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「肥満」と「メタボリックシンドローム」はどう違うの?

 更新日:2023/03/27

健康診断や人間ドックを受診すると、「肥満の傾向があります」「メタボリックシンドロームなので気をつけてください」と、指導を受けることがあります。どちらもよく耳にするワードですが、“太っている”ということ以外に、どのような違いがあるのでしょうか? それぞれの違いや注意事項についてつぼ内科おなかクリニックの津保勝郎先生に教えてもらいました。

津保 勝郎

監修医師
津保 勝郎(つぼ内科おなかクリニック 院長)

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昭和大学医学部卒業後、同大学の大学病院に勤務。社会保険都南総合病院(現・東京北医療センター)や東京都保健医療公社荏原病院に勤務後、つぼ内科おなかクリニックを開院。専門は一般内科、消化器内科。幅広い症状に対する初期診断をはじめ、胃カメラやピロリ菌除菌など専門的な治療まで行っている。

肥満による過剰な内臓脂肪+生活習慣病=メタボリックシンドローム

肥満による過剰な内臓脂肪+生活習慣病=メタボリックシンドローム

編集部編集部

肥満とメタボリックシンドローム、ふたつともよく聞く言葉ですが違いはあるのですか?

津保先生津保先生

まず肥満について説明します。肥満とは、正常な状態に比べて体重が多い、または脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。脂肪には皮下脂肪内臓脂肪があります。また、体重kg÷(身長m×身長m)で算出されるBMIという数値が25を超えると男女共に肥満となります。

編集部編集部

メタボリックシンドロームはこれとは違うのですか?

津保先生津保先生

メタボリックシンドロームは内臓脂肪が過剰に蓄積し、さらにそれにより生活習慣病を2つ以上引き起こした状態を言います。内臓脂肪の蓄積の目安は、腹囲が男性は85cm以上女性が90cm以上です。

編集部編集部

腹囲の数値が上記を超えていて、さらに生活習慣病になっているとメタボリックシンドロームということですか?

津保先生津保先生

はい。脂質異常症収縮期高血圧空腹時高血糖のうち、2つが基準値以上になると、メタボリックシンドロームです。

編集部編集部

では肥満の先にメタボリックシンドロームがあるというイメージですか?

津保先生津保先生

そうですね。肥満により内臓脂肪が増加していくと、生活習慣病を発症します。そうなるとメタボリックシンドロームと診断されます。

脳卒中や心筋梗塞になるリスクが増加

脳卒中や心筋梗塞になるリスクが増加

編集部編集部

メタボリックシンドロームになると起こる危険はありますか?

津保先生津保先生

糖尿病高血圧など、生活習慣病により動脈硬化が進行し、脳卒中心筋梗塞になるリスクが高まります。このように重度な疾患を引き起こすことが、メタボリックシンドロームの最も恐ろしいところです。

編集部編集部

原因について教えてください。

津保先生津保先生

内臓脂肪が蓄積すると、体内にある善玉アディポサイトカインと呼ばれる物質の分泌が減少し、代わりに悪玉アディポサイトカインの分泌が増加します。

編集部編集部

ではBMIや腹囲の基準値を超えた場合、自覚して気をつけることが大事なのですね。

津保先生津保先生

そうですね。生活習慣病は自覚することが難しいため、気づいたときには病気が進行していることが多いので注意が必要です。基準値を超えた場合、放置せず積極的に改善していくことが重要です。

40歳になったら検診を受けて注意していこう

40歳になったら検診を受けて注意していこう

編集部編集部

ではどのように改善すればいいのでしょうか?

津保先生津保先生

内臓脂肪は暴飲暴食や運動不足が原因で増えることがほとんどです。ただ溜まりやすい分、減らしやすい脂肪でもあります。日々の生活習慣で食べ過ぎに注意したり、有酸素運動を取り入れたりするだけでも、効果はあると思います。

編集部編集部

最初に脂肪には内臓脂肪だけでなく皮下脂肪もあると伺いましたが、こちらは減らさなくて大丈夫なのですか?

津保先生津保先生

皮下脂肪は皮膚の内側につく脂肪で、男性より女性に蓄積されることが多い脂肪です。何年もかけて蓄積されるもので定期預金型脂肪と言われており、反対に溜まりやすく減らしやすい内臓脂肪は普通預金型脂肪と言われています。ただ皮下脂肪は生活習病にはあまり影響がなく、女性の場合妊娠や授乳時のエネルギー源となります。そのためあまり減らす必要はないと思います。

編集部編集部

BMIの数値が基準以上の場合、内臓脂肪と皮下脂肪のどちらの脂肪かどうやって判断するのですか?

津保先生津保先生

先ほども述べたように腹囲を測ればある程度、判断がつきます。繰り返しになりますが、男性は85cm以上、女性が90cm以上だと、内臓脂肪型肥満となるので注意しましょう。またCTを撮ることで、脂肪のついている場所を判断することもできますよ。

編集部編集部

肥満やメタボリックシンドロームは、何歳くらいから気をつけはじめたらよいですか?

津保先生津保先生

一般的には肥満の心配がなくても、40歳を超えたら特定検診をきちんと受けることをおすすめします。いきなり基準以下を目指すのは難しいと思うので、まずは体重を3%減らすことからはじめてみてください。

編集部編集部

それだけでも効果はありますか?

津保先生津保先生

かなり効果的だと思います。3%というと70kgの人は2.1kg。まずは達成しやすい目標を設定することで、無理なく減量をはじめられます。また、減量、つまり生活習慣を改善することが、血圧を下げることにつながります。動脈硬化のリスクを下げることもできるのです。

編集部まとめ

肥満により内臓脂肪が過剰に蓄積すると、生活習慣病が引き起こされ、メタボリックシンドロームになってしまいます。生活習慣病にかかると動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞など重度の疾患を引き起こすリスクがあります。津保先生いわく「基準値を超えたら放置せず、生活習慣を見直しましょう。40歳を過ぎたらきちんと健診を受けてください。メタボリックシンドロームと診断されたら、体重の3%から減らす努力をしましょう」とのことでした。

医院情報

つぼ内科おなかクリニック

つぼ内科おなかクリニック
所在地 〒154-0022 東京都世田谷区梅丘2-23-30
アクセス 小田急線「豪徳寺駅」または「梅ヶ丘」より徒歩5分
診療科目 一般内科、消化器内科、生活習慣病

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