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「アレルギー検査」で何がわかる?検査の種類から結果の見方まで医師が解説!

 更新日:2023/12/19
「アレルギー検査」で何がわかる?検査の種類から結果の見方まで医師が解説!

アレルギー検査とは?Medical DOC監修医が検査でわかるアレルゲンの種類や診断結果の見方、花粉症や食物アレルギーなどの治療方法等を詳しく解説します。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

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群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

アレルギー検査とは?

アレルギー検査とはアレルギーの原因となる物質を調べるために行われます。血液検査や皮膚に直接アレルギー物質を塗布する検査など、調べたい項目や症状によって検査の方法が選ばれます。
ここでは検査の方法や検査項目、費用や注意点についてご説明していきます。

アレルギー検査とはどんな検査?

アレルギー検査には血液検査で血液中のIgEという物質を調べる「特異的IgE抗体検査」や遅延型アレルギー(アレルゲンとの接触から数時間~数日の期間をかけてアレルギー症状が出るもの)のときにでるIgGという物質を調べる「遅延型アレルギー検査」、皮膚に直接アレルギー物質が含まれるエキスをおとして反応を調べる「皮膚プリックテスト」、アレルゲン(アレルギーとなる物質)が含まれた専用のパッチを皮膚に貼り反応を調べる「パッチテスト」などがあります。
アレルギーの原因と思われる物質の種類や、アレルギー症状の程度によって検査の種類を医師が決めます。検査の種類により検査結果が出るまでの期間や費用が変わります。

アレルギー検査の種類・アレルゲンの項目数の違い

「特異的IgE検査」は血液中にあるIgEという免疫を検査することでなにがアレルゲンか検査します。採血を行い、その血液を検査しますが、結果が出るまでの期間は医療機関によって半日~1週間と異なります。「特異的IgE検査」で検査できるアレルゲンは200種類以上ありますが、全て調べるのではなく検査項目を医師が選定します。最近は48項目のアレルゲンが一度に調べられる「MAST48アレルゲン検査」や39項目のアレルゲンが1度に調べられる「View39アレルゲン検査」といった血液検査もあります。
遅延型アレルギーではIgGという免疫を検査することで、なにがアレルゲンなのか検査します。この検査は保険診療では認められていないため自費診療となり、全額自己負担にて行う検査です。検査項目は実施している医療機関によっても異なりますが最大219項目を検査することができます。海外で行われる検査のため結果が出るまでに1ケ月要することもあります。
「皮膚プリックテスト」はプリックテスト専用針で少量のアレルゲンを皮膚にいれ15~20分後に皮膚の反応をみる検査です。アレルゲンそのものがあれば血液検査にはない項目を行うことができ、血液検査で偽陰性になりやすい甲殻類アレルギーや果物・野菜アレルギーの診断に有用です。
「パッチテスト」は遅延型アレルギーのアレルゲンを確定するのに有用です。通常はアレルゲンを皮膚にぬり48時間後に皮膚の反応をみます。アレルゲンそのものがあれば検査が行えるため、原因と思われるシャンプーやリンス、化粧品などのアレルギー検査を行うこともできます。

アレルギー検査は必要?アレルギーがなくても受けるべき?

「特異的IgE検査」は血液中にあるIgEという免疫を検査しますが、その値が高いからと言って必ずしもアレルギーがあるとは言い切れません。検査の値が高く、そして接触(摂取)によって症状が出現する場合に初めてアレルギーの診断となります。
アレルギーを疑う症状がなければ受診の必要性は低いと思われます。

アレルギー検査の費用は?

保険適応か自費診療かで値段は大きく変わりますが、例えば39項目のアレルゲンが1度に調べられる「View39アレルゲン検査」であれば、保険適応で3割負担の時の金額が5,000円前後、そこに診察料(初診料もしくは再診料)が加算されます。
本人希望で検査を受ける場合や、まだ保険適応されていない検査を受ける場合は自費診療となるため実施している医療機関によって費用が異なります。詳細は受診予定の医療機関にお尋ねください。

