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豆乳ヨーグルトを毎日食べると風邪が早く治る可能性? ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究グループが報告

 公開日:2023/09/28
豆乳ヨーグルトで風邪を早く治せる可能性を示唆

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、「豆乳ヨーグルトを食べている人は、食べていない人と比べて風邪を引いたときの症状が軽くなり、早く治る」という研究結果を発表しました。この内容について甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

発表された内容とは?

ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究グループが発表した内容について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回の研究は、ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究グループが実施したものです。研究グループは植物性発酵乳をはじめとする植物性素材について各種研究を実施しており、Streptococcus thermophilus SBC8781の産生するEPS(菌体外多糖)について、牛乳から調製するよりも豆乳から調製する方がNK活性が高い(NK細胞が感染した細胞やがん細胞を攻撃する活性が高い)ことを明らかにし、日本農芸化学会2021年度大会にて「植物性発酵乳における菌体外多糖の免疫活性」という演題で発表しています。
研究グループはさらに研究を進め、今回はSBC8781株で発酵させた豆乳ヨーグルトが健常者の免疫指標に及ぼす影響について試験を行いました。対象者は22~59歳の健康な男女34名で、SBC8781株で発酵させた豆乳ヨーグルトを摂取する群と非摂取群に分け、摂取群は毎日SBC8781株で発酵させた豆乳ヨーグルト100gを4週間継続して摂取しました。その際、摂取開始時と終了時に採血と唾液を採取して免疫指標の変化を調べたほか、アンケートによる風邪症状など体調に関する評価も行いました。その結果、豆乳ヨーグルト摂取群では非摂取群と比較して、重要な免疫指標の一つであるNK活性が高くなることがわかりました。また、体調に関するアンケート結果から、豆乳ヨーグルト摂取群では非摂取群と比較して、風邪症状などの出現日数が少なくなることがわかりました。研究グループは、「これらの結果により、Streptococcus thermophilus SBC8781で発酵させた豆乳を摂取することによって免疫力が向上し、風邪症状などの出現を抑制する可能性があることが示唆された」と結論づけています。

発表内容への受け止めは?

ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究グループが発表した内容について、受け止めを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回の研究を通じて、毎日Streptococcus thermophilus SBC8781で発酵させた豆乳ヨーグルト100gを4週間継続して摂取すると、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞の強さであるNK活性が高くなることが明らかになりました。
これは、重要な免疫指標の一つであるNK活性(NK細胞の感染した細胞やがん細胞を攻撃する活性)が高くなることによって、風邪などの疾患予防に繋がる可能性があると考えられます。

今後の研究に期待したい点は?

ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究グループは、これまでの研究の積み重ねで今回の発表になりましたが、今後研究に期待されることを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究グループは、植物性発酵乳をはじめとする植物性素材についてこれまでも各種研究を進めており、過去にはStreptococcus thermophilus SBC8781の産生する菌体外多糖(EPS)について、牛乳よりも豆乳から調製した方がNK活性(細胞障害活性)が高いことを明らかにしていました。
今回の研究結果では、SBC8781株で発酵させた豆乳ヨーグルト100gを4週間継続して摂取した群において、非摂取群と比較して風邪症状などの出現日数が少なくなることを明らかにしました。これは、SBC8781株で発酵させた豆乳を摂取することによって、免疫力が向上することを示唆しています。
このNK活性はさまざまな要因に大きく影響を受けることが知られていて、その代表例である加齢、喫煙や偏った食生活、睡眠不足、ストレス、過度な飲酒などの悪い「生活習慣」もNK活性を低下させると言われています。
したがって、今後はさまざまな交絡因子も加味した状態で多変量解析などを行い、豆乳ヨーグルト摂取群における非摂取群と比較した免疫力向上に関する統計学的有意差が認められるかどうかの検討が望まれます。

まとめ

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、豆乳ヨーグルトを食べている人は、食べていない人と比べて風邪を引いたときの症状が軽くなり、早く治るという研究結果を発表しました。これから風邪やインフルエンザなどにかかりやすいシーズンになるので、こうした研究結果を知ることは意味がありそうです。

この記事の監修医師