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「脂漏性皮膚炎」を発症しやすい部位はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2023/01/17
「脂漏性皮膚炎」を発症しやすい部位はご存知ですか?医師が監修!

脂漏性皮膚炎とは髪の生え際あたりからTゾーンなどといった皮脂の分泌の多い箇所に、赤みのある湿疹(頭皮部なら脂っぽいフケ)が生じる疾患です。

脂漏性皮膚炎には市販の治療薬が販売されていますが、症状が似ていても脂漏性皮膚炎ではない疾患の可能性があるので注意する必要があります。

その症状が脂漏性皮膚炎かそうでないかは病院で診察してもらうことで判明しますが、ある程度知識を持っておくのは大切です。

脂漏性皮膚炎の特徴や発症する原因・予防方法などをご紹介します。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

脂漏性皮膚炎の症状・原因

鏡を見る女性

脂漏性皮膚炎はどんな病気ですか。

脂漏性皮膚炎は体の部位のうち、皮脂の分泌が多い箇所に赤みを帯びた湿疹が生じる病気です。湿疹部ではやや黄色がかった湿り気を持つ皮膚や、乾燥した鱗状の皮膚が剥がれ落ちます。
頭皮部で生じると脂っぽいフケが出ることが多いですが、脂漏性皮膚炎により脱毛が起こるケースもあります。また脂漏性皮膚炎は新生児期から乳幼児期に発症する「乳児型」と、思春期以降に発症する「成人型」の2タイプがある病気です。

症状が出やすい部位はどこですか。

脂漏性皮膚炎の症状が出やすいのは、髪の生え際を中心とした頭皮部分・Tゾーン(両眉毛から鼻筋にかけての部分)・鼻の両脇・耳の後ろ・脇の下・胸・股間といった皮脂の分泌が多い部位です。
なお脂漏性皮膚炎の特徴として、左右対称に発症するというものがあります。体の左右どちらかだけにできた湿疹は、脂漏性皮膚炎とは別の病気と診断される可能性が高いです。

なにが原因で発症しますか。

脂漏性皮膚炎の原因は皮膚に常在するカビ(真菌)の1種、マラセチアによるとされています。マラセチアは皮膚から分泌される皮脂を栄養源としていますが、皮脂の分泌が過剰になるとマラセチアが異常に増殖し、これが皮膚炎を起こす原因の1つと考えられています。
もう1つの原因としては、皮脂に含まれるトリグリセリドという成分をマラセチアが遊離脂肪酸へと分解し、その遊離脂肪酸が皮膚を刺激することが挙げられるでしょう。
なおマラセチアが異常増殖する根本的な原因は、明確には分かっていません。

年齢・性別・季節で違いはありますか。

脂漏性皮膚炎は老若男女で発症する可能性がありますが、年齢や性別などで発症する可能性の高さが違ってきます。それぞれの項目で説明していきましょう。

  • 年齢:前述の通り乳児型と成人型の2つのタイプがありますが、乳児型の場合は自然に治ります。成人型では皮脂の分泌が多い思春期から成人期あたりの年代が、脂漏性皮膚炎になる可能性が高いでしょう。
  • 性別:男性ホルモンが皮脂の分泌を活発にする作用があるため女性に比べて男性の方が皮脂の分泌が多く、脂漏性皮膚炎になる確率は高くなります。なお、女性の場合は女性ホルモンの作用で男性ほど脱毛は多くない傾向です。
  • 季節:脂漏性皮膚炎の原因とされるマラセチアはカビの1種なので、高温多湿な環境で増殖する可能性が高くなります。したがって梅雨時期には発症する確率も高くなるでしょう。

脂漏性皮膚炎は他人にうつりますか。

発祥の原因となるマラセチアはカビ(真菌)の1種なので他人にうつすと思われるかもしれませんが、脂漏性皮膚炎は他人にうつすことはありません。前述のようにマラセチアは常在する菌であり誰でも持っているので、条件が揃ってしまえば誰にでも発症する可能性があります。
そういった意味で同じ条件のもとにいた人たちが発症したらうつしてしまったと考えてしまうかもしれませんが、脂漏性皮膚炎は人にうつる病気ではありません。

脂漏性皮膚炎の診断・治療法

相談する女性

脂漏性皮膚炎はどのように診断されますか。

脂漏性皮膚炎は症状の状態によって乾癬・アトピー性皮膚炎・接触皮膚炎・白癬・酒さといった他の疾患との鑑別が難しい病気です。そのため問診とともに身体診察は不可欠となります。
乳児型では痂皮(いわゆるかさぶた)を伴った黄色で厚い頭皮病変が生じることがあります。成人型ではフケ・鱗屑(眉毛・鼻・外耳の周辺・耳介後部・腋窩・胸骨部)が生じることになるでしょう。
ただ乾いたフケだけが出る場合はいわゆるフケ症だったということもあるため、他の疾患と違う脂漏性皮膚炎に特有の特徴、例えば左右対称の部位に炎症を生じるというような特徴を確認しながら診断していきます。

