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「生活習慣病」とは?予防・原因・治療法についても解説【医師監修】

 更新日:2023/04/04
「生活習慣病」とは?予防・原因・治療法についても解説【医師監修】

生活習慣病は食事・運動・喫煙・飲酒などの生活習慣が原因で発症したり病気が進行したりするさまざまな病気の総称で、日本人の死因の多くを占めています。

以前は「成人病」と呼ばれていましたが、子どもも発症するため「生活習慣病」という名前に改められました。

生活習慣病は死亡リスクだけでなく寝たきりや介護などのリスクも高めます。健康で長生きをするためには生活習慣病の予防が重要です。

この記事では生活習慣病とはどのような病気なのかを詳しく知るため、特徴・治療方法・予防方法・日常生活で注意することをご紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

生活習慣病の特徴

生活習慣病の特徴

生活習慣病にはどのような病気や症状がありますか?

  • 厚生労働省のホームページによると生活習慣病は「食習慣・運動習慣・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が病気の発症や進行に関与する疾患の総称」と定義されています。代表的な生活習慣病は脂質異常症・高血圧・糖尿病の3つです。そのほかにもさまざまな病気があり、下記の病気や症状が生活習慣病に含まれます。
  • 糖尿病:インスリンの分泌に問題が起こることで血糖値が高くなる疾患
  • 肥満症:BMIが25以上で肥満が原因の健康障害がある状態
  • 脂質異常症(高脂血症):血液中のコレステロール・中性脂肪の値が基準値を外れている状態
  • 高血圧症:収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上が続く状態
  • 心疾患(心筋梗塞・狭心症など):動脈硬化・脂質異常・高血圧が原因で起こる心臓に関する病気の総称
  • 脳出血:脳の血管が破裂する病気で、高血圧が原因で起こる
  • 脳梗塞:高血圧が原因で起こる動脈硬化によって脳の血管が詰まる病気
  • 肝疾患(肝硬変・肝炎・脂肪肝):肥満や過度の飲酒など生活習慣が原因で起こる場合がある
  • 骨粗しょう症:食生活のかたよりや加齢のほか、運動不足も原因となる
  • 高尿酸血症・痛風:食生活の乱れや肥満が原因となる
  • がん(肺がん・胃がん・大腸がんなど):肺がんは喫煙、胃がんは食生活の乱れが原因となる場合がある
  • 生活習慣病に共通する特徴が下記の3点です。自覚症状がないまま症状が進行し、やがて命に関わる病気を引き起こすため「サイレントキラー」と呼ばれる恐ろしい病気です。
  • 生活習慣に関連して発症し、症状が良くなったり悪化したりする
  • 自覚症状がなく、気づいた頃には悪化している
  • 最終的には命に関わる重大な病気につながる(心筋梗塞・脳梗塞など)

高血圧の症状と治療方法を教えてください。

  • 高血圧は日本で最も多い生活習慣病といわれています。高血圧にはこれといった自覚症状がありませんが、血圧がかなり高いときには頭痛・めまい・吐き気・動悸・息切れ・肩こりなどの初期症状が起こりやすくなります。治療方法は他の生活習慣病と同様に食事療法・運動療法が中心となり、食事療法では下記の点に気をつけましょう。
  • 塩分を減らす(1日6g未満)
  • 1日に摂取するカロリーを減らす
  • アルコールの摂取量を減らす
  • アルコールの摂取量は「高血圧治療ガイドライン2019」で適量が決められており、女性の場合は下記の量の半分程度が目安となります。
  • 日本酒は1合まで
  • ビールは中瓶1本まで
  • ウィスキーはダブルで1杯まで
  • ワインはワイングラス2杯弱まで
  • 焼酎は半合弱まで

糖尿病や高脂血症は自覚症状がないと聞いたことがありますが…。

  • 糖尿病や高脂血症は生活習慣病の代表的な病気ですが、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
  • しかし、自覚症状はなくても病気は進行しており、脳・心臓・血管にダメージを与えて狭心症・心筋梗塞・脳卒中など命に関わる疾患を引き起こします。
  • 糖尿病や高脂血症と診断された場合は自覚症状がない場合でも軽視せず、食事や運動などの生活習慣を見直しましょう。

生活習慣病の主な原因は何ですか?

  • 生活習慣病は偏った食生活・運動不足・喫煙・飲酒などが原因となります。生活の中でもとくに影響が大きいのが食生活です。
  • 高カロリーの食事を続けると糖尿病に、塩分が高い食事は高血圧に、動物性食品やカロリー過多は脂質異常症につながります。
  • 「生活習慣病かもしれない」と思った場合はまず日頃の生活を見直しましょう。

生活習慣病の治療方法とリスク

生活習慣病の治療方法とリスク

生活習慣病の治療方法を教えてください。

  • 生活習慣病は名前が表すとおり、生活習慣が大きく関わっています。そのため治療方法も日々の生活習慣を見直すことが重要です。
  • 生活習慣病の代表的な病気である糖尿病の場合、初期段階であれば食生活の見直しだけで改善されることもあります。症状が進んでいる場合は生活習慣の改善に加えて血管にダメージを与えないように薬で血糖値をコントロールします。
  • 高血圧の場合は食事療法・運動療法・投薬療法を行い、とくに塩分の制限と体重のコントロール、運動が欠かせません。脂質異常症の場合は食生活や運動が大きく関わっているため、生活習慣を改善するしかありません。

生活習慣病が進行するとどのようなリスクがありますか?

