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「高血圧」を予防しよう! 血圧を上げないための食事法や生活習慣を医師が紹介

 更新日:2023/03/27
高血圧を予防しよう! 血圧を上げないための食事法や生活習慣を医師が紹介

国民病とも言われる「高血圧」。血圧を下げる薬が手放せないという高齢者も多いのではないでしょうか。しかし、高血圧は日常のちょっとした工夫で症状を改善することが可能とのことです。今回は高血圧の原因や対策について、「松井クリニック」の松井先生に解説していただきました。

松井 さおり

監修医師
松井 さおり(松井クリニック)

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島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。いくつかの病院の循環器科で勤務した後の2011年、静岡県浜松市に「松井クリニック」を開院。「地域の人々のホームドクターとして、健康増進に貢献する」をモットーに掲げている。日本内科学会認定専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会認定産業医。

高血圧とは?

高血圧とは?

編集部編集部

まず高血圧の原因について教えてください。

松井 さおり先生松井先生

そもそも、高血圧は医学的に2種類あると考えられています。1つは、何らかの疾患や薬剤の副作用が原因で起こる「二次性高血圧」、もう1つは原因のはっきりしない「本態性高血圧」です。日本人の高血圧のうち、85~90%は本態性高血圧と言われています。

編集部編集部

なぜ、本態性高血圧になるのですか?

松井 さおり先生松井先生

原因は様々です。もともと高血圧になりやすい体質ということもあるでしょうし、肥満、食塩のとりすぎ、過度の飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどが原因となって高血圧を招いていることもあります。

編集部編集部

二次性高血圧の場合は原因がはっきりしているので、治療は可能なのですか?

松井 さおり先生松井先生

そうですね。多くの場合、原因を取り除けば高血圧を解消することができます。

編集部編集部

高血圧を放置しておくと、どのようなリスクがあるのですか?

松井 さおり先生松井先生

高血圧の状態が長く続くと、血管は次第に厚く、硬くなってきます。その結果、動脈硬化に至ることがあります。それにより、脳出血、脳梗塞、大動脈瘤、腎硬化症、心筋梗塞、眼底出血などを引き起こす危険があります。また、心臓に高い負荷がかかることによって心臓が肥大し、心不全になることもあります。

編集部編集部

なるほど。やはり、高血圧を放置しておくのは危険なのですね。

松井 さおり先生松井先生

はい。日本人の高血圧患者数は約4300万人と予想されており、「3人に1人が高血圧」ということになります。食生活の欧米化や人口の高齢化に伴い、今後も高血圧の患者数は増加すると予想されています。そのため、日常生活から気をつけて、高血圧にならないようなライフスタイルを習慣化することが大切です。

血圧を下げる食事や飲み物とは?

血圧を下げる食事や飲み物とは?

編集部編集部

高血圧にならないために注意すべき点を教えてください。

松井 さおり先生松井先生

まず意識してほしいのが、「食塩の摂取量を制限すること」です。実際、食塩摂取量が少ない地域の人を調べてみると、高血圧の人は非常に少ないことがわかっています。本来なら加齢に伴い血圧も上昇していくのですが、そうした上昇もほとんどありません。

編集部編集部

1日の食塩摂取量は、どれくらいが妥当なのでしょうか?

松井 さおり先生松井先生

食塩摂取の目標は、「日本人の食事摂取基準(※)」によると、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。また、日本高血圧学会では、1日6g未満を推奨しています。しかし、実際の摂取量は目標よりも多く、令和元年に厚生労働省が取りまとめた「国民健康・栄養調査報告(※2)」によると、食塩摂取量の平均値は10.1gであり、男性10.9g、女性9.3g であることがわかっています。

※ 日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

※2 国民健康・栄養調査報告
https://www.mhlw.go.jp/content/000710991.pdf

編集部編集部

すると、男女ともに1日約3~5g、食塩を減らさなければならないということですね。

松井 さおり先生松井先生

そういうことになります。また、食塩の量を減らすことだけでなく、加工食品のとりすぎにも気をつけていただきたいです。なぜなら、加工食品には多くの塩分が含まれているからです。そのため、加工食品をよく食べている人は、知らず知らずのうちに塩分を過剰に摂取しがちということになります。

編集部編集部

血圧を下げる食べ物や飲み物というのはあるのでしょうか?

松井 さおり先生松井先生

積極的に摂取してほしいのは「食物繊維」です。食物繊維にはナトリウム(食塩)を体外へ排出する働きがあります。普段のご飯を雑穀ご飯に変えてみたり、おかずに海藻やキノコ類、根菜類を多く使ったりするといいでしょう。ほかにも、野菜や果物を多くとることも高血圧の改善に役立ちます。野菜や果物には「カリウム」が多く含まれており、食物繊維と同様に体内の余分なナトリウムを体外へ排出してくれます。とくに、手軽に食べられるバナナは栄養食としても役立つのでおすすめです。

編集部編集部

飲み物について知っておいた方がいいことはありますか?

松井 さおり先生松井先生

前提として、高血圧の人はしっかり水分を補給することが大事です。水分不足になると血流が悪くなって、ますます高血圧が悪化したり、動脈硬化を招いたりするからです。硬水のミネラルウォーターにはマグネシウムやカリウムなど、塩分の排出する役割がある「ミネラル」が多く含まれているのでいいでしょう。

高血圧にならないための生活習慣とは?

高血圧にならないための生活習慣とは?

編集部編集部

日常的に高血圧を予防するためにはどうすればいいでしょうか?

松井 さおり先生松井先生

最も気をつけてほしいことが「肥満」です。肥満の人は、食事の際に過食気味で、塩分も過剰に摂取しています。また、肥満になると脂肪細胞から様々な物質が分泌され、それが自律神経やホルモンの働きを乱してしまいます。それによって塩分が必要以上に血管に止まるようになり、高血圧を招いてしまうのです。

編集部編集部

肥満以外に、どのようなことに気をつければいいでしょうか?

松井 さおり先生松井先生

運動不足や過度な長時間労働、睡眠不足なども高血圧を引き起こす可能性があります。また、ストレスがあると交感神経が過剰に優位になり、血管が収縮して血圧が上がります。この状態が続くと慢性的に高血圧になりますから、ストレスをためないことも大切です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

松井 さおり先生松井先生

高血圧にならないためにも、ぜひ家庭で血圧を測る習慣をつけましょう。とはいえ、毎日測るのは難しいと思うので、例えば「毎月1日に測定する」など、決まった日に測定するよう習慣化するのがベターです。測定する際は、朝起きて1時間以内、トイレを済ませてから食前におこないましょう。体調などによって血圧の値は変動するので、多少の増減は気にしなくても大丈夫ですが、上の値が140、下の値が90を超えたら要注意です。この数値を超えるようなら、3日程度連続で測ってみてください。そして、平均値が先ほどの数値を超えるようなら、かかりつけの医師に相談してみましょう。高血圧は知らないうちに進行し、健康をむしばむので、早めに兆候を見つけて対策を講じましょう。

編集部まとめ

高血圧対策として、「塩分をとりすぎない」「肥満に気をつける」などは、意識すれば実行できそうです。小さな努力の積み重ねが高血圧を防いでくれます。「高血圧は万病のもとである」ということを意識し、血圧を上げないように気をつけましょう。

医院情報

松井クリニック

松井クリニック
所在地 〒435-0016 静岡県浜松市東区和田町200-2
アクセス JR東海道本線「天竜川駅」 徒歩2分
診療科目 内科、循環器内科、小児科

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