「インフルエンザ」季節外れの流行10年ぶり コロナ禍での免疫力低下が原因か
5月28日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は7975人で、1医療機関あたり1.62人と感染の流行の目安を超えた水準が続いていることを厚生労働省が発表しました。このニュースについて竹内医師に伺いました。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
インフルエンザの流行状況は?
厚生労働省が発表したインフルエンザの流行状況について教えてください。
竹内先生
2023年6月2日時点で厚生労働省が発表した内容によると、約5000カ所の定点医療機関で5月22日~5月28日の1週間に報告されたインフルエンザの患者数は7975人でした。2022年の同じ時期には、患者数がわずか8人しか報告されていなかったので、今年の人数がいかに多いかわかると思います。1医療機関あたり1.62人で、流行の目安である1を超えた水準が続いています。この水準が5月下旬まで続くのは10年ぶりのことです。
定点報告を都道府県別でみると、宮崎県が1医療機関あたり7.07人と最も多くなりました。続いて、長崎県の4.14人、愛媛県の同3.67人、新潟県の3.35人と続いています。また、この1週間に休校や学年・学級閉鎖をした小中高校や幼稚園などは全国で325カ所となりました。2013年も5月下旬までインフルエンザの流行が続いた年でしたが、その年の同じ時期には157カ所だったので、当時の2倍を超える多さとなっています。
5月下旬までインフルエンザの流行が続いていることへの受け止めは?
10年ぶりに5月下旬までインフルエンザの流行が続いていることへの受け止めを教えてください。
竹内先生
通常、インフルエンザは12~3月に流行することが多いため、5月下旬に流行することは一般的ではありません。この傾向が今後も続くのかどうか、注視していく必要があります。
コロナ禍での免疫低下の影響は?
2020年から始まったコロナ禍を通じた免疫の低下が指摘されていますが、今回のインフルエンザの季節外れの流行への影響を及ぼした可能性について教えてください。
竹内先生
新型コロナウイルスの影響で免疫力が低下したという可能性が指摘されています。また、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行して、人の動きが活発化したことも影響した可能性があります。インフルエンザの流行の原因を調査するとともに、今後も咳などの症状があればマスク着用などの適切な対策をおこなうことが望ましいと考えられます。
まとめ
5月28日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は7975人で、1医療機関あたり1.62人と感染の流行の目安を超えた水準が続いていることを厚生労働省が発表したことが今回のニュースでわかりました。季節外れのインフルエンザの流行が収まるのはいつになるのか、今後も注視が必要です。