歯周病の治療法とは?治療の内容や効果的な設備について解説!
歯周病は、歯茎が赤く腫れるだけではなく、歯そのものを失うことにもなり得る病気です。重症化すると、さまざまな全身疾患を誘発することもあります。歯周病は、放置せず適切な治療を受けることが大切です。
ここでは、歯周病治療の内容やメリット・デメリット、効果的な医療機器や設備について解説します。歯周病の症状を自覚している人は、参考にしてみてください。
監修歯科医師:
横井 宏幸(LION歯科・矯正歯科)
明海大学病院歯周病科 入局・日本歯周病学会 歯周病認定医を取得
在学中はアメリカンフットボール部に所属し、卒業後も社会人リーグでプレー
2014年4月2日 LION歯科・矯正歯科 開院
目次 -INDEX-
歯周病とは
はじめに歯周病という病気の基本から学んでいきましょう。
歯周病の概要
歯周病は、Pg菌に代表される歯周病菌への感染によって発症する病気です。歯周病の主な症状である歯茎の腫れは、細菌感染による炎症反応に由来しています。
歯周病の種類
歯周病は、歯肉炎(しにくえん)と歯周炎の2つに大きく分けられます。
歯肉炎は、歯茎を意味する歯肉だけに炎症反応がとどまっている段階で、比較的軽度の歯周病であるといえます。
歯周炎は、歯肉だけにとどまらず、歯の根っこの周りに分布している歯根膜(しこんまく)や歯を支える歯槽骨(しそうこつ)にまで炎症が広がっており、重症度は比較的高いです。
歯周病のよくある症状
歯周病は、サイレントディジーズ(沈黙の病気)と呼ばれることがありますが、実際は進行する過程でさまざまな症状が見られます。『痛み』という強い症状が現れにくいことから、自覚しにくいのでしょう。以下に挙げる症状でひとつでも当てはまるものがある場合は、歯周病が疑われます。できるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。
・歯磨き中に歯茎から血が出て痛い
歯周病では、炎症反応によって歯茎が赤く腫れるようになります。細菌と戦うために免疫細胞や体液などが集められていることから、ちょっとした刺激を加えるだけでも出血してしまいます。歯磨き中に歯茎からの出血が認められるのはそのためです。
・口臭がする
ほとんどの歯周病患者さんからは、独特の口臭が認められます。これは歯周病菌が産生するメチルメルカプタンという揮発性のガスに由来しています。歯周病菌が食べかすなどに含まれるタンパク質を分解する過程で、腐った玉ねぎのような臭いのガスを作り出すのです。そうした口臭は自覚するのが難しいのですが、周りの人は気づきやすくなっている点に注意が必要です。
・歯が浮く感じがする
進行した歯周病である歯周炎では、歯根膜に炎症反応が起こります。歯根膜は歯の根っこの周りを覆っているクッションのような組織です。そこが腫れると、歯が浮いたような感覚が生じるようになります。歯が浮く感じも痛みではないため、そのまま放置してしまう人が多いです。
・食事中に歯がぐらぐらする
食べ物を噛んだ時に歯がぐらぐらする場合は、歯槽骨の破壊が進んでいます。歯槽骨が歯をしっかりと支えきれなくなっているため、安定性が低下しているのです。これは歯周炎の末期症状といえます。
・歯茎が下がってきた
歯茎が下がる現象も歯周炎で見られます。人によっては歯が伸びたように見えるかもしれませんが、実際は歯茎と歯槽骨の破壊が進んでいます。一度下がってしまった歯茎と歯槽骨は、自然治癒によって元通りになることは難しいです。
・歯茎から膿が出ることがある
歯周病菌が歯茎の中で異常繁殖すると、膿が形成されます。それが歯茎の外に出てくる現象を排膿(はいのう)といいます。黄色い液体が漏れ出て、強い臭気を放つようになります。
歯周病治療のメリットとデメリット
ここまでの説明で、歯周病の症状とそれを放置するリスクについては理解できたかと思います。そこで必要となるのが、歯周病治療です。歯周病治療には次に挙げるようなメリットとデメリットがあります。
歯周病治療のメリット
・歯周病の諸症状を取り除ける
歯周病治療を行うことで、上段で説明した症状の多くを取り除けます。それは歯周病による炎症反応を抑える、あるいは止めることができるからです。とくに歯茎から血や膿が出る症状、歯がぐらぐらして噛みにくい症状などが改善されることは、患者さんにとって大きなメリットとなることでしょう。
