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「ナトリウムが不足すると現れる症状」はご存知ですか?ナトリウムが多い食品も解説!

 公開日:2024/12/25
「ナトリウムが不足すると現れる症状」はご存知ですか?ナトリウムが多い食品も解説!

ナトリウムが不足すると現れる症状とは?Medical DOC監修医がナトリウムが不足すると現れる症状・摂りすぎると現れる症状・一日の摂取量・不足する原因とその解消法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「ナトリウム」とは?

「ナトリウム」とは?

ナトリウムは人体に欠かせない必須ミネラルの一つで、体内では血液中の血漿や細胞間液などの細胞外液に存在します。
ナトリウムは、体内で以下のような重要な働きを担っています。

細胞外液の浸透圧の調整
カリウムとともに血圧を調整
ほかのミネラルが血液中に溶けるのを助ける
筋肉の収縮を正常に保つ
神経伝達を正常に保つ
胆汁・膵液・腸液などの材料になる

体内ではナトリウムを作り出せないため、主に食塩として食べ物から摂取しなければなりません。
体内のナトリウム量は腎臓で調節されており、摂取したナトリウムの多くは小腸で吸収された後、尿で排出されます。
健康で通常の食事をしていれば不足する心配は少ないものの、水と電解質のバランスが崩れると不足する場合があります。
また、摂りすぎても悪影響を及ぼすため注意が必要です。
今回の記事では、ナトリウム不足もしくは摂りすぎで現れる症状、一日の摂取量や不足する原因などを解説します。

ナトリウムの一日の摂取量

ナトリウムの一日の摂取量

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によれば、成人男性の摂取量は1日あたり7.5g未満、女性は6.5g未満に抑えることが推奨されています。ナトリウムの推定平均必要量は成人で600mg(食塩相当量1.5g)ですが、多くの人がこれを超える量を摂取しているのが現状です。

ナトリウムが不足すると現れる症状

ナトリウムが不足すると現れる症状

疲労感・食欲不振

体内の水分量減少に伴いナトリウムが不足すると、血液量も減って脳へ栄養や酸素が行き届かず、疲労感や倦怠感を感じます。消化液の分泌も減り、食欲不振になることもあるでしょう。症状がある場合は、スポーツドリンクや経口補水液などで水分とナトリウムを補給することが大切です。経口摂取できず悪化する場合は、医療機関で受診し経静脈投与でナトリウムを補給します。

吐き気・嘔吐

脳機能の障害や消化液分泌の減少を引き起こし、吐き気や嘔吐が起こる場合もあります。吐き気や嘔吐がある場合は一度に大量の水分補給をすると余計に吐き気を促すため、こまめに少量ずつ水分とナトリウムを補給しましょう。経口補給できないときは、医療機関で受診し必要に応じて輸液を受けましょう。

頭痛

血液循環が悪化して脳へ十分な栄養や酸素が供給されず、頭痛が起こることがあります。起きた頭痛がナトリウム不足によるものと判断しにくいケースも多いため、注意が必要です。頭痛がある場合は安静にし、脱水が疑われるときは水分とナトリウムを補給しましょう。

筋肉痛・筋肉けいれん

筋肉の浸透圧変化で筋肉痛が生じる場合があり、重篤になると筋肉けいれんが起こるケースもあります。症状が出たら、水分と塩分を適切に摂取し安静にしましょう。熱中症が疑われる場合は、涼しい場所で休むことも大切です。様子を見ても改善が見られなければ、医療機関で受診してください。

意識障害

ナトリウムは中枢神経系に大きく関係しているため、急激に不足すると脳に影響がおよび、重篤なケースでは意識障害になる可能性があります。重症化すると昏睡やけいれんに陥り、命に関わることもあるため注意が必要です。意識障害が出たときは緊急の状態です。救急車を呼び、早急に救急外来で受診してください。

ナトリウムを摂りすぎると現れる症状

ナトリウムを摂りすぎると現れる症状

手足や顔などのむくみ

高くなった血中のナトリウム濃度を下げようと体内に水分を溜め込み、むくみが生じることがあるでしょう。顔や手足が腫れぼったく感じたり、皮膚を押すと跡が残ったりします。ナトリウムの摂りすぎによるむくみは、塩分の摂取を控え、カリウムを多く含む野菜や果物を摂取しナトリウム排出を促すと改善が期待できます。

のどの渇き

血中ナトリウム濃度が高くなると中枢神経が刺激され、水分摂取で濃度を下げようとしてのどが渇きます。水分補給は大切ですが、一度に大量の摂取はむくみや高血圧を招くため、少量をこまめに摂りましょう。

高血圧

血中のナトリウム濃度を下げるために水分を摂取すると、血液量も増えて血圧が上がります。高血圧の状態が続くと、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞のリスクが高まります。また、高血圧は心臓への負担が大きく心不全の原因にもなるため、日常的に塩分控えめの食事を心がけることが大切です。

