「転移性肝臓がん」を発症すると”目”に現れる症状とは?他の症状も医師が解説!

転移性肝臓がんとは?メディカルドック監修医が転移性肝臓がんの症状・原因・なりやすい人の特徴・検査法・治療法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
「転移性肝臓がん」とは?
肝臓にできるがんにはいくつか種類があります。そのうち、肝臓に元々あった細胞が原因でできたがんを原発性肝がん、他の臓器から転移してきたものを転移性肝がんと言います。
転移性肝がんの性質は、元々発生した場所(原発巣)の性質と同じであり、何処からやってきたかによって治療なども変わります。ここではその「転移性肝がん」について解説していきます。
転移性肝臓がんの主な症状
転移性肝がんの場合、元々他の場所にがんができ、進行してから肝臓に転移します。そのため、元の進行がんに伴う症状も多くあります。元の場所(原発巣)の症状は何処のがんであるかによって異なるためここでは述べず、転移性肝がんで起こりうる症状を解説します。
肝機能障害
転移性肝がんでは肝臓に腫瘍ができるため、肝臓の酵素が上がることがあります。逆に言うと、他の臓器のがんがある人に肝機能障害を認めた場合は肝臓への転移をきたしている可能性があります。消化器内科等で血液検査(AST、ALT等)を受け、肝機能を把握することが重要です。
腹痛(みぞおち・右脇腹)
転移性肝がんが小さい場合は肝臓の腫瘍自体で症状が出ることはあまりありません。しかしながら、転移性肝がんが進行した場合、腫瘍が増大することにより周囲を圧迫します。そのため、みぞおちやお腹の右上が痛むことがあります。
痛みが強い場合は痛み止めなどを使用して症状を抑えることになります。なお、腫瘍による痛みが出た場合、基本的に痛み自体を根本的に治すことは困難です。そのため、痛みが強くなれば痛み止めを増やしたり痛み止めの種類を調整したりして対応します。我慢せず主治医に相談しましょう。
体重減少
転移性肝臓がんでは、腫瘍の影響で体重が減ることがあります。半年など短期間に5kgなど、急激な体重減少があった場合などは悪性腫瘍がないか疑う所見となります。このようなことがあった場合は一度内科で検査を受けましょう。
閉塞性黄疸
転移性肝がんが胆管(肝臓の消化液を流す管)を塞いだ場合、塞がれた胆管の中に消化液(胆汁)が溜まります。その影響で腸に排出されないビリルビンという物質が溜まり、黄疸を引き起こします。黄疸が出た場合、皮膚が黄色くなったり痒みが出たりします。
黄疸は徐々に表れるため、毎日あっている、顔を見ている人(本人含む)がなかなか気づかず、久しぶりに会った人から指摘されることもあります。黄疸でははじめに白目の部分が黄色くなり始めますので、一度注意してみましょう。
腹部膨満・腹水
転移性肝がんによって肝臓の機能が悪くなってくると栄養状態が悪くなります。また、それらに伴い全身のむくみ(浮腫)や腹水を認めることがあります。
ただし、転移性肝がんによって起こっている症状の場合もありますが、元のがんが腹膜(お腹の中の臓器、腸などを覆っている膜)に移る(腹膜播種)することによって起こることもあります。この場合、安易にお腹の水を針で外に出したりすると余計に栄養状態が悪くなり腹水が悪化する状況に陥ってしまいます。そのため、栄養状態をよくしたり、尿で体内に溜まった水を外に出したりする治療を行います。腹水によってお腹の張り、痛みが強くなるなどであれば緩和治療の一環として腹水を抜くことはあります。主治医と相談しながら治療方針を決定していくことになります。
発熱(腫瘍熱・感染)
腫瘍が進行した場合、腫瘍に伴って熱が出ることがあります(腫瘍熱)。腫瘍による熱は細菌感染による熱と異なり、寒気などを伴わないことが多く、37℃後半~38℃台の熱がダラダラと続くような形で認めることが多いでしょう。
一方、転移性肝がんの場合、肝臓からの消化液を流す管(胆管)を腫瘍によって塞いでしまうことがあります。ふさがれた胆管には消化液(胆汁)が溜まり、この場所に感染を起こして高熱が出たり腹痛を認めたりすることがあります。その場合はドレナージや抗菌薬による治療が必要となることもあります。突然の高熱や腹痛を認めた場合は早めに内科、救急を受診しましょう。
意識障害(肝性脳症)