・歯を残すことができる
日本人が歯を失う原因の第一位は歯周病です。歯周病を治療せずに放置していると、歯茎や顎の骨が歯を支え切れなくなるからです。歯周病治療を行えば、そのリスクを低下させることができます。
・治療費を安く抑えられる
歯周病治療を行うことで、歯科治療にかかる費用を抑えられます。例えば、歯周病治療を行わずに抜歯をした場合は入れ歯などといった補綴治療(ほてつちりょう)が必要となり、費用がかかることになります。
歯周病治療のデメリット
・通院が必要になる
歯周病治療は、1回の処置で終わることはほとんどありません。進行した歯周病の場合は、数週間から数カ月の通院が必要となります。この点を歯周病に伴うデメリットと感じる人もいるでしょう。
・痛みを伴うことがある
歯周病治療では、出血や痛みなどを伴う処置を行うことがあります。外科治療では、歯茎をメスで切開する場合もあります。そうした治療は心身に負担がかかる場合もあるでしょう。
歯周病治療の内容
ここからは、歯周病治療の内容を具体的に解説します。
歯周病の検査
歯周病治療では、最初に歯周組織検査を実施します。歯周ポケットの深さや歯茎からの出血、歯の動揺度などを調べる検査で、歯周病の有無と進行度を大まかに評価することができます。必要に応じてレントゲン撮影も行い、顎の骨の吸収が起こっているかどうかも確認します。歯周ポケットを測定する検査に関しては、スケーラーという先端が尖った器具を使用することから、痛みを伴う場合があります。
歯周基本治療
歯周病と診断された患者さんは、歯周基本治療を受けます。それは軽度の歯周病であっても、重度の歯周病であっても同じです。以下の方法で、口腔内の歯垢(プラーク)や歯石を取り除き、患者さん自身がプラークコントロールできるようにならないと、歯周病を治すことはできません。
歯周基本治療では、上記の3つがベースとなりますが、その他にも抗菌薬を用いた応急処置や不良補綴物の調整、動揺度の強い歯の暫間的な固定、噛み合わせの調整なども必要に応じて行います。
歯周病の外科的治療
歯周基本治療で十分な効果が得られなかった場合は、歯周病の外科的治療を行います。例えば、進行した歯周病では深い歯周ポケットが形成されているため、通常のスケーリング・ルートプレーニングでは、歯石を取り切ることが難しいです。そこで行われるのが「フラップ手術」と呼ばれる外科治療で、歯茎をメスで切開し、歯根面を露出させた状態で歯石などを取り除きます。歯根面がきれいになったら歯茎を縫合して処置を完了させます。歯周病の外科的治療にはその他にも歯茎の形を整えたり、歯茎が下がったところに他の部位の粘膜を移植したりする治療があります。それぞれ適応症が大きく異なります。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法とは、歯周病によって破壊された歯茎や歯槽骨を再生させるための治療です。具体的には、エムドゲイン法やリグロス、GTR(歯周組織誘導法)などが挙げられます。歯槽骨が欠損している部位に骨補填剤や人工骨などを設置して、歯周組織の再生を行います。
エムドゲイン再生療法のメリットは歯槽骨と歯根膜を再生させ、歯周病の再発を防ぎやすくできることです。ただし、全体的に下がっている骨は再生できない、歯茎が下がってしまう場合があるなどのデメリットがあります。費用の相場は1歯あたり50,000~100,000円(税込)程です。
リグロスは細胞を増やす成長因子を成分に持ち、歯周病で破壊された歯周組織の再生の促進が期待できることがメリットです。保険適用で受診することができます。
GTR法のメリットは、顎の骨や歯根膜などの歯周組織の再生を促すことで、歯肉の再生によって歯槽骨が埋まるのを防げることです。ただし、歯槽骨が溶けた範囲や症状によっては、治療できない場合がある、人工膜を挿入した後に歯茎を縫合するために高い技術が必要になるなどのデメリットがあります。費用の相場は50,000~150,000円(税込)程です。
メンテナンス
歯周病は再発しやすい病気であるため、治療が終わった後も定期的なメンテナンスを受ける必要があります。そもそも歯周基本治療や歯周病の外科的治療などを実施しても、歯周病を完全に治すことは難しいのです。多くのケースでは、歯周病による症状を安定させるにとどまります。もちろん、中には完治させることができる場合もありますが、そうしたケースでも治療後のメンテナンスは欠かせません。