ナトリウムが不足する原因

ナトリウムが不足する原因

多量の発汗・激しい下痢・嘔吐

汗にはミネラルも含まれており、多量に汗をかくとナトリウムも一緒に失われ不足する場合があります。また、激しい下痢や嘔吐でもナトリウムが失われます。脱水予防のために水分のみを大量に補給すると、体内のナトリウム濃度が低下してしまうため注意が必要です。

高齢

高齢者は細胞内液量や体内水分量の減少、腎機能低下などにより、水分とナトリウムのバランスが崩れやすくなります。また、病気治療のための薬剤服用もバランスを崩す原因の一つです。ナトリウム不足の原因となる薬剤には、利尿剤・抗うつ薬・抗精神病薬・抗てんかん薬など、さまざまなものがあります。

ホルモン異常

抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌異常があると、ナトリウム不足を引き起こします。抗利尿ホルモンは、尿量を調節するホルモンです。バソプレシンが増加する抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)になると、体内に水分が溜まって血中のナトリウム濃度が低下します。

心不全や肝硬変などの病気

心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群・腎不全などの浮腫を生じる病気も、ナトリウム不足の原因です。体内のナトリウム増加よりも水分量増加が上回り、ナトリウム濃度が低下しやすくなります。病気が原因の場合は、水分制限や利尿薬などでナトリウム不足を改善します。

ナトリウム不足に関連する病気・疾患

ナトリウム不足に関連する病気・疾患

低ナトリウム血症

血中のナトリウム濃度が135 mEq/l未満になった病態のことです。病気・薬剤・ホルモン異常・下痢などの要因によって、血中のナトリウム量と水分量のバランスが崩れると発症します。軽度の場合は軽い疲労感程度ですが、重度になると精神症状・昏睡・けいれんなどが起き、命に関わる場合もあります。症状があるときは早期の水分調節とナトリウム補給が重要で、重度の場合は早急に医療機関の受診が必要です。診療科は、腎臓内科や内分泌内科がよいでしょう。

ナトリウムを多く含む食品

ナトリウムを多く含む食品

ナトリウムを多く含む商品には、以下のようなものがあります。

食塩・みそ・しょうゆなどの調味料
ハム・ウィンナーなどの食肉加工品
はんぺん・かまぼこなどの魚肉練り製品
即席めん
漬物

健康で通常の食事を摂っていれば不足する心配は少なく、意識して普段から塩分を摂取する必要はありません。ただし、水分とミネラルのバランスが崩れやすい高齢者が無理な減塩をすると、食欲低下や脱水症状を引き起こすことがあるため注意が必要です。

ナトリウム不足を解消する方法

ナトリウム不足を解消する方法

ナトリウムを多く含む食品の摂取

ナトリウムは塩・しょうゆなどの食塩を含む調味料や、ハム・ウィンナー・練り製品などに多く含まれています。ナトリウム不足を解消するためには、通常の食事をしっかり摂ることが大切です。また、発汗や下痢などでナトリウム不足が懸念される場合は、経口補水液やスポーツドリンクなどで適切に補給するとよいでしょう。

ナトリウムと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

カリウムはナトリウムとともに細胞の浸透圧調整や水分保持に大きく関わる必須ミネラルで、一緒に摂取すると効果的です。カリウムは、藻類・果物・いも・豆・野菜なども多く含まれています。水溶性のため、生のまま摂取すると効率的です。また、カリウムは余分なナトリウムの排出を促進し、血圧を下げる作用もあります。

ナトリウムの効果を高める摂取タイミング

多量の発汗や激しい下痢などナトリウムが失われやすい状況にあるときは、こまめに水分と塩分を補給しましょう。ただし、夜遅い時間帯に摂取すると体外に排出されにくいという報告もあり、普段の夕食の時間を遅くしすぎないことが大切です。

「ナトリウムの不足」についてよくある質問

「ナトリウムの不足」についてよくある質問

ここまでナトリウム不足について紹介しました。ここでは「ナトリウムの不足」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ナトリウムと塩分の違いについて教えてください。

武井 香七武井 香七 医師

ナトリウムは元素で、塩分(食塩)はナトリウムイオンと塩素イオンが結合した塩化ナトリウムです。体内ではナトリウムを作り出せないため、食塩の形で摂取します。食品中のナトリウム量は、栄養成分表示で食塩相当量として記載されています。食塩相当量は、ナトリウム量に2.54をかけた数値です。

編集部まとめ

ナトリウムが不足すると疲労感・食欲低下・吐き気・頭痛などの症状が現れ、重症化すると意識障害や昏睡が生じ命に関わる危険もあります。
健康で通常の食事を摂っていれば不足する心配は少ない栄養素ですが、大量発汗や激しい下痢、疾患などで不足する場合があり注意が必要です。
ナトリウム不足が懸念されるときはこまめに水分と塩分を補給し、ナトリウム不足による症状が続く場合や重い症状があれば早急に医療機関を受診しましょう。

「ナトリウムの不足」と関連する病気

「ナトリウムの不足」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

消化器科の病気

内分泌科の病気

  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)

「ナトリウムの不足」と関連する症状

「ナトリウムの不足」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲労感・倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛

この記事の監修管理栄養士