「貧血」と「低血圧」の”症状の見分け方”はご存じですか?受診の目安も医師が解説!

貧血になると血圧はどうなる?メディカルドック監修医が、貧血と低血圧の違いや見分け方、食事・薬が血圧に及ぼす影響、注意すべき症状を解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
貧血とは?
血液中の赤血球にはヘモグロビンというタンパク質があり、酸素を運搬する働きを担っています。ヘモグロビンは赤い色素を持つヘムという成分を持っていて、ヘムを構成する重要な分子が鉄です。貧血とはWHO(世界保健機関)の定義では血液中のヘモグロビン値が男性で13.0g/dL以下、女性で12.0g/dL以下のことをいいます。
めまい、立ちくらみなどの症状が重なることもあり、貧血と低血圧は混同されやすいです。貧血は赤血球不足による血液の酸素運搬能力の低下、低血圧は動脈内部の圧力低下を指し、原因も対策も異なります。しかし、貧血が進行すると血圧が低下することもあり、お互いに関連することもあります。また、「朝礼の時に貧血で倒れた」のようなエピソードは脳貧血であることが多いです。脳貧血は医学的には「起立性低血圧」や「神経調節性失神」と呼ばれるもので、一過性に脳への血流が不足することでめまいや気を失ってしまう現象を指します。脳貧血は本来の貧血とは異なり、血液の成分には問題がない場合がほとんどです。見分けるためには、血液検査で貧血がないか検査を行ったり、血圧を測定したりすることが重要です。
貧血の主な症状とは?めまい・立ちくらみ等
めまい、立ちくらみ、頭痛、全身倦怠感などが貧血の主な症状となります。
貧血はなぜ起こる?主な原因とは?
貧血はなぜ起こるのでしょうか?
貧血は様々な原因により、血液中のヘモグロビンが低下した状態です。
主な原因としてヘムの構成成分である鉄の欠乏が挙げられます。しかし、その他様々な疾患・要因が貧血の原因となります。
貧血の種類と改善方法
- 鉄欠乏性貧血:貧血の原因として最も多いものです。鉄が欠乏する原因は、女性の場合、生理の失血、子宮筋腫などの婦人科疾患が挙げられます。また、男女ともに多い原因は消化管出血です。
- ビタミンB12・葉酸などの不足:胃を切る手術を受けた後や、胃炎、極度の偏食、アルコールの飲み過ぎ、野菜柑橘類不足などが原因となります。
- 慢性疾患:慢性腎臓病、関節リウマチ、甲状腺疾患、悪性新生物などの疾患が原因の3分の1を占めます。
- 血液疾患:再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液そのものの病気も原因となります。
貧血になると血圧と脈拍はどうなる?
貧血になると血圧と脈拍はどうなるでしょう?
一般的に貧血になると血圧は低下し、脈拍は上がることが多いです。
貧血は低血圧と同じ状態?高血圧でも貧血になる?
貧血が進行すると血圧が低くなることが多いですが、高血圧の状態でも貧血を合併していることがあります。
貧血で血圧が高い・高くなるのはなぜ?
貧血が血圧を上昇させる因果関係はありませんが、例えば慢性腎臓病の場合は腎臓から出る赤血球の成長を促すホルモンが不足するために、腎性貧血を来します。一方で慢性腎臓病が進むと尿量が減る結果として体液量が増えることや、ホルモンの関係で血圧は高くなります。このため、腎性貧血では高血圧を合併することも多いです。
貧血になると脈拍はどうなる?
貧血になり全身に酸素がうまく運ばれなくなると、心臓は脈拍を上げて血液の流れるスピードを上げることにより、その状況を改善しようとします。このため、脈拍は速くなることが多いです。
食事による血圧の変動と治療や薬が貧血や血圧に及ぼす影響
食事をすることで血圧が低下し、めまいなどが起こることがあります。ここでは食事をすることで起こる血圧の変動と、貧血に対する治療についてまとめて解説します。
貧血と間違えられやすい食後低血圧とは?
