「耳の中でポコポコ音がする」原因をご存知ですか？医師が徹底解説！

耳の中でポコポコ音がする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
田中 志真 医師

「耳の中でポコポコ音がする」症状で考えられる病気と対処法

「耳の中で音がする」ことの原因のほとんどは耳が原因でおこります。どのようなときに音がするのかで、原因となる病気の診断がつくこともあります。

耳の中でポコポコ音がする症状で考えられる原因と治し方

耳の中でポコポコ音は、鼓膜より内側の「中耳」という空間に膿などの液固体がたまることで音がします。
このような場合、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠種性中耳炎などの可能性があります。
症状としては、耳の中で音がするほか、難聴や耳の詰まった感じがあります。急性中耳炎は多くの場合、痛みも伴います。
治療には耳鼻科での抗菌薬処方や処置が必要なので、耳鼻科を早めに受診してください。

痛くはないが、耳の中でポコポコ音がする症状で考えられる原因と治し方

通常「耳管」はいつも閉じていますが、嚥下やあくび、耳抜きなどによって一瞬開放します。しかし、この一瞬の開放ができずに、常に耳管が閉じたままになってしまうのが耳管狭窄症です。

耳管狭窄症（じかんきょうさくしょう）

高層エレベーターや飛行機に乗っているときに耳の中でポコポコ音がなりやすいのですが、鼻や喉の炎症があると耳管が閉じたままになってしまうことがあります。
主な症状は耳が詰まった感じがすることで、ポコポコやプチプチと音がすることがあります。
高層エレベーターや飛行機に乗った際におこる耳鳴りは短時間なので、嚥下や耳抜きをすることですぐに治ります。一方で、鼻や喉の炎症のある方は数日持続してしまうこともあるので、鼻や喉の炎症の治療することで耳管狭窄は改善します。また、鼻啜りをすると増悪（悪化）するので鼻をしっかりかみましょう。
鼻や喉の炎症（鼻水・鼻づまり・のどの痛み）を伴っているときは耳鼻科を受診してください。

あくびをすると、耳の中でポコポコ音がする症状で考えられる原因と治し方

鼻と中耳は「耳管」という管でつながっていますが、この耳管はあくびや嚥下、耳抜きなどで一瞬開放されすぐに閉じます。この時に単発で、耳の中でポコポコと音がすることがあります。
このような場合には、特に治療は必要ありません。だんだん気にならなくなってきますので様子をみましょう。

頭を動かすと、耳の中でポコポコ音がする症状で考えられる原因と治し方

頭を動かすときに耳の中でポコポコ音がする場合には、耳垢・異物・プールや風呂水などの鼓膜への付着などが原因となります。両耳あるいは片耳のどちらでも感じることがあります。異物は片耳に入ることが多く、頭を動かすと異物が動くので音がします。
異物が原因であってもその異物を無理に自分で取ろうとすると鼓膜などを傷つけてしまうので、耳鼻科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「耳の中でポコポコ音がする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

「耳の中でポコポコ音がする」に「顔面の運動麻痺がある」、「聞こえがかなり悪くなった」、「つよいめまいがする」症状を伴っている場合は、耳鼻科・救急科へ

鼓膜より内側の空間を「中耳」といいますが、ここには「顔面神経」という顔の動きを支配する神経があります。また「中耳」よりも、さらに奥には「内耳」という部分には聴力や平衡感覚（体のバランスのことを指します）をつかさどる器官があります。
「耳の中でポコポコ音がする」に加え、「顔面の運動麻痺がある」、「聞こえがかなり悪くなった」、「つよいめまいがする」症状がある場合、上記の顔面神経と内耳が障害されている可能性が高いです。これらを起こす原因としては、後述する様々な中耳炎の急性増悪（悪化）が考えられます。さらに奥へ進んで脳へ進展してしまうことがありますので、すぐにCTやMRIのとれる大きな病院にある耳鼻科・救急科へ行きましょう。めまいがひどく歩けない場合は最悪の場合、救急車を呼んでもいいかもしれません。

「耳の中でポコポコ音がする」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳の中でポコポコ音がする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

