「脳梗塞になりやすい人」の特徴はご存知ですか?なりやすい性格も医師が解説!

脳梗塞になりやすい人の特徴とは?メディカルドック監修医が脳梗塞になりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
神宮 隆臣(医師)
目次 -INDEX-
「脳梗塞」とは?
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳の血流が絶たれ、脳の細胞に血液が送られなくなり、さまざまな症状が現れる病気です。脳の細い血管が破れる脳出血、脳の太い血管にできたこぶ(脳動脈瘤)が破裂することなどで起こるくも膜下出血とあわせ、脳卒中と呼ばれています。
日本では年間10万人の方が脳卒中で亡くなっており、日本人の死因の第4位を占めています。
今回の記事では、脳梗塞になるリスクを高める要因や予防法について解説します。
脳梗塞になりやすい人の特徴
脳梗塞のリスクが高まるようなケースには、以下のようなものがあります。
血圧が高い
血圧が高い状態が長期間続くと、動脈硬化が進みます。すると、脳の血管が詰まり脳梗塞を引き起こしやすくなります。75歳未満の方で、心臓や腎臓の病気、糖尿病、抗血栓薬を内服しているような場合、130/80mmHg未満を目標の降圧が推奨されています。
脂質異常症である
アジアを含めた海外の研究では、高コレステロール血症は脳梗塞の発症リスクを高めると報告されています。日本人を対象とした研究では、アテローム血栓性脳梗塞の発症と、コレステロールとの間に特に相関関係があるとされています。アテローム血栓性脳梗塞とは、脳を中心とした動脈硬化との関連が強いタイプの脳梗塞です。特にコレステロールのなかでも悪玉コレステロールとして知られるLDLコレステロールの値が重要と示されています。LDLコレステロールが高い方は、下げるように食事や内服で治療しましょう。
心房細動がある
心房細動は、心臓の心房という血液をためる部分/部屋が小刻みに震え、不規則な脈になる不整脈の一種です。心房細動によって心臓の内部に血の塊である血栓ができることがあります。これが脳の血管を詰まらせる原因(塞栓)となりえます。
肥満やメタボリックシンドロームである
肥満は、脳梗塞を含む脳卒中のリスクを高めるという報告が多くみられます。メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満と高血圧・高血糖・脂質異常症のうち2つ以上が組み合わさった状態です。この、メタボリックシンドロームも、脳卒中を含む心血管系のイベント発症のリスクを高めます。なお、メタボリックシンドロームによる脳卒中の発症リスクは、男性よりも女性の方が高いと報告されています。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の方は、脳梗塞の合併頻度が高いことが明らかになっています。特に、男性の場合には脳梗塞になりやすくなることがわかっています。
脳梗塞の代表的な症状や特徴
脳梗塞を含む脳卒中の初期症状としては、以下のようなものがよく知られています。これらの症状が現れた場合には、救急車を呼ぶことをためらわないようにしましょう。脳神経内科や救急科などで診察や治療を受けることになると考えられます。
顔の片側が歪む
顔の筋肉を司る脳の部分が脳梗塞によって障害を受け、顔の片側のみが歪むといった症状が現れるケースがあります。ご自身で違和感を感じたり、他人に指摘されたりといった場合が想定されます。
片側の腕や手、足に力が入らない
腕や手の動きを司る脳の部分が障害を受けることで、片側の腕や手、足に力が入らなくなることがあります。両手を同じように肩の高さにまで挙げたとき、片側の手に力が入らず、落ちてしまうなどの症状として現れます。
ろれつが回らない
言葉を話すための神経伝達経路が脳梗塞によって障害を受け、口や舌、喉の筋肉がうまく動かせなくなります。その結果、ろれつが回らなくなります。
言葉が出ない、ろれつが回らない
脳梗塞によって、脳の言語中枢がダメージを受け失語症が生じます。このような部分の脳梗塞は、言葉が出ない、訳の分からない言葉を言うといった症状として現れます。また、発音に関わる運動神経がダメージを受けると構音障害が起こりえます。ろれつが回らないといった症状が出現します。言葉が出ない、ろれつが回らないなどの症状が現れた場合には、すぐに医療機関を受診することが大切です。
他人の言うことが理解できない
失語症の症状の一つとして、言葉がうまく話せなくなることのほかに、相手の言葉が理解できないと症状が現れることもあります。話している音声は聞こえるものの、意味が理解できないという場合は、脳梗塞を疑う必要があります。
脳梗塞の主な原因
脳梗塞は、現在大きく分けてアテローム血栓性、心原性、ラクナ、その他、原因不明の5つの病型に分類されています。ここでは、主なものについて説明します。
アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞は、内頸動脈や、中大脳動脈などの太い血管に、アテローム硬化病変ができることで起こる脳梗塞です。脳梗塞の原因となる血管に、50%以上狭くなっている(狭窄:きょうさく)が認められることが一般的な診断の条件となります。