アレルギー検査前日や当日の注意点

アレルギー検査前日は普段通りに過ごして構いません。前日のアルコール摂取もとくに制限はありませんが、受診のときはアルコールが体に残っていない状態になるよう深酒にはお気をつけください。また、抗アレルギー薬や精神安定剤、ステロイドといった内服薬がある場合には検査前に中止する必要のあるお薬があります。中止する期間はお薬によって変わるため受診の前に医師に相談しましょう。
アレルゲンと思われるものがご家庭にあるもの(シャンプーやリンス、化粧品、飲んでいるお薬など)であれば持参しておくと診察の際に診断の参考になります。当日は採血や皮膚に貼るテストを行うため、着脱のしやすい服装で受診するといいでしょう。

アレルギー検査結果の見方と項目別の基準値・異常値一覧

ここまではアレルギー検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

アレルギー検査結果の見方と項目別の主な所見

「特異的IgE抗体検査」ではクラス0~6までの7段階で結果がでます。数値の見方としてはクラス0だと陰性、数字が大きくなるにつれてアレルゲンである可能性が高くなりますが、必ずしもアレルゲンであるとは言い切れません。数値が高くても症状が出ないものもあります。そのため摂取したときの症状が診断の役に立ちます。
「皮膚プリックテスト」は膨疹(赤く膨らんだ皮疹)の大きさで陰性から4+の5段階で評価します。2+からが陽性となり、そのアレルゲンに症状があればアレルギーがあると診断されます。
「パッチテスト」は貼付部位の発赤や水疱(水ぶくれ)を見て判断する検査で、陰性から3+までの4段階で評価します。貼付部位全体に及ばない発赤は陽性と判断されません。

アレルギー検査の項目別異常値と治療

アレルギー検査には主に「特異的IgE検査」「皮膚プリックテスト」「パッチテスト」などがありますが、まずは詳細な問診から開始します。アレルギー発症前に食べたもの・触ったものなどからアレルゲンを推定します。そのうえでこれらの検査をひとつ、あるいは複数行います。
「特異的IgE検査」の項目別異常値は以下の通りです。

検査項目 基準値 検査の説明
非特異的IgE 170 IU/ml以下 IgEの総量をみる
高値であればぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患があることを示唆する
特異的IgE 0.35 Uª/ml未満 個々のアレルゲンに対するIgEの量を調べる
高値でも項目によってアレルギー症状が出現するかどうかは個人差がある
View39 INDEX: 0.27未満 39項目のアレルゲンに対するIgEの量を調べる
高値でも項目によってアレルギー症状が出現するかどうかは個人差がある

検査結果が高値でも症状がなければアレルゲンであるとは言い切れません。
しかし、症状があるにもかかわらず、アレルゲンの特定に至らない場合や原因不明のアナフィラキシーを繰り返す場合、食物経口負荷試験を行う場合は専門の医師に紹介されます。症状がある、特にアナフィラキシーを繰り返している場合は命にかかわるためなるべく早い受診が必要です。アレルゲンが特定されればアレルゲンを除去し、症状をみながら経口摂取する方法もありますが専門医の診察が必要です。

「アレルギー検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「アレルギー検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

食物アレルギー

特定の食べ物を食べると起こるアレルギーです。同じ食べ物を繰り返し食べたことで起こる腸管感作型発症(経口感作)や、花粉症から一部の食べ物のアレルギーへとつながるような腸管外感作型発症が発症の原因としてあげられます。
アレルゲンに対するIgEの値と症状の程度によってアレルゲンの除去を行うかどうかの判断を行います。重症である場合には「エピペン」とよばれるアナフィラキシーショックのときに投与される注射の処方が行われます。
重いアレルギー症状(息が苦しい、犬が吠えるような咳、ゼーゼー・ヒューヒューといった音のする呼吸、激しく嘔吐する、意識がもうろうとする、顔色が蒼白)を認めたときはすぐに受診が必要です。
内科・皮膚科で診察できますが、アレルギー科のある医療機関であれば専門の医師が対応してくれることもあるため、受診の前に確認することをおすすめします。

猫アレルギー

猫アレルギーは猫の唾液に含まれるタンパク質が空気中に舞い吸い込むことによって発症すると言われています。ネコと同じ空間にいることでくしゃみや鼻水、目のかゆみや充血、のどの違和感や咳、皮膚のかゆみなどの症状が出ます。
一番の対処法は猫に近づかないことですが、猫を飼い始めたことでアレルギーを発症する人もいます。共生していくためには薬物療法と環境整備が必要になります。薬物療法には症状に合わせた処方(目のかゆみがあれば点眼薬を、咳があれば吸入薬を、皮膚のかゆみがあれば塗り薬を使用します)を行います。環境整備はこまめなお掃除と換気や空気清浄機の使用があります。カーペットやソファなど布製品をなるべく猫のいる空間から減らします。また猫のお手入れをこまめにすることも大切です。
猫との接触を避けられない人は早めの受診をお勧めします。また日頃は猫と接触する機会がなくとも症状が重たい方も受診をすることをお勧めします。お近くのアレルギー科や内科を受診しましょう。

