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「肋間神経痛」を発症した際にしてはいけないことはご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/13
「肋間神経痛」を発症した際にしてはいけないことはご存知ですか?【医師監修】

肋間神経痛という言葉を多くの方が耳にしたことがあるでしょう。

肋間神経痛は、脇腹や背中から胸の前面までに痛みを生じることを一般的に指します。

しかし、肋間神経痛というのは疾患名ではなく、肋間神経に沿って痛みを伴う症状の総称です。

今回は知っているようであまり知られていない肋間神経痛について、原因や対処法・ケア方法をわかりやすく解説します。

原因がわからない脇腹や背中などの痛みにお悩みの方の不安が、少しでも和らぐようにお役立ていただけると幸いです。

眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

肋間神経痛でしてはいけないこと・原因

NGのジェスチャーをする若い女性

肋間神経痛とはどのような症状ですか?

肋間神経痛の症状は胸背部の肋間神経の走行に沿った痛みを主体とします。肋間神経痛でよく聞く痛みの訴えを紹介します。

  • 刺すような痛み
  • ピリピリとした痛み
  • 痺れたような痛み
  • 灼熱感

このような訴えがよく聞かれますが、肋間神経のデルマトーム(皮膚文節)から大きくかけ離れている場合はほかの疾患が疑われる可能性があり、注意が必要です。また、肋間神経痛による痛みが長期化することもあり、慢性痛に移行することもあるため早めに医療機関を受診しましょう。

肋間神経痛でしてはいけないことはありますか?

肋間神経痛が生じている場合に避けた方がよいことを4つ紹介します。

  • 過度な運動
  • 悪い姿勢
  • 無理な体勢
  • 過度なマッサージやストレッチ

肋間神経痛がある場合は、症状を悪化させてしまう可能性があるため、これらの行動や習慣を避けるようにしましょう。自己判断せず、症状に対して適切な対応をとることが大切です。

肋間神経痛を発症する原因は何ですか?

肋間神経痛の原因には変形性脊椎症などの脊椎の病気やストレスによる自律神経の乱れ、長時間のデスクワークなど同一姿勢による猫背や不良姿勢が挙げられます。しかしながら、いずれも科学的根拠に乏しく肋間神経痛の原因は明らかになっていません。肋間神経痛に対する治療報告で多く報告されているのは、帯状疱疹後神経痛です。これは帯状疱疹ウイルスの合併症であり、免疫力が低下し神経にウイルスが入り込んでしまうことで肋間神経痛を引き起こすといわれています。その他の原因としては、骨折や開胸術などの手術後の医療処置に伴う神経損傷があります。

肋間神経痛は放置しても治りますか?

肋間神経痛を放置すると次のことが起こる可能性があります。

  • 前触れもなく肋骨や脇腹に強い痛みを感じる
  • 少し身体を動かしただけでも激しい痛みが生じる

肋間神経痛を放置すると日常生活に支障をきたすような痛みを引き起こす可能性があります。できるだけ早めに、医療機関を受診しましょう。

肋間神経痛の対処法

対処法

肋間神経痛に対処法はありますか?

肋間神経痛で強い痛みがある場合には自己判断せず、医療機関を受診しましょう。肋間神経痛は、肋間神経を圧迫することで痛みが生じている場合が多く、ストレスにも起因しているため身体を温めることは症状の緩和につながる可能性があります。また、適度な運動やストレッチを行うことで身体がほぐれ、症状の緩和につながる可能性があります。姿勢をよくすることや運動をすることで肋間神経の物理的な圧迫を緩和させることで症状を軽減させることが可能です。

肋間神経痛は何科を受診すべきですか?

