「お風呂上がりに息苦しい」原因と対処法はご存知ですか？医師が徹底解説！

お風呂上がりに息苦しいとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
今村 英利（新宿アイランド内科クリニック 院長）

「お風呂上がりに息苦しい」症状で考えられる病気と対処法

お風呂上がりに具合が悪くなって病院へ運ばれたというエピソードを聞いたことありませんか。寒い時期のお風呂は、特に高齢者にとっては非常に危険な場所です。お風呂中やお風呂上がりに息苦しい時に考えられる病気について解説していきましょう。

お風呂上がりに息苦しい症状で考えられる原因と対処法

お風呂上がりに息苦しい場合には、まずは狭心症や心筋梗塞などの心疾患を疑います。お風呂は体力を使うため、心臓が弱っている方にとって大きな負担になることもあります。息苦しい以外に胸が痛い、左肩や顎が痛いなどの症状が特徴的です。緊急性が高い症状ですので、すぐに救急車を呼びましょう。浴槽内で倒れた場合、溺れてしまう可能性があります。お風呂で強い症状が出ている場合には、家族や発見者が浴槽内のお湯をすぐ抜きましょう。

お風呂上がりに息苦しく気持ち悪い･吐き気がする症状で考えられる原因と対処法

お風呂上がりに気持ちが悪い場合にも、心筋梗塞などの心疾患などを疑う必要があります。高齢者、特に糖尿病を合併している場合には、心筋梗塞が起こっても胸の痛みがなく、なんとなく具合が悪いなどの非典型的な症状で発症する場合もあります。お風呂で具合が悪くなって動けない場合には特に緊急性が高いためすぐに救急車を呼びましょう。お風呂からでて症状が徐々に改善する場合、症状が完全に無くなってしまう場合を除いて病院を受診して検査を受けるのが良いでしょう。

お風呂上がりに息苦しく動悸･心臓がバクバクする症状で考えられる原因と対処法

お風呂上がりで不整脈が出ている場合には動悸を感じることもあります。一時的な負荷や脱水などで一過性な症状となることもありますが、持続する場合や胸痛などの他の症状がある場合には緊急性が高いと考えられます。すぐに病院を受診しましょう。

お風呂上がりに息苦しくめまいがする症状で考えられる原因と対処法

息苦しくめまいがする場合には、心筋梗塞や不整脈などによる血圧低下などが危険な原因として考えられます。めまいがする場合には、風呂場内での転倒リスクもあるためすぐに安全なところに座りましょう。浴槽内では溺れるリスクもあるため、水を抜きましょう。息苦しさ、めまいが持続する場合にはすぐに病院を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「お風呂上がりに息苦しい」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

胸の痛み、息苦しさなどの心疾患を疑う場合は、救急科へ

風呂場で寒暖差が強い状況にさらされると、血圧が大きく変動し身体、特に心臓に大きな負担になります。ヒートショックといいますが、ヒートショックが原因で心筋梗塞や大動脈解離などの心・大血管の病気を起こすこともあり、注意が必要です。またこれらの病気を浴槽内で起こすことで溺れ死ぬ事故が多数報告されています。風呂に入って胸の痛み、息苦しさなどの症状が出た場合にはすぐに救急車を呼んで救急病院を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「お風呂上がりに息苦しい」のセルフチェック法

• ・お風呂上がりに息苦しい以外に胸痛がある場合
• ・お風呂上がりに息苦しい以外に背中の痛みがある場合
• ・お風呂上がりに息苦しい以外に意識がもうろうとするような症状がある場合

「お風呂上がりに息苦しい」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お風呂上がりに息苦しい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ヒートショック

ヒートショックは12月から2月の冬場に起こりやすい状態で、急激な温度変化により血圧が大きく変動することで体に負荷がかかり、失神、不整脈などが起こるものです。ヒートショックにより狭心症や心筋梗塞が起こることもあります。対策としては、室内の温度差を低くする（風呂場などの場合には入浴前に事前に温めておく）こと、長湯はせず温度は41度以下10分以内を目安にすること、浴槽から急に立ち上がらずゆっくりした動作を心がけること、お風呂に入る時は誰かに声をかけてから入ることなどが挙げられます。

貧血

貧血がある場合にもふらつき、立ちくらみなどの症状が起こることがあります。貧血には胃潰瘍や産婦人科疾患などによる鉄欠乏性貧血や葉酸・ビタミンB12不足による巨赤芽球性貧血などさまざまな種類があります。貧血を疑うような症状がある場合には、病院で検査を受けましょう。
長風呂の後に急に立ち上がって立ちくらみがする場合、貧血が原因になることもありますが、多くのケースでは一過性の脱水や自律神経の調節障害である起立性低血圧を起こしているものと考えられます。対策としては、長風呂をしない、ゆっくりした動作を心がけるなどが挙げられます。

喘息

喘息で未治療の場合や発作の急性期には湿度や温度の変化で咳発作が誘発されるため、入浴後に喘息発作を起こす可能性もあります。ゼイゼイする、息切れ、咳などの喘息症状がある場合にはまずは呼吸が楽な姿勢になりましょう。浴槽内は溺れる可能性もあるため、お湯を抜くか浴槽の外に出てください。喘息発作が治らず、吸入薬などもない場合にはすぐに病院を受診して治療を行いましょう。

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患とは、タバコの煙などの有害物質を長期的に吸入することで起こる肺の炎症性疾患で、歩いたりする軽い作業でも息切れを感じ、咳やたんがでる病気です。風呂などの負荷により呼吸苦を誘発することもあります。症状がある時には無理をせずシャワーなどに変更するなどしましょう。

「お風呂上がりに息苦しい」ときの正しい対処法は？

まずは呼吸が楽になるような体勢、座ったり横になったりするのが良いでしょう。その際お湯をはったままの浴槽内では溺れる危険があるため、介助をする方はお湯を抜きましょう。体勢を整えても息苦しさが改善しない場合やゼイゼイしている、息苦しさ以外に胸の痛みなどの症状がある場合にはすぐに救急車を呼びましょう。
息苦しさが改善した場合には無理せずお風呂は入らずに、シャワーで済ませてお風呂から上がりましょう。

まとめ

お風呂上がりの症状は時として危険な症状につながることがあります。特に冬の風呂は高齢者にとってはヒートショックのリスクもあるため注意が必要です。

「お風呂上がりに息苦しい」症状で考えられる病気

「お風呂上がりに息苦しい」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

お風呂上がりの症状は時として危険な症状につながることがあるので、事前に対策を取っておくことが大事です。

「お風呂上がりに息苦しい」に似ている症状・関連する症状

「お風呂上がりに息苦しい」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「お風呂上がりに息苦しい」症状の他にこれらの症状がある場合でも「狭心症」「心筋梗塞」「大動脈解離」「起立性低血圧」「貧血」「気管支喘息」「慢性閉塞性肺疾患」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。