「大豆イソフラボンの効果」はご存知ですか?男女別に解説!【管理栄養士監修】

大豆イソフラボンの効果とは?Medical DOC監修医が大豆イソフラボンの男女別の効果・一日の摂取量・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「大豆イソフラボン」とは?
イソフラボンとは、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分であるポリフェノールの一種です。
大豆イソフラボンにはグリコシド型(配糖体)・アグリコン型(非配糖体)の2種類があります。糖が付いているか否かの違いです。
アグリコン型はすばやく吸収でき吸収率も高く、大豆食品では味噌だけが麹菌の酵素で糖が分解されたアグリコン型になっています。
どのような食品でも摂取量が多過ぎるのも少な過ぎるのもよくありません。適量を摂取することが大切です。
大豆イソフラボンの一日の摂取量
食品安全委員会によると、大豆イソフラボンアグリコンの1日摂取量の上限値70~75mg/日です。これは、毎日欠かさず長期間摂取する場合における平均値の上限値です。そのため、上限値を超えてもすぐに健康被害に結び付くことはありません。
【男性】大豆イソフラボンの効果
薄毛予防
男性型脱毛症のAGAの原因物質はジヒドロテストステロンといわれています。頭皮にある酵素の5αリダクターゼと男性ホルモンのテストステロンが結びついたものです。イソフラボンは5αリダクターゼの働きを阻害するので、薄毛の予防効果が期待できるでしょう。
骨粗しょう症の予防
運動と大豆イソフラボンの併用が骨量減少をより効果的に抑制する研究結果があります。骨粗しょう症は女性がなりやすいイメージを持つ方が少なくないでしょう。しかし、男性でも骨粗しょう症になります。40~50代でテストステロン減少が始まりますが、骨量減少は血中の男性ホルモン濃度より、女性ホルモン濃度と強く関係していることが臨床データから示されています。そのため、男性の骨粗しょう症にも効果を期待できるのです。
生活習慣病の予防
フラボノイド系ポリフェノールには大豆イソフラボンも含まれ、スーパーオキシドや一重項酸素を無毒化する作用があります。生活習慣病の予防と改善に大切なのは体内で増えた活性酸素の除去です。糖尿病や高血圧では、認知症やアルツハイマー型認知症が少なくないことが証明されています。
前立腺肥大の予防
男性更年期のなかでも特に注意したいのが男性ならではの器官のトラブル、前立腺肥大です。イソフラボンは前立腺肥大を悪化させる悪玉男性ホルモンを抑制します。前立腺肥大の予防にイソフラボンを勧める医師も増えているようです。
前立腺がんの予防
大豆製品・ゲニステイン・ダイゼインの摂取量が多い程、前立腺内にとどまる限局性前立腺がんのリスクが低下するという調査結果があります。ゲニステイン・ダイゼインは大豆イソフラボンの一種です。人生のどの時期にどれくらい摂取すれば予防できるのか今後の研究が期待されます。
【女性】大豆イソフラボンの効果
美肌効果
女性ホルモンのエストロゲンが分泌されると肌のコラーゲン量が増え、ヒアルロン酸を留める働きも助けられます。肌の滑らかさ・潤い・ハリ・弾力・美白などを保てるでしょう。紫外線やストレスで体内に発生する活性酸素が肌細胞を攻撃しても、強い抗酸化作用を持つイソフラボンの摂取で肌のコラーゲン酸化・分解を抑制できます。
バストアップ効果
豆乳に多く含まれる栄養素のなかで胸が豊かになると注目されるのが、大豆イソフラボンです。美のホルモンと呼ばれるエストロゲンは女性らしい丸みを帯びた体形、髪や肌のハリ・ツヤを作ります。エストロゲンが大量分泌される生理中と妊娠中はホルモンバランスが崩れるため、過剰摂取に注意しましょう。
ダイエット効果
豆乳には大豆イソフラボンや大豆たんぱく質も含まれます。大豆たんぱく質はダイエットに効果的で畑の肉とも呼ばれます。動物性食品に匹敵する程の良質なたんぱく質であるためです。必要なたんぱく質を摂取しつつ、動物性食品に比べて脂質やエネルギーを控えることができます。
更年期障害の軽減
大豆イソフラボンを多く摂取する人は、ホットフラッシュが見られにくいとの報告があります。ホットフラッシュとは更年期のほてり・のぼせなどです。不足しているエストロゲンに代わり、その受容体と反応して補足的に働きます。大豆イソフラボンの摂取で更年期の症状が楽になるでしょう。
乳がん予防
イソフラボンは植物性ホルモンといわれる物質で、化学構造がエストロゲンと似ています。乳がんの発生を促進するのがエストロゲンです。イソフラボンの女性ホルモン抑制により、乳がんの予防効果があるのではと考えられています。
大豆イソフラボンを多く含む食品
豆腐