金属アレルギー

金属アレルギーは金属によって引き起こされるアレルギー性皮膚炎です。金属が接触した部分にかゆみを伴う湿疹や赤みが出現します。金属から溶け出した金属イオンが、人体が本来持つタンパク質と結合し、アレルゲンとなるタンパク質に変質することで金属アレルギーが起きます。昔に比べて、歯科治療で使用される金属製の詰め物、またはジュエリー・アクセサリー、メイク品など「金属(成分)」に触れる機会が多くなってきていることが金属アレルギーを発症する原因と言われています。
治療法としてはまず原因となる金属を特定し、その金属を身につけないようにします。そのうえでスキンケアを行い、症状があればステロイド外用薬(炎症を抑える)やタクロリムス外用薬(免疫反応を正常に整える)などを使用します。
金属アレルギーのセルフチェック項目としてはアクセサリーや金属の時計などを身につけた所がかぶれたり湿疹ができたりする、身につけていた金属をはずすと症状がなくなる・軽減する、汗をかくと症状が悪化する、虫歯治療を行ってから湿疹などの症状を出現した、金属を多く含む食べ物(チョコレートや大豆)を食べるとかゆみが出やすいなどです。このような症状が当てはまる場合は近くのアレルギー科や皮膚科を受診しましょう。

ハウスダストアレルギー

ハウスダストとは、ホコリの中でも特に1mm以下の肉眼では見えにくいもののことで、衣類などの繊維、ダニの死がい・フン、イヌ・猫の毛、花粉、タバコの煙、カビ、細菌などさまざまなものがあります。これらを原因として起こるぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎がハウスダストアレルギーです。空気中に舞い上がるハウスダストを吸い込むことで過剰な免疫反応が起こり発症します。もともとぜんそくやアトピー性皮膚炎などがある人は発症しやすいため注意が必要です。
治療法としてはそれぞれ出ている症状に合わせて治療法が選択されますが、まずは原因となるハウスダストを減らすことが重要になります。具体的な対策としては、ダニが好む高温多湿な環境を作らない、ペットの清潔を保つ、こまめに掃除をする、こまめに換気をするといった方法があります。特にダニは寝具に圧倒的に多いため寝具の定期的な洗濯や天日干し後の掃除機かけが有効です。
ハウスダストアレルギーかなと感じたらまずはどのハウスダストが原因なのか調べることが大切です。お近くのアレルギー科や呼吸器内科、皮膚科を受診しましょう。

花粉症

花粉症は花粉が原因でアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎といったくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血などが起こる状態です。スギやヒノキなど春の花粉が原因で起こることが多いとされています。日本には全国の森林の18%、国土の12%にスギの木が占めているため花粉を大量に吸い込みスギに対するアレルギーが成立し花粉症になると言われています。そのため花粉症の約70%はスギ花粉がアレルゲンとされています。それ以外にも関西ではヒノキ、北海道ではシラカンバ属が多くアレルゲンとなりやすいとされています。
治療は「薬物療法」「アレルゲン免疫療法」「手術療法」の3種類があります。薬物療法は飲み薬のほかに、アレルギー性鼻炎の症状が強ければ点鼻薬を、アレルギー性結膜炎の症状が強ければ点眼薬を使います。お薬の副作用がつらかったり、お薬を使っても症状が抑えられなかったりする場合には、アレルゲン免疫療法が考慮されます。これはアレルゲンを注射や舌下錠にて投与し体のアレルギー反応を弱めるために行われます。手術療法は鼻の粘膜をレーザーで焼く下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。
花粉症は症状が重たくなるとお薬が効きづらくなるため、症状が軽いうちにお薬を使い始める「初期療法」というものが勧められています。早めにお薬を使用することで花粉の量が増えてきた時期にも症状をコントロールしやすくなります。
春に目がかゆくなる、鼻がムズムズするなど症状が出たした場合は早めに受診することでお薬も効きやすくなるでしょう。アレルギー科や目の症状が強い場合には眼科、鼻の症状が強い場合には耳鼻科を受診することをおすすめします。

