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「まぶたが痙攣」する原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

まぶたの痙攣

特定の前触れもなく突然まぶたが痙攣することがあります。これは日常生活での眼精疲労やストレスが原因で、一過性の症状が大半を占めます。

しかし治療を必要とする病気の可能性もあり、軽症だと放置しておくと顔面神経麻痺などの重病を見落としてしまう可能性があるのです。

そこで以下ではまぶたの痙攣が起こる根本の原因や症状を踏まえ、万が一発症した場合の対処法や市販の目薬の選び方をご紹介していきます。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

まぶたの痙攣の症状と原因

まぶたが痙攣するときは、症状が現れた箇所と発症原因の関係性を探ることが大切です。ここでは症状が見られる部位ごとに、想定される原因をご紹介していきます。

まぶたの片方だけ痙攣する時に考えられる原因

左右のどちらか一方のまぶたが痙攣しているときは「眼瞼ミオキミア」という症状が疑われます。一時的にぴくぴくと震えるだけであれば、大半の場合この症状が当てはまります。原因としては眼精疲労が筆頭ではありますが、カフェインやアルコールの取りすぎ、コンタクトレンズによる角膜損傷であることも多いです。

下まぶたが痙攣する時に考えられる原因

目の下がよく痙攣するときは、一般的にはストレス・疲労・睡眠不足が原因と考えて問題ありません。しかし頭痛や吐き気などまぶたの痙攣以外にも症状がみられる場合には、脳腫瘍を疑う必要があります。まぶたの痙攣は一過性のもので、目の休養を与えれば解決していくことがほとんどです。一方で脳腫瘍の場合は2〜3ヶ月のスパンで悪化していく傾向があり、最悪は命に関わることもあるので注意してください。

上まぶたが痙攣する時に考えられる原因

痙攣が上まぶたに集中するときは眼精疲労の蓄積が原因であることが多いです。パソコンやテレビの見過ぎ、睡眠不足などが影響していることがあります。日常生活の中に根本原因があるからこそ対処法は単純で、目を温めたりパソコンの使用時間を短縮したりすることが解決策です。ドライアイが疑われるときは、目薬をするだけでまぶたの痙攣も軽減できることがあります。

まぶたの痙攣が止まらない時に考えられる原因

まぶたの痙攣が長引いたりに日に日に強くなったりしている時は、眼精疲労の解消ができていないことはもちろんのこと、事項で紹介している何らかの病気であることが考えられます。疲れ目・寝不足・カフェイン摂取を解消しても痙攣が続くのであれば、早急に眼科へ受診するタイミングです。ご自身の判断で解決するのは非常に困難なので、専門医師の指示に従ってください。

まぶたの痙攣が症状として現れる病気

まぶたが痙攣を起こす理由はさまざまですが、単なる一時的な症状ではなく治療を必要とする病気である場合があります。目を休めれば治ると簡単に捉えていると、万が一のケースで重症化してしまうことがあるので注意してください。ここではまぶたの痙攣に関するよくある病名を4つご紹介していきます。

眼瞼痙攣

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)とは自分の意思に関係なく、まぶたが痙攣したり目を開けにくくなったりする病気です。主に40代以降の中高年によくみられます。ただし明確な原因は未だ明らかにされていません。考えられることとしては、目の周りにある「眼輪筋」という筋肉へ指令を送る大脳基底核に、一時的な伝達網のエラーが起きているということです。初期症状としてはまばたきが多くなること、視界が眩しく感じることなどが挙げられます。前触れがなく突然発症することが多いですが、少しの間目を閉じていると落ち着いてくることが多いです。場合によってはサングラスをして光を軽減したり、まぶたに「ボトックス注射」を施したりして一時的な解消を計ります。

片側顔面痙攣

片側顔面痙攣とは一方のまぶたの痙攣から始まり、次第に唇や頬など顔の半分がひきつってしまう病気です。痙攣を起こすと目を開けているのが困難で、無意識に顔が歪んでしまうことがあります。片方のまぶたが痙攣しているだけでは、一時的な症状の「眼瞼ミオキミア」と感じるかもしれません。しかし放置しておくと重症化する恐れがあり、専門の医師を受診するまで区別がつきにくいのが難点です。原因は高血圧や動脈硬化によるもので、血管が顔の神経を圧迫するために発症します。そのため検査ではCTやMRIを用い、根本原因となっている血管の特定を行います。度合いによっては手術を行うこともありますが、ボトックス注射や服薬で解消していく方法も可能です。

