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「耳鳴り」で考えられる病気はご存知ですか?医師が監修!

耳鳴り

今回は、不快な音が自分だけに聴こえる「耳鳴り」の症状についてお話しします。

耳鳴りの音の種類は、「ピー」という高い音から「ブーン」という低い音まで様々です。

しばらくすれば治まってしまうような耳鳴りは、基本的に問題ありません。しかし、耳鳴りが数時間にわたって持続する場合には注意が必要です。

「そのうち治るだろう…」と放置して治療が遅れてしまうと最悪の場合、聴力が回復しなくなってしまうこともあるため早期に受診するようにしましょう。

また、耳鳴りは難聴やメニエール病が原因で引き起こされることがあります。この場合、発症から1週間以内に治療を開始することが望ましいです。

それでは、耳鳴りの主な原因・考えられる病気・危険な耳鳴りのサインなどを詳しく解説していきます。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

耳鳴りは2種類ある

音がうるさい女

耳鳴りとは実際には鳴っていない音が自分にだけ鳴っているように聴こえる現象のことです。専門的には、耳鳴(じめい)といいます。まず、耳鳴りは自分にだけ聞き取れる自覚的耳鳴と他の人にも聞き取れる他覚的耳鳴の2つに分けられます。自覚的耳鳴とは、自分だけが自覚できる耳鳴りで、原因は様々です。
一方、他覚的耳鳴とは聴診器やオトスコープという専用の器具を使って他の人が聞き取ることのできる耳鳴りです。他覚的耳鳴は聴覚ではなく、主に耳周辺の筋肉の痙攣や血管を流れる血液の音が原因でおこります。耳鳴りは長きにわたり原因不明とされていました。しかし最近では研究や治療薬の開発が進み、9割は改善するといわれています。

耳鳴りの症状別の主な原因

耳

「キーン」「ピー」という耳鳴りの主な原因

「キーン」という金属音のような高い音や「ピー」という電子音が聴こえることがあります。このような耳鳴りは、ストレスが原因で引き起こされることが多いです。また、突発性難聴やメニエール病などが原因となることもあります。
高い音の耳鳴りが聞こえる場合には、高音域の聴力が落ちていることが考えられます。高音域の聴力低下の主な原因は騒音です。仕事などで長時間大きな音が出る場所にいる人は高音性難聴になっている可能性があります。また、突発性難聴やメニエール病の場合、早期に治療を開始することが重要です。放置すれば聴力が改善しなくなってしまうこともあるため注意しましょう。

「ブーン」という耳鳴りの主な原因

「ブーン」や「ボー」などの低い音の耳鳴りが聞こえる場合には、低音域の聴力が落ちていることが考えられます。低音性の耳鳴りでは、特に低音障害性難聴が疑われます。低音障害性難聴は、20代から40代女性で発症しやすいといわれおり、主な原因は、疲れ・ストレス・睡眠不足です。
また、中耳炎が低音障害性難聴を引き起こすこともあります。耳鳴りが起こる前に風邪症状などがみられた人は中耳炎になっていることも考えられます。

「ジー」という耳鳴りの主な原因

ジーというセミの鳴き声のような耳鳴りが起こっている場合にも、突発性難聴やメニエール病が原因となっていることが考えられるでしょう。ジーという音が聞こえるのは、高音域・低音域両方の聴力が下がっていることが原因として挙げられます。
この場合、高音域が障害されたことによる耳鳴りと低音域が障害されたことによる耳鳴り、両方の原因を考える必要があります。しばらくして治まるようなら問題ありませんが、数時間続くようであれば医療機関へ受診したほうがよいでしょう。

耳鳴りで考えられる病気

かなしみ

外耳炎・中耳炎

耳の中に炎症がおきることで耳鳴りが起こることがあります。まず、耳の構造は外側から外耳・中耳・内耳という構造になっており、それぞれの場所で炎症が起きることを外耳炎・中耳炎・内耳炎といいます。この中でも、外耳炎中耳炎においては耳鳴りの原因となることが多いです。外耳炎は鼓膜の手前側の部分で炎症が起きる病気です。耳かきや指のつめなどで傷ができ、細菌に感染することで炎症が引き起こされます。ひどく腫れあがると耳が痛くなったり耳に聞こえが悪くなったりすることもあります。
一方、中耳炎では鼓膜の奥の部分で炎症がおき、原因の多くは風邪などの細菌やウイルス感染です。細菌やウイルスが鼻の奥から侵入することにより、耳に激しい痛みが現れます。炎症が悪化すれば中耳に膿が溜まり、鼓膜が破れて膿が出てくることもあります。