転移性肝がんによって肝臓の機能が悪くなる場合、肝臓の働きである有害物質の分解もできなくなります。そのため有害物質が身体に溜まってしまい、意識が悪くなることがあります(肝性脳症)。転移性肝がんが見つかった時点で元のがんのStageはⅣ、末期のため、がんにより意識状態が悪くなることもあります。
転移性肝臓がんの主な原因
「転移性」肝臓がんの場合は他の臓器にできたがんが「転移」して発生します。そのため、原因としては「他の臓器のがん」となります。肝臓への転移は血行性転移が多く、そのため胃や大腸、胆道、膵臓など消化器がんからの転移が多いでしょう。
消化器系がん(胃・大腸・胆道・膵臓)
転移性肝がんの元(原発巣)として最も多いのがこの消化器系のがんでしょう。肝臓は消化管から吸収された栄養をたくわえる働きがあるため、胃や腸からの血流を受けます。そのため、胃や腸など消化管にがんができた場合、肝臓へ転移する可能性があります。その他、肝臓に近い胆道や膵臓なども肝臓へ転移する可能性があります。この中でも大腸がんの場合は状況によって手術や化学療法により根治を目指せる可能性があります。
肺がん
肺にできたがんも肝臓に転移を起こすことがあります。肺がんが肝臓に転移しているということは全身にがん細胞が転移している可能性があるということであり、StageⅣつまり末期がんを意味します。治療は呼吸器内科等での化学療法(抗がん剤治療)となり、根治を目指すことは難しいでしょう。
婦人科系のがん(子宮・卵巣)
婦人科系の癌、骨盤内に位置する子宮や卵巣の癌も肝臓に転移することがあります。こちらも肝臓に転移をきたしている時点で末期(StageⅣ)の診断となります。治療としては化学療法となるでしょう。
その他の臓器のがん
他の臓器でがんができた場合、肝臓に転移を起こす可能性があります。乳がん、腎臓がんなど、ここに記載していない種類のがんであったとしても転移性肝がんを認める可能性があります。各臓器の専門医による全身検索が必要です。
転移性肝臓がんになりやすい人の特徴
転移性肝がんは他の臓器でできた癌が肝臓に転移したものです。そのため、逆にいうと転移性肝がんがある人は他の臓器に癌ができています。ここで述べるのは一般的にがんになりやすい人の特徴となります。
喫煙
タバコには多くの化学物質が含まれており、その中には発がん物質も含まれます。そのため喫煙は肺や食道、口腔、咽頭や膵臓など、多くのがんのリスクを高めると言われています。色々な場所にがんができるリスクが高まる喫煙をする人は、結果として転移性肝がんになりやすいともいえるでしょう。
血縁にがん患者が居る人
血縁にがん患者が居る人は、もちろんどのがんかにもよりますが、いない人に比べてがんになる可能性が高まると言われています。転移性肝がんは他の臓器にがんができたものが転移したもののため、他の臓器のがんのリスクが高くなると転移の可能性も高くなると言えるでしょう。特に消化器系のがん患者が血縁にいる場合は転移性肝がん(肝転移)を起こしやすいともいえるかもしれません。
転移性肝臓がんの検査法
腹部超音波検査(腹部エコー)
お腹の上から機械を当てることによりお腹の中の状態を超音波を利用して描出する検査です。身体の負担もなく、偶発症がほぼない検査であり、健診等でも行われています。転移性肝がんは腹部エコーで特徴的な画像を示すため、どんな腫瘍か確認するのに有用な検査です。消化器内科等で外来で行われ、入院は不要です。
CT検査
CT検査を行うことで肝臓全体を確認し、がんがどのあたりまで、どのぐらいの大きさかなどを客観的に診ることができます。また、どこから移ってきたがんか調べることにも有用です。造影剤という薬を使用し、詳細を評価することも可能です。放射線科等の協力のもと行われ、通常は外来で検査可能です。
MRI検査
磁力を使用することにより体の中を画像化して評価するものです。肝臓の状態を確認することで転移性肝がんがどのあたりまで進んでいるかなどを調べることができます。MRIは強力な磁力を使用しているため、ペースメーカーが入っている人などは受けることができません。通常は外来で実施されます。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
