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新型コロナの次は「はしか」流行の恐れ ワクチン接種が最も有効な予防法

 公開日:2023/06/16
国内の麻疹患者 去年1年間の報告数を超える

国立感染症研究所は、国内のはしか(麻疹)の患者数が6月7日時点で14人発生していることを、感染症発生動向調査で明らかにしました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

国内のはしか発生状況は?

国立感染症研究所が発表した感染症発生動向調査で分かった2023年のはしかの発生状況を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

2023年6月7日時点のはしかの感染者数が全国で14人と、国立感染症研究所の調査で明らかになりました。都道府県別にみると、東京が5人、大阪が3人、兵庫が2人、北海道と茨城、千葉、神奈川がそれぞれ1人ずつ報告されています。

日本のはしかの感染状況をめぐっては、2008年に1万人を超える患者が出ましたが、ワクチンの定期接種を2回に増やしたことなどから2015年には35人に減少し、WHO(世界保健機関)から、国内に土着ウイルスがいない「排除状態」と認定されています。その後の国内での感染は、海外から持ち込まれたウイルスによる患者が主な原因となっていて、新型コロナウイルスの流行で水際対策が強化されたことにより、2020年は10人、2021、2022年ではそれぞれ6人の感染者にとどまっていました。

はしか(麻疹)とは?

今回の研究で取り上げられた、はしかについて教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

はしかは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。感染力が非常に強いウイルスで、感染経路となるのは空気感染や飛沫感染、接触感染です。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%の確率で発症し、感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。

感染してから約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が表れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。また、肺炎や中耳炎を合併しやすいほか、1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。

はしかを予防するには、ワクチン接種が最も有効です。はしか患者に接触した場合でも、72時間以内にワクチンの接種をすることで、はしかの発症を予防できる可能性があります。ワクチンを接種することで95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。

今回の発表内容への受け止めは?

国立感染症研究所が発表した感染症発生動向調査で分かった、2023年のはしかの発生状況の受け止めについて教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

2023年の国内でのはしかの流行の原因として、2013年3月以降にはしかの追加のワクチン接種が終了して、ワクチン接種率の低下につながった可能性と、海外で感染した人の国内への持ち込みが可能性として指摘されています。はしかは「予防接種で予防可能な疾患(VPD:Vaccine Preventable Disease)」に含まれるので、今回の流行を契機にワクチン接種の重要性が再認識されるでしょう。また、「はしかパンデミック」を防ぐために、日本国内のみならず西太平洋地域を含む国々全体での感染予防が重要であると考えられます。

まとめ

国立感染症研究所が、国内のはしかの患者数が6月7日現在で14人発生していることを、感染症発生動向調査で明らかにしたことが今回のニュースでわかりました。麻しんウイルスは感染力が強く、今後も発生動向には注視が必要です。

この記事の監修医師