豆腐には血糖値の急激な上昇を抑える効果があるため、主食と一緒に摂取するとよいでしょう。例えばご飯と一緒に食べると炭水化物の吸収を穏やかにし、血糖値をコントロールしやすくなります。
納豆
血液サラサラの効果を得たい場合、納豆を夜に食べることをおすすめします。夜間高血圧の方も夜に食べるとよいでしょう。腸管が活発になる朝に、たんぱく質が豊富で腸内細菌を整える効果がある納豆を摂るのもよいです。
豆乳
栄養価の高い豆乳は朝食に取り入れるのがおすすめです。一日のエネルギー源となり、朝からしっかりと栄養補給できるでしょう。朝食に含まれる食物と一緒に摂ると栄養吸収をサポートする効果も期待できます。
油揚げ
油揚げには鉄分やたんぱく質が多く含まれており、主食で手軽に鉄分がとれます。胃のなかで胃酸が十分に行きわたると鉄の吸収もよくなるため、よく噛んで食べましょう。
きな粉
粉末にしたきな粉は大豆の栄養を丸ごと食べられます。消化吸収に優れ、栄養素を効率よく体内に取り入れることが可能です。お菓子や料理にも合うのでドリンクに混ぜたりヨーグルトに加えたりするなど、毎日の食事に手軽に取り入れられます。
大豆イソフラボンの効果的な摂取方法
大豆イソフラボンを多く含む食品の摂取
摂取量は1日40~50mgを目標にしましょう。目安量は豆腐約1/2丁(110g)・納豆1パック(40g)・煮豆約80gです。
- 納豆
- 大豆飲料
- 豆腐
- 油揚げ
- 大豆煮
- きな粉
- みそ
大豆イソフラボンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
カルシウムと一緒に食べると骨粗しょう症を防ぎます。牛乳・小魚・青菜などの食品と一緒に食べましょう。あじ・さば・ぶりなどの青魚やきのこ、海藻類と一緒に食べると悪玉コレステロールを下げるのでおすすめです。食物繊維には食事でとったコレステロールを吸着して排出する働きがあります。肉・魚・卵などのタンパク質を一緒に食べて得られる効果は、美肌です。
大豆イソフラボンの効果を高める摂取タイミング
豆乳を飲むのにおすすめのタイミングは朝食です。食後の急激な血糖値の上昇を抑えて緩やかな状態にし、次の食事でも作用が続く優れた食品です。生理中や妊娠中は避けてください。エストロゲンが大量分泌される時期にイソフラボンが加わると、ホルモンバランスが崩れます。粉末状のおからパウダーは食前に食べると満腹感を感じやすく少量でも満腹感が得られ、食事や間食のとり過ぎを防ぎダイエットに効果的でしょう。
「大豆イソフラボンの効果」についてよくある質問
ここまで大豆イソフラボンの効果を紹介しました。ここでは「大豆イソフラボンの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大豆イソフラボンはどのような症状や疾患に効果がありますか?
武井 香七 医師
乳がん・子宮がん・卵巣がんの発生率が大豆製品を多く摂る日本は低く、摂取量とがんの発生率に関係があると考えられています。アルツハイマー病の進行を止めた症例もあり、記憶力を高めてやる気を起こす働きもあるといわれています。
大豆イソフラボンの副作用となる症状について教えてください。
武井 香七 医師
健康食品やサプリメントを摂取し体調に異常を感じたら、ただちに摂取を止めて医師に相談してください。報告されている症状は以下のとおりです。
嘔吐・腹痛・下痢などの消化器障害
発疹やじんましんなどの皮膚障害
月経不順や不正出血など女性特有の内分泌疾患
頭痛・乳房の異常
上記以外にも呼吸器障害やそのほかの副作用が報告されています。若い女性を中心に健康被害が増えており、強過ぎる成分の過剰摂取に注意が必要です。
編集部まとめ
大豆イソフラボンの男女別の効果・一日の摂取量・多く含む食品・効果的な摂取方法を解説しました。
成分が凝縮されているサプリメントなどは、副作用に注意が必要なこともおわかりいただけたでしょう。
大豆イソフラボンはほかの食品との組合せや調理法で、日々の食事に取り入れることが可能です。無理のないよう続けてください。
本記事が大豆イソフラボンを活用し、健康づくりに取り組みたい方の一助となれば幸いです。
「大豆イソフラボン」と関連する病気
「大豆イソフラボン」と関連する病気は8個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
骨の病気
- 骨粗しょう症
生活習慣の病気
男性の病気
- 男性型脱毛症(AGA)
- 前立腺肥大
- 前立腺がん
「大豆イソフラボン」と関連する症状
「大豆イソフラボン」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。以下は更年期による自律神経症状です。