アトピー性皮膚炎

強いかゆみを伴う湿疹ができ、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがアトピー性皮膚炎の特徴です。体の左右同じような場所や耳や口周り、足や腕のやわらかい部分に湿疹が現れやすいです。家族にぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎になったことがある人がいるとアトピー性皮膚炎になりやすいと言われています。
治療は「薬物療法」「皮膚の生理学的異常に対する外用療法やスキンケア」「悪化因子の検索と対策」の3つが重要です。炎症に対しては、ステロイド外用薬にて炎症を抑えたり、タクロリムス外用薬にて免疫反応を正常に整えたりして、これにスキンケアを行います。治療により症状がよくなっても皮膚の深い層に炎症が残る場合もあるので、自己判断でお薬を中止してはいけません。

「アレルギー検査」で引っかかる理由は?

「特異的IgE抗体検査」ではアレルゲンに「感作」しているとIgE抗体の数値が高くでますが、必ずしもそれでアレルギーがあると診断することはできません。本人の症状と合わせて診断することになります。

「アレルギー検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「アレルギー検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

アレルギー検査は何科の病院で受けられますか?

丸山 潤丸山 潤 医師

アレルギー科と書かれている病院では詳しい検査ができることが多いですが、内科や小児科皮膚科でも対応できることがあります。花粉症など目に症状がある場合は眼科、はなやのどに症状がある場合は耳鼻科でも診察できることがあります。
病院のホームページをみたり、問い合わせの電話をしてみたりしてください。

アレルギー検査は保険適用になりますか?

丸山 潤丸山 潤 医師

症状がある場合の検査や治療は保険適応になることがほとんどですが、遅延型アレルギーのIgG抗体検査など保険適応が認められていない検査もあります。また一度にできる検査の項目が保険適応では決まっていることもあります。

アレルギー検査の結果はどのくらいでわかりますか?

丸山 潤丸山 潤 医師

血液検査は時間がかかることが多いですが、大きな病院ではその日にわかる場合もあります。皮膚に行うプリックテストは15~20分で結果がわかります。

アレルギー検査でわかったアレルギーは病院で治療できますか?

丸山 潤丸山 潤 医師

原因となる物質の除去がまずは一番大切ですが、症状に対するお薬を病院で処方してもらうことで症状を和らげることができます。
最近では原因となる食べ物を少しずつ摂取して治療する方法も行われていますが、アナフィラキシーショックを起こすリスクがあるため、自己判断で行わず、かかりつけの医師と相談し治療を進めてください。

アレルギー検査は39項目だと受けても意味がないのでしょうか?

丸山 潤丸山 潤 医師

原因となるアレルゲンが思い当たる場合は、その項目が含まれた検査を受けることをおすすめします。

まとめ「アレルギー検査」でアレルギーを早期発見!

子どもの頃に発症したアレルギーは大人になるとともに徐々に軽快していくことが多いですが、大人になって発症したアレルギーはうまく付き合って過ごしていくことが大切になります。治療は症状が軽いほど効果を得られやすいため、症状が悪化する前に受診をしましょう。また、皮膚症状だけではなく、特定の食べ物を摂取するといつもお腹をくだす、など消化器の症状もアレルギーかもしれません。このような場合も一度医療機関を受診してください。
アレルギーからアナフィラキシーショックを起こすと命にかかわる状態になります。「エピペン」というペン型の注射1本で命が助かることもあるため、アナフィラキシーショックをおこすリスクがあると医師に診断された方はエピペンを受け取り、携行しましょう。

「アレルギー検査」の異常で考えられる病気

「アレルギー検査」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器の病気

耳鼻科の病気

アレルギーかな?と思ったら、その時にいた場所や食べたもの、何をした後だったかなどを詳細にメモしておくと受診の時に役立ちます。アレルゲンがご自身ではっきりとしなくても医師と客観的に行動を振り返ることでアレルギーの原因がわかることもあります。皮膚に症状があらわることが多いですが嘔気や嘔吐など消化器症状だけ現れることもあるためそのような場合もメモしておくとよいでしょう。

この記事の監修医師