「ビタミンBが不足すると現れる症状」はご存知ですか?ビタミンBが多い食品も解説!
更新日:2025/06/12

ビタミンBが不足すると現れる症状とは?Medical DOC監修医がビタミンBが不足すると現れる症状・一日の摂取量・効果・不足する原因とその解消法などを解説します。

監修管理栄養士:
田中 純子(管理栄養士)
プロフィールをもっと見る
保育園、小学校、特別養護老人ホーム、障害者支援施設で調理・献立作成の経験を経て、現在は総合病院に勤務。NST業務、栄養指導(外来・入院)、治験等に携わっている。
目次 -INDEX-
「ビタミンB」とは?

ビタミンBの一日の摂取量

| 栄養素 | 推奨量 |
|---|---|
| ビタミンB1 |
成人男性 1.2~1.4mg 成人女性 0.9~1.1mg |
| ビタミンB2 |
成人男性 1.3~1.6mg 成人女性 1.0~1.2mg |
| ビタミンB6 |
成人男性 1.1~1.4mg 成人女性 1.0~1.1mg |
| ナイアシン |
成人男性 13~15mgNE 成人女性 10~12mgNE |
| パントテン酸 | 成人男性 5~6mg |
| ビタミンB12 |
成人女性 5μg 成人男性 2.4μg |
| 葉酸 |
成人女性 2.4μg 成人男性 240μg |
| ビオチン |
成人男性 50μg 成人女性 50μg |
ビタミンBの効果

ビタミンB1
ビタミンB1は糖質が代謝するときに関わるビタミンです。体内でのビタミンB1の必要量はエネルギー消費量の増大に伴って増加します。従って運動をした後など必要量が多い時は、留意が必要です。ビタミンB2
ビタミンB2は脂質が代謝するときに関わるビタミンです。ビタミンB2が不足すると脂肪が燃焼しにくく、蓄積される一方になるので太りやすくなります。皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生にも役立ちます。「発育のビタミン」ともいわれ発育促進に欠かせない栄養素です。ビタミンB6
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に欠かせないビタミンです。たんぱく質の摂取量が多い人ほど、ビタミンB6の必要量も多くなります。赤血球のヘモグロビン合成、免疫機能の維持にも不可欠です。更に、神経物質の合成にも関与しています。ビタミンB12
ビタミンB12は「赤いビタミン」とも呼ばれ、血液を作る造血作用があるのが特徴です。また神経細胞の中の核酸(DNA)やたんぱく質、脂質の合成を助け、神経伝達を円滑にします。ナイアシン
ナイアシンは、糖質・たんぱく質・脂質のエネルギー代謝に関わる栄養素です。有酸素運動が多い時やエネルギー摂取量が多い時に必要量が増加します。体内でも必須アミノ酸のトリプトファン1/60の量がナイアシンに生合成されます。パントテン酸
パントテン酸はコエンザイムA(CoA)という補酵素を作る成分となった後、エネルギー代謝や脂質の合成・分解に関わる栄養素です。パントテン酸とはギリシャ語で「どこにでもある」という意味で、あらゆる食品に含まれています。HDLコレステロールの増加や副腎皮質ホルモンの合成による抗ストレス作用にも関与しています。葉酸
葉酸はビタミンB12と共に赤血球の産生に関わる血液を作るのに欠かせない栄養素です。また、ビタミンB6・B12と共にホモシステインを分解して動脈硬化を抑える役目もしています。循環器疾患の発症予防に葉酸の積極的な摂取が有用です。更に、核酸(DNA)合成にも関与しています。妊娠を考えている女性は、妊娠前から葉酸を十分に摂っておくと良いです。ビオチン
ビオチンは、糖新生や脂肪合成に関与する栄養素で、腸内細菌によっても合成されます。皮膚や粘膜、髪、爪の健康維持に重要で、抗炎症物質を生成してアレルギー症状を緩和する働きがあります。また、血糖値に影響を与える可能性があるため、適切な摂取が推奨されます。ビタミンBが不足すると現れる症状

