「はまぐりの食べ過ぎ」は何を誘発させる?貧血予防に”効果的な食べ方”も解説!

はまぐりを食べ過ぎるとどうなる?メディカルドック監修医が栄養素・健康効果・食べ過ぎで現れる症状・保存方法について解説します。

監修管理栄養士:
荒井 佳奈恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
はまぐりとは?

はまぐりは、二枚貝の一種で、主に沿岸の砂地に生息する貝類です。日本では古くから食用とされる、ひな祭りや祝い事の料理にも用いられてきました。代表的な産地には千葉県や三重県などがあります。可食部はやわらかく、うま味成分であるコハク酸を多く含むため、だしとしても優れています。栄養面では、たんぱく質に加え、鉄、亜鉛、ビタミンB12などのミネラルやビタミンを含むことが特徴です。特にビタミンB12は貝類の中でも比較的多く、赤血球の形成や神経機能の維持に関わります。一方で、塩分やプリン体も含む食品であるため、体調や疾患の有無によっては摂取量に配慮が必要です。適量を心がけることで、栄養価の高い食品として日常の食事に取り入れることができます。
はまぐりの一日の摂取量

はまぐりには公的に定められた1日の摂取上限はありません。そのため、栄養素量から妥当な目安を考えます。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、はまぐり水煮(可食部100gあたりには、たんぱく質約14.9g、鉄約3.9mg、亜鉛約2.5mg、ビタミンB12約20µgが含まれています。一方、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人のビタミンB12の目安量は1日4.0µgとされており、はまぐりは少量でも十分量を満たします。魚介類の主菜1回分は一般に可食部60~80gが目安とされることから、健康な成人であれば1日50~80g程度が現実的な目安考えられます。塩分やプリン体を含む食品でもあるため、体調や持病に応じて量や頻度を調整することが大切です。

| 対象 | 摂取目安量(可食部) | 備考 |
|---|---|---|
| 健康な成人 | 50 〜 80g | 主菜1回分の目安量に相当 |
はまぐりに含まれる栄養素

以下の栄養素で出された数値は、【はまぐり(水煮)】可食部50~80g(健康成人の現実的な目安量)を食べた時のものとなります。
たんぱく質
たんぱく質は、約7.5~11.9gを摂取できます。主菜1品として考えると、はまぐりだけで十分なたんぱく質量に達するわけではありませんが、他の魚や肉、大豆製品と組み合わせることで、1食あたりに必要なたんぱく質量を補うことができます。脂質が少ないため、エネルギーを抑えながらたんぱく質を取り入れたい場合にも適した量です。
鉄
鉄は、約2.0~3.1mgを摂取できます。鉄は赤血球中のヘモグロビンの構成成分で、全身に酸素を運ぶ働きを担います。不足すると鉄欠乏性貧血の原因になります。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性の鉄の推奨量は7~7.5mg、月経のある成人女性では約10mg前後とされています。はまぐりは1食分でも一定量を補えるため、鉄補給の一助となる食品です。
亜鉛
亜鉛は、約1.3~2.0mg程度を摂取できます。亜鉛は、たんぱく質の合成、味覚の維持、皮膚や粘膜の健康維持、免疫機能に関わる必須ミネラルです。不足すると味覚障害や食欲低下などがみられることがあります。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性の亜鉛の推奨量は約9~9.5mg、成人女性では約7.5~8.0mgとされています。はまぐりは突出して多い食品ではありませんが、魚介類の一つとして日常の食事に取り入れることで、亜鉛補給の一助になります。
ビタミンB12
ビタミンB12は、約10~16µg程度を摂取でき、少量でも多くを補える食品です。ビタミンB12は赤血球の形成や神経機能の維持に関わる水溶性ビタミンで、不足すると巨赤芽球性貧血や神経障害の原因となります。主に動物性食品に含まれるため、魚介類は重要な供給源です。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人のビタミンB12の目安量は1日4.0µgとされています。はまぐりは1食分でも推奨量を大きく上回る量を含むことが特徴です。
| 栄養素 | 含有量(50〜80gあたり) | 主な役割 |
|---|---|---|
| ビタミンB12 | 約10 〜 16µg | 赤血球の形成、神経機能の維持 |
| たんぱく質 | 約7.5 〜 11.9g | 体構成成分、ホルモン等の材料 |
| 鉄 | 約2.0 〜 3.1mg | 全身への酸素運搬(貧血予防) |
| 亜鉛 | 約1.3 〜 2.0mg | 味覚の維持、免疫機能、粘膜の健康 |
はまぐりの健康効果