食後低血圧とは、食事を摂ると血圧が低下する状態のことです。腸が食物を消化する際に大量の血液が必要になりますが、それに対して心臓が心拍数を上げて血圧を維持しようとします。しかし、もともと血圧が高い方、ご高齢な方、糖尿病の方などはこの仕組みが十分に機能せず、結果として血圧が低下します。食後低血圧の症状はめまい、ふらつきなど貧血の症状と似ているため、貧血と間違えられることが多いです。
貧血の薬を服用したらどのくらいで鉄分が上がる?
貧血の中で頻度の多い鉄欠乏性貧血では、通常経口鉄剤開始後、ヘモグロビン値は1〜2週間で上がり、6〜8週間で正常値に戻ります。ビタミンB12や葉酸の欠乏の貧血でもそれぞれの欠乏をしている栄養素を補給することで改善しますが、胃切後であったり、低栄養状態が影響することもあるため、鉄欠乏性貧血より回復までに時間がかかることもあります。
貧血を放置することによるリスクは?
貧血を長期間放置すると、全身に酸素を運もうと心臓が過剰に動くようになるため、心不全をきたすことがあります。また貧血をきたす疾患には、悪性新生物のように早期に発見して治療を受けないと命に関わるものもあります。
もし健診等で貧血を指摘された場合、できるだけ早めに医療機関を受診してください。
「貧血と血圧」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「貧血と血圧」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
低血圧で貧血気味なのですが、何科を受診すべきですか?
伊藤 陽子(医師)
まずは内科を受診しましょう。血圧の評価、血液検査でヘモグロビン値の測定等をして低血圧が影響しているのか、本当に貧血があるのかを確認する必要があります。女性の方で明らかに月経の出血量が多いなど婦人科の症状がある場合は婦人科を受診してください。
血圧が100未満で立ちくらみになりやすいです。薬で治療できますか?
伊藤 陽子(医師)
まずは内科(できれば循環器内科)を受診して、低血圧について相談しましょう。低血圧の原因を特定し、症状改善のための対策などを相談しましょう。低血圧の原因によっては薬で治療することもあります。
市販のサプリメントはどのくらいで貧血に効果が出ますか
伊藤 陽子(医師)
市販の貧血サプリメントは鉄を含んでいます。鉄欠乏性貧血には効果がありますが、その他のタイプの貧血には効果が期待できません。また貧血の原因を特定することが重要ですので、一度内科を受診してください。
まとめ 「貧血と血圧」は関連があるがそもそも別物!
「朝礼の時に貧血で倒れた」のようなエピソードは脳貧血と呼ばれますが、脳貧血は医学的には「起立性低血圧」や「神経調節性失神」と呼ばれるもので、一過性に脳への血流が不足することでめまいや気を失ってしまう現象を指します。脳貧血は赤血球の不足により生じる貧血とは異なり、血液の成分には問題がない場合がほとんどです。
一方で貧血が進行すると低血圧が生じることが多く、低血圧の症状で貧血の原因となる病気が見つかることもあります。
中には、早めに治療をしなければならない疾患もあり、めまい・ふらつきの症状が続くときには、内科、循環器科、婦人科などを受診してください。
「貧血と血圧」に関連する病気
「貧血と血圧」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
婦人科系の病気
- 過多月経
- 子宮筋腫
- 子宮癌
消化器系の病気
- 消化管出血
- 胃癌
腎・泌尿器系の病気
貧血や低血圧をきたす病気は上記以外にも多くみられます。めまいや立ちくらみなどがみられたり、血液検査で貧血を指摘された場合には、原因を調べるためにもまず内科を受診しましょう。
「貧血と血圧」に関連する症状
「貧血と血圧」から医師が考えられる症状は8個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
上記症状が続くようであれば早めに医療機関を受診してください。症状を放置して心不全をきたし、命に関わることもあります。症状が強い場合には、放置せずに早めに内科を受診しましょう。




