「狭心症の症状」はご存知ですか?初期症状・原因・予防法も医師が徹底解説!
狭心症の症状にはどんな症状がある?Medical DOC監修医が狭心症の症状・チェック法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「狭心症」とは?
狭心症は、心臓を栄養する血管が狭窄することで一時的に心臓に十分な酸素が行きわたらなくなり、虚血状態となることにより起こります。症状としては、胸の締め付けられる感じや痛みを感じることが多いです。狭心症は大きく分けて、労作性狭心症と安静時狭心症に分けられます。労作性狭心症は動脈硬化により血管が細くなり、運動をして心拍数が上昇し、酸素の需要が増えたときに十分な血液の供給が間に合わず虚血に陥ることで症状が出ます。安静時狭心症は、血管に狭窄があまりないにも関わらず、血管が縮むこと(攣縮)で起こります。深夜や明け方など就寝中、安静時にも症状が起こるのが特徴です。狭心症といっても原因によって違いがありますので注意が必要です。
狭心症の代表的な症状
狭心症の症状はさまざまです。代表的な症状を挙げますので、もし気になる症状があった時には参考にしてみましょう。
前胸部の圧迫感、締め付けられる感じ
運動をしたときに、胸の中心部の痛み、圧迫感、息苦しい、締め付けられる感じという症状が典型的な症状です。症状が起こった時に、安静に休んでいると数分から長くても15分程度で症状が治まります。もし、病院からニトログリセリンの舌下錠の処方をされている場合には、この胸の痛みが起こった時に、安静にした上で、舌下でニトログリセリンを溶かしながら服用をお勧めします。症状が治まらなかった場合には、救急車を呼びましょう。
また、症状が治まっても何度も症状が繰り返す場合には心筋梗塞に移行する場合もあり、非常に危険です。早めに病院へ行きましょう。循環器内科が専門です。
みぞおちや肩、歯の痛み
胸の痛み以外にもみぞおちや肩の痛み、背中の痛み、歯の痛みが起こることもあります。胸の痛みと同様に多くは数分~15分程度で収まることが多いです。しかし、症状が狭心症と結びつかず胃の症状と考え消化器内科を受診したり、整形外科や歯科など色々な科を受診することも多いです。他の科で異常が認められない時には、狭心症の可能性も考え循環器内科を受診しましょう。
深夜や早朝、安静時の胸の痛み
運動後に痛みが出たときには労作性狭心症が考えられますが、深夜や早朝などの就寝時、安静時に症状が出る場合には安静時狭心症の可能性があります。通常は数分で改善しますが、一度循環器内科を受診し精密検査をお勧めします。また、喫煙、飲酒、ストレスが誘因となることも多く、生活習慣を見直すことも重要です。
狭心症の初期症状
動悸
はっきりとした痛みを自覚する前に、運動後に動悸や胸の違和感を感じることが狭心症の初期症状であることもあります。違和感や動悸を感じたら、運動を中止し休みましょう。また、一度循環器内科で精密検査をすることをお勧めします。
胸の違和感
初期の症状として、はっきりとした痛みとは感じずに、胸の違和感を訴える方もいます。運動後の胸の違和感、胸苦しさや就寝、起床時に胸の違和感があるとの訴えも多いです。同様の症状が繰り返し起こっている場合や、長く症状が持続している場合には、循環器内科を受診しましょう。
数分で改善する胸痛
労作時や安静時に起こる数分程度の胸痛にも注意が必要です。一瞬で収まるようなものは、神経痛などの可能性が高いですが、数分~数十分程度の長さの胸痛は狭心症の可能性が考えられます。何度か起こるようであれば、一度循環器内科を受診し精密検査を受けましょう。
狭心症の主な原因
高血圧
高血圧は動脈硬化の危険因子です。高血圧を放置することで動脈硬化が知らずに進行し、狭心症が発症する危険性が高まります。また、血圧をコントロールすることで狭心症の発症を予防することもできます。血圧を収縮期血圧130mmHg未満に厳格にコントロールされた群では通常降圧群と比較して、急性冠動脈疾患などの心血管系疾患や心血管死亡が25%少ないという結果も出ています。血圧が高い方は早めに内科へ受診し、治療によりしっかりと降圧することが狭心症の予防にもなります。
脂質異常症
脂質異常症も動脈硬化を起こす原因の一つです。治療目標としては、LDL-コレステロールを160~100mg/dL、HDL-コレステロールは40mg/dL以上、中性脂肪は150mg/dL未満とされています。LDL-コレステロールについては動脈硬化の危険性が高いほどより低く抑えることが勧められており、現在の状態を見た上でそれぞれの治療目標が決められます。健康診断などで脂質異常症が認められた場合、まず内科を受診し、治療目標を達成するために脂質異常症の食事制限と運動療法を併用して改善を図りましょう。なかなか目標に達しない時には、内服治療をすることで狭心症の予防につながります。
糖尿病
糖尿病も動脈硬化の危険因子の一つです。また、血糖コントロールが悪化するほど狭心症を含めた冠動脈疾患のリスクが上昇すると言われています。このため、健康診断などで糖尿病を指摘された場合には早めに内科を受診し、治療を行いましょう。