どのような治療を行いますか。

治療方法については乳児型と成人型では違ってきます。それぞれの治療について見ていきましょう。

  • 乳児型:乳児にはベビーシャンプーで連日洗髪します。頭皮や顔面の発赤・鱗屑にはヒドロコルチゾン1〜2.5%クリームやフルオシノロン0.01%オイルを1日1〜2回の頻度で使用します。重症の場合はケトコナゾール2%クリームやエコナゾール1%クリームといった外用抗真菌薬が効果を示す可能性があるでしょう。幼児の頭皮の厚い病変には就寝前に、鉱物油・オリーブ油・コルチコステロイドのゲル剤もしくはオイル剤を患部に塗布し歯ブラシ等で擦り込みます。また鱗屑がなくなるまで毎日シャンプーすることも必要です。
  • 成人型:頭皮の病変にはピリチオン亜鉛・硫化セレン・硫黄およびサリチル酸・ケトコナゾール(2%および1%)・タール含有シャンプー(店頭で購入可能)をフケが抑えられるまで毎日か隔日に、それ以後は週2回程度使用します。コルチコステロイドローション(フルオシノロンアセトニド0.01%溶液・トリアムシノロンアセトニド0.025%ローションなど)を落屑と発赤が抑えられるまで1日2回、頭皮その他の有毛部への擦り込みも有効でしょう。耳介後部・鼻唇溝・眼瞼縁・鼻梁部にはヒドロコルチゾン1〜2.5%クリームの1日2〜3回塗擦が有効です。なお薬品によっては有害となるものもあるので医師との相談も必要な場合があります。

自然に治ることはありますか。

乳幼児がかかる乳児型の脂漏性皮膚炎は大抵の場合一過性で自然に治るケースが多いのですが、成人型の脂漏性皮膚炎では自然に治ることは難しいでしょう。一度脂漏性皮膚炎にかかってしまうと、良くなったり悪化したりと慢性化や再発を繰り返してしまいます。
赤みを帯びる程度や軽い痒みなどを伴う症状なので放置してしまいがちですが、早めに適切な治療を行うよう、病院で診察することが大切です。

脂漏性皮膚炎の予防・注意点

石鹸

脂漏性皮膚炎の予防法はありますか。

脂漏性皮膚炎は誰でも発症する病気ではありますが、予防は可能です。以下の点に気をつけて普段の生活を送りましょう。

  • 清潔を保つ:皮脂の分泌の多い部位は余分な皮脂を洗い落とすことが重要です。特に正しい洗顔と洗髪を心がけましょう。洗顔と洗髪では刺激の少ない洗顔料やシャンプーを選択するのがポイントです。
  • 生活習慣の見直し:日常的な睡眠不足や過度のストレスは皮膚の症状を悪化させる要因になります。十分な睡眠とストレスを溜め込まない生活を送るように心がけましょう。
  • 食生活の見直し:脂っこい食事を続けていると皮脂の分泌が多くなり、マラセチアの増殖につながります。脂の多い食事やアルコールは控えめに、皮膚の代謝を改善するビタミンB群(特にB2とB6)・ビタミンCを多く摂り、皮膚のダメージ回復を促しましょう。

シャンプーするときの注意点を教えてください。

シャンプーのとき、特に気をつけたいのは爪を立て強く擦って洗わないということです。頭皮の皮脂を落とそうとつい爪を立て強く擦ってしまいがちですが、頭皮を傷つけて症状を悪化させてしまいます。
指の腹で優しく頭皮を撫でるようにシャンプーしましょう。また低刺激のシャンプー・抗真菌剤入りのシャンプー・フケ取りシャンプーなどを使用することで、脂漏性皮膚炎の改善に効果的な場合もあります。
なお、使用する際はシャンプー後の洗い残しがないよう十分にシャワーで流してください。

マスクは着用していいですか。

コロナ感染予防・春先の花粉症対策・冬のインフルエンザ感染予防と、マスクの使用は日常生活に欠かせないものとなりました。それに伴いマスクによる肌荒れが気になる人も増えてきたのは事実でしょう。
脂漏性皮膚炎を考慮した場合、長時間のマスク着用は良いとはいえません。マスクによって鼻や口の周囲が蒸れるので、脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチアの増殖を促すことになってしまうのです。
マスクを外して良い状況のときはなるべく外し、長時間のマスク着用はできるだけ避けましょう。また刺激の少ない素材(コットン)のマスクを選ぶことにより、脂漏性皮膚炎の悪化を軽減できる場合もあります。帰宅後には適切なスキンケアを心がけてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

脂漏性皮膚炎は誰もが持つカビの1種、マラセチアという真菌によって発症する病気です。発症しやすい条件があるとはいえ、身近な病気の1つと考えてよいでしょう。規則正しい生活と清潔さを保つことにより予防を心がけたいものです。それでももし脂漏性皮膚炎になってしまったら、症状が軽いからと放置するのではなく、早めに専門医の診察を受け適切な処置を施すことをお勧めします。

編集部まとめ

女性
脂漏性皮膚炎について、その症状・原因・治療・予防などを見ていきました。直接の原因ではないものの、生活の乱れやストレスなども発症のきっかけとなる病気です。

ふと考えてみれば花粉症や感染症の対策によるマスクの日常的な着用など、現代の社会環境は脂漏性皮膚炎が発症する因子になってきています。

自分の生活習慣を整えるのと同様に、できる範囲で環境を整えることが、脂漏性皮膚炎の効果的な予防につながるのかもしれません。