急性中耳炎

鼓膜より奥の「中耳」で炎症がおきたものを「中耳炎」といいます。中耳炎にはいくつかありますが、その中でも最も多いのが「急性中耳炎」です。
鼻と中耳は「耳管」という管でつながっていますが、鼻の中にいる病原体の細菌やウイルスがこの「耳管」を通して耳の中に感染すると膿がたまり、中耳炎が起こります。
耳の奥の痛みに加え、難聴と耳がつまる感じがします。成人は明確に症状を訴えられますが、乳幼児では訴えらず機嫌が悪くなり耳を触られるのを嫌がる傾向にあります。
抗菌薬の内服が基本ですが、必要に応じて鼓膜を切開して膿を出します。
中耳炎は、放置すると治りにくくなるので、耳の奥の痛みがでてきたらなるべく早めに耳鼻科を受診しましょう。乳幼児など症状を訴えられない場合、発熱に伴って耳垂れが出てきた場合は抗菌薬の治療がすぐに必要な場合もあるので、なるべく早めに耳鼻科を受診してください。

滲出性中耳炎（しんしゅつせいちゅうじえん）

急性中耳炎がなかなか治癒せず、膿が長期間たまっている状態をさします。子供に多い病気であり子供は順応性が高いので難聴などの症状があまり出ないことがあります。聞き返し、聞き間違い、テレビなどの音を大きくする、ことばの発音がおかしい、ことばの発達が遅い、耳をよくさわる、耳によく指を入れるなどの症状が出てくることもあります。
鼻啜りを頻回（頻繁に）にすると治りが悪くなるので、避けましょう。
鼓膜を切開したりチューブをいれたりして膿を出す治療を行います。子供の場合、治療には数年かかる場合も少なくないです。

慢性中耳炎（まんせいちゅうじえん）

急性中耳炎や滲出性中耳炎が治らないと、慢性中耳炎に移行してしまいます。中耳炎が慢性的にあるので、鼓膜に穴が開いてしまうことが少なくありません。
難聴や頻回（頻繁）な耳だれが起こるような症状が現れます。
耳垂れは抗菌薬の液体で治癒することもありますが、何度も耳垂れを反復することが多く、難聴は改善せず進行することもあります。全身麻酔下での鼓膜の再建が必要ですので手術になることが多いです。

真珠腫性中耳炎（しんじゅしゅせいちゅうじえん）

鼓膜表面の皮膚の成分が中耳に入り真珠腫という塊を形成する病気です。この真珠腫には耳やその周囲の骨をゆっくりと溶かしてしまう性質があります。
原因は未だ不明といわれています。
真珠腫という塊が耳の骨を破壊して難聴になり、さらに破壊が深部に進むとめまいや顔面の麻痺を起こします。
手術でのみ治療が可能です。再発も少なくないので長期間の通院が必要です。

「耳の中でポコポコ音がする」ときの正しい対処法は？

市販薬に改善を期待できるものは殆どありません。耳鼻科での処方や処置が重要です。
ツボやマッサージ、温冷も効果は殆どありません。
応急処置はあまりなく、原因を早期に突き止めることが非常に重症ですので、なるべく早めの耳鼻科受診をおすすめします。
耳に炎症がある場合は、治るまではイヤホンの使用は禁止してください。
耳抜きは一度試してもいいかもしれません。耳掃除は耳外傷のリスクがあり、症状を増悪（悪化）させてしまうのでさけてください。

まとめ

「耳の中で音がする」ことの原因のほとんどは耳が原因でおこります。外耳道の異物や急性中耳炎から、真珠種性中耳炎という原因不明のやっかいな中耳炎も原因に挙げられますので、なるべく早めの耳鼻科受診をお願いします。

「耳の中でポコポコ音がする」で考えられる病気と特徴

「耳の中でポコポコ音がする」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳抜きによって改善するような一時的な症状ではなく、改善しないような場合には一度耳鼻科を受診することをお勧めします。

「耳の中でポコポコ音がする」と関連のある症状

「耳の中でポコポコ音がする」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「耳の中でポコポコ音がする」他に、これらの症状が見られる際は、「急性中耳炎」「耳管狭窄症」「真珠腫性中耳炎」「慢性中耳炎」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。