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「耳が詰まった感じがする」症状の治し方について医師が解説!

耳が詰まった感じがする時、気になってモヤモヤしませんか?ここではMedical DOC監修医が耳が詰まった感じがする症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

楯 直晃 医師

監修医師
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

プロフィールをもっと見る
2013年 熊本大学病院 初期臨床研修医
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

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「耳が詰まった感じ」がする症状で考えられる病気と対処法

「耳がふさがったような感じ」「耳に水が入ったような感じ」、という症状は、誰しも一度は経験したことがあるかと思います。耳鼻科での専門的な用語では、このような症状を「耳閉感」といいますが、耳への空気の出入りがうまくいかないことによって起こります。耳閉感は日常生活においてやや不快な感覚であることが多く、このまま耳が聞こえなくなってしまうのではないか、と不安に感じられる患者さんも少なくありません。この症状を来す原因となる疾患は複数挙げられますが、内服治療で改善するものから小手術(外来での小規模な手術)が必要になるものまで、幅広くあります。それでは耳閉感を生じる疾患とその原因・治療に関して、ひも解いてみましょう。

両耳が詰まった感じがする症状で考えられる原因と治し方

エレベーターで急速に高層階へ移動したときや、飛行機に乗っているときにに感じる、両耳がふさがったような感じがする方がいます。

両耳が詰まった感じがする症状の対処法

対処法としては、まず耳抜きをします。ほとんどの両側の耳閉感はこれにより改善するので大きな心配はありませんが、それでも改善がない時は、耳鼻科に受診されることをお勧めします。原因としては、両側の耳垢の貯まり、耳管開放症(じかんかいほうしょう)・耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)などの両側耳管機能の異常、両側の中耳炎や内耳障害などが考えられ、診察と検査で原因を特定できることがほとんどです。

左耳・右耳だけなど片耳が詰まった感じがする症状で考えられる原因と治し方

片方の耳閉感がある場合、まずは耳抜きをしてみてください。原因としては、片方の耳垢の貯まりや異物の混入、片方の耳管機能の異常(耳管開放症・耳管狭窄症)、片方の鼓膜炎や中耳炎内耳障害(メニエール病・急性低音障害型急性感音難聴・突発性難聴)などが考えられ、診察と検査で原因を特定できることがほとんどです。改善しなければ耳鼻科受診を検討してください。

ストレスによる耳が詰まった感じの症状で考えられる原因と治し方

強い精神的ストレスがあった後に耳閉感を感じられることがあります。このような場合、内耳障害(メニエール病・急性低音障害型急性感音難聴・突発性難聴)などが疑われます。ストレスが誘因となっているので、一度からだを休めることをお勧めします。それでも症状が改善しない場合には、早めに耳鼻科を受診してください。

ずっと耳が詰まった感じがする症状で考えられる原因と治し方

耳抜きでも改善しない耳閉感を自覚される方は、中耳炎や内耳障害を伴っていることが多いです。長期化すると耳閉感が改善しないこともあるので、早めの耳鼻科受診をお勧めします。

たまに耳が詰まった感じがする症状で考えられる原因と治し方

たまに耳閉感を自覚される場合は、耳管機能の異常(耳管開放症・耳管狭窄症)や内耳障害(特に急性低音障害型感音難聴)が原因である可能性が考えられます。1日の中で耳閉感が悪くなったり良くなったりを繰り返します。緊急性は高くありませんが、一度耳鼻科受診をお勧めします。

ふらつき・めまい・吐き気と耳が詰まった感じがする症状で考えられる原因と治し方

耳閉感にめまいとふらつきがある場合は、内耳障害(メニエール病・急性低音障害型急性感音難聴・突発性難聴)、もしくは頭の障害が起こっている可能性が考えられます。食事や水分がとれ何とか歩けるような状態でしたら、早めに耳鼻科受診をしてください。生活習慣病のある方は歩行できず視界がぐるぐる回って目を開けられない状態ですと、脳梗塞や脳出血の可能性が高まるので、救急科や脳神経科のある病院への受診をお勧めします。

すぐに病院へ行くべき「耳が詰まった感じ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

耳閉感があり意識障害や手足の痺れなどの症状がある場合は、脳神経内・脳神経外科へ

難聴・耳鳴・耳閉感などの聴覚症状、めまい症状とそれに伴う軽い吐き気がある場合は、耳鼻科受診で十分であることがほとんどです。しかし、意識消失や、顔や手足のしびれ、視界が二重にみえる、まっすぐ歩けないなど、脳の障害を思わせる症状も伴っている場合は、脳梗塞・脳出血など頭の病変が原因で症状を来している可能性があります。また、糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病の治療中の方は脳が原因である可能性が高くなりますので、早めに救急外来や脳神経内科や脳神経外科のある大きな病院を受診されることを推奨します。

