耳鳴りの症状や原因、治療方法とは?

公開日:2018/06/18  更新日:2021/03/27

耳鳴り(読み方:みみなり)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)

耳鳴り(みみなり)とは

耳鳴りとは、実際には音がないのに、音を感じてしまう状態をさします。外耳から中耳、内耳、聴神経、脳までの音の伝わる経路のどこかに異常が起こることによって生じます。多くは内耳の蝸牛(かぎゅう)という、空気振動を電気信号に変える器官の異常によって起こると考えられています。耳の疾患の他に、全身的な病気やストレスが原因となって起こることもあります。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りがひどいと訴える人は、自分の体調のわずかな変化も気になってしまう、心配性の人が多い傾向です。また、聴力障害があるとたいていは耳鳴りも伴うため、年齢が高くなるほど耳鳴りを生じやすくなります。特に加齢性難聴では必ず耳鳴りの症状が出ます。また、早期治療が重要な突発性難聴の前兆として耳鳴りが起こるケースもあります。急に耳鳴りを感じるようになって、一晩寝ても変わらないようであれば、一度耳鼻科を受診することをおすすめします。

耳鳴りの症状

耳鳴りの人に聞こえる雑音には、ジー、キーン、ザー、ヒュー、シューなどがあり、難聴を伴うことがよくあります。その都度異なることがある複雑な音が聞こえる人もいます。これらの音は静かな場所で、特に何かに集中しているわけではないときに聞こえやすくなります。そのため、眠ろうとしているときに最も障害になる傾向があります。しかし、耳鳴りをどう感じるかには大きな個人差があります。その症状にひどく悩まされる人もいれば、十分耐えられると感じる人もいます。

自覚的耳鳴が、圧倒的によくみられるタイプです。これは、音の処理を担う脳の部位(聴覚皮質)の異常な活動によって引き起こされます。この異常な活動がどのように起こるのかは、完全には解明されていません。

他覚的耳鳴が見られることは、多くありません。耳の近くの構造から出る実際の雑音のことです。ときに、注意して聴けば、本人以外にも他覚的耳鳴の音を聴き取ることができます。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りが起きやすい時間、状況、季節などは、特にありません。原因がはっきりわからない耳鳴りについて、症状が気になって眠れない時は、耳鳴りが際立って聞こえないように音のある空間で過ごすという対処法があります。周囲で音が鳴っていると、大きくはっきり聞こえてきた耳鳴りが、静かな場所でいる時よりも気にならなくなるからです。たとえば家庭では、テレビをつけたり、小川のせせらぎや雨音などの「環境音」を流したりしながら眠りにつく方法が効果的です。

耳鳴りの原因

耳鳴りが起こる仕組みについては解明されていない点が数多くありますが、難聴を伴うケースが非常に多いという特徴があります。聴力検査を行うと、およそ80%の人に耳鳴りのする側の耳に難聴が認められます。このような場合、メニエール病や突発性難聴など、内耳に何らかの原因があることがあります。また、耳垢栓塞や中耳炎など、外耳や中耳の異常が原因になることもあります。

難聴を伴わない場合は、耳以外の原因を考える必要があります。更年期障害や高血圧、低血圧、高脂血症などから耳鳴りが起こる場合もありますし、精神的な要素によって発症する場合もあります。

もう一つ耳鳴りの原因として注意したいのが「聴神経腫瘍」です。聴神経腫瘍では片側の耳鳴りが初期症状として起こることがあります。特に中高年の型で片方だけの耳鳴りが2~3ヶ月続く場合は、耳鼻咽喉科で詳しい検査を受けてください。

耳鳴りの検査法

耳鳴りのほとんどは自覚的な症状ですから、問診や検査で症状を客観的に把握していきます。

検査は、まず問診を行い、左右どちらの耳か、音質、音の高低、音の大きさなどをしらべます。また聴力検査をおこない難聴の有無を確認します。ピッチ・マッチ検査で耳鳴りの音の高さを調べます。ラウドネス・バランス検査では耳鳴りの音の強さを調べて、実際の音と耳鳴りがどの強さに近いかを判定します。

そのほか、内耳の病気や聴神経腫瘍が疑われる場合は画像検査など、さらに詳しい検査を行います。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りの診察では、通常の問診のほか、「標準純音聴力検査」を実施します。この検査は、低音の125Hzから高音の8000Hzまでの7つの周波数でそれぞれの聴力閾値を調べるものです。また、心理的な要因から耳鳴りが生じている可能性もありますので、この場合は心理検査を行います。これらの検査の結果を見て、脳血管疾患や腫瘍などが耳鳴りの原因と推測される場合は、必要に応じてMRI検査を実施することもあります。

耳鳴りの治療方法

耳鳴りは様々な治療法が試みられていますが、完治が難しい病気です。決定的な治療法がないことから、さまざまな治療法が試みられているのが実情です。主な治療法としては薬物療法(ビタミン剤、筋弛緩剤、代謝改善薬、抗不安薬、耳鳴緩和薬など)で様子を見ます。難聴と同様2週間以内の発症であれば血流改善剤の点滴、星状神経節ブロック、そして、ステロイド、血流改善剤の内服が非常に効果的です。

他に、マスカ―療法(耳鳴りよりも大きな音を3~5分聞くと一時的に耳鳴りが消えるという現象を利用した治療法-保険適用外)や心理療法などを行います。

また、睡眠不足、過労、ストレスなどは耳鳴りの悪化要因になるので注意が必要です。日ごろから十分な睡眠をとり、過労を避けるよう心掛けましょう。また、音楽を聴く、スポーツをするなど、自分なりのストレス解消法を見つけておくことも大切です。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りの治療は、基本的には「完治を目指す」ことよりも「なるべく気にならなくする」ことを目指します。家庭では、耳鳴りのコントラストを弱めるために、テレビの音、音楽、環境音を利用する方法が手軽で取り組みやすいでしょう。気持ちの持ち方として、耳鳴りの症状を気にしすぎないことも大切です。このほか、耳鳴りの専門的な治療を扱う医療機関ではTRT(Tinnitus Retraining Therapy)を受けることができます。TRTは、いわば脳を耳鳴りの音に順応させていくトレーニングです。患者さんはサウンドジェネレーターという機械を装着して雑音を聞き続け、耳鳴りの音が大きく聞こえないように脳を再教育していきます。急に聴力が落ちた場合はステロイドを使用する場合もありますが、通常は慢性的な耳鳴りには使用しません。

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