滲出性中耳炎の症状や原因、治療方法とは?

公開日:2018/07/31  更新日:2021/05/25

滲出性中耳炎(読み方:しんしゅつせいちゅうじえん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
蓑輪 仁 医師(みのわ耳鼻咽喉科 院長)

滲出性中耳炎とは

耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分に分けられます。外耳からの音を内耳に伝える重要な役割を持つ中耳は、鼓膜、耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)、耳管、乳突峰巣からできています。
中耳は一つの部屋(中耳腔)で、一定の空気が満たされています。中耳腔の空気の換気は、鼻咽腔(鼻の奥で、のどの上の部分)に開いた耳管によって行われています。
滲出性中耳炎とは、鼓膜の奥の中耳腔に滲出液と呼ばれる液体が貯留する病気です。中耳腔内で炎症が起こると、中耳腔の細胞から炎症性の水がしみでてきます。これを滲出液といい、通常は中耳と鼻の奥をつなぐ耳管からのどの方へ排出されます。
滲出性中耳炎は幼少児の難聴の原因として最も多い疾患です。4~5歳から小学校の低学年に多く、何度も繰り返す治療困難例は少なくありません。

蓑輪 仁医師 (みのわ耳鼻咽喉科院長)ドクターの解説
滲出性中耳炎は、0歳〜2歳の小さいお子さまでも、なることもあります。まだ自分の症状と伝えることができない乳児の場合には、鼻水が続くと中耳炎になりやすいため、鼻水が長引く場合、耳鼻科で中耳炎の有無を確認する必要があります。

滲出性中耳炎の症状

成人では、耳がふさがった感じや圧迫感、難聴や耳鳴、自分の声が響くなどの症状を訴えます。
耳痛や発熱などはほとんど無く、難聴も高度ではないため、小さなこどもの場合には気付くことに時間がかかることがあります。

ドクターの解説
急性中耳炎は痛みがあるのでわかりやすいですが、滲出性中耳炎は痛みを伴わないため、自己判断は難しい病気です。急性中耳炎が治りかけに滲出性中耳炎になることが多いため、痛みがないからと安心せずに、急性中耳炎、滲出性中耳炎が完治するまでしっかりと通院する事が大切になります。小さいお子さんの鼻症状(鼻水、鼻づまり)が長引いていたら、まずは耳鼻科で中耳炎の有無を確認することをお勧めします。

滲出性中耳炎の原因

風邪や急性中耳炎の後に起こることが多く見られます。
鼻や副鼻腔、のどの炎症が原因になることや、幼少児ではアデノイドが大きいために起こることもあります。成人では鼻咽腔の腫瘍が原因になることもあります。
また、もともと耳管の狭い場合や、飛行機やダイビングなどで急激な気圧の変化を受けて、中耳腔の空気圧の調節がうまくいかない場合も発症する可能性があります。

滲出性中耳炎の検査法

鼓膜の観察とティンパノメトリー検査を行うことによって診断がつきます。
難聴の程度を正確に知るためには聴力検査が必要になります。
子供の場合、外耳道が狭く、また鼓膜が小さいので、ルーペや顕微鏡を用いて診察することが重要です。

蓑輪 仁医師 (みのわ耳鼻咽喉科院長)ドクターの解説
乳幼児は検査が出来ませんので、鼓膜所見で判断しますが、3〜5歳以降は、鼓膜所見と聴力検査やティンパノメトリーで難聴の程度や鼓膜の動きが悪いかどうか判断します。

滲出性中耳炎の治療方法

なかなか治りにくい場合や繰り返し発症する場合、慢性中耳炎になりそうな重症の場合では、中耳腔に溜まった貯留液を排除させることが必要です。
鼓膜にチューブを入れて中耳を換気するための手術(鼓膜換気チューブ留置術)を行います。難治性の場合には何度もチューブを入れないといけない場合があります。
鼻・副鼻腔やのどに炎症などの疾患がある場合には、それを一緒に治すことが大切です。鼻やのどの炎症がおさまると滲出性中耳炎も自然に治る場合が多々あります。
それでも、良くならない場合や重症の場合には、耳管通気療法(鼻・耳管を通じて中耳腔に空気を送る治療法)や鼓膜切開しての鼓室処置(鼓膜を麻酔して痛みを感じないようにしてから鼓膜を切開し、中耳腔の液を吸引除去)を行います。
滲出性中耳炎を放置すると、鼓膜や耳小骨が癒着し聴力が悪化していく状態(癒着性中耳炎)や、コレステリン肉腫症、慢性中耳炎の1つである真珠腫性中耳炎に移行する可能性が大きいので、滲出性中耳炎のうちに、しっかりと治療しておくことがのぞまれます。

蓑輪 仁医師 (みのわ耳鼻咽喉科院長)ドクターの解説

鼻の炎症が原因で発症する場合が多いので、まずは鼻の治療を行います。

保存的治療(薬物療法)で治らない場合には、鼓膜切開をして中の貯留液を抜いたりします。何度か鼓膜切開をしても滲出性中耳炎を繰り返すような場合には鼓膜チューブ挿入術を行うこともあります。

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