ラクナ梗塞
ラクナ梗塞は、太い動脈である主幹動脈から枝分かれした穿通枝(せんつうし)と呼ばれる細い血管が原因となる脳梗塞です。古典的には脳梗塞の病変の長い方の径が15㎜以下であることが原則となります。特に、高血圧との関連が強いとされています。
心原性脳塞栓症
心原性脳塞栓症は、心臓の左心房または左心室内にできた血栓がはがれおち、脳まで流れていき脳の動脈を閉塞することで生じます。心房細動や急性心筋梗塞などの心疾患が、血管を詰まらせる塞栓(そくせん)源になります。全体の約70%は非弁膜症性心房細動が原因となります。突然に発症し、脳の広範囲が脳梗塞となりやすいという特徴があります。
奇異性脳塞栓症
奇異性脳塞栓症は、心臓内に存在する卵円孔開存(PFO)などの小さな穴を通じて、静脈側にできた血栓が動脈側へ移動し、脳の血管を詰まらせて起こるタイプの脳梗塞です。
深部静脈血栓症(DVT)は、長時間の同じ姿勢をとる飛行機での移動や長期間の入院や寝たきり状態などで足の静脈に血栓ができるものです。このような場合に卵円孔開存などが併存していた場合に、奇異性脳塞栓症を発症することがあります。若年発症の脳梗塞の原因として注目されています。
診断には、経食道心エコー検査や下肢静脈エコー検査などが用いられます。卵円孔閉鎖術が再発予防に有効なケースもあります。
もやもや病
もやもや病は、日本人によくみられる原因不明で、進行性の脳血管閉塞症です。両側の内頸動脈の先端が狭窄または閉塞してしまうため、脳の血流を保つために異常な血管からできる血管網が形成されます。この血管網が脳血管造影検査でもやもやと見えるため、この病名がつけられています。
子どもの場合、血流が不足する脳虚血症状が大半を占めています。脳梗塞が生じてしまう場合もあります。一方で、成人の場合には脳出血が起こりやすいとされています。
脳梗塞を予防する方法
脳梗塞を予防するためには、以下のような方法が有効と考えられています。
減塩
脳梗塞を含む脳卒中の最大の原因は、高血圧とされています。高血圧を引き起こす生活習慣として、食塩を過剰に摂取することが挙げられます。減塩を心がけるようにしましょう。
厚生労働省が進める日本人の成人における食塩摂取量の目標値は、男性では7.5g/日未満、女性では6.5g/日未満とされています。
麺類のスープ類は飲み干さない、漬物には醤油をかけない、スパイスや柑橘類などで味に変化を与える、などの方法が効果的と考えられます。
適正体重を保つ
肥満に加えて、内臓型肥満が関連するメタボリックシンドロームも、脳梗塞のリスクを高める可能性があります。そのため、まずは年齢に合わせた適正体重を保つようにしましょう。
体重管理の指標のひとつとして、体格指数(BMI:body mass index)があります。これは、体重/身長の2乗で算出され、25以上の場合には肥満と分類されます。
まずは、カロリーの過剰摂取を控える、バランスの良い食事をとる、適度な運動などを心がけてみましょう。
禁煙
喫煙は、脳卒中のほか、がんや心臓病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のリスクを高めることが知られています。現在タバコを吸っている方は、禁煙しましょう。吸っていない方は、喫煙を開始しないようにしましょう。
「脳梗塞になりやすい人」についてよくある質問
ここまで脳梗塞になりやすい人などを紹介しました。ここでは「脳梗塞になりやすい人」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
脳梗塞になりやすい性格について教えてください。
神宮 隆臣 医師
性格と脳卒中の関連を検討した研究によると、神経症傾向が高いほど脳卒中の危険が高まると報告されています。神経症傾向とは、傷つきやすい、不安になりやすいなど、情緒的に不安定な性格の特性のことです。つまり、こうした性格の方は脳梗塞を含む、脳卒中になるリスクがそうでない方よりも高い可能性があります。
編集部まとめ
今回の記事では、髄膜炎の症状や原因、治療法について解説しました。小児の場合には症状をうまく伝えられないこともあるため、ご自身や家族の体調管理には日頃から気を付けていきましょう。
「脳梗塞」と関連する病気
「脳梗塞」と関連する病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
一般内科の病気
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 糖尿病
- メタボリックシンドローム
脳梗塞に関連する病気は多岐にわたります。主に生活習慣病や心血管に関係するものが多いです。
「脳梗塞」と関連する症状
「脳梗塞」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 言葉が出にくい
- ろれつが回らない
- 顔がゆがんでいる
- しびれる
- 片側の手足が動かしにくい
- 意識が悪い
- 様子がおかしい
- 歩けなくなった
このような症状がある場合、または何か気になることがある場合には脳神経内科を受診しましょう。