チック症

突然声を出したり特定の動作を繰り返したりする「チック症」のなかには、無意識にまばたきを繰り返すという症状もあります。基本的には6歳程度の男児に多く見られますが、成人した大人でも発症することがあります。チック症は幼稚園や小学校に入園や入学するときの環境が大きく変化する時期や、強い疲労・ストレス・不安などによって生じやすくなる病気です。検査もチック症と思われる症状が1年以上続いているかどうかで判断していきます。一時的に発症している場合、他の運動性障害と区別するのはやや難しいです。診察は小児科や小児神経科、大人の場合は精神科などが専門です。まぶたの痙攣以外にも特定の声を突然発するようになったら、チック症を疑ってみてください。

更年期障害

更年期障害は閉経から3年程度でよく見られるもので、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌量が不安定になることで生じます。症状としては身体が火照ったり発汗したりする「ホットフラッシュ」が有名ですが、めまい・頭痛・耳鳴りなど内容は非常に多いです。これらの症状に付随して、まぶたの痙攣が一時的に発生するケースがあります。更年期障害は根本の原因が明確なので、ホルモン補充療法や漢方薬で調子を整えていく方法が一般的です。ただしストレスなど周囲の環境によっても左右されてしまうため、改めて身の回りの生活空間を見直してみましょう。

まぶたの痙攣はストレスが原因?

突然まぶたが痙攣するようになったら、ストレスをため込み過ぎていることが原因のひとつと考えましょう。過度にストレスを感じると、顔面の筋肉や神経が異常に興奮状態になってしまうことが知られています。日常生活において、以下のような状況が例として挙げられます。

  • 大学受験を控えている学生が体感する日々の緊張感
  • オーバーワークによる疲労の蓄積
  • 睡眠時間が削られることによる倦怠感

このような環境下が当たり前になってくると無意識のうちに表情がこわばり、結果として「顔面神経麻痺」に繋がってしまうのです。もし過度な疲労やストレスを感じているときにまぶたの痙攣が起こったら、少し休養をとるべき合図だといえます。まだ初期症状の段階で診察を受ければ早期回復もしやすいです。これらの症状が疑われたら耳鼻科や脳神経外科を早めに受診することをおすすめします。

まぶたの痙攣に使用できる市販の目薬

まぶたの痙攣を目薬で改善できるのは、症状がデスクワークによる眼精疲労・角膜の痛み・ドライアイなどに由来する場合です。眼精疲労の回復を図るために注目すべき成分は「ビタミンB12(シアノコバラミン)」です。この成分は目のピントを合わせる機能を司る毛様体筋の働きを活性化させ、近視を改善していくことが知られています。特にデスクワークでパソコンやスマートフォンを多用する方には欠かせません。眼科を受診して処方される目薬にもよく含まれている成分なので、市販の商品を購入する際も含有量に注目してみてください。また目の乾燥には「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」が有効です。目を開けられないほど乾燥していたり、物がかすんで見えたりするときは、この成分やビタミン類が多く含まれた目薬をおすすめします。具体的にはビタミン含有量が0.02%のものを目安としてみてください。ただし日常的に目薬を多用していると効果が減衰するほか、本来備えられている修復機能が発揮されなくなってしまいます。基本的には症状が現れたときに点眼し、長引く場合には早めに眼科を受診してください。

まとめ

まぶたの痙攣は日頃のストレスや眼精疲労が主な原因です。ときよりまぶたが震えることはよくあるものですが、顔の筋肉が思うように動かなかったり、痛みを伴うようになったりすると治療が必要なケースが多くなってきます。

専門医師に相談するときは眼科を基本とし、症状によって耳鼻科や脳神経外科などを受診するようにしてください。

一時的に目薬で解消することはありますが、根本の原因を明確にして適切な処置を施すことが早期回復に繋がります。

この記事の監修医師