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「紫斑病」とは?症状・原因・治療法について詳しく解説!

 更新日:2023/04/03
「紫斑病」とは?症状・原因・治療法について詳しく解説!

紫斑病とは皮下出血による紫色のあざ(紫斑)ができやすくなる病気の総称をいい、その中には複数の疾患が含まれます。

皮下出血による紫斑は、一時的なものなら誰にでもあるものなので心配はありません。

しかし、複数の紫斑が現れる・点状の紫斑が広範囲に現れる・紫斑を繰り返しているなどの場合は注意が必要です。

今回は紫斑病の詳しい症状と、特徴や治療方法などを紹介していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

紫斑病とはどんな病気?

紫斑病とはどんな病気?

紫斑病にみられる症状を教えてください。

  • 紫斑病にかかると下記のような症状がみられます。
  • 一度に複数の紫斑が現れる
  • 小さい点状の紫斑が広範囲に現れる、またはだんだん広がってきている
  • 紫斑ができる頻度が増え、一度消えても繰り返し現れる
  • などの症状の場合は紫斑病の可能性が高いです。一時的なものであればとくに心配はありませんが、白血病や血友病などの病気が隠れていることもあり、上記のような症状がある場合は一度病院に行き相談してみることをおすすめします。

紫斑は何が原因で発症しますか?

  • 紫斑ができる原因は下記のように主に7つあり、その中でも病的なものとそうではないものとに分けられます。
  • 血小板の減少または増加によるもの
  • 血管の炎症や異常によるもの
  • 血小板の機能異常
  • 血液の凝固異常
  • ぶつけたなどの外的要因
  • 体質や年齢による変化
  • アスピリンなどの服用による薬剤性のもの
  • 外的要因に思い当たることがある場合や、体質的に皮下出血を起こしやすい方は、病的な理由ではないためあまり心配はありません。また、薬剤性の紫斑も薬の副作用によるものが多いです。
  • そして紫斑ができやすくなる病的な原因としてあげられるのが、血小板数の異常や血管の異常によるものです。血小板は血液の3大成分の1つで主に止血の役割があり、血小板が減少すると少しの怪我でも出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりします。また、血小板が過度に増加すると止血機能が低下してしまい、出血しやすくなることがあります。
  • ほかにも、血管の異常も紫斑の原因の1つとしてあげられますが、これは血管の壁が炎症などが原因でもろくなってしまい、血液が漏れやすくなってしまうためです。血小板数の異常によりできる紫斑を「血小板性紫斑」、血管の異常によりできる紫斑を「血管性紫斑」と呼びます。
  • 血小板性紫斑の原因となる病気には、特発性血小板減少性紫斑病や血栓性血小板減少性紫斑病といったものから、再生不良性貧血や急性白血病などの血液腫瘍の病気によるものもあります。

紫斑病を発症しやすい人の特徴を教えてください。

  • 紫斑病は体質や年齢により発症する原因が異なるため、発症しやすい人の特徴というのは特にありません。
  • しかし、アレルギー性のものであれば3歳~10歳、老人性紫斑病であればその名のとおり高齢者に発症しやすいというように発症しやすい年齢はある程度わかっています。
  • また、過度のストレスにより免疫機能の異常を引き起こし発症する可能性があるとも考えられており、研究が進められています。

紫斑病にはいくつか種類があると聞いたのですが、どんな違いがありますか?

  • 紫斑病と呼ばれるもので代表的なのは、特発性血小板減少性紫斑病・血栓性血小板減少性紫斑病・アナフィラクトイド紫斑病などのアレルギー性紫斑病(IgA血管炎)の主に3つです。
  • 特発性血小板減少性紫斑病は免疫抗体の異常により、自らの血小板を破壊してしまい血小板が減少する病気です。急性期・慢性期があり、急性期は小児に、慢性期は成人に多くみられます。紫斑のほかに歯茎からの出血や鼻血などの症状がでることもあります。血栓性血小板減少性紫斑病は、血小板の凝固を調整する酵素機能が低下し、血小板の凝固力が高まって血栓が多量にできてしまうために血小板が減少する病気です。紫斑のほかに溶結性貧血や腎臓や脳の機能障害などの症状が現れることがあります。どちらの病気もはっきりとした原因がわからず、厚生労働省の指定難病に認定されています。
  • アレルギー性紫斑病はほかの2つと違い、血管性の病気です。こちらもはっきりとした原因はわかっていませんが、発症したほとんどが3歳~10歳の小児であり、溶連菌やマイコプラズマ感染症などに引き続いて発症することが多いです。

