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【漫画付き】鼻づまりは副鼻腔炎(ふくびくうえん)のサインかも? そのまま放置したらどうなる?

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】鼻づまりは副鼻腔炎(ふくびくうえん)のサインかも? そのまま放置したらどうなる?

「浅井耳鼻咽喉科医院」の浅井先生によると、鼻の穴の周りには、「副鼻腔」と呼ばれる別の空洞があるとのこと。そして、この部分の炎症を「副鼻腔炎」というそうです。いったい、どのような症状をもたらす病気なのでしょうか。そして、治療をしないと、どうなってしまうのでしょうか。浅井先生に詳しく解説していただきました。

浅井 和康

監修医師
浅井 和康(浅井耳鼻咽喉科医院 院長)

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聖マリアンナ医科大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学医学部助手就任後の1999年、父親が開業した「浅井耳鼻咽喉科医院」を、同じ横浜市港南区上大岡の立地で継承・リニューアル。耳鼻咽喉科疾患一般ほか、補聴器の相談や漢方薬の処方なども手がけている。医学博士、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。

典型症状は、鼻づまりとドロドロした鼻水

典型症状は、鼻づまりとドロドロした鼻水

編集部編集部

鼻がよく詰まるのですが、何かの病気でしょうか?

浅井先生浅井先生

調べてみないとわかりませんが、副鼻腔炎という病気かもしれません。ほか、ドロドロした鼻水顔面痛頭痛嗅覚障害喉の奥に鼻水がしつこく絡んだ感じなどを伴うことがあります。

編集部編集部

副鼻腔と鼻づまりは、どう関係しているのですか?

浅井先生浅井先生

副鼻腔とは、いわゆる鼻の穴と異なり、鼻の周囲の骨の中にある6箇所の空間を指します。この副鼻腔に炎症をおこすと、鼻の粘膜も腫れてくるため、鼻づまりに至るのです。また、炎症によって生じた分泌物は粘り気が強く、悪化するとドロッとしたうみのような粘液になって出てきます。

編集部編集部

副鼻腔炎の原因は何なのでしょう?

浅井先生浅井先生

はっきりとした原因は、よくわかっていません。一般に細菌やウイルスの感染、アレルギー、遺伝、栄養状態、鼻の形態異常などが関わっているとされています。最近のトピックスとして、難病指定を受けた「好酸球性副鼻腔炎」に注目が集まっているようです。

編集部編集部

「好酸球性副鼻腔炎?」

浅井先生浅井先生

好酸球性副鼻腔炎とは、「アスピリンぜんそく」の方がかかりやすい、アレルギーに起因する疾患の一種です。鎮痛剤として知られている「アスピリン」ですが、服用によりぜんそくや鼻の諸症状を起こす患者さんが、一部にいらっしゃるのです。こうした方は、「好酸球性副鼻腔炎」にもかかりやすいとされています。

編集部編集部

副鼻腔炎の放置は、やはり避けるべきですよね?

浅井先生浅井先生

はい。症状の重症化や、「鼻茸(はなたけ)」といわれるポリープを生じさせることがあります。総じて、「鼻づまりが強くなっていく」とお考えください。

鼻づまりに、自分で気づかないこともある

鼻づまりに、自分で気づかないこともある

編集部編集部

副鼻腔炎は予防できるのでしょうか?

浅井先生浅井先生

一般的な「風邪」への対策が、そのまま副鼻腔炎の予防対策になるでしょう。具体的には、手洗いやうがいなどの励行です。ただし、これらは“急性”の副鼻腔炎に対する予防方法です。“慢性”の副鼻腔炎で、体質に近いような場合は、予防が難しいですね。

編集部編集部

風邪や花粉などによるアレルギーと、副鼻腔炎との違いが、自分ではわかりません。

浅井先生浅井先生

風邪やアレルギーによる鼻水は「サラサラ」でくしゃみが多く、副鼻腔炎による鼻水は「ドロドロ」であまりくしゃみはありません。この違いに着目してはいかがでしょうか。また、副鼻腔炎は、鼻づまりをよく起こします。ただし、鼻づまりに慣れてしまって、副鼻腔炎だと気づかない患者さんもいらっしゃいます。

編集部編集部

風邪だと思って受診したら、実は副鼻腔炎だったと?