「耳が詰まった感じ」がする症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳が詰まった感じ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

メニエール病

メニエール病とは、難聴・耳鳴・耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい症状を何度か繰り返す病気です。めまいあるいは聴覚症状のどちらか一方だけ、増悪を繰り返すこともあります。原因は、内耳のリンパ液が過剰な状態で水ぶくれ状態になってしまっている(これを内リンパ水腫という)ことですが、原因には精神的ストレス、脱水、低気圧が関与しています。
症状が軽く、食事や水分がとれて症状の増悪(悪化)がなければ、ご自宅で安静にすることで改善することもあります。一方で、症状がつらく、食事がとれない・歩けない・眠れない等の日常生活に支障をきたすような場合や、難聴・耳鳴・耳閉感・めまいが増悪する場合は、耳鼻科を受診してください。
内リンパ水腫を改善する薬や、内耳の循環を良くする薬で治療を開始すると、2週間程度で症状が改善される方が多いですが、再発を起こしやすい病気であるので、同様の症状が再度出現した場合には、早めに耳鼻科を受診してください。

突発性難聴

突発性難聴とは、突然耳の聞こえが悪くなり、耳鳴・耳閉感・めまいなどを伴う原因不明の疾患です。精神的ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などがあると起こりやすいことがわかっていますが、詳細なメカニズムはわかっていません。聴力を回復させるには、なるべく早く治療を開始することが重要なので、速やかに耳鼻科を受診してください。ステロイドという炎症を抑える薬や、内耳の血流を良くする薬を併用して加療を行います。
発症後1週間以内に適切な治療を受けることで約40%の方は聴力が戻るといわれますが、それ以外の方は完全に聴力がもとに戻らず、耳閉感・耳鳴も残ってしまうので、早めの受診を心がけてください。

心因性難聴

心因性難聴とは、音を感じる内耳や脳が正常であるのにも関わらず、心理的な要因から引き起こされる難聴のことをさします。心理的なストレスが原因となり発症することが多く、学童期に多くみられる傾向があり、耳鳴やめまい症状も伴うことがあります。難聴の自覚がなく、学校検診での聴覚検査の異常を指摘され、耳鼻科受診されて心因性難聴の診断に至る例もあります。
主に心理的な要素が大きく関与しているため、原因と考えられる心理的ストレスを本人と話し合って把握し、それを取り除くことが症状改善につながります。治療が長期化することもあるので、その場合はカウンセラーや精神科の介入が必要な場合があります。
最近では補聴器を装用することで、「補聴器を使うと聞こえるようになる」という自己暗示が症状を改善させる場合も報告されています。
学童期のこどもが、聞こえがわるい、または耳鳴りや耳閉感があるとの訴えがある場合や、学校健診で難聴を指摘された場合は、一度耳鼻科受診をしてみてください。

耳管開放症

鼻の奥ののど(咽頭)と耳をつなぐ管が存在し、これを耳管といいます。耳管には、のどと耳の圧力を調整するはたらきがあり、食物を飲み込んだときやあくびのときに耳管は開き、すぐに閉じるのが正常ですが、耳管開放症では耳管が常に開放しているため、自分自身の声が響いて聞こえたり、呼吸音や心臓の音が聞こえたりしてしまいます。耳閉感、めまい、難聴などの症状を認めることもあります。
また、上半身を倒したりうつぶせになったりすると、耳管の周りの血流が増加し耳管が狭くなることで、上記のような症状が一時的に改善することが特徴です。
耳管開放症が起こる原因は、ダイエットや全身性の病気、ストレスによって急激に体重が減少することで耳管周囲の脂肪も減ってしまい、常に耳管が開いている状態になってしまうことが挙げられます。症状が気になって仕方がない場合には、まずは耳鼻科を受診しましょう。

急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音難聴(以下ALHLという)は、20~30歳の若年女性に好発する、主に低い音が突然聞こえなくなる病気で、症状としては難聴・耳閉感・耳鳴が多く認められます。原因は不明ですが、ALHLの病態はメニエール病と同じく内リンパ水腫という「内耳のむくみ」が起こっているといわれています。
メニエール病と同じ病態なので、ご自宅で安静にすることで改善する方もいらっしゃいますが、症状がつらく難聴・耳鳴・耳閉感・めまいが増悪する場合は早めに耳鼻科を受診してください。治療薬はメニエール病同様、内リンパ水腫を改善する薬や、内耳の循環を良くする薬で治療します。
難聴が重度の場合は突発性難聴の治療に準じて、ステロイドを用いることもあります。ALHLも再発する可能性があるので、同様の症状が再度出現した場合には、早めに耳鼻科を受診してください。

ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)

ヘッドホンやイヤホンを通して大きな音量を聞き続けることにより、内耳の機能が徐々に障害されることで難聴や耳閉感を来す難聴です。少しずつ進行していくために初めは症状に気づくことができませんが、徐々に両耳に難聴・耳閉感・耳鳴が出現してきます。
内耳の血流を良くする薬を使用することもありますが、既に内耳の機能が破壊されてしまっているので、完全に聴力を回復させることは難しいといわれています。ヘッドホンやイヤホンを装用するときは、音量を下げ連続して聞かないことで予防ができます。

「耳が詰まった感じ」がする症状の正しい対処法は?

耳閉感が軽度で短時間で消えてしまったり、耳抜きで改善したりする場合は様子をみてもいいかもしれませんが、難聴やめまいをともない、耳閉感が継続・反復しているようでしたら、まずは耳鼻科を受診してください。自宅でできる「ツボ」のようなものは特になく、原因疾患によっては早期に治療を始めないと改善しない場合もあるのでご注意ください。

「耳が詰まった感じ」がする症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳が詰まった感じ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

エレベーターや新幹線に乗ると、耳が詰まった感じがします。耳抜きで対処しても大丈夫ですか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

耳抜きをしていただいて大丈夫です。あくびや物をのみこむことで通常耳抜きと同じような状態にはなりますが、それもでも耳抜きがうまくできない場合は、両方の鼻の穴を指で押さえ、口は閉じて、思いきり耳から息を吐く(通す)様なイメージで、耳抜きはできます。風邪をひいたあとで鼻の奥に炎症が残っているとうまくできないことがありますので、その場合は無理しない範囲で試してみてください。

疲れると耳が詰まったような塞がった感じがします。病院に行くべきでしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

ストレスで一時的に耳閉感がでることもありますので少し様子をみてもいいかもしれません。聞こえのわるさやめまいを伴っている場合や、耳閉感が長期的に継続している場合は、内服薬が必要になることもあるので、一度耳鼻科に受診されることをお勧めします。

水泳中や入浴中に水が耳に入ってしまった場合、正しい抜き方を教えて下さい。

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

水が入ってしまった方の耳の穴を地面に向けるように頭を傾け、複数回ジャンプしてみてください。多くの場合すぐに水が抜けます。どうしても耳の水が抜けない、あるいは水が入っているような耳閉感がある場合は、耳鼻科で処置・検査をする必要がある可能性があるので、一度耳鼻科受診をお勧めします。

耳が詰まった感じを防ぐために、生活習慣で何か気をつけることはありますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

強い精神的ストレスや生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)などを誘因に、耳閉感が生じることがありますので、栄養バランスのとれた食事や良質な睡眠を心がけてください。
また、小児やご年配の方で、耳垢が多くつまっていることで耳閉感が出る方が時々認められますが、そのような場合には月に1度の耳掃除をお願いしています。綿棒などを使用していただき、手前の方だけやさしく耳垢を取りましょう。鼓膜に近い耳垢は掃除が難しいと思われるので、3~6か月に1回程度の耳鼻科への定期受診を検討してください。

まとめ

耳の詰まった感じを「耳閉感」といいますが、日常生活をおくるうえで残存しているととても気になる症状の一つです。耳閉感が耳抜きですぐに改善したり、少し様子を見て改善したりすれば大きな問題はありません。しかし、耳閉感が続いているときや、難聴・耳鳴・めまいを伴っていれば耳鼻科受診をお勧めします。また、めまいがひどくて嘔吐している場合やふらついて歩行できない場合は、総合病院へ救急受診されることを推奨します。

「耳が詰まった感じ」で考えられる病気と特徴

「耳が詰まった感じ」から医師が考えられる病気は23個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

精神科の病気

  • 不安障害
  • 機能性難聴(詐聴、心因性難聴)

脳神経科の病気

耳の疾患であることもあれば、脳の障害や精神的な障害などでも発症する可能性があります。

「耳が詰まった感じ」と関連のある症状

「耳が詰まった感じ」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状


「耳が詰まった感じ」の症状の他に、これらの症状がある場合「耳管開放症」「突発性難聴」「メニエール病」「急性低音障害型感音難聴」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が見られる場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。