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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状・原因・治療方法をご紹介

 更新日:2023/03/27

慢性閉塞性肺疾患(読み方:まんせいへいそくせいはいしっかん、別名:COPD)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
西岡 進 医師 ファミリークリニック陽なた 院長

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、肺の生活習慣病と言われており、肺気腫や慢性気管支炎も合わせた、慢性的な肺の病気のことです。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症します。
40歳以上の人口の8.6%、約530万人の患者が存在すると推定されています。全体では死亡原因の9位、男性では7位を占めています。

西岡 進 医師 ファミリークリニック陽なた 院長監修ドクターのコメント

慢性閉塞性肺疾患にかかっていると思われる方に関しては、かなり多いと推定されています。基本的には、この病気になる約95%の方が喫煙者となっております。アメリカでは遺伝的な原因による患者さんもいらっしゃいますが、日本ではそういった患者さんは少なく、ほとんどの場合、たばこの影響だと考えられています。

一方、急激な症状が出にくいので、多くの方がが未受診、未治療であると考えられています。例えば加齢によるものと自分自身で判断し、自ら日常生活の運動量を制限してしまい、そのためこの疾患にかかっていることに気が付きにくいといったことが、未受診、未治療の一つの原因として考えられます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状

代表的な症状は以下の通りです。
・歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる
・一日に何度もせきやたんが出る
・呼吸をする時にゼイゼイ・ヒューヒューと変な音がする

西岡 進 医師 ファミリークリニック陽なた 院長ドクターの解説

肺気腫の場合は、痰は少なく、咳が出やすい、息切れが起こりやすいといった症状があります。一方、慢性気管支炎の場合は、痰や咳が出やすく、息切れも起こりやすいといった症状があります。

一般的には、徐々に症状が進行していきます。喘息とは異なり、急激によくなったり悪くなったりする病気ではありません。但し、肺気腫の方の場合で風邪をひいたり、喘息の素因をお持ちの場合、急激に状態が悪くなるといったことはあり得ます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因

最大の原因は喫煙です。喫煙者の15~20%がCOPDを発症します。受動喫煙も発症の原因になります。
粉塵(ふんじん)、大気汚染や乳幼児期の呼吸器感染、遺伝なども原因としてあげられ、たばこの煙や化学物質などの有害物質の吸引によって、気管支の組織が炎症を起こし、たんが溜まることで空気が通りにくくなります。
また、肺胞が破壊されて肺気腫という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。

西岡 進 医師 ファミリークリニック陽なた 院長監修ドクターのコメント

最大の原因は喫煙によるものと考えられています(約95%)。あとは大気汚染(PM2.5等)、工事現場等で作業中に吸入する粉塵も原因になり得ます。遺伝的な原因もありますが、日本では少ないです。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の検査法

確定診断にはスパイロメトリーといわれる呼吸機能検査が必要です。
思い切り呼吸をしたときの呼吸効率を測定するもので、機種によっては「肺年齢」が判明します。
また、レントゲン検査やCT検査などの画像診断も、肺の状態を知るのに役立ちます。

西岡 進 医師 ファミリークリニック陽なた 院長監修ドクターのコメント

検査方法に関してですが、通常、以下の検査を行います。

●呼吸機能検査(スパイログラム)
息を吸ったり吐いたりする検査です。

●画像検査
胸部のレントゲンでもある程度分かりますが、胸のCTを撮った時に、肺胞が大きくなっているかということを調べることができます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療方法

COPDに対する管理の目標は以下の通りです。

(1)症状および生活の質の改善
(2)運動能と身体活動性の向上および維持
(3)増悪の予防
(4)疾患の進行抑制
(5)全身併存症および肺合併症の予防と治療
(6)生命予後の改善

喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいますので、禁煙が治療の基本です。いったん低下した肺の機能回復は難しいですが、悪化を防ぐことが期待できます。
薬物療法には、気管支を拡げて呼吸を楽にする気管支拡張薬(吸入薬、貼り薬、内服薬)があり、重症者には酸素を供給する器具を使用するなど、酸素療法で呼吸をサポートします。
また、呼吸器感染症の悪化予防にインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。

引用:日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=12

西岡 進 医師 ファミリークリニック陽なた 院長監修ドクターのコメント

お薬は、主に吸入薬(抗コリン薬)等、気管支を拡張する薬を使用します。また、喘息のの素因を持たれている方の場合は、ステロイド吸入薬を使用することもあります。肺機能の低下が進み症状が重くなってくると、在宅酸素療法が行われることもあります。在宅で持続的に酸素を吸入することにより、生命予後が良くなります。

薬物療法以外には、呼吸リハビリテーションといったものがあります。その中でも中心になるのは、運動療法(6分間歩行等)で、歩いていただくことによって日常生活動作がうまくできるよう(運動能力の向上)になるものがございます。

もしこの病気になってしまった場合、喫煙者の場合はまずタバコをやめるという事が大切です。また、呼吸機能の改善や維持のため、定期的な運動を行う事が望ましいです。

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