がんがはじめにできた場所としてなり得るのは胃や大腸などの消化管である場合が多いです。そのため、内視鏡で胃や大腸にがんができていないかを確認することがあります。内視鏡検査は消化器内科で行います。
肝生検
どこから移ってきたものかわからない場合、超音波検査下で直接腫瘍に針を刺して組織を調べることがあります。腫瘍自体を調べることによりどこからの転移かを検討を付けるのです。出血などのリスクを伴うため、基本的に消化器内科で入院して行います。多くの病院では2~3日の入院となることが多いでしょう。
転移性肝臓がんの治療法
転移性肝がんの治療は元の発生場所(原発巣)が何処かによって変わります。ここでは転移性肝がんの治療法について解説します。
化学療法(抗がん剤)
基本的に転移性肝がんが見つかった場合、肝臓への転移は「遠隔転移」とされ、進行度はStageⅣ(末期)になります。そのため、多くの場合は手術ができません。その場合、がんに対する治療は抗がん剤の治療(化学療法)となります。内科で行いますが、基本的に外来通院で行います。
外科手術(肝切除)
大腸がんからの転移であった場合、外科手術で取り切ることによって治ることがあります。転移性肝がんが少数・小さいものである場合は切除できることがありますが、全体に散らばっている場合などは切除することができません。手術は外科で行いますが、年齢、体力などにより手術に耐えられるかを慎重に判断します。入院期間は術式によりますが、通常2週間前後を要します。
胆道ドレナージ(内視鏡的・経皮的)
胆管が転移性肝がんで塞がれてしまった場合、細菌感染による胆管炎や肝機能障害を起こすことがあります。この場合、胆管にチューブを入れて胆汁を外に出したり、圧を下げる処置が必要です。消化器内科で内視鏡やレントゲン・エコーを見ながら行います。処置のために入院が必要となり、1週間程度の経過観察が行われます。
緩和ケア
治療の手立てが取れない状態であったり、抗がん剤治療を希望しないという状況もあります。その場合は緩和ケアという選択肢も上がります。自宅やホスピスなど様々な状況がありますが、すぐに入院できない場合もあります。転移性肝がんが見つかった時点で「最期をどう過ごすか」を話しあっておくことも重要です。
「転移性肝臓がん」についてよくある質問
ここまで転移性肝臓がんを紹介しました。ここでは「転移性肝臓がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
転移性肝臓がんの末期症状について教えてください。
岡本 彩那(医師)
転移性肝臓がんは他の臓器にできたがん(原発巣)が肝臓に転移してきたものです。転移性肝がんがあるということはイコール他の臓器に末期がんがあるということです。そのため末期症状となると元のがんの症状が出てくることも多いでしょう。元のがん(原発巣)の症状以外では一般的には腹痛、肝機能障害や腹水、意識障害等が当てはまります。
まとめ
転移性肝がんがあるということは他に末期がんが隠れているということです。多くはこの時点で手術等ができず、抗がん剤などの治療しかできないでしょう。ただし、状況によっては手術を含めた治療が見込める場合や抗がん剤ができる場合等があります。
健診などで怪しい結果が出る、何か症状が出てくるなどあれば早めに病院受診をするようにしましょう。
「転移性肝臓がん」に関連する病気
「転移性肝臓がん」から医師が考えられる病気は10個以上あります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
婦人科・乳腺外科の病気
呼吸器・泌尿器科の病気
その他の原発巣
- 肺がん
- 腎細胞がん
転移性肝がんがあるということは、すでに他の場所に進行したがんがいるということになります。つまりがん細胞が体内に広がっているという状況ですが、元のがんや全身状態によっては手術を含めた治療が見込める場合や抗がん剤ができるケースもあるので、専門医と治療方針をよく相談してください。
「転移性肝臓がん」に関連する症状
「転移性肝臓がん」に関連する症状は8個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
肝臓の中には胆管があるため、胆道(胆嚢・胆管)などの異常に伴う症状が出現することがあります。
参考文献
- 専門医のための消化器病学 第3版 医学書院