メニエール病

メニエール病とは、めまい・難聴・耳鳴り・耳閉感の4症状が特徴的な病気です。ストレス・過労・睡眠不足などが原因で引き起こされます。はじめは耳鳴りや耳が詰まっているような感じ(耳閉感)などで違和感に気付くことが多いでしょう。これらの症状は長期間持続せず、しばらくするとおさまってしまうこともあります。病気が進行すると、次第にぐるぐると目が回るような激しいめまいが発作的に出現するのが特徴です。さらに、そのまま症状が悪化すれば聴力が低下し、元に戻らなくなってしまうこともあります。
メニエール病の初期症状は、耳の違和感や耳鳴りなどから始まるため、「そのうち治まるだろう…」と放置してしまう人も多いでしょう。しかし、治療が遅れれば改善が難しくなってしまうこともあります。さらに、難聴が著しく悪化する場合やめまいの発作で日常生活に支障が出る場合は、手術の適用となることもあるため注意が必要です。治療を早い段階で開始できれば1〜2か月程度で症状が改善するので、耳に異変を感じたら早期に受診するように心がけましょう。

突発性難聴・加齢性難聴

突発性難聴は原因不明で引き起こされる難聴で、30代〜60代の多くの人が発症している病気です。突発性難聴を発症した場合、3分の1が完治しますが、他の3分の1は回復がみられても難聴が残ってしまうといわれています。さらに、残りの3分の1は全く回復しないというデータが報告されています。また、発症して約1か月を経過すると聴力が定着してしまい、それ以上の回復は見込めなくなってしまうので注意が必要です。突発性難聴は、発症して1週間以内に治療を開始することが特に重要です。
そのため、異変を感じたらすみやかに耳鼻科を受診するようにしましょう。耳鳴りを引き起こす難聴には、もうひとつあります。それは加齢性難聴です。加齢性難聴はその名の通り、加齢によって聴力が低下する病気です。あまり自覚はできないものの、一般的に40代から高音域の聴力は下がっていくといわれています。
さらに、60代になると自覚できるほど聴力が低下していきます。これは、音を感じる部位が加齢によってダメージを受けることが原因です。残念ながら、加齢性難聴の治療方法はありません。ただし、中高年の難聴原因は加齢にかぎらず、他の病気が原因で引き起こされている可能性もあるので注意しましょう。もしも、耳鳴りや耳の聞こえが悪いと感じることがあれば、病院で診察を受けることがおすすめです。

危険な耳鳴りのサイン

頭の痛い女
一過性の耳鳴りは、通常10秒ほどで治まります。そのような耳鳴りは病気と関係なく起こることがあるので基本的に問題はありません。しかし、耳鳴りが脈拍と連動したように聞こえる場合は注意が必要です。
このような場合、高血圧が関係していることもあります。また、中高年の人で耳鳴りが2〜3か月続くような場合にも気をつけたほうがよいでしょう。特に片側のみで耳鳴りが継続している場合には、聴神経腫瘍が原因である可能性も考えられます。不快な耳鳴りが長期にわたって続いている場合には、放置せずに医療機関で詳しい検査を受けることが大切です。

すぐ病院に行ったほうが良い「耳鳴り」症状は?

  • 頭痛や難聴、めまいなどの症状も伴う場合
  • 頻繁に繰り返している場合

これらの場合には、近日中の病院受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、耳鼻咽喉科です。

問診、身体診察、聴覚検査などが施行されます。

拍動性耳鳴や片側性難聴に伴う耳鳴などであれば、画像検査(CT・MRI)などを追加する可能性があります。うつ症状や不安からくる難聴が疑われる場合には、精神科・心療内科的な診察などが追加される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

耳鳴りが始まった時期や音の種類、頭痛や難聴、めまいの有無などを医師に伝えましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

治療中でもそうでなくても、日常生活では、大きな音を聴き続けないように気をつけると良いでしょう。大音量を聴き続けると、蝸牛と呼ばれる聴覚器官が損傷を受けてしまい症状がひどくなる事があります。

ストレスを溜めず、睡眠不足も解消するように努めると良いでしょう。

まとめ

女性医師
「ピー」という高い音や「ゴー」という低い音が聞こえる「耳鳴り」について解説しました。

耳鳴りはストレスや疲労などで起こることもあり、すぐに治まるようであれば問題はありません。

しかし、不快な音が数時間以上も続くような場合には受診を考えたほうがよいでしょう。

特に、耳鳴りは突発性難聴やメニエール病などによって引き起こされることが多いです。その場合、治療が遅れてしまうと聴力が回復しなくなってしまうこともあります。

また、不快な耳鳴りが続くことにより睡眠障害うつ状態へと発展することもあります。つらい症状は我慢せず、早めに医療機関へ受診しましょう。

この記事の監修医師