浅井先生浅井先生

よくあるケースです。風邪のほか、「いびきを指摘される」「口呼吸が多くて口の中が乾く」といった点に心当たりのある方は、副鼻腔炎を疑ったほうがいいかもしれません。

編集部編集部

普段から注意したいこと、気をつけたほうがいいことは?

浅井先生浅井先生

禁煙や、市販の点鼻薬に頼りすぎないことですね。点鼻薬を使い続けると、やがて薬が効きにくくなってくるでしょう。使用頻度は、多くても「1日2回」まで、長くても「2週間」までです。

コツコツとした治療が、むしろ改善の早道

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編集部編集部

受診したくても、検査が怖そうです。

浅井先生浅井先生

たしかに鼻の内視鏡で検査することがあるものの、2mmから3mm程度の直径ですし、軟らかい素材でできていますので、痛みはほとんどありません。また、検査する範囲も、鼻の入口に近い部分です。抵抗感としては、綿棒よりも少ないくらいです。場合によっては、X線撮影やCT検査でも検査できます。

編集部編集部

続いて、治療方法についてお願いします。

浅井先生浅井先生

原因によって異なってくるでしょう。急性副鼻腔炎であれば、抗生物質の服用が有効です。慢性副鼻腔炎では去痰剤や漢方薬の内服、ネブライザーという機器の鼻の吸入治療を行います。重症例や、鼻茸(ポリープ)の大きな患者さんには、手術を検討します。

編集部編集部

通院期間は、どれくらいになりそうですか?

浅井先生浅井先生

急性副鼻腔炎であれば1~2週間で完治することが多いですが、慢性副鼻腔炎の場合3カ月くらいはみていただきたいですね。その間、2週間に1回か2回の頻度で通院していただきます。受診時には、お薬の効き具合や症状の変化を確認していきましょう。3カ月という治療期間を長く感じるかもしれませんが、途中で投げ出すことのないよう、しっかりサポートさせてください。

編集部編集部

薬の効き目がない場合もあるのですか?

浅井先生浅井先生

3カ月たっても薬物療法の効き目が薄い場合は、手術をご提案しています。副鼻腔の中の病的な粘膜に加え、炎症のある骨の一部などを除去します。とくに「鼻茸(はなたけ)」といわれるポリープは、切除が必要でしょう。

編集部編集部

手術の時間や費用などについて教えてください。

浅井先生浅井先生

手術に要する時間は鼻の片側につき15分程度で、局所麻酔を用いておこないます。費用は保険の適用が可能で、3割負担として片側1万5000円前後になります。なお、手術が終わった後も、しばらくは通院を続けてください。経過観察や、かさぶたをきれいに除去するなどの術後治療をおこないます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

浅井先生浅井先生

鼻づまり副鼻腔炎は、根気よく治療し続けることで改善が見込めます。ですから、1回や2回の処置であきらめることなく、長い目で見ていただけないでしょうか。決して放置せず、心身ともにスッキリとした生活を目指しましょう。

編集部まとめ

副鼻腔炎の放置は、症状を重症化させる恐れがあるとのこと。鼻の横にある空間に“うみ”がたまり続けているとしたら、いい結果をもたらすはずがないですよね。ただしその治療には、3カ月程度の治療が必要です。何十年と続く長い人生。ずっと鼻づまりを抱えていきますか、それとも約3カ月の努力をしてみますか。答えは、おのずと出ているでしょう。

医院情報

浅井耳鼻咽喉科医院

浅井耳鼻咽喉科医院
所在地 〒233-0001 神奈川県横浜市港南区上大岡東1-11-32
アクセス 京急線・上大岡駅東口から徒歩1分
診療科目 耳鼻咽喉科

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