動)は、血の塊を作りやすく、脳梗塞の原因になることがあります。

早期発見が大事 脳梗塞・脳出血のサインとは?

早期発見が大事 脳梗塞・脳出血のサインとは?

編集部編集部

脳梗塞や脳出血の前兆にはどのようなものがありますか?

上田 雅道先生上田先生

発症前に一過性の症状が現れることがあります。例えば、片側の手足や顔のしびれ、脱力、言葉がもつれる、視野が欠ける、めまいなどです。これらの症状が5〜20分で回復する場合、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり、放置すると本格的な脳梗塞を引き起こす危険があります。

編集部編集部

では、脳梗塞や脳出血が起こった際の初期症状は?

上田 雅道先生上田先生

初期症状として、片側の顔や手足の動かしにくさやしびれ、言葉が出にくい、理解しづらい、呂律が回らない、歩行困難などが見られます。これらの症状が突然現れた場合は、脳卒中を発症している可能性が非常に高いと言えます。

編集部編集部

これらの症状が現れた際、どうしたらよいでしょうか?

上田 雅道先生上田先生

症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。脳卒中は時間との戦いです。「症状がすぐに消えた」「少し休んだら回復した」と思っても、脳の血管が詰まりかけている可能性があり、いつ本格的に発症するかわかりません。一度でも異変を感じたら、様子を見ずに医療機関を受診しましょう。

脳卒中の検査・治療について医師が解説

脳卒中の検査・治療について医師が解説

編集部編集部

病院ではどのような検査をしますか?

上田 雅道先生上田先生

まずは神経学的診察をおこない、症状の有無を確認します。その後、CTMRIによる画像検査で、脳内の異常を詳しく調べます。血液検査心電図心エコー頸動脈エコーなどもおこない、リスク因子を特定します。

編集部編集部

治療にはどのような方法がありますか?

上田 雅道先生上田先生

脳梗塞の場合、薬物を使って血流をよくします。発症から4.5時間以内であれば、t-PA(血栓溶解療法)という血栓を溶かす薬が投与されることがあります。また、カテーテルを用いて血栓を直接取り除く血管内治療がおこなわれることもあります。脳出血では、血圧を下げる治療がおこなわれ、出血量や部位によっては手術が必要になることもあります。くも膜下出血では手術を優先しておこないます。

編集部編集部

その後はどうするのですか?

上田 雅道先生上田先生

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血の発症後は、薬物治療と必要があれば手術療法をおこなった上で、リハビリテーションが非常に重要になります。発症後早期からリハビリテーションを開始することで、麻痺や言語障害の回復を促進できます。また、再発予防のために生活習慣の見直しや薬物療法を続ける必要があります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

上田 雅道先生上田先生

脳卒中は予防がとても大事な疾患で、リスクとなる生活習慣を改善したり、生活習慣病を悪化させないようコントロールしたりすることが大切です。また、さらに重要なことは「発症時にどれだけ速やかに治療ができるか」です。先述のとおり、異変を感じたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

編集部まとめ

脳梗塞や脳出血は、突然発症することが多い病気ですが、前兆が見られる場合もあります。何かあれば、様子を見ずに早めに受診することが大切なのだそうです。早期発見・早期治療が後遺症を軽減し、命を救うことにつながります。また、日頃から生活習慣を見直し、リスクを減らすことを心がけましょう。

医院情報

あたまと内科のうえだクリニック

あたまと内科のうえだクリニック
所在地 〒491-0871 愛知県一宮市浅野南之川38
アクセス 名岐バイパスの交差点「下浅野」を東側に曲がり、1本目の道路を左に曲がるとすぐ
診療科目 脳神経内科、循環器内科、内科

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