貧血予防
はまぐりは、貧血予防に関わる鉄とビタミンB12を含む食品です。鉄はヘモグロビンの構成成分として全身に酸素を運ぶ働きを担い、不足すると鉄欠乏性貧血の原因となります。ビタミンB12は赤血球の成熟に不可欠で、不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こします。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人のビタミンB12の目安量は1日4.0µgとされており、はまぐりは少量でも推奨量を大きく満たします。鉄とビタミンB12を同時に補える点が、はまぐりの貧血予防における栄養学的な特徴です。
神経機能の維持
はまぐりは、神経機能の維持に関わるビタミンB12を豊富に含む食品です。ビタミンB12は神経の髄鞘形成や神経伝達の維持に関与する栄養素で、不足するとしびれや感覚異常などの神経障害を引き起こすことがあります。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人のビタミンB12の目安量は1日4.0µgとされています。はまぐりはこの推奨量を十分に満たす供給源となり、神経機能の維持に寄与する食品といえます。
免疫機能の維持
はまぐりは、免疫機能の維持に関わる亜鉛を含む食品です。亜鉛は、免疫細胞の分化や増殖、たんぱく質合成に関与する必須ミネラルで、不足すると免疫応答が低下することが知られています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性の亜鉛の推奨量は約9~9.5mg、成人女性では約7.5~8mgとされています。はまぐりは突出して多い食品ではありませんが、魚介類の一つとして取り入れることで、免疫機能の維持に必要な亜鉛補給の一助となります。
味覚の維持
はまぐりは、味覚の維持に関わる亜鉛を含む食品です。亜鉛は舌の味蕾細胞の形成に関与し、不足すると味覚障害の原因となることがあります。特に高齢者や偏食傾向のある方では不足がみられる場合があります。はまぐりは亜鉛の供給源の一つとして、味覚の正常な維持に役立ちます。
肝機能の維持
はまぐりに含まれるビタミンB12やたんぱく質は、肝臓で行われる代謝に関与する栄養素です。ただし、特定の疾患を改善する食品ではありません。肝機能障害がある場合は、高たんぱく食が負担となる場合もあるため、医師の指示に従うことが重要です。
はまぐりを食べ過ぎて現れる症状

食中毒症状
はまぐりを含む二枚貝は、ノロウイルスや腸炎ビブリオなどの病原体を保有している場合があり、十分に加熱されていない状態で摂取すると食中毒を引き起こすことがあります。主な症状は、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの消化器症状で、場合によっては強い脱水症状を伴うこともあります。特に体力の低い高齢者や乳幼児では重症化することがあるため、中心部まで十分に加熱し、取り扱いにも注意することが重要です。
高尿酸血症・痛風発作の誘発
貝類はプリン体を含み、多量摂取により尿酸値が上昇する可能性があります。はまぐり100g中には、プリン体が104.5mg程度含まれます。高尿酸血症・痛風の診療ガイドラインでは、1日のプリン体摂取量の合計が400mg以下になるように調整することが推奨されています。特にアルコールは尿酸値を上昇させやすいため、はまぐりをおつまみに飲酒する場合は、1日の総摂取量を意識しながら適量を心がけることが大切です。
食塩過多の影響
はまぐりにはナトリウムが含まれており、さらに潮汁やみそ汁など汁ごと摂取する料理では食塩摂取量が増えやすくなります。食塩の過剰摂取は高血圧のリスク因子とされており、長期的には心血管疾患の発症リスクにも関与します。調理の際は調味料を控えめにし、1日の食塩摂取量全体を意識することが大切です。
貝毒について
食べ過ぎで必ず起こるわけではありませんが、自然毒である貝毒(麻痺性貝毒・下痢性貝毒など)を含む場合、口唇や手足のしびれ、激しい下痢、嘔吐、腹痛などの症状が現れます。重症例では呼吸困難を伴うこともあります。流通している食品は検査されていますが、自己採取した貝の摂取には注意が必要です。
はまぐりの栄養素を効率的に摂取する方法