ビタミンB1
ビタミンB1が不足すると、食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れます。進行すると脳や神経に異常が生じるウェルニッケ脳症や脚気、乳酸アシドーシスを引き起こします。ビタミンB2
口角炎・舌炎・口唇炎・創傷治癒遅延などの口や粘膜のトラブル、脂漏性皮膚炎などの肌荒れ、目の充血などの眼膜炎があります。ビタミンB2の摂取量が0.55mg/日以下となる食事が2か月以上続くとビタミンB2欠乏の症状が起こる場合があります。約0.8mg/日以下となる食事が数か月続いた場合も、ビタミンB2欠乏の症状が出現する恐れがあります。通常、他のビタミンB群不足症状と共に起こります。ビタミンB6
貧血・口内炎・手足がしびれるといった末梢神経障害・免疫力の低下・精神的不安等の症状を引き起こす可能性があります。またビタミンB6は大腸がんの予防因子であることが報告されています。高脂肪食を摂取している方には特に有用です。ビタミンB12
動悸・息切れ・疲労感・顔面蒼白などの症状が現れる悪性貧血(巨赤芽球性貧血)や感覚消失・筋力低下などの末梢神経障害が起こります。ナイアシン
赤い発疹ができる皮膚症状、下痢や血便 認知症などの症状が現れるペラグラになります。 ペラグラはイタリア語で「皮膚の痛み」を意味します。パントテン酸
細胞内のコエンザイムA(CoA)濃度が低下するため、不眠・成長障害・皮膚炎・手や足のしびれと灼熱感が起こることが知られています。ビオチン
吐き気や抑うつ症状、皮膚炎や脱毛・白髪といった症状が起こります。また抗生物質を長く服用している場合も、不足を招く可能性があります。葉酸
胎児の神経の発達に必要な栄養素で、妊娠初期に母体が葉酸欠乏状態に陥ると神経の発達に異常が生じ、二分脊椎や無脳症などの神経管閉鎖障害のリスクが高くなります。また、葉酸不足になると巨赤芽球性貧血になりやすいです。ビタミンB12の不足である悪性貧血(巨赤芽球性貧血)と鑑別することが難しいため、その際は医師の指示に従ってください。ビタミンBが不足する原因

消化管の病気
高齢者は胃の酸性度が低下するため、ビタミンB12の吸収が不十分になり、萎縮性胃炎および胃酸減少症の炎症を起こしやすいです。また胃を摘出した方もビタミンB12の欠乏により貧血になりがちです。ただし、ビタミンB12の殆どは肝臓に蓄えられているため、貧血が発生するのは欠乏が始まってから3~5年後になります。妊娠期
妊娠中は胎児を育むために、血液量や必要摂取量の増加により、水溶性ビタミンが全体的に不足しやすくなります。ビタミンBが不足しやすい人の特徴

主食が多い・植物性食品を好む
丼物・パン・麺類などの糖質中心の食事が多い方やビーガンなどの植物性食品中心の生活をされている方は、ビタミンB群が不足する傾向があります。アルコール多飲
ナイアシンはアルコールが分解される過程でできる有害物質「アセトアルデヒド」の分解作用があります。二日酔い予防のため、飲酒の際は、ナイアシンを十分に摂ると良いです。強いストレス
ビタミンB群はGABA、ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニン・メラトニンなどの神経物質の合成が不足すると脳が疲労しストレスを感じます。ビタミンBを多く含む食品

豚肉・うなぎかば焼き・大豆・玄米
ビタミンB1は豚肉のヒレやももに多く含まれており、ニンニクや玉葱と一緒にとると吸収率が良くなります。レバー・牛乳・チーズ・卵
ビタミンB2は熱に強い性質があり、加熱料理には問題はありません。しかし光に弱く、直射日光を浴びると分解されてしまうため、保存する際は遮光性のある容器を使用すると良いです。鰹・マグロ・バナナ
ビタミンB6は鰹5切れ0.85mg、マグロ5切れ0.76mg、バナナ1本0.38mg含まれています。あさり・しじみ・さんま・レバー・海苔
ビタミンB12は植物性食品には殆ど含まれないので、菜食主義で摂取が難しい方は海苔から摂取すると良いです。鰹・マグロ・鶏肉・舞茸
ナイアシンは熱に強い性質ですが、比較的水に溶けやすい性質があります。栄養素を保持するには炒め物やスープにすると良いです。玄米・鶏レバー・納豆・牛乳
パントテン酸はあらゆる食品に入っているため不足の心配はありません。ほうれん草・納豆
葉酸は葉物野菜150gに約200μg含まれています。妊娠出産を考えている人は、予防のために、受胎前後の3か月間に通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400μg/日摂取すると良いです。きな粉・いりごま・卵
ビオチンは生の卵白を多めに摂取すると吸収が妨げられるので加熱して摂取すると良いです。ビタミンB不足を解消する方法

ビタミンBを多く含む食品の摂取
ビタミンB群は水に溶ける性質を持っているため、食材を茹でたり、水に晒したりすると、調理の途中で溶けだしてしまいます。調理によって損失するビタミンを調査した結果、最も損失するビタミンはB1(26%)・葉酸(20%)・ナイアシン(18%)でした。サラダとして生で食べたり、鍋やスープなど、汁ごと食べるメニューにすると溶け出した分も摂取できて効率的です。ビタミンBと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
糖質はビタミンB1と一緒に摂取すると効率よくエネルギーに利用されます。 豚の生姜焼きとご飯などがお勧めです。ビタミンBの効果を高める摂取タイミング
水溶性ビタミンのため、1日2~3回に分けることで効果的に摂取できます。例えば、朝夕の2回、または朝昼夕の3回に合わせると良いです。「ビタミンBが不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまでビタミンBが不足すると現れる症状などを紹介しました。ここでは「ビタミンBが不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ビタミンBが不足すると、どんな病気を発症しやすいですか?
田中 純子
例えば、便秘や肌荒れに悩んでいる方はビタミンBで腸内環境を改善し、便秘からくる肌荒れも防止することができます。便秘薬にビタミンBが処方されているケースはよく見られます。