  • 生活習慣病は病気がかなり進行するまで自覚症状が現れない場合がほとんどです。自覚症状はなくても確実に身体に負担をかけ、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・脳出血などの命に関わる重大な病気の原因になります。
  • 生活習慣病にはさまざまな種類がありますが、ひとつだけ発症するとは限りません。糖尿病の合併症として高血圧が起こり、さらに動脈硬化を引き起こして脳機能障害や心疾患のリスクが高まるなど相互に関係しています。
  • 脳梗塞や脳出血を起こすと身体に麻痺などの後遺症が残る場合があり、寝たきりになったり介護が必要になったりしてQOL(生活の質)が低下します。

早期発見が大切ということですね。

  • 自覚症状が出る頃にはかなり病気が進行していることがほとんどです。初期段階で発見できた場合は生活習慣を見直すだけで病気の進行をおさえたり症状が改善する場合があるため、早期発見することが大切です。
  • 生活習慣病につながる「メタボリックシンドローム」の早期発見のために、特定健診・特定保健指導を行っています。
  • 40歳以上75歳以下の医療保険加入者と被扶養者が対象で、職場や地域で毎年実施されているため積極的に受診しましょう。

生活習慣病の予防と日常生活の注意点

生活習慣病の予防と日常生活の注意点

生活習慣病の予防方法を教えてください。

  • 生活習慣病を予防するためには、まず生活習慣を見直すことが重要です。生活習慣についてブレスローの7つの健康習慣を実行しましょう。
  • 喫煙をしない
  • 定期的に運動をする
  • 飲酒は控えめにする
  • 7~8時間の睡眠を心がける
  • 適正体重を維持する
  • 朝食を食べる
  • 間食をしない
  • 適度な運動は生活習慣病の予防にとても効果的です。運動によって血流の改善・筋力の向上などが期待でき、身体を動かすことでエネルギーを消費できるため肥満の防止にもつながります。とくに有酸素運動がおすすめです。有酸素運動とは一定時間続けられる軽度から中程度の運動を指し、ウォーキング・水泳・ジョギング・ストレッチ・ラジオ体操・ヨガなどが当てはまります。
  • 食事は脂質を控えてタンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランスよく取り入れ、一汁三菜を心がけましょう。1日3食を規則正しく食べ、腹八分目を心がけることで肥満を予防できます。朝食を食べない方は注意が必要で、1食抜くことで身体が余分なエネルギーをため込もうとするため肥満につながります。質のいい睡眠をとることも重要です。睡眠不足はインスリンの働きを低下させるため糖尿病のリスクを高め、高血圧や動脈硬化にもつながります。睡眠不足になると交感神経が活性化して血圧や脈拍を上昇させるため慢性的に血圧が高くなり、心臓や血管に負担がかかる原因となります。

健康診断でメタボリックシンドロームを指摘されたらどうすればよいですか?

  • メタボリックシンドロームは生活習慣病がいくつか合併している状態です。
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症(高脂血症)
  • 生活習慣病は血管に大きな負担をかけるため、メタボリックシンドロームの状態が続くと動脈硬化が進行するおそれがあります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞を発症するリスクが高まるため、メタボリックシンドロームを指摘された場合は特定保健指導を受けましょう。特定保健指導では医師・保健師・管理栄養士などが食事や運動などの生活習慣を改善しやすいように指導し、支援します。

食事と運動が重要になるのですね。

  • メタボリックシンドロームは複数の生活習慣病が合併している状態です。症状を改善するためには食事の改善と運動の習慣を取り入れる必要があります。食事療法は個人の体格・生活リズム・病態に適した食事内容や食事制限を行うことで、継続することが重要です。
  • 標準体重当たりタンパク質量1.0~1.2kg(動物性タンパク質40~50%)
  • 必須脂肪酸2g/日
  • 脂肪20g/日
  • 糖質100g/日以上
  • こんにゃくやキノコなど食物繊維を多くとり、甘いジュースやお菓子などの間食を控えて決まった時間に規則正しく食事をとると効果的です。運動に関してはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を無理のない範囲で生活習慣に取り入れましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 生活習慣病の7大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患・高血圧性疾患・糖尿病・腎疾患・肝疾患)の患者数は日本の人口の約15%にあたる1,850万人にのぼるといわれています。
  • 初期段階では自覚症状がありません。しかし、生活習慣病は血管にダメージを与えるため病気が進行すると命に関わる重大な病気の原因となります。生活習慣病は早期発見が重要です。
  • 健康診断でメタボリックシンドロームを指摘された場合は自覚症状がない場合も軽視せず、特定保健指導を受けましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ
生活習慣病は名前の通り食生活・運動不足・睡眠不足・飲酒・喫煙などの生活習慣が関係している病気です。

初期段階では自覚症状がほとんどありません。自覚症状が現れる頃には病気が進行し、やがて命に関わる重大な病気を引き起こします。

生活習慣病の治療には早期発見と生活習慣の改善が重要です。

バランスのいい食事や規則正しい生活を心がけ、無理のない範囲で運動するなど日々の生活を見直してみましょう。

この記事の監修医師