中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳が細菌やウイルスに感染して炎症を起こす病気です。特に、小児で発症頻度が高いことで知られますが、大人でもかかる場合があります。中耳炎により発熱すると、本人も周囲も心配になるものです。本記事では、中耳炎で熱が出る原因や平均的な体温の程度、受診すべきサインや夜間・休日の対応、自宅でできる対処法、治療方法などを解説します。
プロフィールをもっと見る
【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
中耳炎で熱がでる原因と体温の程度

なぜ中耳炎で発熱するのですか?
中耳炎は多くの場合、風邪に伴う鼻や喉の感染が耳管(耳と鼻をつなぐ管)を通じて中耳に広がることで起こります。細菌やウイルスが中耳に感染すると、身体はそれらと戦うため免疫反応を起こし、炎症に伴って発熱することがあります。いわゆる急性中耳炎では、耳の痛みや耳だれ(耳から膿が出ること)と並んで発熱が主な症状の一つです。特に、小さなお子さんほど免疫反応が活発で高熱になりやすい傾向があります。一方で、中耳炎のなかでも滲出性中耳炎の場合は急性感染ではないため、痛みや発熱をほとんど伴いません。
中耳炎による発熱の平均値を教えてください
中耳炎による発熱の程度はケースによりますが、中耳炎で見られる発熱はおおむね37~38度台が多いです。実際、小児の急性中耳炎では38度以上の発熱が出ることが多いですが、高熱になっても通常は39度前後までで、40度を超えるような高熱はまれです。ただし、発熱の有無や程度には個人差があり、中耳炎になっても必ずしも発熱するとは限らない点にも注意が必要です。
中耳炎で熱がでたときの受診サイン

中耳炎で熱が出ている場合は何科を受診すべきですか?
中耳炎が疑われる場合、基本的には耳鼻咽喉科(耳鼻科)を受診することが望ましいです。耳鼻咽喉科医は鼓膜の状態を直接観察し、中耳炎の診断と適切な治療を行う専門家です。特に、耳が痛い・耳だれが出ている・発熱しているといった症状があるときは耳鼻科で診察を受けましょう。
小児の場合、耳鼻科で耳を見る器具を怖がる子どももいますが、そのようなときはかかりつけ小児科に相談しても構いません。小児科でも中耳炎の初期対応は可能であり、痛み止めの処方など症状緩和をしてくれることがあります。しかし、中耳炎の症状が長引いたり重症化している場合や、繰り返す場合には耳鼻科で専門的な治療を受ける必要があります。いずれにせよ、中耳炎が疑われる症状があれば早めに医師に診てもらうのが安心です。
中耳炎で熱がでた際の受診サインを教えてください
中耳炎の可能性がある場合、以下のような症状や経過が見られたら早めに医療機関で診察を受けましょう。
- 発熱が続く場合
- 耳の痛みが強い場合
- 耳だれ(耳からの膿)が出ている場合
- 聞こえにくさがある場合
- 不機嫌な場合(特に小児)
耳の痛みや発熱でつらいときは無理をせず受診し、医師の指示にしたがって治療を続けることが大切です。適切に治療せず放置すると中耳炎が慢性化・重症化し、治療が長引いたり後遺症(聴力低下など)を残す恐れもあります。ひどくなる前に医師に相談するのが安心です。
夜間や休日でも受診をした方がよいケースはありますか?
中耳炎は基本的に
一晩で急変することの少ない病気であり、夜間に症状が出ても救急外来へ飛び込まなければならないケースは多くありません。例えば夜中に子どもが耳を痛がって泣く場合、まずは自宅にある解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を飲ませて痛みや熱を和らげ、落ち着かせてあげましょう。痛みが和らげば翌朝まで眠れることも多いので、翌日通常の診療時間に耳鼻科を受診すれば問題ありません。しかし、次のような重篤な症状がある場合は夜間・休日でも我慢せず救急医療を検討してください。
- 39度以上の高熱に加え耳の激しい痛みがあり、つらくて眠れない場合
- ぐったりして元気がない、反応が鈍いなど全身状態が悪い場合
- 耳の後ろの腫れ(耳の後ろの骨の部分が腫れて押すと痛む)が見られる場合
- 解熱鎮痛薬で一時しのぎをしても症状がどんどん悪化する場合
これらは中耳炎の重い症状や合併症の兆候の可能性があります。該当する場合は夜間・休日でも遠慮せず救急外来を受診しましょう。迷う場合は各都道府県の#8000(小児救急電話相談)などに電話で相談するのも一つの方法です。
中耳炎による発熱の経過と対応

