「アレルギー検査の費用」はどれくらい?保険適用・自費診療の費用も医師が解説!
アレルギー検査の費用はいくら?Medical DOC監修医がアレルギー検査の費用・種類・生命保険や保険適応の有無・自費診療の費用・検査の流れなどを解説します。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
【大人】アレルギー検査の費用はいくらかかるの?
アレルギーと聞いて、どのような病気を想像しますか?代表的なアレルギーとして花粉症や気管支喘息、蕁麻疹、接触性皮膚炎などが挙げられます。どれも聞いたことがある病気ではないでしょうか?このアレルギーの発症の仕方には何通りか経路があります。
代表的な経路をいくつか解説します。最も有名なものが「Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)」です。アレルギーの原因(アレルゲン)摂取直後から2時間以内に起こりやすいのが特徴です。この反応は、好酸球やIgE抗体を介して起こるため、好酸球数やIgE抗体の量を測定することでアレルギーの反応を数値化しています。この経路で起こる代表的なアレルギーが花粉症、気管支喘息、蕁麻疹、アナフィラキシーショックなどです。
次に、「Ⅳ型アレルギー(遅発型アレルギー)」と呼ばれる経路は、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎(かぶれ)を引き起こします。この経路の反応は、半日から数日かけてゆっくりと起こります。
このように、起こしている経路が違うこともあり、何のアレルギーの検査をしたいのかにより選択するアレルギー検査が異なります。この記事では、代表的なアレルギー検査について解説いたします。
保険適用となった場合のアレルギー検査の費用
アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギーなどアレルギーに伴う症状があった場合に、医師の判断で保険適応か判断をしたうえで検査をします。保険適用された場合、おおむね以下のような自己負担額となりますが、このほかに診察料なども入るため詳しくは受診する医療機関にお問い合わせください。
検査費用(3割負担)
・MAST36、MAST48mix、VIEW39 約5000円~6000円
・RAST 1項目で約1000円
・パッチテスト、パッチパネルテスト 約6000円程度
自費診療となった場合のアレルギー検査の費用
保険の適応とならないと判断された場合には、自費診療となります。自費診療は診察料も含め医療機関ごとに異なります。詳しくは受診する医療機関に直接お問い合わせください。
検査費用(自費)
・MAST36、MAST48mix、VIEW39 約6000円~17000円程度
・RAST 約3000円~(項目数などにより変動あり)
・パッチテスト、パッチパネルテスト 約20000円~
【子供】アレルギー検査の費用はいくらかかるの?
子供の検査費用は基本的には大人と変わりません。しかし、保険適用された場合には、自治体などによっては、負担金がないこともあります。詳しくは受診される医療機関にお問い合わせください。
また、子供のアレルギー検査ができない病院もありますので、問い合わせた上で受診しましょう。
アレルギー検査はどこでできるの?
アレルギー検査は、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、内科で行っています。しかし、対応していない医療機関もありますので、必ず事前に問い合わせの上受診することをお勧めします。
アレルギー検査の種類
アレルギーの原因を調べるためにさまざまな検査があります。この中でもⅠ型アレルギー、Ⅳ型アレルギーで一般的によく行う検査を中心に解説いたします。
MAST36
血液検査によって行われるアレルギー検査の一つです。特定のアレルゲンに対するIgE抗体の値を測定します。アレルギー症状の原因として多い36項目が一回で検査をすることができます。この検査項目は、20項目の食物アレルゲン、8項目の花粉アレルゲン、4項目の環境アレルゲン、そのほかの4項目のアレルゲンです。
値段は保険の3割負担で約5000円程度ですが、このほかに診察料などがかかります。
MAST48mix
血液検査でアレルゲンに対するIgE抗体の値を測定します。MAST36に18種類のアレルゲンが追加されたものです。追加された項目は、カビ、木の実(アーモンドやクルミ)、ブタクサ、イネ科、ダニ、ペットのアレルゲンなどです。
値段は保険の3割負担で約5000円程度ですが、このほかに診察料などがかかります。
VIEW39
MASTと同様に血液検査によりアレルゲンに対するIgE抗体の値を測定する検査となります。MAST36やMAST48mixと重なるアレルゲンもありますが、やや項目に違いがあります。ヤケヒョウダニ、マラセチア、サバやリンゴなどMAST36にはない項目も入っています。
値段は保険の3割負担で約5000円程度ですが、このほかに診察料などがかかります。
RAST
ここまでに紹介したMAST36、MAST48mix、VIEW39は決まったアレルゲンに対しての検査です。ある程度何に対してのアレルギーがあるか思い当たる方は、RASTという検査でそのアレルゲンに対してのIgE抗体の値を調べることができます。150種類以上ある項目の中から、アレルゲンの可能性がある項目を選び自由に検査ができます。費用は1項目で1000円程度ですが、検査項目が増えると料金が異なります。また、無制限に検査をできるわけではなく、保険適用となるのは一度の検査で10項目程度です。詳しくは検査をする医療機関で聞いてみましょう。
パッチテスト・パッチパネルテスト