紫斑病の診断・検査方法とは

紫斑病の診断・検査方法とは

紫斑病の検査内容を教えてください。

  • 紫斑病が疑われる場合、血液検査が主に行われます。
  • 血小板や凝固因子の数を検査し、これらが減少しているかどうかを調べます。
  • また、アレルギー性紫斑病が疑われる場合には尿検査をすることもあり、紫斑以外に腹痛などの症状がある場合はレントゲンや腹部CTなどで臓器に異常がないかを調べることも必要です。

検査にはどのくらいの時間が掛かりますか?

  • 検査自体は診察日に終わることが多く、尿検査やレントゲンなどの画像診断の結果はその日のうちに聞くことができる病院もあります。
  • 血液検査は調べる項目によって検査にかかる日数が異なるため、結果が出るまでに数日かかることが多いです。

紫斑病を疑う場合、何科を受診するのがベストですか?

  • 小児の場合は小児科を受診するのがよいです。
  • かかりつけの病院がある方はそちらで相談してみるのが一番ですが、かかりつけ医がない方は、まずは皮膚科の受診をおすすめします。

紫斑病を放っておくことのリスクを教えてください。

  • 紫斑ができても一時的なものですぐに消えてしまう場合は、そこまで心配はありません。しかし、紫斑が繰り返しできたり、範囲が広い場合は一度病院を受診してみましょう。
  • 紫斑病はその原因により厚生労働省が認定する指定難病の場合があります。また、紫斑病の裏に急性白血病や再生不良性貧血などの重大な病気が隠れていることもあり、放置するのは大変危険です。
  • 放置すると、場合によっては脳や消化管などの重要な臓器から出血するケースもあり、命に関わる危険もあります。

紫斑病の治療方法と注意点

紫斑病の治療方法と注意点

紫斑病の治療法を教えてください。

  • この病気は、原因やその時の病状により治療法が異なり、特発性血小板減少性紫斑病であればステロイド療法免疫抑制剤を使うことが多いです。
  • また、血小板の数を増やす薬が使われることもあり、薬の効果が得られない場合には血小板を破壊する脾臓の摘出手術を行うこともあります。血栓性血小板減少性紫斑病では、血液の成分である血漿を新鮮なものと交換する処置が基本的な治療です。
  • 状態に応じてステロイド療法などが併用されることもあります。アレルギー性紫斑病には根本的な治療法がなく、対症療法が基本になります。

紫斑病は完治するものですか?

  • アレルギー性や血管性の紫斑病は安静にしていれば症状が治まることが多く、免疫抑制剤を使用したり入院したりする場合もありますが、完治できるものがほとんどです。

治療中、または治療後に注意すべきことがあれば教えてください。

  • 日常生活において行動の制限をする必要は特になく、ストレスを溜めないようにして規則正しい生活を送るようにしましょう。
  • 血小板数が低く出血がしやすい場合は、出血の原因にもなりやすいため重労働や激しいスポーツなどは控えた方がよいです。

予防方法などはありますか?

  • 紫斑病になる原因がはっきりと解明されていないため、予防できる方法もわかっていません。
  • あざができやすくなったり内出血を繰り返したりといった症状がみられる場合は、早めに病院を受診するようにしましょう。

最後に、読者へひと言お願いします。

  • 紫斑病は原因がわかっていないために明確な予防法がありませんが、症状によっては自然治癒もあり得る病気です。
  • 「ぶつけた記憶がないのに内出血ができている」「点状の内出血が広い範囲にある」などの症状がある場合は一度病院を受診しましょう。
  • 内出血ができてもすぐに消えてなくなる場合はそれほど心配はなく、何度も繰り返すようであれば病院で検査を受けてみることをおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ
紫斑病にかかってしまった場合、まずは安静にしストレスをためないようにすることが大切です。

症状が重度のときは免疫抑制剤の使用や入院して治療をすることもありますが、治療後の予後に問題はなく、ほとんどの方が完治します。

あざができやすい・内出血がなかなか消えない・細かい点状の内出血が広がっているなどの症状がある場合は早めに病院を受診し、検査してもらうのが一番です。

紫斑病は放っておくと脳などの臓器から出血することが多く、放置しておくのは大変危険です。

この記事の監修医師