目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 病気の事典
  3. 再生不良性貧血とは?症状・原因・診断・治療方法

再生不良性貧血とは?症状・原因・診断・治療方法

 更新日:2023/03/27
再生不良性貧血

再生不良性貧血とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

再生不良性貧血とは

再生不良性貧血は、骨髄の造血間細胞と呼ばれる血液細胞の種の減少によって、血液中の赤血球や白血球、血小板のすべてが減少してしまう病気です。医学的にはこのような状態を「汎血球減少症」といいます。

重症度が低いと貧血と血小板減少のみで、白血球数は正常値近くに保たれていることもあります。

この病気の患者数は2004-2012年の9年間で約9500人です。男女ともに10-20歳代と70-80歳代にピークを迎えます。また、遺伝子の異常で生まれつき再生不良性貧血をもって出生することもある病気です。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説

再生不良性貧血は、骨髄での3血球系統(白血球系、赤血球系および血小板系)の産生が減少し、その結果、末梢血での白血球、赤血球および血小板数のすべてが減少する病気の一つです。小児再生不良性貧血は年間100万人あたり2人の発症がみられます。

再生不良性貧血の症状

赤血球、白血球、血小板のそれぞれの血球が減少することで以下のような症状が起こります。

赤血球減少:貧血症状

動いたときの動悸、息切れ、めまい、疲れやすい、頭が重い感じがする(頭重感)

白血球減少:感染症症状

発熱、咳

血小板減少:出血症状

ぶつけた記憶がないのにアザができる、鼻血、歯ぐきの出血、そのほかの皮膚や粘膜からの出血

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説

主に、貧血による症状(労作時の息切れ、動悸、めまいなど)と、出血しやすい状態(皮下出血斑、歯肉出血、鼻出血など)がみられます。好中球(白血球)がかなり減少している場合には、感染による発熱で見つかることもあります。

軽症や中等症の場合、症状が特になくて、健康診断などで偶然にみつかることもあります。血小板がかなり減少している場合には、眼底出血をきたして視力障害をおこすこともあります。

再生不良性貧血の原因

再生不良性貧血は、生まれつき病気がある先天性と、なんらかの原因でこの病気になる後天性に分けられます。先天性再生不良貧血は、遺伝子の異常により起こりますがごくまれな疾患です。

多くの場合は、後天性再生不良性貧血で、なんらかの原因があって発症する場合と、原因不明の場合があります。再生不良性貧血は原因不明の場合が90%を占めており、残りは薬剤や薬物、放射線等が原因です。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説

生まれつき病気がある先天性と、そうではない後天性の再生不良性貧血があります。

先天性
全体の10%を占め、ファンコニ貧血、先天性角化不全症、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、先天性無巨核球性血小板減少症などが含まれます。これらの疾患は特徴的な身体所見や臨床症状が見られ、病気を引き起こす原因の遺伝子が見つかっており、遺伝子検査が確定診断に有用です。

後天性
原因不明の一次性(特発性)と、クロラムフェニコールなどの薬剤、放射線被曝やベンゼンなどによる二次性の再生不良性貧血があります。

再生不良性貧血の検査法

血液検査ですべての血球の減少がわかったら、再生不良性貧血を疑いさらに詳しい検査を行います。再生不良性貧血は骨髄で血球の産生が低下するため骨髄検査が必須です。

また、骨髄異形成症候群と鑑別するために、染色体検査や脊椎MRI検査も行うことがあります。気になる症状があれば、医療機関で検査を受けましょう。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説
身体所見と血液検査、骨髄検査、染色体検査、CTやMRI検査などの画像検査などを行って判断します。

再生不良性貧血の治療方法

再生不良性貧血の治療は以下のものがあります。

  • 免疫抑制療法
  • 骨髄移植
  • タンパク同化ステロイド療法
  • 支持療法

先天性でも、後天性でも治療は同じです。

また、再生不良性貧血が薬剤や化学物質などが原因となって起こっている場合は、それらを避けるようにします。ただし、再生不良性貧血と因果関係がはっきりしている薬剤はごくわずかで、特定されている薬剤はすでに販売中止となっています。

村上友太 医師 東京予防クリニックドクターの解説
上記の説明に追加します。病気の程度(重症度)によって治療法が異なります。最重症・重症例では、HLA適合血縁ドナーがいる場合、同種骨髄移植を選択します。
HLA適合同胞ドナーが得られない場合には免疫抑制療法を施行します。免疫抑制療法が無効な場合には、非血縁者間骨髄移植を行います。緊急的に造血細胞移植を必要とする場合は臍帯血も選択されます。

再生不良性貧血の予防方法

再生不良性貧血に特別な予防法はありません。先天性の再生不良性貧血の場合、血縁者にこの病気の人がいると、遺伝することがあります。そのため、定期的な検査を受けることをおすすめします。

この記事の監修ドクター

この記事の監修医師