汁ごと食べる料理
ビタミンB12は水溶性のため、ゆで汁に溶け出します。潮汁やみそ汁など、煮汁ごと摂取する調理法が有効です。
過度にゆでこぼさない
長時間の加熱やゆでこぼしは水溶性ビタミンの損失につながります。加熱は短時間で行うのが望ましいです。
ビタミンCを含む食品と組み合わせる
鉄の吸収率を高めるため、野菜や柑橘類などビタミンCを含む食品と一緒に摂ると効率が上がります。
主食・主菜と組み合わせる
はまぐり単体ではたんぱく質量は中程度です。他の魚・肉・大豆製品と組み合わせることで、1食あたりの必要量に近づけます。
アルコールと同時に大量摂取しない
プリン体を含むため、アルコールと同時に大量摂取すると尿酸値上昇のリスクが高まります。適量を意識します。
塩分を控えめに
もともとナトリウムを含むため、調味料は控えめにして栄養価を活かします。
はまぐりの保存方法や期間

生のはまぐり(殻付き)
生のはまぐりは鮮度低下が早いため、購入後はできるだけ早く調理するのが基本です。保存する場合は、まず砂抜きを行い、殻同士をこすり合わせてよく洗います。その後、軽く湿らせたキッチンペーパーで包み、密閉せずに冷蔵庫のチルド室(約5℃)で保存します。真水に浸けたまま保存すると弱ってしまうため避けましょう。 冷蔵保存の場合の目安は1〜2日以内です。すぐに使わない場合は冷凍保存も可能です。砂抜き・洗浄後に水気をよく拭き取り、殻付きのまま冷凍用保存袋に入れて冷凍します。保存期間の目安は約1か月です。調理時は解凍せず、凍ったまま加熱すると旨味が逃げにくくなります。
加熱済みはまぐり(ゆで、酒蒸しなど)
加熱済みのはまぐりは、粗熱を取ってから保存します。冷蔵する場合は、乾燥や酸化を防ぐため、できるだけ煮汁ごと保存するとよいでしょう。冷蔵保存の目安は1〜2日以内です。冷凍する場合は、むき身にして煮汁ごと小分けにし、密閉して冷凍します。保存期間の目安は約1か月です。再加熱する際は十分に加熱し、安全に配慮しましょう。
| 状態 | 保存場所 | 保存期間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 生(殻付き) | 冷蔵チルド室 | 1 〜 2日 | 砂抜き後、湿らせたペーパーで包む |
| 生(殻付き) | 冷凍庫 | 約1か月 | 砂抜き後、密封。解凍せず加熱 |
| 加熱済み | 冷蔵・冷凍 | 冷蔵:1〜2日 冷凍:約1か月 |
乾燥・酸化防止のため煮汁ごと保存 |
「はまぐりの食べ過ぎ」についてよくある質問

ここまではまぐりについて紹介しました。ここでは「はまぐりの食べ過ぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修の管理栄養士がお答えします。
はまぐりを食べ過ぎるとどんな症状が現れますか?
流田 春菜
はまぐりを食べ過ぎると、まず起こりやすいのは胃もたれや腹痛、下痢などの消化器症状です。たんぱく質や塩分を比較的多く含むため、汁物で多量に摂ると塩分過多にもつながります。また、貝類は微量のカドミウムなどを含むことがあり、通常の食事量で健康被害が生じることはほとんどありませんが、特定の食品に偏った大量摂取は避けることが望ましいとされています。肝臓はたんぱく質代謝や解毒を担う臓器であるため、極端な過食は代謝負担を高める要因になりますが、通常の食事量であれば過度に心配する必要はありません。適量を守ることが大切です。
まとめ
はまぐりは、たんぱく質に加え、鉄・亜鉛・ビタミンB12などを含む栄養価の高い二枚貝です。特にビタミンB12は少量でも推奨量を満たし、貧血予防や神経機能の維持に役立ちます。一方で、食べ過ぎると消化器症状や塩分過多、プリン体の影響による尿酸値上昇などに注意が必要です。健康な成人であれば1日50~80g程度を目安に、汁ごと調理するなど栄養を逃さない工夫をしながら、適量を取り入れることが大切です。
「はまぐり」と関連する病気
「はまぐり」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器内科の病気
- 急性胃腸炎
- 肝機能障害
循環器内科の病気
アレルギー科/皮膚科の病気
「はまぐり」と関連する症状
「はまぐり」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。
参考文献