肋間神経痛が疑われた場合に、まず受診するのは整形外科です。整形外科では痛みを和らげるブロック注射以外にも、理学療法士や作業療法士が行うリハビリテーションが提供されることもあり、肋間神経痛に対して適切な治療を行うことができます。多くの整形外科では、診察の際にレントゲン撮影のみではなく、より精度の高い診断のためにCTやMRIによる検査も行います。また、痛みの治療を得意とする痛みを治療する外来でも肋間神経痛の診察は可能です。痛みを治療する外来では、痛みの原因を探るために身体所見のみではなく、患者さんの心理的な側面に対しての診察も可能です。肋間神経痛が疑われた場合には、早めに受診して適切な治療を受けましょう。

肋間神経痛の治療法を教えてください

肋間神経痛の主な治療方法を紹介します。

  • 理学療法
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
  • セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  • 環系抗うつ薬(TCA)

これら以外にも、神経切除術・高周波アブレーション・脊髄刺激療法(SCS)などがあります。
肋間神経痛による痛みは心理的な影響を受けている場合もあり、抗うつ薬のような心療内科などで使用される薬も有効となる可能性があります。また、理学療法も有効です。姿勢の修正や疼痛が生じにくい身体の使い方や生活習慣などを、理学療法士の個別の指導で習得します。リハビリテーションは薬などを使う必要がないため、副作用の懸念もなく、身体にかかる負担の少ない治療の一つです。

肋間神経痛の痛みはほかの痛み方と違いますか?

肋間神経痛は、肋間神経の分布に沿った神経障害性疼痛が特徴です。ほかの痛みとは違い、胸・腹部・側腹部に著しい胸痛と不快感を生じます。また、痛みは灼熱感・刺すような痛み・鋭い痛み・痺れ・チクチクする痛みとして表現されるのも肋間神経痛の痛みの特徴です。

肋間神経痛のケア方法

ベッドの上でストレッチをする若い女性

肋間神経痛のケア方法はありますか?

肋間神経痛は慢性化しやすい疼痛に分類されます。慢性疼痛になった場合、QOL(生活の質)の低下により行動範囲が制限されるなど家族に対しても大きな影響を及ぼします。急性期には薬物療法が有効ですが、慢性疼痛になってしまうと薬物療法の効果が有効でなく、薬剤耐性が懸念されるでしょう。そのため、慢性化した肋間神経痛に対しては、心理的側面からの視点も重要です。痛みの長期化に伴って生じた抑うつは痛みの増強・持続という悪循環を生じさせます。しっかり肋間神経痛の症状を理解して少しでも不安から解放されるように、痛みを自己管理して生活機能の改善を図りましょう。

肋間神経痛にかからないための予防策はありますか?

不良姿勢により、肋間神経を圧迫して痛みが生じる可能性があるため、日常的にストレッチや適度な運動を行い身体のコンディションを整えておくとよいでしょう。また、ストレスも肋間神経痛の原因の一つと考えられるため、入浴や読書などストレスを溜め込まないような生活習慣を心がけましょう。また、帯状疱疹により肋間神経痛を生じることが多くあり、帯状疱疹を予防することで肋間神経痛を未然に防ぐことが可能です。帯状疱疹ワクチンの接種を受けることで、症状を抑えたり回避したりすることができます。ワクチン接種で帯状疱疹の発症率を半減でき、慢性疼痛も軽減することが実証されています。

編集部まとめ

女友達

肋間神経痛とは疾患名ではなく、肋間神経の走行に沿った痛みを主体とする症状のことを指します。

多くの場合、脇腹や胸から背中にかけての強い痛みを伴います。痛みはチクチクした痛みや灼熱感などと表現され、ほかの疾患の痛みとはことなる痛みが特徴です。

原因としては、不良姿勢や心理的なストレスが挙げられます。その他、帯状疱疹後や開胸術後の医療的な処置によって生じることもあります。

治療法としては、理学療法といったリハビリテーションが有効でその他には薬物療法が治療に用いられます。

痛みが長期化し、慢性痛となった場合にはリハビリテーションや薬物療法のほかに心理的側面にアプローチすることも大切です。

日常的にストレッチなどの軽い運動を行ったり、入浴や読書をしたりして身体や心にストレスをかけないように心がけることで肋間神経痛を予防することが可能です。

また、帯状疱疹後に肋間神経痛を生じることもあるため、帯状疱疹ワクチンを接種して帯状疱疹を予防することも大切になります。

原因不明の脇腹や胸の痛みが気になる場合には、早めに整形外科や痛みを治療する外来などの医療機関を受診しましょう。

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