接触性皮膚炎(かぶれ)や、金属アレルギーなどのⅣ型アレルギーの原因を調べるために行う検査が「パッチテスト」です。この検査は、患者さんの健常な皮膚(背中や上腕の外側)に特定の物質を48時間貼り付けて確認するアレルギー検査です。特定の原因がよくわからない場合には、「パッチパネルテスト」を行います。パッチパネルテストでは、化粧品の成分や歯科治療に使われる金属などのかぶれの原因となりやすいものを厳選して貼り付けます。
22項目のスクリーニング検査ができる「パッチパネルテスト」は、3割の保険適用でおおよそ6000円程度です。
パッチテストでは、パッチパネルテストに入っていない項目も調べることができますが、費用は項目などにより異なります。保険適用となるかも含め、実施している医療機関にお問い合わせください。
リンパ球刺激試験
薬剤によるアレルギー反応が疑われる場合に行われる検査が、リンパ球刺激試験です。薬剤によるアレルギーの反応経路にはリンパ球が関わっています。そのため、採血で採取した血液とアレルギーの原因として疑わしい薬を反応させて、どの程度リンパ球が増えたかを測定します。検査費用は3割負担で、薬剤1種類の場合に2500円程度です。薬の種類が増えると費用は高くなります。
これらのアレルギー検査はいずれもアレルギーの症状を伴う病気が無い場合には保険で適応されません。適応のアレルギー症状があるかは、医師の診断の上判断されます。まず適応があるかを含め医療機関で相談してみましょう。
アレルギー検査の目的と当日の流れ
アレルギー検査の目的と当日の流れについて解説いたします。ここでの流れは一般的なものであり、検査する医療機関により異なることもあります。必ず検査する医療機関の指示に従いましょう。
アレルギー検査の目的
アレルギー症状を起こした原因を調べることで、このアレルゲンを避けて症状が起こらないようにすることを目的としています。
しかし、アレルギー検査を受ける際に注意をしなければならない点があります。アレルギー検査で陽性が出ても必ずしも症状が出ない偽陽性もあり得るということです。また、アレルギー検査の値が高いからと言って、必ず症状が強く出るというわけではなく、症状の出方には個人差があります。アレルギー検査の結果のみだけではなく、症状や経過など総合的に判断をしなければなりません。
このようなことに注意して、医師と相談をしたうえでアレルギー検査が必要かを考えましょう。
アレルギー検査の前日の注意点
血液検査でのアレルギー検査であるMAST36、MAST48mix、VIEW39、RAST、DLSTは特に検査をする上での準備などは必要ありません。抗ヒスタミン薬などの内服薬などもそのまま内服をしていても問題ありません。
パッチテストでは、数日前からステロイドの含まれる軟膏類を中止します。また、保湿剤も当日塗らないでください。実施する医療機関で細かい点は確認をしましょう。
また、パッチテストの場合、1週間前から日焼けを避けてください。
アレルギー検査の当日の流れ
血液検査でのアレルギー検査は、当日病院を受診し採血をします。
パッチテストでは、原因が疑われる特定物質を背中もしくは上腕外側に貼り付けます。48時間はり続け、48時間後に来院をしてはがします。その後時間を決めて皮膚の状態をチェックします。
アレルギー検査の当日の注意点
血液検査でのMAST36、MAST48mix、VIEW39、RAST、DLST検査は特に検査をする上での当日の準備はありません。当日、採血を行うのみです。リンパ球刺激試験では、原因薬剤を持参するように指示されることもありますので必ず確認をしましょう。
パッチテストでは、途中でパッチをはがすことはできません。パッチテスト中は汗をかく運動や作業は控えましょう。また、入浴に関しては、72時間後の判定までできません。また、最終判定まで貼付部位をこすらないようにしましょう。細かい点に関しては、実施医療機関で必ず確認をしてください。
「アレルギー検査の費用」についてよくある質問
ここまでアレルギー検査の費用などを紹介しました。ここでは「アレルギー検査の費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
アレルギー検査39項目は何科で受診できますか?
伊藤 陽子(医師)
皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、内科で対応していることが多いです。しかし、対応していない医療機関もあるため、必ず事前に問い合わせしましょう。
アレルギー検査はいつ受診した方がいいですか?
伊藤 陽子(医師)
アレルギーに伴う症状が強く、治療が必要な場合に医療機関を受診して相談しましょう。
編集部まとめ アレルギー検査の費用は高額ですが必要に応じて検査の実施を検討しよう!!
アレルギーの検査は、比較的高価なものが多いです。しかし、アレルギー症状が重度であれば、その原因が分かり避けることで日常生活を快適に過ごすことができます。そのため、効果的に検査が行われ、原因が分かると非常に有用であるといえます。しかし、アレルギー検査のみでははっきりとした診断がつかないこともあり、症状の経過など総合的に判断する必要があります。かぶれや蕁麻疹であれば皮膚科、鼻炎などであれば耳鼻咽喉科、気管支喘息であれば小児科や内科などそれぞれの専門医と相談の上、アレルギー検査をすべきか相談をすることが大切です。
「アレルギー検査」の異常で考えられる病気
「アレルギー検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器科の病気
内科の病気
アレルギーが関与する病気はさまざまあります。これらの病気がある場合、原因を調べるためにアレルギー検査が有用であることもあります。まずは主治医に確認をしてアレルギー検査をすべきか相談をしてみましょう。