中耳炎による発熱は何日程度続きますか?
中耳炎の発熱は、多くの場合数日以内に収まります。典型的には2~3日程度で解熱するケースが多いでしょう。急性中耳炎の痛みや熱のピークは発症後早期に現れ、その後は適切な治療により下がっていくことがほとんどです。重症の場合や合併症を起こした場合には、炎症が長引き発熱が1週間以上続くこともまれにあります。発熱が治まっても、中耳に滞留液が残っているとしばらく耳の違和感や聞こえにくさが続くことがあります。そのため、熱が下がっても油断せず、医師の指示どおり治療を継続し経過を観察することが大切です。
中耳炎で熱が出た際は市販薬を飲んでもよいですか?
はい、市販の解熱鎮痛薬を適切に使うことで症状を和らげることができます。 発熱や痛みがつらいとき、アセトアミノフェンやイブプロフェンなど市販の解熱鎮痛剤を用いるのは効果的です。中耳炎で夜間に耳が痛くて眠れない場合など、まず市販薬を適切な用量で使用して痛みや熱を抑えるとよいでしょう。ただし、あくまで一時的な対症療法であり、中耳炎そのものを治すわけではない点に留意してください。症状が改善しても自己判断で治ったと思わず、必ず医療機関で診察を受けるようにしましょう。市販薬を使用する際の注意点としては、用法用量を守ることが最も大切です。
中耳炎の熱はほかの方に感染しますか?
いいえ、中耳炎そのものは、ほかの方にうつる病気ではありません。 急性中耳炎は耳の中の局所的な感染症であり、人から人へ直接伝染することはないと考えられています。そのため、例えば大人で中耳炎になった場合、熱が下がって体調がよければ職場に行っても、ほかの方に中耳炎を移す心配はありません。ただし、中耳炎の多くは鼻や喉の風邪がきっかけで起こるため、原因になった風邪のウイルスや細菌は周囲にうつる可能性があります。
中耳炎の治療法

中耳炎の治療法を教えてください
急性中耳炎の治療は、症状の程度や経過に応じて大きく2つに分かれます。まず、痛みや発熱を和らげる対症療法を行い症状緩和を図ります。加えて、細菌感染が関与する場合には抗菌薬の投与による治療を行います。一方、中等症~重症の場合や細菌感染が明らかな場合には抗菌薬の内服を開始します。
また、鼓膜切開といわれる処置が行われることもあります。これは鼓膜に小さな傷を作って中耳に溜まった膿を排出する治療法です。小児で急性中耳炎を繰り返す場合には、再発予防や滲出性中耳炎への移行防止のため鼓膜チューブ留置(鼓膜に小さな通気チューブを挿入する手術)が行われることもあります。
中耳炎で熱が出ている際は、病院で何をしてくれますか?
診察により急性中耳炎と診断されたら、症状に応じた治療を行います。具体的には前述のように痛みや熱に対しては解熱鎮痛薬の投与を行い、細菌感染が疑われれば抗菌薬が処方されます。鼓膜の腫れが強く膿がたまっている場合には、その場で鼓膜切開を行い膿を出す処置をすることもあります。耳だれが出ている場合は、耳の洗浄や点耳薬が処方されることもあります。このように、病院では中耳炎に対して総合的な治療を行い、痛みや熱を和らげつつ感染を鎮める処置をしてくれます。
中耳炎で受診する前の注意点を教えてください
受診前に自宅でできる対応や注意点は以下のとおりです。
- 解熱鎮痛剤を使う
- 耳だれがあれば、ガーゼなどを耳に当てる
- 耳に水が入らないよう注意する
- 症状が出始めた日時や経過、熱の最高温度、服用した薬の名前などをメモして持参する
以上のような準備や注意をしておくと、受診後の診察・治療がスムーズに進みます。症状がつらいときは無理せずできる範囲で対処し、早めに専門医の診断を仰いでください。
編集部まとめ

中耳炎は小さな子どもから大人まで起こりうる身近な病気で、耳の痛みや発熱を伴うことがあります。基本的に耳鼻咽喉科での診察・治療が推奨されますが、夜間に症状が出た場合は慌てずに鎮痛解熱薬などで様子を見て、必要に応じ翌日に受診してください。ただし高熱や痛みが激しい、ぐったりしているなどの重い症状があれば夜間・休日でも救急受診を検討すべきです。耳の症状や発熱で不安なときは無理をせず専門医に相談し、早めの対応をするようにしましょう。