すぐに病院へ行くべき「狭心症の症状」
ここまでは狭心症の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
胸痛症状がの頻回に起こる場合は、循環器内科へ
胸痛の頻度が増えたり、症状の持続時間が長くなる場合には、不安定狭心症という心筋梗塞に移行する可能性のある危険な状態かもしれません。早急に循環器内科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「狭心症の症状」のセルフチェック法
- ・胸痛症状が何度もある場合
- ・胸痛症状が長く続く場合
- ・胸痛症状が強い場合
- ・意識消失を伴う場合
狭心症の予防法
生活習慣の改善
高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病を改善させることで、動脈硬化の進行を防ぐことができます。減塩食、アルコールの制限、コレステロールの制限、カロリー制限をし、生活習慣病の改善することが狭心症の予防になります。健康診断等ですでに生活習慣病の指摘がある場合には、看護師や栄養士からの栄養指導を受けることも非常に有効です。また、適度な運動も生活習慣病の改善に役に立ちます。血圧に関しては、自宅で自動血圧計を使用して、130/80mmHg以下程度に安定しているかセルフチェックをしていきましょう。
肥満の解消
体重が多く肥満がある場合、肥満を解消することも狭心症の予防となります。BMI≧27kg/m2で狭心症のリスクが上昇するとの報告があります。まずはBMI27kg/m2未満を目標に減量をしましょう。自宅で体重をチェックすることも大切です。目標達成のために、カロリー制限や、適度な運動を行うことがお勧めです。
禁煙
喫煙の本数が多いほど狭心症などの冠動脈疾患のリスクが上昇すると言われ、また喫煙者は非喫煙者と比較し、1.65倍リスクが増加すると報告されています。狭心症を予防するためにも禁煙はとても重要です。
「狭心症の症状」についてよくある質問
ここまで狭心症の症状を紹介しました。ここでは「狭心症の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
狭心症を疑う症状がある場合、どのような検査を行いますか?
伊藤 陽子(医師)
まず胸部レントゲンや心電図の検査を行います。この検査で異常がある場合もありますが、狭心症の場合、症状が落ち着いているときには心電図に変化がないこともあります。この場合、採血などで基礎疾患の評価を行い、必要に応じて負荷心電図やホルター心電図検査を追加して行います。狭心症が強く疑われる場合には、冠動脈CTなどの検査を行うこともあります。
狭心症の症状と血圧に相関関係はありますか?
伊藤 陽子(医師)
高血圧がある場合には、動脈硬化が進行しやすいため狭心症を合併しやすくなります。動脈硬化を進行させないために、早めに血圧のコントロールを行いましょう。
狭心症の症状とよく似た病気を教えて下さい。
伊藤 陽子(医師)
逆流性食道炎や胆嚢炎などの症状が狭心症と似ていることもあります。症状だけでは区別がつかないことも多いため、病院を受診し精密検査を受けてください。
編集部まとめ
狭心症には労作性狭心症と安静時狭心症の2種類があります。労作性狭心症は動脈硬化が原因で起こり、生活習慣病の治療や肥満の解消、禁煙などで予防することが可能です。健康診断などで、生活習慣病を指摘された場合には早めに治療し、予防をしましょう。また、すでに胸の痛みが出現し、狭心症が心配される場合には早めに循環器内科を受診し、精密検査を受けましょう。狭心症の症状は肩やのど、背中、歯の痛みなどの放散痛が起こる場合もあります。原因がないにも関わらず同じような痛みが頻回に起こる場合には、狭心症の可能性も考えましょう。
「狭心症の症状」と関連する病気
「狭心症の症状」と関連する病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
神経科の病気
数秒程度ですぐに症状が収まる場合には、大きな病気の可能性は低いです。一方で、数分から数十分程度の痛みが持続する場合には、何かしらの病気が隠れている可能性が高いと考えられます。狭心症だけではなく、そのほかの疾患を含め、病気がないか病院を受診する必要があります。まずは内科を受診をしましょう。
「狭心症の症状」と関連する症状
「狭心症の症状」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
胸の症状だけではなく、放散痛と言って背中や肩、みぞおち、歯などが痛むことがあります。また、糖尿病を伴う人の場合、痛みがはっきりしないこともあります。なんとなく胸のあたりの違和感があったり、冷や汗が出たり、意識消失をきたしたりするような場合には早急に病院を受診しましょう。