歯周病治療に効果的な設備
歯周病治療を効果的に進めていくうえでは、以下に挙げるような設備が有効です。
拡大鏡
歯科医師がメガネのように装着している装置です。視野を肉眼の数倍程度まで拡大できるため、細かい処置が可能となります。拡大鏡は、歯科用ルーペと呼ばれることもあります。
マイクロスコープ
マイクロスコープは、視野を肉眼の数十倍程度まで拡大できます。歯科用顕微鏡とも呼ばれる大型の装置で、歯科医師がレンズをのぞき込みながら治療を進めていきます。
Er:YAGレーザー
医療分野で広く活用されているEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザーは、健全な組織に対して破損が少なく、安全性の高い医療機器として有名です。歯周病治療では、歯周ポケット内の細菌の除去、歯石除去、歯肉整形、歯周外科処置などで使用されています。先端のチップを交換することで、歯茎などの軟組織だけではなく、骨のような硬い組織に処置を施すことも可能となります。
歯周病治療ならLION歯科・矯正歯科に相談を
今回は、歯周病治療の内容や種類、治療を受けるメリット・デメリットなどを解説しました。
歯周病が疑われる症状をひとつでも自覚したら、歯科医院で受診するようにしましょう。最後に、歯周病治療の豊富な経験があり、質の高い治療を提供しているLION歯科・矯正歯科をご紹介します。
日本歯周病学会認定医による質の高い治療
LION歯科・矯正歯科では、日本歯周病学会認定医による質の高い歯周病治療を提供しています。歯周病の基本検査や咬合診断、レントゲンや歯科用CTなどによる検査を踏まえて、的確に問題点を抽出し、診断を行います。そのうえで、複数パターンの治療計画を策定し、患者さんの希望に適した治療方針を提案することを徹底されているといいます。
Er:YAGレーザーを使用した効果的な歯周病治療
LION歯科・矯正歯科では、Er:YAGレーザーを使用して、効果的な歯周病治療を行っています。歯周病の感染源である歯石や不良肉芽組織を取り除き、組織内の歯周病細菌を死滅させることができるそうです。歯周ポケット内の炎症組織にレーザーを当てることで、歯根と歯周組織の再付着が促されるため、歯周ポケットの改善も期待できるといいます。抗菌薬を用いた治療のように耐性菌が生まれる心配もないそうです。
マイクロスコープを使用した歯周病治療
LION歯科・矯正歯科では、歯周病治療にマイクロスコープも活用しており、歯周病の早期発見と精密な治療に役立てているそうです。歯周病の感染源となる歯石やプラークを、より一層細かいところまで観察して除去することで、治癒の促進と再発の防止につなげられているといいます。
破壊された骨は歯周組織再生療法で回復
LION歯科・矯正歯科では、歯周病によって破壊された骨を回復させる歯周組織再生療法にも対応しています。骨吸収が多い場合に歯を支える骨に薬を塗り再生を図る治療方法で、成長力のある子どもの頃に持っているタンパク質を使用して歯周組織の再生を図るエムドゲイン再生療法や、GTR法を併用する治療、限られた部分の歯肉が退縮して歯根が露出した箇所を覆う根面被覆術などを提供しています。
歯周病かもしれないと感じている方は、LION歯科・矯正歯科に相談してみてはいかがでしょうか。
LION歯科・矯正歯科の基本情報
アクセス・住所・診療時間
横浜市営地下鉄ブルーライン蒔田駅 徒歩4分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00〜13:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - |
14:30〜18:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | △ | - |
▲…14:00〜18:00
△…14:00〜17:00
【費用(税込)・治療期間・治療回数】
・エムドゲイン再生療法:
費用 66,000円 治療期間 1週間 治療回数 2回
・エムドゲイン再生療法+GTR法併用:
費用 110,000円 治療期間 1週間 治療回数 2回
・根面被覆術(エムドゲイン併用):
費用 88,000円 治療期間 1週間 治療回数 2回