「食道がんの症状」はご存知ですか?末期症状も医師が解説!
公開日:2025/11/10

※この記事はMedical DOCにて『「食道がんの症状」はご存知ですか?末期症状・セルフチェック法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
目次 -INDEX-
「食道がん」とは?
食道とはのどと胃の間をつなぐ管状の臓器です。この食道の粘膜の表面からがんができたものが「食道がん」です。食道がんには扁平上皮がんと腺がんの2つの組織型があり、日本では扁平上皮がんが約90%を占めています。日本に多い扁平上皮がんの原因は、飲酒や喫煙です。一方、欧米に多い腺がんの原因としては、逆流性食道炎が挙げられ、肥満や欧米型の食生活や喫煙が関係していると考えられています。今後食生活の変化により、日本でも腺がんが増加するのではないかと考えられています。食道がんの代表的な症状
食道がんの初期は、自覚症状がないことが多いです。次第に進行すると下記のような症状が出現します。症状をチェックし、早期発見のために注意をしていきましょう。胸の違和感
飲み物や食べ物を飲み込んだ際に、胸のしみる感じや痛みを感じることがあります。この症状が、食道がんの初期症状であることもあります。その後に症状が消えてしまうこともあるため、一時的な症状であっても胸のしみる感じや痛みがあった場合には、一度消化器内科で胃カメラなどの検査を受けましょう。食べ物がつまる感じ
食道がんが進行すると、食道が狭くなっていきます。このため、食べ物が飲み込みづらくなり、食事がとれなくなります。食べ物が詰まる感じがある場合には、食道がんの初期の症状の可能性があります。早急に消化器内科を受診しましょう。食道がんの末期症状
食道がんの末期症状について解説します。食道はさまざまな臓器と隣接しているため、がん病変が広がっていき、他の臓器へ及ぶとさまざまな症状が出ることがあります。食事摂取困難、体重減少
食道がんが進行し、食道の狭窄が進むと食べ物が通らなくなります。最初は、液体であれば摂取できますが、さらに進行すると水分でさえも飲み込めなくなり、次第に体重は減少します。固形物が取れない時には、液体で栄養を摂取することで対応しますが、液体さえもとれなくなった場合には点滴などでの水分等の補給が必要です。このような状態になった時にどのように対応をするか、前もって本人、家族と話し合いましょう。背中の痛み
食道を超えて周囲の骨や肺、大動脈までがん病変が広がっていくと、胸の奥や背中の痛みが出てくるようになります。このような症状が現れた場合には、早めに病院を受診し、痛みを緩和するための治療を検討します。声のかすれ、咳
食道がんは、周囲のリンパ節へ広がりやすく、声帯を動かす反回神経の周囲のリンパ節に転移すると、声帯の動きが悪化し、かすれ声(嗄声)となります。また、食事を摂る時にむせやすくなり、肺や気管へもがん病変が広がってしまうと、せき込み、肺炎を起こすこともあります。肺炎の合併が体調悪化の原因ともなるため、咳が強い時には病院を受診しましょう。「食道がんの症状」についてよくある質問
ここまで食道がんの症状などを紹介しました。ここでは「食道がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
食道がんを疑う初期症状はありますか?
伊藤 陽子(医師)
飲食物を飲み込んだときに、前胸部のしみる感じやチクチクとした痛み、つかえる感じがある場合には食道がんの初期症状を疑います。最近胃カメラなどの検査を受けていない場合には、早めに消化器内科を受診しましょう。
食道がんがリンパ節転移した場合、どんな症状が現れますか?
伊藤 陽子(医師)
食道は周囲に血管やリンパ節が豊富であり、リンパ節転移をしやすいため注意が必要です。特に、反回神経(声帯を動かすための神経)の周囲のリンパ節へ転移すると、声がかすれる症状が現れます。声が出にくいなどの症状が、食道がんによる症状の可能性があります。




